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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

城塞ゴルガリ(スタンダード)

岩SHOW

 《野茂み歩き》は新たな時代の《タルモゴイフ》だ。

 かつては(主に緑単色の)2マナのクリーチャーで、コストに優れたスペック、すなわち打点に優れたパワーと同コスト帯のクリーチャーには相討ちを許さないタフネスを誇るカードを「平成のタルモゴイフ」なんて呼ぶネットミームがあったりしたもんだ。いろいろなクリーチャーが平成のタルモを襲名していったが、野茂みは最後のこれにあたるんじゃないかな? まあタルモとはだいぶ役割は違うが、2マナでタフネスが高くて育ててから殴りに行く、というタルモイズムは継承していると考えている。

 野茂みを育てるにはとにかく探検だ。《マーフォークの枝渡り》と《翡翠光のレインジャー》で探検を誘発させまくって、野茂みの能力も誘発させていく。

 +1/+1カウンターが置かれてサイズアップ!のみならず、ついでにライフを3点回復させてくれるのがこやつのすごいところだ。『ラヴニカのギルド』以降のスタンダードにて「ゴルガリ」や「スゥルタイ」と呼ばれた緑に黒を足したデッキは、この探検+野茂みパッケージにてアグレッシブに攻めてくる相手に応えていくスタイルで人気デッキとして君臨し成績を残し続けたものだ。

 時には野茂みが複数体並んでライフが40超えちゃったよって状況も。あまりにもライフが回復し高い値を保ち続けると、なんだかもったいないような気がしてくるのは僕だけだろうか。

 そんな平成のタルモが供給するライフを有効活用する手段が、新しい時代にやってきた!《ボーラスの城塞》で、その余剰な体力を戦力に昇華しよう!

Deathsie - 「城塞ゴルガリ」
Fandom Legends April 25, 2019 ベスト4 / スタンダード (『イクサラン』~『灯争大戦』)[MO] [ARENA]
8 《
7 《
4 《草むした墓
4 《森林の墓地
1 《愚蒙の記念像
-土地(24)-

4 《ラノワールのエルフ
4 《マーフォークの枝渡り
4 《野茂み歩き
2 《探求者の従者
1 《培養ドルイド
4 《翡翠光のレインジャー
2 《貪欲なチュパカブラ
2 《永遠神ロナス
-クリーチャー(23)-
4 《繁茂の絆
2 《ヴラスカの侮辱
3 《ボーラスの城塞
2 《採取 // 最終
2 《ビビアン・リード
-呪文(13)-
2 《殺戮の暴君
4 《強迫
2 《暗殺者の戦利品
2 《喪心
2 《オブ・ニクシリスの残虐
1 《ヴラスカの侮辱
1 《採取 // 最終
1 《ビビアン・リード
-サイドボード(15)-
mtggoldfish より引用)
 

 ライブラリーの一番上のカードをプレイできるようになるが、そのコストはライフで支払う必要がある……リスクはあるが、アドバンテージはもたらしてくれるクセの強い色付きアーティファクトである《ボーラスの城塞》。この何とも使いたくなる魅力にあふれたカードを用いるには、緑と組ませて野茂みライフゲインを連打するのがベスト!という思想のもとに組まれているデッキだ。探検水増しのために《探求者の従者》が採用されていることからも本気度が窺える。

 前環境での一番人気と言っても良かった「スゥルタイ」はアドバンテージ源として《ハイドロイド混成体》を用いるために青を足していたが、その枠を城塞が担うことで2色にまとまり、色マナ問題を解消したアプローチとも言えるね。

 従来の緑黒デッキのように探検パッケージでどんどこ回復して盤面を固めて、除去を唱えてだんだん有利にもっていって……という動きをする点は同じ。ここがチャンスだ、ライフにも余裕あり!という状況で城塞をセットし、そこから余ったライフをザクザクと支払ってとてつもない展開を見せていこう。探検クリーチャーが唱えられれば、その展開を止めるのはトップに居座る土地くらいなもんだ。

 その土地もそもそも探検クリーチャーでどかしやすいし、《ビビアン・リード》やあるいは新カード《繁茂の絆》でクリーチャーなどを手に入れながらライブラリーの上をリフレッシュさせて強引にチャンスを引き込んでいこう。

 この《繁茂の絆》で探せるという点を考慮して、メインデッキの除去枠は《喪心》などよりも《貪欲なチュパカブラ》を優先しているのが工夫として見られる。このソーサリーはアーティファクトも手札に加えられるし、3点のライフも与えてくれるので城塞との相性も◎ってわけだ。

 このデッキの勝利手段は《野茂み歩き》で数回殴ってライフを詰めてから《ボーラスの城塞》の能力を起動して10点!!というド派手なもの。さらに派手な新カードで《永遠神ロナス》という選択肢も。

 クリーチャーがずらずらと並びがちなこの手のデッキでは、それらを無駄なく勝利手段に変換してくれるこのカードの存在はありがたい。デッキを構成するカードを全て勝利へのピースとしてカウントできる、こういう工夫はとても大事なことなので、自分でデッキを作りたい人はぜひ参考にしてほしいところ。

 ちなみにこのデッキ自体は『灯争大戦』リリース直後に開催されたMTGアリーナのトーナメントで使用されたものだ。素晴らしい意欲作! 皆も新セットのカードで既存のデッキをバージョンアップさせるスタンダードの醍醐味、味わってほしいね!

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