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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ディミーア・テンポ:デッキの旬の話(スタンダード)

岩SHOW


 スタンダードというフォーマットは現在、直近3年の間にリリースされたセットを用いてデッキを構築するルールになっている。年々セット数も増加しているため、今現在のスタンダードのカードプールは、過去のそれよりも膨大な量となっており……そして順次そこに新カードが加わっていく。この夏は『マジック:ザ・ギャザリング|ホビット』のカードも加わり、さらに使用可能なカードが増える……つまり、このフォーマットには旬が存在するということだ。

 新カードの追い風を受けたデッキは流行り、安定した使用率を獲得する。そうでないデッキは埋もれることになる……つまり旬ではない状態に。しかしここがスタンダードの面白いところで、旬ではない=勝てないという図式には必ずしもならないという……そもそも旬のデッキ=使用率が高く、頻繁にマッチするデッキというものは、お互いを意識し合って対策を施している。そこに意識されていなかったデッキがふらっと現れると、想定外の戦術に翻弄される……ということも大いにあり得るし、実際過去のスタンダードでもそのような減少が頻繁に観測された。なので、今現在使用率が高くないデッキも、常にチャンスを秘めている。たとえば……

claudioh - 「ディミーア・テンポ」
Magic Online Standard Challenge 32 トップ4 / スタンダード (2026年7月27日)[MO] [ARENA]
4 《湿った墓
4 《グルームレイクの境界
4 《隠されし拠点
2 《不穏な浅瀬
2 《魂石の聖域
3 《
4 《
-土地(23)-

4 《悪夢のビーバー
4 《遠眼鏡のセイレーン
4 《フラッドピットの溺れさせ
2 《ワンダラス・ワスプ
1 《ティシャーナの潮縛り
3 《永劫の好奇心
1 《ザ・ハンドのくノ一、エレクトラ
-クリーチャー(19)-
4 《報いの呪詛
2 《苦々しい勝利
2 《保安官を撃て
2 《逃げ場なし
1 《呪文貫き
1 《呪文嵌め
2 《我らは断じて許さぬ!
4 《悪夢滅ぼし、魁渡
-呪文(18)-
1 《除霊用掃除機
1 《始まりの液体
2 《戦略的裏切り
2 《黒い太陽の日
2 《瞬間凍結
1 《呪文貫き
1 《軽蔑的な一撃
3 《強迫
1 《ティシャーナの潮縛り
1 《司書、ワン・シー・トン
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 

 《悪夢滅ぼし、魁渡》を主軸としたディミーア(青黒)カラーのテンポデッキなどは、旬を迎えていた時期は……まさしくスタンダードの覇者と呼べるポジションにあった。《悪夢滅ぼし、魁渡》は忍術という能力で、攻撃してブロックされていないクリーチャーと入れ替えて戦場に出せるプレインズウォーカー兼クリーチャー。この能力により計3マナと軽いコストで戦場に繰り出しつつ攻撃を遠し、ダメージを与えつつ……相手のクリーチャーを麻痺させたり、ドローを行ったりと、盤面及び手札に影響を及ぼす。その上クリーチャーである間は呪禁を持っておりインスタントで除去されにくく、さらに相手のターンではプレインズウォーカーになっているのでソーサリーのクリーチャー除去も受け付けないという……押している状態で一度戦場に出てしまえば、相手は対処が難しい、超強力パーマネントである。

 この魁渡の忍術を成立させるために《悪夢のビーバー》《遠眼鏡のセイレーン》《フラッドピットの溺れさせ》といったクリーチャーを展開し、攻撃をする……忍術で手札に戻したこれらのクリーチャーを再び展開すれば、それらの能力を再利用できてお得である、というのがこのアーキタイプの構築理念だ。比較的軽いクリーチャーと除去や打ち消し呪文で、テンポの良い攻めと妨害を行う。一発逆転の大技などは持ち合わせていないが魁渡と《永劫の好奇心》で絶えず手札を補充し続け、有利な状態……マウントを維持し続ける力に長けている、そんなテクニカルなデッキに仕上がっている。考えることはそれなりに多いデッキであるため、誰にでもすぐ扱えるかというとそうでもないが……しかし難しいやつと敬遠するほどのものでもなく、プレイしていくうちに「こういうシチュエーションではこう動くべきなんだ」ということが学べる。スキルアップにもってこいのデッキだと言える。

 

 一時期はそのテクニカルなムーブであらゆるデッキに対してマウントを取り続けていたディミーアだが……他のデッキが新セットから戦力を補充するのに大して、このアーキタイプが得るものは少なく……そうなると他のデッキに置いていかれる形になってしまうのは自然なことではある。やっぱり皆新カードを活かしたデッキを使いたいと思うのが人情だしね…しかしながらデッキの魅力が薄れるわけではない。旬のデッキをしり目に、マイデッキをずっと使い込んでいる匠の姿を目にすることも……そういったやり込み勢に朗報、『マジック:ザ・ギャザリング|マーベル スーパー・ヒーローズ』から新戦力を獲得したこのリストがMagic Online上で結果を残した!

 クリーチャー面では、まず《ワンダラス・ワスプ》!2マナの瞬速持ちで飛行と、フラッドピットのように隙なく繰り出せてビーバーのように攻撃を通しやすく、魁渡の忍術のタネには持ってこい、パワーも2あるので単体でも攻撃し続けてOK、そして……彼女は戦場に出るとクリーチャーをタップできる。これで相手の攻撃やブロックを妨害できるし、そのクリーチャーはワスプが戦場にいる限り、能力を失う……そのため《蜘蛛の顕現》などの戦闘面だけでないシステム系のクリーチャーも無力化できるのはかなりGOOD。

 それから《ザ・ハンドのくノ一、エレクトラ》、彼女もやり手な1枚だ。戦場に出るとパワー3以下のクリーチャーを破壊できる除去能力を持っており、そしてエレクトラは忍術と同様の処理を行う隠密という能力を持っている。魁渡のために用意された面々は、エレクトラの隠密を補助する役にもなれる。さらにエレクトラは忍者であり、魁渡の紋章によりサイズアップも狙える……忍者に寄せたデッキも組みたくなるというものだ。

 

 さて、新セット『マジック:ザ・ギャザリング|ホビット』はこのディミーアにどのようなカードをもたらすのだろうか?筆者はまだセットの全容を把握しきれていないが……とりあえず目に止まった1枚は《狩猟群の頭目》!この手のテンポデッキにおいて嬉しい瞬速持ちで、パワー4と打点も十分。そして相手の死亡するクリーチャーを追放したうえで自身の戦場には2/2の狼を生成するという、ちょっとした墓地への妨害と戦線を維持する、見た目かなり強い能力を所持している。《保安官を撃て》などと併せて、アドバンテージを稼ぎながら盤面を固めてみたいものだ。

 というわけで、これからまた旬を迎えてトップに君臨するかもしれないデッキを紹介させていただいた。どんなデッキが新環境で隆盛するのか、要チェック!!

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