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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今年のデッキ2018

岩SHOW

 今回が2018年最後のこのコラムの更新となる。今年もお世話になりました! いろんなことがあったけど、今年もマジックが楽しい1年で良かったよ。

 個人的にはMTGアリーナのおかげで、今まで以上にマジックをプレイすることが身近に感じられた1年になった。アリーナきっかけでマジックに手を出したというプレイヤーの声を聴けたのもなんだか嬉しかった。2019年はますます盛り上がってほしいところ。僕もそのためにやれることは全力でやろう!

 さて、今回は今年紹介したデッキの中から思い入れの深いデッキをピックアップして振り返ってみよう。すっかり毎年恒例のアレね。手抜きじゃないぞ、年末特番ってやつだ! マジック25周年を彩ったデッキを、今一度皆で観てみようじゃないか!


ターボ・ジェイス(モダン)
Iwouldliketorespond - 「ターボ・ジェイス」
Magic Online Modern Challenge 6位 / モダン (2018年2月17日)[MO] [ARENA]
5 《
1 《平地
1 《神聖なる泉
4 《溢れかえる岸辺
1 《汚染された三角州
1 《沸騰する小湖
2 《氷河の城砦
3 《トレイリア西部
1 《宝石の洞窟
2 《廃墟の地
1 《海の中心、御心
-土地(22)-

3 《瞬唱の魔道士
-クリーチャー(3)-
4 《祖先の幻視
1 《死せる生
4 《選択
4 《血清の幻視
1 《アズカンタの探索
4 《予言により
3 《疲労困憊
1 《一日のやり直し
2 《謎めいた命令
4 《時間のねじれ
4 《時間の熟達
3 《精神を刻む者、ジェイス
-呪文(35)-
2 《儀礼的拒否
2 《呪文貫き
2 《石のような静寂
3 《機を見た援軍
4 《終末
2 《撹乱する群れ
-サイドボード(15)-
 

 2018年開幕にビビった事件は、《精神を刻む者、ジェイス》と《血編み髪のエルフ》がモダンで解禁されたことだ。血編みはモダン初期に使えたので「帰ってきたか」くらいの感覚だったが、ジェイスの禁が解かれたことには正直驚いた! スタンダード現役時の暴れっぷり、いまだにエターナル環境では最強のアドバンテージ源として扱われるこのカードがモダンにやってくることで、環境にどのような影響があるのか。さまざまな議論が交わされたものだ。

 結果としてジェイスは、高速化が進み過ぎたモダン環境において「ちょうど良いカード」として青いコントロール系のデッキを支えており、解禁は大英断で良かった良かった。

 解禁直後にはこのジェイスに依存した「ターボ・ジェイス」とでも呼ぶべき無限ターン系のデッキも登場し、新しい時代の幕開けを盛り上げてくれたものだ。毎ターンカードを引きまくりたい、そんなプレイヤーのわがままを、ジェイスはこれからも叶え続けるのだろう。


ポール・スライの「オークの司書」デッキ(過去のスタンダード)
Paul Sligh - 「オークの司書」デッキ
プロツアー予選 準優勝 / スタンダード (1996年)[MO] [ARENA]
13 《
2 《ドワーフ都市の廃墟
4 《ミシュラの工廠
4 《露天鉱床
-土地(23)-

4 《真鍮人間
2 《Dwarven Trader
2 《フラーグのゴブリン
4 《鉄爪のオーク
3 《Dwarven Lieutenant
2 《オークの司書
2 《火の兄弟
2 《オーク弩弓隊
2 《Orcish Cannoneers
2 《チビ・ドラゴン
-クリーチャー(25)-
4 《稲妻
1 《黒の万力
1 《炎の供犠
4 《火葬
1 《粉砕
1 《爆破
1 《火の玉
-呪文(13)-
1 《Zuran Orb
3 《活火山
1 《弱者の石
1 《粉砕
4 《魔力のとげ
2 《鋸刃の矢
1 《An-Zerrin Ruins
1 《爆破
1 《火の玉
-サイドボード(15)-
 

 マジック25周年を祝うために投下されたセットは『ドミナリア』! 古き良き時代とこれからの未来が混じり合うセットに世界中のプレイヤーが魅了された。

 このセットでは過去の出来事を紹介する新しいカード「英雄譚」が登場した。《ベナリア史》《最古再誕》と無茶苦茶強いカードも含まれて、人気のメカニズムとなったのは大変喜ばしい。

 このコラムではこの新たなカードになぞらえて、「構築譚」というタイトルでマジックの時代を築き上げてきた重要なデッキを紹介してきた。中でも、かの「スライ」デッキの始祖を紹介できたのは個人的には嬉しかったな。『テンペスト』ぐらいの時代にマジックをしていた人には聞き覚えのあるデッキ名だろう。

 なぜ赤い速攻ビートダウンが「スライ」と呼ばれるようになったのか? 現在でも重要視されている理論とともに誕生したデッキを、若い世代にも知ってほしいね。


KCI(モダン)
Matt Nass - 「KCI」
グランプリ・ラスベガス2018(モダン) 優勝 / モダン (2018年6月16~17日)[MO] [ARENA]
2 《
4 《燃え柳の木立ち
2 《霊気拠点
4 《ダークスティールの城塞
3 《埋没した廃墟
3 《発明博覧会
-土地(18)-

2 《マイアの回収者
4 《屑鉄さらい
-クリーチャー(6)-
4 《オパールのモックス
4 《古きものの活性
4 《彩色の星
4 《テラリオン
3 《彩色の宝球
2 《黄鉄の呪文爆弾
4 《胆液の水源
4 《精神石
4 《クラーク族の鉄工所
3 《仕組まれた爆薬
-呪文(36)-
1 《ワームとぐろエンジン
4 《稲妻
4 《自然の要求
3 《耳障りな反応
1 《防御の光網
2 《ギラプールの霊気格子
-サイドボード(15)-
 

 2018年にフィーバーしたのはこのデッキ! モダンの「KCI」だ。

 《クラーク族の鉄工所》を軸にした、アーティファクトを生け贄に捧げてマナを得ながらドローを進めていく、高難易度のコンボデッキ。このデッキを使用したマット・ナス/Matt Nassはモダン・グランプリの2連覇という怪物のごとき戦果を挙げ、一躍モダンの顔となった。

 コンボが決まっているか否かは動き出してある程度プレイしないと分からない、逆に「この状況から勝つのか!?」というミラクルも成し遂げるタイプのデッキであり、とにかく熟練度が物を言う。

 今年このデッキに憧れて組んでみたけどうまく扱えなかったという方は、とにかく練習を積んで来年こそマット・ナスに続こう!


赤黒という時代(スタンダード)
Matthew Cotrupe - 「赤黒アグロ」
StarCityGames.com Team Open Worcester 優勝 / スタンダード (3人チーム構築戦) (2018年7月14~15日)[MO] [ARENA]
13 《
1 《
4 《泥濘の峡谷
4 《竜髑髏の山頂
2 《産業の塔
-土地(24)-

4 《ボーマットの急使
3 《損魂魔道士
4 《屑鉄場のたかり屋
2 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ
4 《ゴブリンの鎖回し
2 《ピア・ナラー
2 《再燃するフェニックス
1 《熱烈の神ハゾレト
2 《栄光をもたらすもの
-クリーチャー(24)-
3 《削剥
2 《キランの真意号
2 《稲妻の一撃
2 《無許可の分解
1 《木端 // 微塵
2 《反逆の先導者、チャンドラ
-呪文(12)-
4 《強迫
2 《チャンドラの敗北
2 《マグマのしぶき
1 《アルゲールの断血
1 《大災厄
1 《ヴラスカの侮辱
1 《苦悩火
1 《霊気圏の収集艇
1 《ウルザの後継、カーン
1 《屍肉あさりの地
-サイドボード(15)-
StarCityGames.com より引用)
 

 『ドミナリア』合流後、『カラデシュ』ブロックと『アモンケット』ブロックが使えたスタンダード環境の終盤には、「赤黒アグロ」が最強のデッキとして君臨していた。

 《ゴブリンの鎖回し》を筆頭とし、《ボーマットの急使》《熱烈の神ハゾレト》といった超優秀クリーチャー軍団。

 《稲妻の一撃》《削剥》《無許可の分解》と強すぎた除去の数々……

 2018年夏は完全に赤黒という時代だった。赤黒に勝つために中速やコントロールに寄せた赤黒も登場、まさしく環境の覇者であった。

 明らかに強いデッキが1つある時に、どのようなデッキ選択をすれば良いのか。トーナメント・シーンにおけるプロプレイヤーたちの選択からは学ぶべきものが多数あったように思う。


マジック25周年記念プロツアー優勝チーム(3人チーム構築戦)
Gregory Orange - 「青白コントロール」
マジック25周年記念プロツアー 優勝 / スタンダード (3人チーム構築戦) (2018年8月3~5日)[MO] [ARENA]
7 《
6 《平地
4 《灌漑農地
4 《氷河の城砦
2 《曲がりくねる川
1 《オラーズカの拱門
2 《廃墟の地
-土地(26)-

1 《奔流の機械巨人
-クリーチャー(1)-
4 《封じ込め
2 《本質の散乱
2 《アズカンタの探索
1 《一瞬
1 《否認
4 《不許可
3 《排斥
3 《残骸の漂着
2 《天才の片鱗
2 《ヒエログリフの輝き
2 《燻蒸
1 《暗記 // 記憶
2 《中略
4 《ドミナリアの英雄、テフェリー
-呪文(33)-
1 《周到の神ケフネト
3 《黎明をもたらす者ライラ
2 《奔流の機械巨人
1 《原初の潮流、ネザール
2 《否認
1 《霊気溶融
1 《ジェイスの敗北
1 《魔術遠眼鏡
2 《俗物の放棄
1 《燻蒸
-サイドボード(15)-
Ben Hull - 「赤黒ホロウワン」
マジック25周年記念プロツアー 優勝 / モダン (3人チーム構築戦) (2018年8月3~5日)[MO] [ARENA]
3 《
1 《
2 《血の墓所
1 《踏み鳴らされる地
4 《血染めのぬかるみ
2 《沸騰する小湖
2 《樹木茂る山麓
3 《黒割れの崖
-土地(18)-

4 《炎刃の達人
4 《恐血鬼
4 《炎跡のフェニックス
4 《虚ろな者
4 《通りの悪霊
1 《黄金牙、タシグル
3 《グルマグのアンコウ
-クリーチャー(24)-
4 《燃え立つ調査
4 《信仰無き物あさり
4 《稲妻
4 《ゴブリンの知識
2 《集団的蛮行
-呪文(18)-
2 《渋面の溶岩使い
3 《致命的な一押し
2 《思考囲い
2 《古えの遺恨
4 《虚空の力線
2 《仕組まれた爆薬
-サイドボード(15)-
Allen Wu - 「Death & Taxes」
マジック25周年記念プロツアー 優勝 / レガシー (3人チーム構築戦) (2018年8月3~5日)[MO] [ARENA]
5 《平地
6 《冠雪の平地
3 《カラカス
1 《地平線の梢
4 《不毛の大地
4 《リシャーダの港
1 《ミシュラの工廠
-土地(24)-

4 《ルーンの母
4 《ファイレクシアの破棄者
4 《石鍛冶の神秘家
4 《スレイベンの守護者、サリア
4 《ちらつき鬼火
2 《護衛募集員
1 《ミラディンの十字軍
1 《聖域の僧院長
1 《宮殿の看守
-クリーチャー(25)-
4 《霊気の薬瓶
4 《剣を鍬に
1 《梅澤の十手
1 《火と氷の剣
1 《殴打頭蓋
-呪文(11)-
1 《封じ込める僧侶
1 《エーテル宣誓会の法学者
1 《レオニンの遺物囲い
1 《フェアリーの忌み者
1 《歩行バリスタ
2 《流刑への道
1 《真髄の針
3 《安らかなる眠り
2 《議会の採決
2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン
-サイドボード(15)-
 

 マジック生誕25周年を祝う、3人チームでのプロツアーが開催。フォーマットはなんと3人とも別のフォーマットを担当する、スタンダード・モダン・レガシーの混合! このプロツアーに向けて、世界各地で同フォーマットのチーム戦グランプリも開催され、ありそうでなかった未知のマジックが数々のドラマを生んだ。

 優勝チームが選んだデッキは、スタンダード「青白コントロール」(2018年を代表する1枚《ドミナリアの英雄、テフェリー》を得たことで隆盛したデッキだ)、モダン「ホロウワン」(赤黒の手札を捨てまくる、新しいマジックの戦略を切り開いたブン回り系デッキ!)、レガシー「Death & Taxes」(伝統の白ウィニー、派手さはないが確実に効く嫌がらせが持ち味)。

 特に「ホロウワン」は2018年のモダンを大きく変えたデッキだ。《虚ろな者》がここまでのモンスターだったとは思いもしなかったなぁ。


特賞! バベル・デプス!(レガシー)
CalebD - 「バベル・デプス」
Magic Online Competitive Legacy Constructed League 5勝0敗 / レガシー (2018年8月24日)[MO] [ARENA]
4 《溢れかえる岸辺
4 《汚染された三角州
4 《血染めのぬかるみ
4 《樹木茂る山麓
4 《吹きさらしの荒野
4 《湿地の干潟
4 《新緑の地下墓地
4 《霧深い雨林
4 《沸騰する小湖
1 《Tundra
4 《Underground Sea
4 《Bayou
4 《Tropical Island
1 《異臭の池
3 《闇滑りの岸
3 《花盛りの湿地
3 《植物の聖域
3 《忍び寄るタール坑
2 《孤立した砂州
2 《やせた原野
2 《平穏な茂み
4 《トレイリア西部
4 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ
1 《カラカス
1 《ボジューカの沼
1 《ドライアドの東屋
4 《不毛の大地
2 《幽霊街
2 《古えの墳墓
3 《暗黒の深部
3 《演劇の舞台
1 《
1 《冠雪の島
1 《
2 《冠雪の沼
1 《
2 《冠雪の森
-土地(101)-

1 《森を護る者
4 《悪意の大梟
4 《闇の腹心
4 《ヴリンの神童、ジェイス
4 《瞬唱の魔道士
3 《吸血鬼の呪詛術士
1 《漁る軟泥
3 《トレストの使者、レオヴォルド
3 《ヴェンディリオン三人衆
1 《永遠の証人
1 《不屈の追跡者
1 《再利用の賢者
1 《原始のタイタン
-クリーチャー(31)-
4 《水蓮の花びら
4 《モックス・ダイアモンド
4 《渦まく知識
4 《思案
4 《定業
4 《血清の幻視
4 《狼狽の嵐
4 《思考囲い
4 《強迫
2 《トーラックへの賛歌
4 《突然の衰微
3 《大渦の脈動
2 《破滅的な行為
1 《仕組まれた爆薬
4 《致命的な一押し
3 《悪魔の布告
4 《毒の濁流
4 《緑の太陽の頂点
4 《直観
4 《北方行
4 《森の占術
4 《輪作
4 《探検の地図
4 《生ける願い
4 《壌土からの生命
4 《アズカンタの探索
4 《森の知恵
4 《ヴェールのリリアナ
3 《精神を刻む者、ジェイス
4 《機知の戦い
-呪文(110)-
1 《暗黒の深部
1 《演劇の舞台
1 《吸血鬼の呪詛術士
1 《カラカス
1 《The Tabernacle at Pendrell Vale
1 《イクスリッドの看守
1 《漁る軟泥
1 《再利用の賢者
1 《森を護る者
1 《ガドック・ティーグ
1 《アンデッドの大臣、シディシ
3 《トーモッドの墓所
1 《Zuran Orb
-サイドボード(15)-
 

 今年紹介した3桁にも上るデッキの中で、最もインパクトのあったデッキはこれ! 2018年デッキ大賞をあげたいよ。

 《暗黒の深部》コンボというレガシーではありふれた戦略を、マニアの極致である《機知の戦い》デッキとハイブリッドさせるなんて……ぶっ飛んでるぜ! こういうデッキと出会えた時、この仕事をやっていて良かったと改めて幸せを噛みしめるよ。


 以上、今年を代表するデッキたちでした! 2019年もどうぞよろしくお願いいたします! 年明け更新の予定は……すぐに会えるよ、多分ね! それじゃ、良いお年を!

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