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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

KCI(モダン)

岩SHOW

 行ってきましたネバダ州。グランプリ・ラスベガス2018、凄かった!

 グランプリ本戦の規模的には、実は日本のものとそれほど差はない。グランプリの参加人数では、日本はアメリカにも勝る世界でも最多クラスの国なのだ。ではどういうところで凄さを感じたのかというと……スケールのデカさだね。

 会場はとにかくむちゃくちゃ広い。日本のグランプリで使われるような会場がすっぽり2つは入ってしまうサイズだ。なので広いとは言っても通路も広く、どこに何があるか見つけやすいので迷うことは少ない。アメリカということもあってアーティストも集まりやすく、総勢30名ほどのアーティストがサインや物販などでファンを楽しませる。本戦以外のサイドイベントも数えきれないほどで、某ランドじゃないけど体ひとつですべて回りきるのは不可能なレベルだ。とんでもない、とんでもないお祭りだ。こんなもんは1回参加してしまうと癖になる、本戦で良い結果が残せなくとも十分に楽しい。また来年あったら、必ずや遊びに行くことだろう。

 さて、今回のベガスはダブル・グランプリ。モダンとリミテッドだ。当コラム的にはやはりモダンの優勝デッキを取り上げようと……思っていたら、その優勝者がこれまたとんでもない。アメリカの強豪、マット・ナス/Matt Nassがグランプリ・ハートフォード2018に次いでモダングランプリ・2大会連続の優勝! 同時に3大会連続トップ4という「モダンマスター」とでも呼ぶべき偉業を成し遂げた。

 今、モダンでノリにノっている彼が使用しているデッキは……コイツだ!

Matt Nass - 「KCI」
グランプリ・ラスベガス2018(モダン) 優勝 / モダン (2018年6月16~17日)[MO] [ARENA]
2 《
4 《燃え柳の木立ち
2 《霊気拠点
4 《ダークスティールの城塞
3 《埋没した廃墟
3 《発明博覧会
-土地(18)-

2 《マイアの回収者
4 《屑鉄さらい
-クリーチャー(6)-
4 《オパールのモックス
4 《古きものの活性
4 《彩色の星
4 《テラリオン
3 《彩色の宝球
2 《黄鉄の呪文爆弾
4 《胆液の水源
4 《精神石
4 《クラーク族の鉄工所
3 《仕組まれた爆薬
-呪文(36)-
1 《ワームとぐろエンジン
4 《稲妻
4 《自然の要求
3 《耳障りな反応
1 《防御の光網
2 《ギラプールの霊気格子
-サイドボード(15)-
 

 《クラーク族の鉄工所》を中心とした、アーティファクトによるコンボデッキ「KCI」。このデッキ名は鉄工所の英名「Krark-Clan Ironworks」のイニシャルだ。アーティファクトを生け贄に捧げて2マナに変換する、その2マナでさらにアーティファクトを唱えて……何度も何度もその動きを繋げていく、数珠繋ぎ系のコンボデッキである。動きは少々ややこしいので、まずはもう1枚のキーカードを紹介しよう。

 それこそ《クラーク族の鉄工所》が誕生した14年ほど昔から存在するデッキだが、最近《屑鉄さらい》を手に入れたことで、デッキの完成度はかつてないほど高いものになっている。

 このクリーチャーがいる状況で鉄工所を起動すると、無色2マナを得ながら生け贄に捧げたアーティファクトより点数で見たマナ・コストが小さいアーティファクトを墓地から回収できる。《オパールのモックス》なんかをこれでグルングルンと何度も出し入れして、溢れんばかりのマナを得よう。

 最終的には《マイアの回収者》2枚を加えることでループを形成し、無限にマナを生み出せるようにもなる。ここまでしなくとも勝利可能なデッキであり、十分なマナとアーティファクト回収のループが形成できたら、《黄鉄の呪文爆弾》を拾っては本体に投げつけてを繰り返し、相手のライフを0にして勝利する。

 鉄工所&屑鉄コンボと相性の良い、墓地に落ちることでカードを引くことができるアーティファクトが多数採用されているのも特徴だ。

 コンボパーツが揃いきっていなくても、これらのドローで必要なものを引き込めるのが強みだ。《テラリオン》《彩色の星》などは鉄工所に投げ込むことでマナを増やしつつドローが可能で、すなわち鉄工所さえあれば手札がほとんどないという状況からでも逆転を狙えるというわけだ。

 このデッキは常に冷静さを求められる。カードとカードの相互作用によって一体何ができるのか、限られた時間の中で見極めることが最も大切だ。

 実際にマット・ナスはフィーチャーマッチにおいて、《屑鉄さらい》2枚が戦場にある状態で、《黄鉄の呪文爆弾》を生け贄に捧げることで《オパールのモックス》3枚を回収し続け、ループを発生させてカードを大量に引き込んで勝利していた。鉄工所を抜きにしても、こういった小技でさまざまな局面に対応できるのである。

 デッキが持つ引き出しをとにかく覚えること、そしてそのために何度も何度もプレイを重ねて、息をするように最善の選択を取れるように自分自身を仕上げること。このデッキで勝つためには一筋縄ではいかない習熟度を求められるが、それを得ようと頑張ること自体を楽しめるプレイヤーには最高のデッキと言える。

 あなたが求めているモダンのパートナー、このデッキかもしれないぞ。

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