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戦略記事

Beyond the Basics -上級者への道-

三人寄れば

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三人寄れば

Gavin Verhey / Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing

2016年8月25日


 2週間前、デッキに入れたいカードそれぞれの枚数を決めるための、カード枚数記事シリーズを開始した。シリーズの最初の記事は「フォーカード」なので、興味のある読者はどうぞ。

 第1回目では、一般的なマジックのデッキでおそらく最も多い枚数、4枚についてを扱った。4枚採用することでそれを引く可能性は最も高まり、そうしたい理由も多種多様にある。

 しかし、3枚はどうだろう?

 4枚が基本的に常に引きたいカードという分類だとすれば、3枚は条件付きで引きたいカードだと言える。デッキに入っていて嬉しいカードであることに間違いはない――しかし、何枚も大量に引き込みたいカードとは言いがたいだろう。

 では、そのカードを3枚にするのはなぜだろうか? 最も一般的な5つの理由を紹介しよう。

1.複数枚は引きたくないカード

 デッキにカードを4枚入れるなら、序盤でそれを複数枚引いてしまう可能性があることを受け入れなければならない。3枚にしておけば、その問題をいくらか抑制できる。

 どんな場合なら当てはまるだろうか? そうだな、例えば、そのカードが伝説だったらどうだろう?

 デッキ的にそれを1枚引くのは素晴らしい――しかし2枚目を引くと、それはたいてい無駄カードになる。3枚引いたら大問題だ!

 《紅蓮術師のゴーグル》について言えば、これがクリーチャーでないパーマネントであるため、とりわけ問題が大きくなる。2枚目を有効活用するには、対戦相手が極めて対処範囲の狭いカードをデッキに入れていて、《紅蓮術師のゴーグル》を処理してくることを期待しなければならない。《鐘突きのズルゴ》のようなクリーチャーであれば、少なくとも除去されるか戦闘で死ぬ可能性がそれなりにあるため、2枚目を使えるだろう。

 思いつくものでは《オパールのモックス》のような例外もある。しかし基本的に、伝説のカードを限界の4枚までデッキに採用するか考える場合には、慎重さが必要だ。それがクリーチャーでないなら特にね。

 複数枚引くと無駄になるカードは、ほかにもいくつかある。

 1枚目はデッキにとって必要なものだが、2枚目は無駄カードだ。これは伝説と同様の問題を抱えている。

 そのカードを序盤に2枚以上引きたくない場合、3枚は検討に値する数字だろう。

2.デッキ内でコストが重いカード

 私にとってカードを3枚採用するときに最もよくある状況は――どれくらいの重さまで肩車できるかという話に似ているが――そのカードのコストが、そのデッキで用いることが可能な重さの上限である場合だ。

 1マナのカードは基本的にいつでも唱えられるだろう。しかし5マナのカードは? 利用するにはあらかじめしっかり展開しておく必要がある。

 序盤に《大天使アヴァシン》を2枚引いたとしよう。5マナに届くまで、それで何かをすることはできない。さらに、5マナ揃って使えるようになったとしても、《大天使アヴァシン》を使うならそのターンに他の行動は取れない。マナ・カーブ(訳注:マナ域ごとの枚数をグラフにすることで見える曲線)の頂点として良いカードではあるが、手札で詰まる危険を受け入れさせるほどではない。

 これはデッキに依存するということを、ぜひとも覚えておこう。緑のランプ・デッキにとって5マナ域を唱えるのは簡単すぎる話かもしれないし、土地が20枚の赤単デッキにとっては4マナ域がマナ・カーブの頂点かもしれない。デッキにとってどのマナ域がそうなるかを判断する方法の1つは、手札の最後の土地を置いたときに、どのカードを盤面に叩き付けたいか?とイメージすることだ。

 確かに3枚採用でも時々2枚引いてしまうことはあるが、1枚減らすことで確実にこの危険性を軽減することができる。

3.下準備が必要なカード

 一部のカードは、ほかのカードとの相互作用によって素晴らしい効果を発揮する――しかし相互作用が見込めない場合は、みすぼらしい効果しか発揮しない。

 よくある例として、自分のクリーチャーに使いたいオーラ呪文やコンバット・トリック(訳注:戦闘フェイズ中に、クリーチャーを支援する呪文や能力)が挙げられる。

 クリーチャーにつけるオーラを有効活用するには、前提としてそれをつけるためのクリーチャーが必要になる――つけてすぐ攻撃できるようにしておけば、1対2交換されてしまう可能性を減らせるので、なお良い。

 《ひるまぬ勇気》のようなカードは、用いることができれば強力だ。しかし必死になってクリーチャーを探しているような状況の中で、手札に2枚も抱えたいと思うようなものではない。

 しかしこれは自分のクリーチャーを強化するものに限った話ではない。《睡眠》のようなカードにもその傾向がみられる。

 攻撃的な青のデッキの切り札として《睡眠》のようなカードを採用することを考えてみよう。さて、これを効果的に用いるには、まずもって戦場にクリーチャーを並べていなければならない。《睡眠》の効果を最大限に発揮するには、あらかじめいくつかの準備が必要となる――そして《睡眠》を使ったなら、ゲームはほぼ決まるため、余剰分は全く必要ない。(《睡眠》は1枚か2枚採用のほうがいいかもしれないが、それは今後の記事の話だ。)

4.特定のデッキ相手に最も役立つカード

 メインデッキに入れたいカードには、ほかのデッキに対してはまあまあだが、特定のデッキ相手に極めて効果的なカード、というものもある。例として、《神々の憤怒》を取り上げよう。

 この種の全体除去は、小型クリーチャーを並べるデッキに対して優秀だ。しかしながら、コントロール・デッキ相手には使えない。小型クリーチャー何種かと大型クリーチャー何種かを含むミッドレンジ・デッキ相手だとまあまあだ。

 このようなカードは、3枚採用にすることで、必要な時に素早く《神々の憤怒》を見つけ出す可能性を維持しつつ、不要な時に《神々の憤怒》を何枚も手札で抱えるという危険を減らす助けとなる。カードを選り分ける効果があれば、よりうまくやれるだろう。

 これは特定のデッキ、あるいはある種のデッキにのみ効果的な(アーティファクトを使っていないデッキに対して完全に無駄となる《粉砕》のような)カードの事例とは異なる、ということは覚えておいてほしい。ここで言っているのは、ほかのデッキ相手には普通のカードだが、特定のデッキ相手に効果的なカードの話だ。

5.ほかのカードと枠を分割共有しているカード

 デッキ構築において、私が「分割」と呼んでいるコツがある。これは、同様の役割を持つカードの多様性を高めるために用いる技術だ。考え方はかなり単純で、使うつもりだったカードの枚数をそのまま入れるのではなく、その代わりに、その枚数の枠を別のカードと分割し、両方のカードを採用するというものだ。

 例えば、黒のデッキの除去枠を《破滅の刃》3枚と《英雄の破滅》1枚に分割する、というようなものだ。

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 ほとんどの場合、これらに大差はない――しかし《英雄の破滅》はプレインズウォーカーに対して役立つため、プレインズウォーカー・コントロール・デッキを相手にしたときに、デッキの無駄な除去呪文が1枚減る結果となる。

 3枚・1枚や3枚・2枚の分割は、よくある手法だ。デッキリストで3枚のカードを見かけたときは、ほかのカードを確認してみよう――冗長性を生み出すためにそうしているのかもしれない。

三枚目の正直

 以上が、デッキにカードを3枚採用する最も一般的な理由のまとめだ。いつものごとく、例外はある。有名なデッキリストを調べれば、相違点が見つかるだろう。しかし取り掛かるための土台としてはどうかな? 良き指針となるはずだ。

 そして、いつものことだが、実際のゲームこそが最高の調整指針となる! 出発点としてこれを用い、それから対戦してみて、採用しているカードの枚数を修正するための情報として、その結果を用いる。デッキを使うことこそが、デッキを使うための情報を手に入れるための、最高の方法だ!

 この記事についての興味や、何かほかのことについての考えがあるかな? 私にぶつけたい質問を思いついたりしないかな? ぜひ教えてくれ! いつでもTwitterTumblr、あるいはBeyondBasicsMagic@Gmail.comにメールで伝えてもらいたい。

 また来週会おう!

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight / beyondbasicsmagic@gmail.com

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