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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

エルドラージ・ランプ:夢の共演に導いたデッキ(モダン)

岩SHOW


 市川ユウキ選手の優勝という、これをお読みの日本のマジックプレイヤーにとっては特に大きなインパクトとなるエンディングを迎えたプロツアー『マジック:ザ・ギャザリング|マーベル スーパー・ヒーローズ』。その優勝を争った決勝ラウンド、8人のプレイヤーからなるドラフトポッドには、もう一人日本のプレイヤーにとって馴染み深い存在が……行弘賢選手だ。

 彼と市川選手は長年プロツアーなど競技マジックの世界で共に戦ってきた間柄。昨年のプロツアーにて行弘選手が優勝を果たした時、市川選手は解説者としてその雄姿を見守っていた。それから1年の時を経て、二人は同じ舞台で共演し……今度は市川選手が頂点をその手に掴んだ。俗な言い方ではあるが、これはエモい。彼らを知る者にとって、これほどドラマチックな決勝ラウンドもなかったことだろう。

 前回はチャンピオンのデッキを紹介したが、今回は同じ舞台で競い合った行弘選手のデッキをご紹介。彼がモダンで選んだデッキは、市川選手と同じ調整チームが選択したもう1つのアーキタイプだった……。

行弘 賢/Ken Yukuhiro - 「エルドラージ・ランプ」
プロツアー『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スーパー・ヒーローズ』 / モダン(2026年7月17日~7月19日)[MO] [ARENA]
1 《耐え抜くもの、母聖樹
1 《魂の洞窟
1 《ドライアドの東屋
4 《エルドラージの寺院
5 《
1 《宝石の洞窟
1 《苔汁の橋
4 《ウギンの迷宮
-土地(18)-

4 《フレイアリーズの信奉者
2 《真実を溺れさせるもの
4 《約束された終末、エムラクール
4 《ロナスの狂信者
4 《まどろみのトラッジ
4 《まき散らす菌糸生物
2 《絶え間ない飢餓、ウラモグ
-クリーチャー(24)-
4 《八百長試合
4 《緑の太陽の頂点
4 《コジレックの命令
4 《邪悪鳴らし
2 《嵐の目、ウギン
-呪文(18)-
3 《虚空の杯
1 《四肢切断
1 《長老ガーガロス
2 《忍耐
3 《活性の力
1 《宝石の洞窟
2 《難題の予見者
2 《三なる宝球
-サイドボード(15)-
 

 「エルドラージ・ランプ」……緑を中心に“無色”のカードも用いるデッキだ。ランプとは使えるマナを増やし、重いカードを用いて戦うデッキのこと。赤の瞬間的な使い切りマナ加速というよりは、土地やクリーチャーやアーティファクトなどマナを加えるパーマネントを緑のカードを駆使して戦場に並べて、恒常的にマナを増やして戦うのがランプに分類される。エルドラージは《絶え間ない飢餓、ウラモグ》のような無色のエルドラージ・クリーチャーや《コジレックの命令》のような無色マナを要求するカード群である。カードパワーの高いものが多く、特にこのリストのような緑系のエルドラージでは《まき散らす菌糸生物》が中核を担っている。自身の盤面に土地を増やし、キッカーを支払えば対戦相手の土地を追放してしまい、マナの格差を生み出す強烈な1枚である。

 この菌糸生物を唱えるために《ウギンの迷宮》《エルドラージの寺院》などの無色マナを加える土地を用いて、さらに菌糸生物からこれら土地を持ってきて……ウラモグや《約束された終末、エムラクール》など、1枚でゲームを終わらせるエルドラージを降臨させる……というのが「エルドラージ・ランプ」というアーキタイプの戦術。緑なのを活かして《ロナスの狂信者》だったり、《緑の太陽の頂点》X=0で《ドライアドの東屋》を引っ張ってきたりといった別のマナ加速も用いて、ランプとしての完成度が高めてある。

 

 そしてこのアーキタイプ最大の特徴はやはり《八百長試合》!このエンチャントは戦闘開始時に自身のクリーチャーに+1/+1カウンターを乗せて強化できる。ただ戦闘面を有利にしてくれるだけでなく……これは戦場に出た時にライブラリーの上から5枚見て1枚を追放する、秘匿という処理を行う、秘匿したカードは裏向きで何かは対戦相手からわからない。先ほどのカウンターを置いた後に、もしパワー7以上のクリーチャーをコントロールしていれば、その追放しているカードを唱えられる……マナコストを支払わずに!というわけで、デカいクリーチャーを用意したことに対して褒章を与えてくれるエンチャントだ。

 しかしパワー7以上というのは厳しいハードルであった……少し前までは。この2026年、《まどろみのトラッジ》というクリーチャーが登場した。これはXをコストに含み、最小であれば緑マナ1つで唱えられる。それでいてサイズは6/6!勿論そんなコストで唱えた場合にはしばらくタップ状態であり続けるというデメリットがあるが、このデッキとしてはそんなことは些細なことだ。1マナで唱えたクリーチャーが《八百長試合》の条件を簡単に満たしてくれる……これでエムラクールやウラモグを追放しておけば…とんでもないことになる!早ければ1ターン目トラッジ→2ターン目《ウギンの迷宮》経由で《八百長試合》というブン回りまである。この八百長トラッジコンボ以外にも、パワーが4以上のクリーチャーをコントロール知れば緑マナ4つを加えられる《ロナスの狂信者》がいたりして、デッキの様々なカードと噛み合っている《まどろみのトラッジ》。今モダンで最注目の緑のクリーチャーなのだ。

 二人の強豪・天才・トッププロが共演したプロツアー決勝ラウンド。そこに至るまでの予選を支えたデッキは、同じチームでありながらそれぞれに異なるアプローチのものだったというのも面白い。どちらもモダンらしい魅力の溢れたデッキというのは共通点かな。来年もモダンのプロツアー開催がアナウンスされている。今回の大会で興味を持ったなら、君もモダンデビューして……次の感動をもたらすプレイヤーに、なってほしいって!!

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