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プロツアー『ドミナリア』

観戦記事

準々決勝:瀧村 和幸(日本) vs. Márcio Carvalho(ポルトガル)

Adam Styborski
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2018年6月3日

 

 瀧村和幸はすでにプロツアー・チャンピオンである。2015年のプロツアー『戦乱のゼンディカー』での勝利の後、それまでの2度に、チーム戦2回を含む3回のグランプリトップ8を加えてレベルアップし続けている。瀧村は日本のマジックコミュニティで育まれてきた。グランプリ・宇都宮2002に初出場してから16年、数多のトップ8を経験し、2度目のプロツアー優勝を目指す。

 地元のコミュニティで研鑽を重ねるのは日本のマジックシーン特有のものではない。2度の世界選手権トップ8、2度のプロツアートップ8、3回の優勝を含む15回のグランプリトップ8のマルシオ・カルヴァリョ/Márcio Carvalhoはポルトガルの星だ。各イベントで日曜日へ駒を進めるたび、チームメイトと同国人からの歓呼はステージに響き渡る。3度目のプロツアートップ8でカルヴァリョはマジック史に自分の名前を決定的に刻み込んだ。

それぞれのデッキ

 優勝トロフィーのために、《》と《》を置き続けよう。

 カルヴァリョは「赤黒アグロ」で、赤の強力なクリーチャーがデッキの核となっている。《ゴブリンの鎖回し》が最も突出しており、対戦相手の小型クリーチャーを一掃し、《損魂魔道士》とのコンボが印象的だ。《再燃するフェニックス》と《屑鉄場のたかり屋》は追放除去を強要する。それらの脅威は《削剥》や《無許可の分解》といったオプションにバックアップされている。

 《ボーマットの急使》がそれらを下地に滑り込みの攻撃しつつ、手札の再装填も行う。他に何がお望みかな?

 瀧村は、同色でも「赤黒ミッドレンジ」という形でそれに応える。同じく《ゴブリンの鎖回し》、《再燃するフェニックス》、《屑鉄場のたかり屋》、《削剥》を使用している。だが似ているのはここまでだ。《ウルザの後継、カーン》や《アルゲールの断血》といったカードでロングゲームを見据える。これらがもたらすカードは《熱烈の神ハゾレト》でより多くのダメージを与えうるのだ。

 ミッドレンジの構築で得られるアドバンテージは、本大会ですでに対白青コントロール戦にて証明されている。

ゲーム展開

 予選ラウンド1位の瀧村は先手を選ぶ。カルヴァリョはマリガンしたものの、最初に戦場へ《屑鉄場のたかり屋》を送る。瀧村は《ピア・ナラー》はすぐにブロックに回るが、続くターンの《再燃するフェニックス》は悪くない選択肢だ。カルヴァリョは2枚目の《屑鉄場のたかり屋》で攻撃を始めるために瀧村のフェニックスを《削剥》する。

 瀧村の《無許可の分解》が展開を遅らせるものの、カルヴァリョも自身の《無許可の分解》で《再燃するフェニックス》の復活を許さない。この応酬でお互い手札は1枚になったが、ライフは《屑鉄場のたかり屋》の攻撃によりカルヴァリョが15対8で優位に立つ。

 戻ってきた《屑鉄場のたかり屋》たちの流れを止めるべく、瀧村のもとにブロッカーとして《栄光をもたらすもの》が降り立つ。お互い2ターンをにらみ合いに費やし、先にアドバンテージ源にたどり着いたのは瀧村の《ウルザの後継、カーン》であった。

 瀧村は《ウルザの後継、カーン》を《キランの真意号》の搭乗に使い、カルヴァリョの《屑鉄場のたかり屋》を除去しつつ空から攻撃する。カルヴァリョはクリーチャーを維持することができず、瀧村が第1ゲームに勝利した。

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チーム「Kusemono」の瀧村和幸は、赤黒対決のためのシャツを着ているようだ。

 第2ゲーム、カルヴァリョはまたも2ターン目に《屑鉄場のたかり屋》を出し、今度は3ターン目に《ゴブリンの鎖回し》を続ける。瀧村は《ピア・ナラー》でゲームの速度を落としつつ、増しつつある脅威への答えを探す。

 カルヴァリョの《再燃するフェニックス》がより多くの回答を強要する。瀧村の、カウンターが2個だけの《歩行バリスタ》では、カルヴァリョが次のターンに追加する督励した《栄光をもたらすもの》に対して脆弱だ。

 瀧村は頭を振り、《反逆の先導者、チャンドラ》と《ゴブリンの鎖回し》を唱える。

「ライフは5で合ってる?」 尋ねるカルヴァリョ。うなずく瀧村。次の攻撃が《削剥》で増幅され、始まって5分も経たずにゲームが終わる。

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マルシオ・カルヴァリョは準々決勝でブロックの挙動をする。

 スコアがイーブンとなり、第3ゲームの前に両者サイドボードに手を伸ばす。今度は瀧村が2ターン目に《屑鉄場のたかり屋》を出して攻撃を行い、カルヴァリョが《ピア・ナラー》で減速を試みる。赤黒デッキのミラーマッチはやられたらやり返すのだ。

 《再燃するフェニックス》に止められたかに見えた瀧村の《ゴブリンの鎖回し》は《大災厄》が後押ししたが、もう1体の《再燃するフェニックス》が続いた。《削剥》で《ゴブリンの鎖回し》が除去され、カルヴァリョの側に《屑鉄場のたかり屋》が追加されてダメージレースが始まる。

 瀧村は《ウルザの後継、カーン》で、カルヴァリョの3枚目の《再燃するフェニックス》に対抗するためのカードを引きに行く。《大災厄》で2体目の《再燃するフェニックス》を追放するものの、《ウルザの後継、カーン》は除去されてライフも7まで落とされる。

 《栄光をもたらすもの》がカルヴァリョの勢いを決定づけたかに見えた。

 瀧村は《木端+微塵》でドラゴンに対処し、回答の糸はここで切れてしまった。十分なクリーチャーで押しきれたかに思われたカルヴァリョだが、《微塵》がダメージレースを逆転。瀧村が5本勝負で2対1とリードする。

 第4ゲームの瀧村は土地を置けず、手札の呪文が唱えられない。カルヴァリョがスコアをタイに戻し、第5ゲームに進む。

 瀧村はマリガン。2ターン目の《屑鉄場のたかり屋》は悪くなかったが、カルヴァリョが《キランの真意号》を出すと乗り越えられない。《ピア・ナラー》で《キランの真意号》に十分な搭乗要員を用意し、《損魂魔道士》に《ゴブリンの鎖回し》が続き、瀧村の《ウルザの後継、カーン》をどかす。

 瀧村は《熱烈の神ハゾレト》で逆転を試みるが、カルヴァリョは《損魂魔道士》と《チャンドラの敗北》で脅威を取り除く。《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》を一杯の戦場に追加したカルヴァリョは、瀧村の《再燃するフェニックス》を《無許可の分解》で遅らせる。

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赤黒ミラーマッチは除去されるそばから戦場を埋めていく。

 瀧村が《木端+微塵》で《ピア・ナラー》を除去し、《再燃するフェニックス》でカルヴァリョの進軍を押し留めた。お互いにターンを渡し合うものの、それもカルヴァリョが2枚目の《ゴブリンの鎖回し》が《損魂魔道士》のおかげで-1/-1カウンターをばらまくまで。

 瀧村の防御の選択肢は減少し、カルヴァリョは《キランの真意号》、《ゴブリンの鎖回し》、《再燃するフェニックス》、そして《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》で襲いかかる。すばやくカードを確認した瀧村は手を伸ばした。握手したカルヴァリョは安心したのか、興奮を隠しきれずに手を叩く。準決勝が待っている。

 マルシオ・カルヴァリョが瀧村和幸を3対2で降した。

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第5ゲームが決した握手の最中、マルシオ・カルヴァリョは上を、前を見据える。

(Tr. AOKI Chikara)

瀧村 和幸 - 「赤黒ミッドレンジ」
プロツアー『ドミナリア』 トップ8 / スタンダード (2018年6月1~3日)[MO]
10 《
2 《
4 《泥濘の峡谷
4 《竜髑髏の山頂
3 《燃え殻の痩せ地
2 《霊気拠点
-土地(25)-

4 《屑鉄場のたかり屋
4 《ゴブリンの鎖回し
2 《ピア・ナラー
2 《再燃するフェニックス
1 《熱烈の神ハゾレト
3 《栄光をもたらすもの
1 《歩行バリスタ
-クリーチャー(17)-
3 《マグマのしぶき
4 《削剥
1 《無許可の分解
1 《ヴラスカの侮辱
1 《木端+微塵
3 《キランの真意号
3 《反逆の先導者、チャンドラ
2 《ウルザの後継、カーン
-呪文(18)-
1 《熱烈の神ハゾレト
3 《強迫
1 《チャンドラの敗北
2 《アルゲールの断血
1 《魔術遠眼鏡
2 《大災厄
2 《ヴラスカの侮辱
2 《木端+微塵
1 《炎鎖のアングラス
-サイドボード(15)-
Márcio Carvalho - 「赤黒アグロ」
プロツアー『ドミナリア』 トップ8 / スタンダード (2018年6月1~3日)[MO]
13 《
4 《泥濘の峡谷
4 《竜髑髏の山頂
2 《霊気拠点
1 《産業の塔
-土地(24)-

4 《ボーマットの急使
3 《損魂魔道士
4 《屑鉄場のたかり屋
2 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ
4 《ゴブリンの鎖回し
2 《ピア・ナラー
4 《再燃するフェニックス
1 《栄光をもたらすもの
-クリーチャー(24)-
1 《ショック
3 《削剥
3 《無許可の分解
1 《木端+微塵
2 《キランの真意号
2 《反逆の先導者、チャンドラ
-呪文(12)-
2 《栄光をもたらすもの
2 《包囲攻撃の司令官
1 《木端+微塵
2 《チャンドラの敗北
2 《強迫
1 《削剥
2 《大災厄
1 《霊気圏の収集艇
1 《炎鎖のアングラス
1 《
-サイドボード(15)-
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RESULTS

対戦結果 順位
最終
16 16
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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