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プロツアー『ドミナリア』

戦略記事

プロツアー『ドミナリア』でのドラフト全勝戦略

Adam Styborski
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2018年6月1日

 

 マジック界トップクラスのプレイヤーたちが、このフォーマットの練習を数週間してきた結果はどうなったのだろうか? プロツアー『ドミナリア』で初日行われた58卓のドラフトで、その結果が示された。

初日ドラフト3-0の色組み合わせ
人数
白青 7
青黒 2
黒赤 4
赤緑 2
緑白 6
白黒 5
黒緑 6
緑青 1
青赤 15
赤白 5
3色以上 5

 さて、ご覧のように勝者が明確に特定の色に偏ったが、それにはいくつかの理由がある。プロツアー『イクサラン』の覇者で2015年世界選手権優勝者、赤使いとして知られるセス・マンフィールド/Seth Manfieldはこのプロツアーに出場し、最初のドラフトを初手《シヴの火》から2枚の永遠の大魔道師、ジョダー》へと繋げて勝利を収めた。

その答えは、明らかに、《》と《》をプレイするということだった。

「僕が思うに、《シヴの火》はこのセットで最強のコモンだね。まず赤の呪文、つまり除去を取るところから始めたんだ。みんな遅いデッキを作りにいくから、除去の優先順位が高いんだね。その時点で2色目をどうするかは決めてなかったから、1枚目の《永遠の大魔道師、ジョダー》は適当にピックしたんだ。3パック目でもう1枚ジョダーを見たけど、どうせ一周するだろうと思ったから別のカードを先にピックしたよ」

「案の定だったよ。これはボムではないけれども、前回使ったときの感触では、4/3飛行で歴史的な呪文というのはそれだけでこのリミテッドでは十分使えるんだ。最終的に、良い仕事をしてくれたよ」

 マンフィールドの3色が除去と回避能力に富む3色になったのは偶然ではなかった。彼の1パック目3手目は《這い回る偵察機》で、これはパワフルなデッキを構築するためには必要不可欠なカードなのだ。「《這い回る偵察機》を早めにピックするのはいいことだと思うよ」と彼は言う。「これがあれば2色をより安定的に回せるようになる。わざわざ緑を使う必要がなくなるんだ。特に1パック目では重要なカードだね。後半自分のデッキの方向性が定まってくれば、その価値は上下すると思うけど」

 《這い回る偵察機》が何を可能にするだろうか? それは、強力な多色のカードだ。「多色はカードパワーが高いけど、色が合わないプレイヤーはピックできないんだ」とマンフィールドは言う。「結局、ジョダー2枚は自分のデッキに入った唯一のレアだったね。」

 《這い回る偵察機》が色の安定に役立つというのであれば、同様に無色の色マナ安定装置である《航海士のコンパス》はどうだろうか? マンフィールドは、これについてはさほど重きを置いていない。「これをプレイしたいと思ったことはないね。使ったのは、他のマナ安定策がない状態で3~4色目を使わざるを得なかったという限られた状況でだけだ。決して良いカードではないけれども、完全に無価値とまでは言えないかな」

 殿堂顕彰者ルイス・スコット=ヴァーガス/Luis Scott-Vargasのドラフトを見ると、《航海士のコンパス》の位置づけに対する感覚を見ることができるだろう。

 マンフィールドのデッキは、《這い回る偵察機》からジョダーというだけではなく、《ギトゥの年代記編者》が他の成功した青赤デッキ同様に大きな役割を果たしていた。「ゲームは長くなりがちだから、アドバンテージ源が必要なんだ。キッカーを持つカードはそのいい手段で、特に《ギトゥの年代記編者》は除去を使い回せるからね」

 プロツアー『アモンケット』を制したジェリー・トンプソン/Gerry Thompsonもまた青赤デッキで3-0して、この点について同意している。「初手では《カーンの経時隔離》ではなく《アカデミーの修士魔道士》を取ったんだ」と説明してくれた。「修士魔道士はいつでも良い働きをしてくれるけど、経時隔離のポテンシャルはもっと高いんだ。サム・ブラック/Sam Blackは伝説のクリーチャーだらけのデッキを使っていたから、僕の経時隔離にとっては難しい相手だったね」

 トンプソンはドラフトで青赤をやることを熱望していた。「青赤は僕らの考えでは最善のアーキタイプだよ。すべてに対しての回答を用意できるんだ。必要ならアグロ的にもなれるし、一方でロング・ゲームにも対応できる。《シヴの火》は最強のコモンで、《火による戦い》は最強のアンコモンだ。」

 トンプソンのデッキにはその両方があり、そしてそれだけではなく2枚の《大将軍の憤怒》まであった。過去のセットでも、赤で軽く、カードを引けるソーサリーはデッキの最後の穴埋めとして有効だった。そして、この青赤デッキでは、このカードはそれ以上の目的も果たすのだ。

「《大将軍の憤怒》は、対戦相手からすれば相打ちが取れないような攻撃を可能にするんだ。特に、《ギトゥの溶岩走り》や《燃えがらの風、エイデリズ》とは良いコンボになって、一方的なダメージを与えることができるんだ」 そして、これはたった{R}であり、《大将軍の憤怒》はデッキのスムーズな回りにも貢献する。「土地16枚でプレイできるのは助かるよ」

 また、トンプソンはドラフトで青赤を選択するにあたってのヒントを教えてくれた。「アグロもコントロールもやれるけど、大事なことはゲームプランを決めることだ。もしコントロールをやりたいなら、《ギトゥの溶岩走り》よりも《トレイリアの学者》の方が必要だろうね。単なるパワー・カードではなく、『デッキ』が必要なんだ」

 プロツアーではすべての色の組み合わせが3-0の結果を残しているが、マンフィールドやトンプソンの足跡を上手くたどることができれば、より正しい道を進むことができるだろう。

(Tr. Keiichi Kawazoe)

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