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グランプリ・シドニー2016

観戦記事

第12回戦:山本 賢太郎(東京) vs. Craig Wescoe(アメリカ)

By 伊藤 敦

 残り4回戦、既にトップ8の可能性があるプレイヤーは限られてきている。

 ここでは魔の2番ポッドで1勝1敗し、通算9勝2敗ラインの山本 賢太郎の戦いをお送りしよう。

 トップ8を目指すならば残り4回戦、もはやただの1敗さえも許されない。であるならばなるべく楽なマッチを願うのが人情だが、しかしそこは「魔の2番ポッド」だけあって、対戦相手は毎ラウンド強豪揃いだ。

 クレイグ・ウェスコー/Craig Wescoe

 プロツアー『ドラゴンの迷路』チャンピオンにして無類の白好きとしても知られている彼は、あろうことか上家3人が白という状況でも白をドラフトしていた。

 しかしウェスコーのせいで山本が逆順の2パック目の白を絞られている以上、その選択はある程度功を奏していると言える。結局のところあとは、ウェスコーのデッキにどのような爆弾レアが眠っているか次第といったところか。

 セカンドドラフトに向けて、負けられない一戦が始まる。

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ゲーム1

 先手3ターン目の《吠え群れの狼》に対しウェスコーは《捨て身の歩哨》が受けにいくが、山本は《グリフの加護》で早々に地上の些事からの離脱を宣言すると、さらに《収穫の手》を展開していく。

 ウェスコーも《闇告げカラス》をプレイしつつ、次のターンの2体アタックには《捨て身の歩哨》を《収穫の手》に対してのチャンプブロックに回すのだが、これにより第2メインの《眠れぬ者の使者》プレイでスピリット・トークンを生成されてしまう。

 《マウアー地所の双子》で地上は止めるものの、既に飛行7点クロックを突きつけられているとあっては残り時間は少ない。

 しかも山本はダメ押しにスピリット・トークンに《月皇の外套》をエンチャントしてウェスコーを残りライフ3まで追い詰め、なおも《薬剤師の霊》を戦線に追加する。

 どうにか《生命の危機》で食い下がるウェスコーだったが、ラストターンにカードを引くやいなやおもむろに手札を公開すると、既に場に6枚土地が並んでいるというのに4枚の手札はすべて土地。

 これにはどちらも苦笑するほかないのだった。

山本 1-0 ウェスコー

ゲーム2

 先手で《吸血鬼の殺し屋》から《墓ネズミ》そして《吸血貴族》と、1ゲーム目とは打って変わって軽快な展開を見せるウェスコー。

 山本も《不動の聖戦士》《猛々しい狼》と並べて攻勢を押しとどめようとするが、ならばとウェスコーは《闇告げカラス》を戦線に追加する。

 《吸血鬼の殺し屋》は「潜伏」で止まりづらく、かといって飛行持ちの《闇告げカラス》も放置できない。2ゲーム目はこのままウェスコーのペースか......そう思われたそのとき。

 4枚の土地をタップした山本が、恐るべきカードをプレイした。

山本「2ダメージ、オール1ダメージ」

 粗暴な協力》!

ウェスコー「Whooops!」

 「増呪」で「クリーチャー1体に2点」「対戦相手がコントロールするクリーチャーすべてに1点」のモードが選択されると、《吸血貴族》に2点、《吸血鬼の殺し屋》と《墓ネズミ》と《闇告げカラス》に1点......すなわち。

 1対4交換!

 リミテッドにおいて、わずか4ターン目にしてクリーチャー4体が《疫病風》を食らうなど滅多にあることではない。あまりの事態にクリーチャーを墓地に送りながらもパフォーマンスとして笑いながらサムズダウンするウェスコー。

 そして無人の荒野を《不動の聖戦士》と《猛々しい狼》が駆ける。

 ここまで綺麗にあしらわれるとむしろ清々しいのだろう、やがて墓地の《粗暴な協力》を指さして「ノォー!」とあくまでも紳士的に、楽しくて仕方がないといった感じで言いながら、ウェスコーはカードを畳んだ。

山本 2-0 ウェスコー


山本「あと2−0+IDでトップ8、頑張ります」

山本 賢太郎、2敗でセカンドドラフトへ!
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