EVENT COVERAGE

グランプリ・名古屋2018

戦略記事

2日目チームシールド:ギエム・サルヴァドール・アルナル/金川 俊哉/冨澤 晋のデッキ構築

Moriyasu Genki
プレイヤー紹介

 初日、全勝。グランプリ・名古屋2018の1日目8回戦を終えてマッチポイント24点を得たチームは、664チーム1992人中、2チーム6人のみだ。

 1チームは「青木会一軍」。梅野 健吾、加藤 一貴、志岐 和政の強豪チームだ。

 そしてもう1つの全勝チーム「はまる屋Bizarre」。メンバーはギエム・サルヴァドール・アルナル/Guillem Salvador Arnal、金川 俊哉、冨澤 晋。

 今年7月に開催されたグランプリ・千葉2018(『基本セット2019』個人リミテッド)で優勝を果たしているサルヴァドール。

 チーム名にも含まれる「WILLY BIZARRE」というショップを経営しつつ、自らも競技プレイヤーとしてグランプリに出場を重ねているスペインのプレイヤーだ。

 金川もまたカードショップ「はま屋」を経営しつつ、積極的に競技シーンに参加するプレイヤーだ。海外遠征に関しては他のプレイヤーのナビゲートも積極的に行うなど、プレイヤーたちの支援に関してもよく知られている。4度のグランプリ・トップ8入賞はいずれもリミテッド・グランプリであり、リミテッド巧者だ。

 冨澤は「晴れる屋」の、主に海外でのトレーダーとして世界各地をめぐっている。普段はレガシー・プレイヤーとしての活動を続けているようだが、今回は交流のあったサルヴァドールと冨澤がチームを組むという動きから始まったようだ。

 チーム「はまる屋Bizarre」。初日全勝は幸運によるものではなく、その確かな実力で達成している。

デッキ構築の様子

 サルヴァドールのため、コミュニケーションの大半は英語で行われる。3人の共通言語として不備なく伝達できる言語のようだ。

 金川の主導で、カードが色ごとに配置されてゆく。

kanegawa_team_con1.jpg
「白」 「赤白」 「赤」 「赤青」 「青」
「緑白」       「青黒」
「緑」   「緑黒」   「黒」

 という、配置だ。ギルドカラー(赤白・赤青・緑白・青黒・緑黒)をそれぞれ隣り合わせ、単色と多色の両面からプールをチェックできるものだ。

 サルヴァドールは「青」の側に立つ。

サルヴァドール「Maybe, Jeskai(青赤に白を足す形になりそうなのかな)」

「赤青の組み合わせはSo so(いまいち)であり、赤青に白を足すことでデッキが良くなりそうだ」と語るサルヴァドール。

 『ラヴニカのギルド』においても強烈なカードパワーを誇る《パルン、ニヴ=ミゼット》を擁する赤青だが、サルヴァドールは中盤のカードに貧弱さを感じているようだ。

 特に白を含めることで、利用できるカードに《轟音のクラリオン》があるのは、コントロールチックに動く場合、非常に優れたカードであることは共通認識であったようだ。

金川「セレズニア(緑白)がいけるかどうかかな。勝ち手段が、もう少し欲しいんだけど」

 「黒」の側から全体のプールを俯瞰する金川。

 同じプールからデッキを3つ作成する以上、言うまでもなく使用する色がデッキ間で重複することに関しては慎重にならなければならないが、金川は多色化のバランス感覚において素晴らしく絶妙なものを持っていた。

kanegawa_team_con2.jpg

金川「ゴルガリタッチ青(緑黒青)もありかな」

サルヴァドール「Dimir, good-condition(青黒、良さそうだね)」

 《正気泥棒》、《夜帷の捕食者》といった優秀なクリーチャーに加え、今回コンバット・トリックとしても除去としても非常に優秀な《巧みな叩き伏せ》が2枚。青黒のカードを使うことは早々に決まったようだ。

 実際、今回の『ラヴニカのギルド』チームシールドという環境において青黒が組めるかどうかは「強いデッキを3つ」用意する上では重要なことだと認識しているプレイヤーは多い印象を受ける。「青黒」を軸にしたデッキを組めることは間違いなさそうという点で、まずは第一段階をクリアといったところなのだろうか。

 サルヴァドールは特に青いカードの評価については信頼を得ている様子で、イゼット(赤青)デッキのパターンをその場でいくつか再現しつつ2人に時々「どう?」と聞いてみて擦り合わせを続けていた。

 サルヴァドールが赤青の練度を高めつつ、また青黒も大まかの形が完成した中、緑を主軸にしたデッキをどうするかで金川と冨澤は2人がかりで、かなり時間を費やして構築を悩んでいた。

金川「ゴルガリ(緑黒)とセレズニア(緑白)は、勝ちきれないと思う」

 金川は純正2色を諦め、多色化することを選択した。緑黒のカードを並べたなか、最初に手をかけて列に追加したカードは……《駐屯地の兵長》!?

金川「MO(Magic Online)で試したんだけど、意外とこのゲート・コントロールはやれるよ」

 「ギルド門」を多数採用し、3色化を超えて4色化・5色化を図る門(ゲート)・コントロール。

 金川は赤青と青黒で共通して使う青を除いた「緑黒赤白」の4色デッキを提案した。

 「ギルド門」シナジーは《駐屯地の兵長》の他にも、《ギルドパクトの大剣》2枚と《門番のガーゴイル》があったこともゲート・デッキに踏み切った理由の1つのようだ。

 金川のリミテッド観に対して全幅の信頼をおいている2人も、金川が仮組みしたデッキを見て「金川が言うならば」という様子で、うなずいていた。

 ここに至るまでにその他のパターンの多くを試し、構築時間は残り少ない。3人は急ぎデッキリスト記入をしつつ、肝要となるサイドボード分配についても意識をすり合わせていった。

kanegawa_team_con3.jpg

金川「他の2デッキで使わないカードは、ぜんぶゲート・コントロールのサイドボードだから」

 ゲート・コントロールでしか使わない緑と白はもちろん、赤青と青黒でも、それぞれのデッキの方向性から確実に入らないであろうカードは全てゲート・コントロールが持つこととなった。

 最終的なサイドボード枚数は60枚を超えている。マジックというゲームにおいて、破格の枚数だろう。青黒のサイドボード枚数は「8枚」なので、8倍多い。実際にその全てを使う機会はないかもしれないが、がらりと色を変える「第2のデッキとしてのサイドデッキ」を用意するどころか「第3」「第4」までも用意できそうだ。

kanegawa_team_con4.jpg

 もちろん、サイドボードの枚数が多いからとそのデッキがそれだけ勝手に強くなるわけではない。適切にデッキを乗りこなし、正解となるサイドボーディングを見出さなければならなくなるという点では、非常に「難しい」デッキだ。逆に言えば、使う人次第でいくらでも弱くもなれるということだ。

 自らこのデッキを組みあげた金川が、もちろん俺が使うよといった様子でデッキリスト用紙に最後に名前を書き込んだ。

 リミテッド・マスター金川 俊哉が中心となって構築されたゲート・デッキ、青黒、赤青のデッキリスト。ご覧あれ。

デッキリスト
金川 俊哉(「はまる屋Bizarre」B席)
グランプリ・名古屋2018 2日目 /『ラヴニカのギルド』チームシールド (2018年10月14日)[MO] [ARENA]
4 《
3 《
1 《平地
1 《寺院の庭
3 《ゴルガリのギルド門
1 《セレズニアのギルド門
3 《ボロスのギルド門
-土地(16)-

1 《雇われた毒殺者
1 《生皮収集家
2 《泥棒ネズミ
1 《光胞子のシャーマン
1 《鋼胴の甲虫
1 《クロールの銛撃ち
1 《絡み爪のイトグモ
1 《冷酷なゴルゴン
1 《背骨ムカデ
1 《用心深いオカピ
2 《駐屯地の兵長
1 《薔薇たてがみのケンタウルス
1 《敬慕されるロクソドン
1 《門番のガーゴイル
1 《千の目、アイゾーニ
-クリーチャー(17)-
1 《死の重み
1 《捕食
1 《切断された糸
1 《轟音のクラリオン
1 《迂回路
1 《開花+華麗
2 《ギルドパクトの大剣
-呪文(8)-
2 《第10管区の守備兵
1 《ボロスのギルド門
3 《正義の一撃
2 《追われる証人
2 《悪意ある噂
1 《降格
1 《戦いの覚悟
1 《奨励
1 《背骨のワンド
2 《都市の楽園
2 《ヴァーナーディーの盾仲間
1 《協約の魂、イマーラ
1 《サンホームの重鎮
3 《レーデヴの勇者
2 《刃の教官
2 《直流
2 《気前のいい野良猫
2 《イゼットのロケット
1 《往時軍の強兵
1 《ゴルガリのロケット
1 《内省のための小休止
1 《突撃するロック鳥
1 《セレズニアのロケット
1 《軍勢の切先、タージク
3 《罪人逮捕
3 《地底街の反乱
2 《槌落とし
2 《スマーラの森整形師
1 《議事会の騎兵
1 《這い寄る恐怖
1 《禁制品潰し
1 《ゴルガリの略奪者
1 《感情化粧師
1 《パルヘリオンの巡視兵
1 《真火の隊長
1 《野生の角獣
2 《クロールの食料隊
1 《突発的な兵長
1 《盾連携
3 《活胞子ワーム
1 《薙ぎ払いの巨人
1 《ロッテスの巨人
-サイドボード(64)-
冨澤 晋(「はまる屋Bizarre」C席)
グランプリ・名古屋2018 2日目 /『ラヴニカのギルド』チームシールド (2018年10月14日)[MO] [ARENA]
8 《
8 《
1 《ギルド門通りの公有地
-土地(17)-

2 《雇われた毒殺者
1 《夜帷のスプライト
1 《壁過の達人
1 《囁く情報屋
1 《ディミーアの密告者
1 《疫病造り師
1 《正気泥棒
1 《張り出し櫓のコウモリ
1 《夜帷の捕食者
1 《賽銭ガニ
1 《光を遮るもの
1 《霧から見張るもの
-クリーチャー(13)-
2 《死の重み
1 《軽蔑的な一撃
1 《思考消去
1 《概念の雨
1 《悪意ある妨害
2 《巧みな叩き伏せ
1 《煤の儀式
1 《致命的な訪問
-呪文(10)-
1 《骨の障壁
2 《諜報強化
1 《夜の子
1 《水没した秘密
1 《有毒ガス
1 《漂流自我
1 《隠された影
-サイドボード(8)-
Guillem Salvador Arnal(「はまる屋Bizarre」A席)
グランプリ・名古屋2018 2日目 /『ラヴニカのギルド』チームシールド (2018年10月14日)[MO] [ARENA]
7 《
6 《
4 《イゼットのギルド門
-土地(17)-

1 《ゴブリンの電術師
1 《団体のギルド魔道士
1 《気難しいゴブリン
1 《壁過の達人
2 《跳び蛙
1 《ピストン拳のサイクロプス
1 《小柄な竜装者
1 《詩神のドレイク
1 《賽銭ガニ
1 《霧から見張るもの
1 《パルン、ニヴ=ミゼット
-クリーチャー(12)-
2 《原因不明の消失
1 《軽蔑的な一撃
2 《標の稲妻
2 《直流
1 《音波攻撃
2 《高熱仮説
1 《嵐の行使
-呪文(11)-
1 《最大速度
1 《松明の急使
2 《光線分割の魔道士
2 《ゴブリンの鍵師
2 《狂った怒り
2 《確実な一撃
1 《初々しい補充兵
1 《壁過の達人
1 《悪意ある妨害
1 《ウォジェクの護衛
2 《瓦礫帯の猪
1 《捕獲球
1 《実験の狂乱
1 《重力殴打
1 《ヘルカイトの仔
-サイドボード(20)-

 ゲート・コントロールにパワフルなカードが集結していることが目を引くが、呪文が充実している青黒も、テンポ・ビートに寄せている赤青も、素晴らしく良い形に組めているようだ。

 全般と戦えるであろう青黒のサイドボードは最低限に、赤青は完全なコントロール・スピードにスイッチできるようにサイドボードカードが選択されている。

 3人のうち2人がサイド戦においてメインと全く異なる戦法を取り得るメリットは計り知れない。ましてやゲート・コントロールはその全容を1ゲーム中に相手が見切ることは困難だろう。

 「はまる屋Bizarre」、初日に引き続き2日目全勝を狙える構築が「できた」ようだ。

  • この記事をシェアする

RESULTS

対戦結果 順位
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

RANKING

NEWEST