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グランプリ・京都2018

戦略記事

デッキテク:スタンダード in グランプリ・京都2018

By 矢吹 哲也

 「3人チーム構築戦」で行われている今大会、グランプリ・京都2018では、スタンダード、モダン、レガシーの3フォーマットにわたり多種多様なデッキが火花を散らしている。ここでは、今大会のスタンダードで注目のデッキをご紹介しよう。

 『ドミナリア』の発売を来月に控え、現在のスタンダード環境はいよいよ終盤を迎えた。長らく環境を支配していた「赤単」が衰退し、青黒軸のミッドレンジが勢力を増しているようだが、そこを突くのがスタンダード・プレイヤーたちの腕の見せどころだ。

高尾 翔太の「グリクシス・テゼレット」

 これまでも独創的なデッキの数々を世に送ってきた高尾 翔太は、チームメイトに「お前らしい」と大いに評価された「グリクシス・テゼレット」で今大会に臨んだ。

高尾 翔太 - 「グリクシス・テゼレット」
グランプリ・京都2018 / スタンダード (3人チーム構築戦) (2018年3月24~25日)[MO]
2 《
6 《
2 《
3 《水没した地下墓地
2 《尖塔断の運河
2 《竜髑髏の山頂
4 《産業の塔
1 《オラーズカの拱門
-土地(22)-

3 《ピア・ナラー
1 《スカラベの神
4 《艱苦の伝令
-クリーチャー(8)-
4 《改革派の地図
3 《致命的な一押し
1 《鎮定工作機
4 《霊気装置の設計図
4 《宝物の地図
2 《削剥
4 《金属の叱責
4 《ヴラスカの侮辱
1 《捲土+重来
3 《策謀家テゼレット
-呪文(30)-
1 《豪華の王、ゴンティ
1 《原初の死、テジマク
2 《強迫
1 《チャンドラの敗北
2 《没収の曲杖
1 《削剥
1 《アルゲールの断血
1 《本質の散乱
1 《否認
1 《魔術遠眼鏡
2 《黄金の死
1 《バントゥ最後の算段
-サイドボード(15)-

高尾「以前から記事を書くために面白そうなデッキを探していたんですが、その中のひとつに《宝物の地図》と《策謀家テゼレット》を用いる『青黒テゼレット』がありました」

高尾「最初はただ『面白い』というだけで使ってみたんです。しかしMagic Onlineの構築リーグへ持ち込んでみると、9勝1敗。続くMOPTQでも(結果的に敗退したものの)開幕6連勝と感触が良く、そのまま使い続けました」

 同じグリクシスの3色を用いる「グリクシス・エネルギー」が大きな勢力を持つ中でアーティファクトを中心にした戦略を選択した理由として、高尾は「ブン回り」を持つ点と《金属の叱責》の強さを挙げる。

 
デッキを強みを語る高尾。

高尾「『グリクシス・エネルギー』と同じく軸はコントロール寄りなんですが、このデッキには4ターン目《艱苦の伝令》のような『ブン回り』のパターンがあります。単体で弱いカードも採用されているため引きムラはあるんですが、『爆発力もあるコントロール』という形が気に入りました」

高尾「それから、一番強いカードを挙げるなら《金属の叱責》ですね」

高尾「今のスタンダードは《再燃するフェニックス》や《スカラベの神》のような4マナ以上のカードが強く、それらに(即席を活かし)1マナで対処できる《金属の叱責》はかなり効果的です。2ターン目《宝物の地図》、3ターン目《霊気装置の設計図》と展開して、余った1マナで《宝物の地図》を起動するかと思いきや打ち消しが飛んでくるという風に相手の裏もかけます」

standard_takao_02.jpg

 元のリストは青黒の2色だったが、高尾は「緑白機体」の登場を受け、「機体」へ対処する手段として《削剥》を採用したという。

高尾「それから《魔術遠眼鏡》も駆使して機体を止めます。墓地を利用するデッキに対する《没収の曲杖》も備えているので、かなり柔軟に戦えますよ」

 チーム戦がデッキ選択へ影響したか尋ねると、高尾は自身の選択にチームメイトの後押しを受けたことを話した。

高尾「モダン担当の井上くん(井上 徹)は、普段使わない『バーン』デッキを使用することになりました。『チームの勝利のため』の選択でしたね(笑)僕もチームのために他のデッキを使おうと考えていたんですが、ふたりが『それ面白いから使いなよ』と背中を押してくれました」

 第6回戦でのフィーチャー・マッチにて、高尾は配信を通してこのデッキの魅力を存分に示した。一風変わったデッキが好きな方は、ぜひ試してみてほしい。

高桑 祥広の「白単ビート」

 日本選手権2008準優勝、世界選手権2008トップ4入賞の実績を持つ高桑 祥広は、今大会へ非常に珍しい形の「白単ビート」を持ち込んでいる。

高桑 祥広 - 「白単ビート」
グランプリ・京都2018 / スタンダード (3人チーム構築戦) (2018年3月24~25日)[MO]
5 《平地
4 《秘密の中庭
4 《感動的な眺望所
4 《シェフェトの砂丘
4 《産業の塔
1 《屍肉あさりの地
-土地(22)-

4 《ボーマットの急使
4 《空渡りの野心家
4 《模範的な造り手
4 《屑鉄場のたかり屋
3 《アダントの先兵
-クリーチャー(19)-
4 《軍団の上陸
4 《征服者の誇り
4 《霊気装置の展示
4 《霊気圏の収集艇
3 《スラムの巧技
-呪文(19)-
2 《歩行バリスタ
1 《沈黙の墓石
2 《不可解な終焉
2 《飛行機械による拘束
2 《排斥
2 《残骸の漂着
2 《黄昏+払暁
1 《領事の旗艦、スカイソブリン
1 《屍肉あさりの地
-サイドボード(15)-

高桑「現環境のキー・ポイントとして、『横並び』が強いんですよ。メインから全体除去が入っているデッキがほとんどなくて、サイド後を合わせても《黄金の死》や《焼けつく双陽》を1、2枚加える程度。だから横並び戦略でメインを取って、サイド後は除去を入れてくる相手に対して速度を落としてミッドレンジ的に立ち回れる形になりました」

 
デッキの強みに笑顔を見せる高桑。

高桑「特に《残骸の漂着》はサイド後刺さります。《軍団の上陸》を変身させれば自然と4マナ構えられるんですけど、相手はまさか《残骸の漂着》が飛んでくるとは思わず全部突っ込んでくるんですよね。来なければ来ないでトークンを出して盤面の有利を取れるので、相手としてはかなりやりにくい状況になるんです」

 環境での立ち位置については、高桑は次のように評価する。

高桑「赤単系と青黒系全般にはかなり相性が良いです。ただ、Tier2以下に弱いんですよね。全体除去が豊富なコントロールはもちろん、あと《巻きつき蛇》を使うデッキも《歩行バリスタ》がキツくて相性は悪いです」

 それでも高桑は、後者に対してサイドボードに《黄昏+払暁》を採用することで相性改善を試みた。事実、今大会中にもその効果は発揮された。

高桑「《野望のカルトーシュ》がエンチャントされた《逆毛ハイドラ》を1枚目の《黄昏》でしのいだのちに、今度は《殺戮の暴君》や《打ち壊すブロントドン》、+1/+1カウンターが置かれた《翡翠光のレインジャー》と並べられていたんですが、そこで2枚目の《黄昏+払暁》引いてきて(笑)」

高桑「相手の盤面が一気に崩壊したのに対して、こちらは被害なしどころか《払暁》で全部戻ってくる(笑) 気持ちよかったですね」

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「横に広がるトークンに対して打つ手がなく、相手が《ヴラスカの侮辱》をトークンに撃たざるを得なくなる瞬間も快感」と楽しげに語る高桑。

後藤 祐征の「白青コントロール」

 地元愛知を中心にデッキ・ビルダーとして名を馳せ、グランプリ・神戸2014で準優勝という成績を残している後藤は、今大会のメタを読んだ「白青コントロール」で快勝を重ねていた。筆者がフィーチャー・マッチを覗いてみると《副陽の接近》で勝利する後藤の姿が見えたため、「副陽コントロール」かと尋ねたのだが、《副陽の接近》は主な勝ち手段ではないと彼は言う。

 
好成績に胸を張る後藤。

後藤「《副陽の接近》は1枚だけです。調整の段階で全部抜いても良いなというところまで来たんですけど、時間切れを考慮して仕方なく1枚残した形ですね。友人とともにさまざまな『副陽』デッキを試したんですが、やはり《副陽の接近》は対処されたときの脆さが気になったので」

 では主な勝ち手段とは? 後藤は1枚の土地を示した。

後藤「メインの勝ち手段は、《イプヌの細流》ですね。今大会でもこちらで勝っている試合が多いです。このデッキには、砂漠を多く含む土地と、ドロー呪文と、盤面をコントロールするカードしか入っていないんです」

 そう、後藤の「白青コントロール」は、「副陽コントロール」よりさらに重いボード・コントロールだったのだ。この形になった理由として、後藤は今大会のフォーマットとメタゲームを予想した結果だと言う。

後藤「『副陽コントロール』ではサイドボードからクリーチャーを入れるというのが定番なんですが、それも広く知られてしまった。だからまた別の勝ち手段で戦いたかったというが理由のひとつです。それから、この『3人チーム構築戦』というフォーマットでは、時間のかかる打ち消しを用いたコントロール系のデッキは少ないと考えました」

 そこで後藤もボード・コントロールに注力し、その上で打ち消しを駆使する相手に対しても効力を失わない「土地」を勝ち手段に据えたのだ。

後藤「こちらも打ち消し呪文は1枚も積んでいないです。さっきも言いましたが、土地、ドロー、除去だけで構築するのがこのデッキのコンセプトですから。それでもマナが残れば、相手が自然と打ち消しを意識して動きが鈍るなんてことが多々ありました。そういうところも強みですね」

 
デッキの強みを語る後藤。

 またその他のカード選択の点でも、後藤独自の目線が取り入れられている。

後藤「《スカラベの神》に対する《ヴラスカの侮辱》が現環境の軸のひとつになっていて、同じく追放効果を持つ《残骸の漂着》と《排斥》は4枚ずつ採用しました。すると4マナ域が渋滞するので、一般的にドロー呪文は《天才の片鱗》のところ、《黄金都市の秘密》にしました。思ったよりも強かったですね」

 こうして今大会で勝利を重ねた(取材時点で9勝1敗)後藤のコントロール・デッキだが、今後は難しくなるのではないかと指摘する。

後藤「ミッドレンジが大きな勢力を持つ中で、それを食うためのコントロールが増えてきています。今大会では、コントロールで引き分けるのを避けるためにミッドレンジを選択する人が多いと予想したからこそ、このデッキを選択しました。普通にコントロール・デッキが一定数いる大会では勝てないと思います(笑)。特に純正の『副陽コントロール』との相性は最悪ですね」

後藤 祐征 - 「白青コントロール」
グランプリ・京都2018 / スタンダード (3人チーム構築戦) (2018年3月24~25日)[MO]
5 《平地
3 《
4 《灌漑農地
4 《氷河の城砦
2 《信義の砂漠
1 《シェフェトの砂丘
1 《周到の砂漠
4 《イプヌの細流
1 《屍肉あさりの地
1 《オラーズカの拱門
-土地(26)-
 
-クリーチャー(0)-
4 《不可解な終焉
3 《アズカンタの探索
2 《魔学コンパス
4 《砂漠の拘留
4 《黄金都市の秘密
4 《排斥
4 《イクサランの束縛
4 《残骸の漂着
4 《燻蒸
1 《副陽の接近
-呪文(34)-
2 《陽光鞭の勇者
2 《威厳あるカラカル
1 《断片化
4 《否認
2 《霊気溶融
1 《没収の曲杖
1 《アズカンタの探索
1 《魔術遠眼鏡
1 《俗物の放棄
-サイドボード(15)-

 スタンダードは間もなく『ドミナリア』を迎え入れ、環境は大きく動くことだろう。今の環境を楽しめるのはあとわずかだが、今回新たにご紹介したデッキをぜひ手にとってみてほしい。

 もしかしたら、どれかの戦略が『ドミナリア』でさらに強化され、環境の中心に躍り出るかもしれない。

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RESULTS

対戦結果 順位
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8 8
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6 6
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