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グランプリ・香港2015

観戦記事

第12回戦:渡辺 雄也(神奈川) vs. Kuo, Tzu Ching(台湾)

By 矢吹 哲也

 世界中にその名を知られる強豪たちが、追い詰められている。

 ともに2敗1分と、トップ8入賞を狙うには勝ち続けるしかない状況。ここで顔を合わせることになった両者は、互いに「当たりたくなかったな」と苦笑を浮かべた。

 非常にコンスタントに結果を出し、どの大会でも上位に名前を連ねているクオ・ツーチン/Tzu Ching Kuo。今年もグランプリ・マニラ2015で準優勝を果たしており、その安定した強さは健在だ。2日目の第1ドラフトでは青黒のアグレッシブな戦略をとり、2連勝でこの試合を迎えることになった。

 一方の渡辺 雄也は、グランプリへ参加するたびにその戦いには大きな夢がかかっている。つまりグランプリ8勝、前人未到の大記録である。強力な《勇者の守護神》3枚を擁する白青デッキで、その偉大な記録を達成するための飛翔を遂げるだろうか。


両プレイヤーとも、この先へ進むには目の前の強敵を打ち倒さなければならない

ゲーム展開

 初動は先手クオの《金切り声のスカーブ》から。3ターン目に《死橋のシャーマン》を追加し、アグレッシブにゲーム序盤を進める。一方の渡辺は、4ターン目までノーアクション。これにクオは気配を感じ取ったか、彼はそのターン《死橋のシャーマン》だけで攻撃を加えた。ターンの終わりに渡辺が《雷鳴のワイヴァーン》を繰り出すと、クオはニヤリと渡辺に視線を送る。

 しかし渡辺はそこから《勇者の守護神》を立て続けに2枚。軽くサイズで劣るクオの攻撃が一瞬止まる――かに見えた。だが彼は《魂裂き》、《肉袋の匪賊》、《残酷な蘇生》と除去を連打し、渡辺の盤面をこじ開けた。序盤のダメージも響き、あっという間に渡辺のライフは残り4点まで落ち込んだ。

 渡辺も展開を止めはしない。だが《取り憑かれたスカーブ》がクオに除去を再びもたらし、渡辺の懸命な守りを押し切ったのだった。


軽量クリーチャーと除去による激しい攻めを見せるクオ。

 2ゲーム目、クオは首をかしげながらしばらく手札を吟味したものの、ここでも《茨弓の射手》から《結束した構築物》と展開し、先に動き出す。

 ところが、その先が鈍い。《結束した構築物》をもう1枚追加するのみで、思うように渡辺を攻められない。そこへ渡辺は、《前線の僧侶》を2枚続けて繰り出し、序盤を有利に進めた。

 中盤に入り、《ナントゥーコの鞘虫》を展開するクオ。一方の渡辺は《勇者の守護神》、《永遠警備の歩哨》と脅威を繰り出し続け、クオにプレッシャーをかける。クオは《残酷な蘇生》で《永遠警備の歩哨》を対処したものの、渡辺の飛行戦力がクオを襲った。


チャンスを活かすべく攻勢に出る渡辺。

 この状況でクオを助けたのは、《血の儀式の司祭》だった。5/5のデーモンが渡辺の飛行戦力を食い止め、さらにクオは《取り憑かれたスカーブ》で除去を回収。彼を脅かしていた《勇者の守護神》を退場させた。そして恐ろしいことに、クオは2枚目の《取り憑かれたスカーブ》で、《ナントゥーコの鞘虫》で生け贄に捧げられ墓地に落ちていた《血の儀式の司祭》も回収する。

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強大な悪魔を前に、「勇者の守護」も綻びを見せる。

 ライフの上では大きく渡辺有利だが、これらの強烈なアドバンテージ差が盤面をひっくり返した。残りライフ3点と追い詰められながらもクオは的確なプレイで渡辺の攻撃を阻み、効果的なカードを引き込めない渡辺に対して反撃に出る。

 クオをもうひと息のところまで追い詰めた渡辺だったが、5/5デーモンを乗り越えるすべを見い出せず、彼はクオの最後の攻撃に対して土地2枚の手札を開き、敗北を認めたのだった。

渡辺 0-2 クオ

 試合を終えると、がっくり肩を落とす渡辺。今大会での大望成就とはならなかった。だが今シーズンはまだ始まったばかりだ。今年も1年、彼の活躍に注目していこう。

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