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The Finals 2018

戦略記事

The Finals 2018 メタゲームブレイクダウン

小山 和志

 全国各地の予選を勝ち抜いた精鋭と、プロ・プレイヤーズ・クラブに名を連ねる強豪たち――日本中から文字通り選りすぐりのプレイヤー153名が集った今大会。

 本記事では全参加者の使用デッキを集計した。彼らがこの成熟したスタンダード環境で選択したデッキは果たしていかに?

The Finals 2018 メタゲームブレイクダウン
アーキタイプ 使用者数 占有率
ゴルガリ・ミッドレンジ 45 29.4%
ジェスカイ・コントロール 26 17.0%
イゼット・ドレイク 23 15.0%
白単系アグロ 17 11.1%
赤単系 13 8.5%
グリクシス・コントロール 8 5.2%
セレズニア・トークン、アグロ 6 3.9%
スゥルタイ 4 2.6%
エスパー・コントロール 3 2.0%
ナヤ 2 1.3%
ターボフォグ 2 1.3%
黒単 1 0.7%
青単アグロ 1 0.7%
ディミーア・コントロール 1 0.7%
ティムール・ランプ 1 0.7%
合計 153 100.0%
 
1位 ゴルガリ・ミッドレンジ――使用者数45名

 グランプリ・静岡2018(スタンダード)を制し、ワールド・マジック・カップ2018で猛威を振るった「ゴルガリ・ミッドレンジ」が本大会でも多くのプレイヤー、実に約30%の精鋭から支持を集めるに至った。

 《翡翠光のレインジャー》や各種プレインズウォーカーでアドバンテージを取り、《殺戮の暴君》というコントロール殺しのフィニッシャーを持つ万能ミッドレンジに対し、対策するよりも自ら使用する側に回ったプレイヤーが多いようだ。

 『ラヴニカの献身』発売までの約1か月間、環境に新たなカードが加わるまでメタゲーム上で重要な位置を占めることは間違いないだろう。

 
2位 ジェスカイ・コントロール――26名

 「ゴルガリ・ミッドレンジ」に続く使用者数となったのは「ジェスカイ・コントロール」だ。26名のプレイヤーが《ドミナリアの英雄、テフェリー》を軸としたコントロールデッキに手を伸ばした。

 フィニッシャーに《パルン、ニヴ=ミゼット》を採用し、そこに繋ぐまでは打ち消し呪文や《轟音のクラリオン》といった全体除去で盤面を捌いていく典型的なコントロールデッキを、会場のあちこちで目にすることができる。

 『ラヴニカの献身』ではアゾリウス=白青のカードが強化される見込みもあり、環境変化後も有力視されるデッキとなっている。

 
3位 イゼット・ドレイク――23名

 プロツアー『ラヴニカのギルド』で渡辺雄也を決勝ラウンドに送り込み一躍脚光を浴びることになった「イゼット・ドレイク」。大量の軽量呪文から2種の「ドレイク」および、(墓地に落とした)《弧光のフェニックス》で勝負を決める。

 23名という使用者数3番手を占めることになった「イゼット・ドレイク」。最近では《弧光のフェニックス》ではなく《パルン、ニヴ=ミゼット》を採用していることが多く、これらのフィニッシャーを《潜水》で守る形が主流だろうか。

 トリッキーな動きもこのデッキを使用する大きな魅力のひとつだ。

 
4位 白単系アグロ――17名

 プロツアー『ラヴニカのギルド』でトップ8に6名ものプレイヤーを送り込んだ白単系アグロ。多くのデッキがサイドボードに《実験の狂乱》や《苦悩火》を採用しており、赤をタッチしている形がほとんどだ。

 だが、本イベントでは赤のみならず《呪文貫き》《否認》といった青いカードをタッチし、さながらクロック・パーミッションのように動くアゾリウス・カラーやジェスカイ・カラーのデッキも目にすることができた。

 軸となる白の強力なクリーチャーたちは今後も依然としてスタンダード環境に存在する。白タッチαという形で進化を遂げていくのだろうか。

 
5位 赤単系――13名

 前環境で猛威を奮った《ゴブリンの鎖回し》を無理なく採用できる赤単ベースのデッキが13名と、使用者数5位に食い込んだ。

 通常想定されるアグロデッキに加え、最近勢力を増している重めの構成――ビッグ・レッドと呼ばれる形のものも多く見られた。

 また、少数ながらも《ヴラスカの侮辱》や《貪欲なチュパカブラ》といった優良除去を使用するために黒を足した形や、白単系で見られたように《否認》や《呪文貫き》を足した形も見ることができた。

 
6位以降のデッキたち

 6位に食い込んだのは「グリクシス・コントロール」。環境屈指のパワーカードである《破滅の龍、ニコル・ボーラス》をナチュラルに採用でき、除去も豊富なカラーコンビネーションのデッキだ。その他のコントロールデッキとしては白青黒のエスパーカラーのデッキが若干名のプレイヤーにより持ち込まれていた。

 グランプリ・静岡2018(スタンダード)で夏目拓哉が使用し、準優勝を飾った「セレズニア・トークン、アグロ」は6名が選択した。《苗木の移牧》を使用し横に小粒なクリーチャーを並べるトークン型が主流となっている。

 その他のデッキに関しては表の通りだが、後ほどデッキテク記事にてご紹介する「ティムール・ランプ」やスゥルタイカラーの墓地利用デッキなど、環境が煮詰まった今でもユニークなデッキが登場している。

 ぜひ、皆さんも『ラヴニカの献身』発売までの1か月、このスタンダード環境を楽しみきっていただければと思う。

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