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The Finals 2018
第3回戦:岡田 尚也(長野) vs. 岡井 俊樹(東京)
7年という月日で、変わるものもあれば変わらないものもある。
7年前、The Finals 2011でスタンダード・モダンともにオリジナルのデッキを持ち込み、当時無名のプレイヤーながらも見事優勝を果たした岡田 尚也は、しかしマジックとの付き合い方については今日までほとんどスタンスを変えることはなかった。グランプリ・上海2017でトップ8に入った際の「グリクシス・工匠」に代表されるように、無理なく出られる程度のペースで大会に出場しては、しかしその一回一回を大事にするように、その都度オリジナルデッキを製作して一定の戦果を挙げ続けている。
そんな岡田が先日のグランプリ・静岡2018(スタンダード)で使用していたのが、デッキテクで取材した「グリクシス・ドレイク」。《弧光のフェニックス》を抜いたドレイクデッキという構成は、自身の成績は奮わなかったものの、渡辺 雄也の「イゼット・ドレイク」の原型にもなった。今回使用しているのも、それを改良したものだという。
他方、対戦相手はマジック:ザ・ギャザリング専門店・晴れる屋が主催する「神決定戦」でスタンダード神として君臨するプレイヤー、岡井 俊樹。グランプリ・京都2015での原根 健太の活躍を見てマジックに参入した岡井のマジック歴は、まだ4年にも満たない。だがその短い期間で岡井はすでに3度のプロツアー出場を果たし、その実力をすさまじい勢いで伸ばしてきている。
7年間デッキビルダーであり続けている元チャンピオンと、この4年でめきめきと頭角を現した新世代プレイヤーの筆頭とが、2-0ラインで火花を散らす。
岡田 尚也 vs. 岡井 俊樹 |
ゲーム1
後手の岡井がマリガン。《選択》から《アズカンタの探索》と動く岡田に対して《アダントの先兵》を送り出す。
対して岡田は3ターン目に《航路の作成》で手札を整理すると、《湿った墓》をアンタップインして《強迫》を打ち込む。
岡田「……あります?」
だが、公開された岡井の手札は《ベナリア史》が2枚に《敬慕されるロクソドン》《山》《山》というもの。《ベナリア史》の1枚は落とすものの、岡井のアクションを阻害するには至らない。
岡井 俊樹 |
一方、3ターン目に予定調和の《ベナリア史》を設置することに成功した岡井は、なおも《弾けるドレイク》の返しで《ボロスの挑戦者》から《敬慕されるロクソドン》を「召集」。《ベナリア史》のⅢ章に向けて順調に準備を重ねる。
次のターンに5+5+4+4+3という打点で殴られることが盤面で確定した岡田は4マナを立ててターンを返すが、岡井は構わず《不屈の護衛》を出して《ボロスの挑戦者》を指定してからフルアタック。
岡田「ハンドがない?」
岡井「ゼロです」
慎重にダメージを計算した岡田は《弾けるドレイク》で5/4の騎士・トークンをブロックしつつの《ショック》2枚でもう1体の騎士・トークンを処理するのだが、《ボロスの挑戦者》の能力が起動されてこのターン12点ものダメージを受けると、ライフはわずかに3点しか残らない。
その上、岡井の盤面にはなおもクリーチャー4体が健在。そしてこの盤面を返す手段は、岡田には存在しなかった。
岡田 0-1 岡井
ゲーム2
今度は岡田がマリガン。占術で見えたのはサイドインした《焦熱の連続砲撃》だが、「違うんだよなー」と言いつつ下に送る。その理由はすぐに明らかになった。
《不屈の護衛》を《ショック》されつつも《アダントの先兵》を送り出した岡井に対し、3枚目の土地が置けないままターンを返す羽目になってしまったのだ。
岡田 尚也 |
岡井が《短角獣の歩哨》《不屈の護衛》と並べるのに対し、岡田は引き込んだ《選択》を打つのだが、見えたカードを下に送ってドローも土地ではなく、岡井のクリーチャーによってじわじわとライフが削られていく。
そして5ターン目に岡井が《ベナリア史》を設置すると、ついには《短角獣の歩哨》の「昇殿」が達成。クロックが一気に8点にまで膨れ上がる。
岡田「ランドは引いたが……遅いんだよなー」
《ベナリア史》に蹂躙される未来がすでに見えている岡田は、異なる未来に進むことを選択したのだった。
岡田「うん、死にました。ありがとうございましたー」
岡田 0-2 岡井
グランプリ・静岡2018(スタンダード)での経験を生かしたデッキを持ち込んだのは岡田だけではなかった。岡井の「赤白アグロ」は、11勝2敗からの第14回戦で惜しくも敗れ、最終成績12勝3敗を成し遂げた愛機だ。
岡井「そういう少し残念な経緯のデッキですが……別に感触は悪くなかったので、そのまま使ってます」
7年前にはまだマジックを始めてすらいなかった岡井が、新たな伝説を打ち立てるべく全勝街道をひた走る。
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