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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ビッグ・レッド~赤単進化論~(スタンダード)

岩SHOW

 先日、ボロスカラー(赤白)でコントロールデッキが組めることを紹介した。青の打ち消しなしでも、環境随一の除去呪文さえあればクリーチャーで戦うデッキを相手に十分コントロールしてやることができるのだ。ボロスの土地で《ベナリア史》を置いてくる、これは軽いところを引けなかったウィニーか?と相手が錯覚する可能性もあるのも良いところだ。

 では同じように、あなたの対戦相手が2ターン連続で《》を置いてエンドしてきた場合……あなたは「初動が重めだけれども、《再燃するフェニックス》あたりを複数枚持っている赤単かな」と考えるのではないだろうか。

 赤単と言えば、『ラヴニカのギルド』環境最初期には随分と暴れ回ったデッキである。《ケルドの炎》《危険因子》よりも安定した《実験の狂乱》を使用する形が一般的となり、今なおスタンダードでは無視できないデッキである。

 この赤単の理念は「序盤から攻めて素早く殴りきる」というもの。《ギトゥの溶岩走り》《ヴィーアシーノの紅蓮術師》といった再序盤から展開できてダメージが見込めるクリーチャーでライフを攻め、相手の体制が整い切る前に《稲妻の一撃》《魔術師の稲妻》を撃ちこんで勝つ……速攻デッキという認識が強いことかと思う。

 ただ、赤単色のデッキはそれだけではないのだ。コントロール色の強い中速デッキ……もはや白さえいらぬと色マナ安定の道を選び、速攻デッキと思い込んだ相手の裏をかく、「ビッグ・レッド」を紹介しよう!

jessy_samek - 「ビッグ・レッド」
Magic Online Competitive Standard Constructed League 5勝0敗 / スタンダード (2018年12月5日)[MO] [ARENA]
25 《
1 《オラーズカの拱門

-土地(26)-

4 《ずる賢いゴブリン
4 《ゴブリンの鎖回し
4 《再燃するフェニックス
3 《包囲攻撃の司令官

-クリーチャー(15)-
2 《シヴの火
4 《溶岩コイル
4 《宝物の地図
2 《絶滅の星
3 《苦悩火
4 《ウルザの後継、カーン

-呪文(19)-
2 《凶兆艦隊の向こう見ず
1 《ゴブリンの損壊名手
2 《魔術遠眼鏡
3 《焦熱の連続砲撃
3 《火による戦い
2 《絶滅の星
1 《苦悩火
1 《廃墟の地

-サイドボード(15)-

 赤には3~5マナにも優秀なクリーチャーが揃っている。また、単色でも《溶岩コイル》《絶滅の星》と除去も環境のトップクラスのものが揃っている。相手のクリーチャーやプレインズウォーカーは火力で焼き切り、太いクリーチャーたちでドスドス押し切る戦い方は十分にできるのだ。

 このデッキを支えているのは4枚ずつ搭載された2種類のアドバンテージ源、《宝物の地図》と《ウルザの後継、カーン》だ。

 このデッキはある程度土地の枚数は確保したい(なにせ7マナの呪文で一度盤面を綺麗にしたい)が、土地ばかり引いてもゲームにはならない。その辺のわがままを《宝物の地図》の占術で解決しよう。3回占術すれば《宝物の入り江》に変身し、マナもドローも得られる。だが、この変身の価値はそれだけではない(それだけでも十分すぎるけどね!)。

 カーンもこの地図と同じく、今さら説明するまでもないドローエンジンであり、毎ターン何かしらのカードを提供してくれる。忠誠度も高くて落とされにくいのも魅力だが、その真価はさきほど触れた《宝物の入り江》と組み合わせた時。

 [-2]能力は自分のアーティファクトの数に等しいパワー/タフネスを持った構築物・トークンを生成する。《宝物の地図》が入り江へと変身する際にはアーティファクトである宝物・トークンを3つ生成する……すなわち、無茶苦茶デカいトークンを創り出すことができるのだ。このトークン生成能力を2回も起動すれば、5/5以上のトークンが並ぶことになる。ドロー・マナの安定・そしてフィニッシャーにもなる……こうなると2枚目以降の地図やカーンだって大歓迎というものだ。

 《ずる賢いゴブリン》は上記の宝物シナジーにも噛んでいるナイス2マナ域。

 いざという時にはマナとして用いて、後半では入り江でドローにすることでまるで《エルフの幻想家》のように扱うことが可能だ。こいつはその名の通りゴブリンでもあるため、《包囲攻撃の司令官》でブン投げることだってできる。

 司令官もピンチの時には使い捨てブロック要員として用いてよし、《絶滅の星》でリセットした後などの更地に出てくればあっという間にゲームを終わらせる打点も魅力的だ。ゴブリンが多いのでサイドボードにアーティファクト対策として《ゴブリンの損壊名手》が採用されているのはなかなかにニクい構築。そうそう、こういうのでいいんだよ。

 2色のギルドデッキに目が行きがちだが、単色でもデッキのバリエーションがさまざまで、なんとも奥が深い『ラヴニカのギルド』環境。年末最後のスタンダード最強決定戦「The Finals 2018」でもどんなデッキが飛び出してくるのか、期待大!


「The Finals 2018」 実況生放送
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予選ラウンド・決勝ラウンド12月22日(土)9:45~ニコニコ生放送
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