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なかしゅー世界一周2012・第16回:上海行と航空券の謎

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2012.08.02

なかしゅー世界一周2012・第16回:上海行と航空券の謎

By 中村 修平


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 それにしても海外旅行というには、上海は随分近いところです。

 飛行機でわずか2時間半。時差が1時間あるので行きに関しては実質1時間半。
 金曜日の成田空港午後6時発の便で間に合ってしまうというのは、普段だと余裕を持って木曜出発にしているというのもありますが、なんとなくどころではなく、かなりの違和感があります。

 フライデー・ナイト・マジックに参加するくらいの時間に家を出て空港まで。
 このところずっと1人旅というわけではありませんが、こうやって日本人でグループ旅行というのはなんだか久しぶりのような・・・いや、実際久しぶりでした。
 先日のグランプリ・クアラルンプールを、北米ツアー中でメキシコシティにいるため欠席していたり、プロツアー前にチャネル合宿に向かったり、はたまたグランプリ・マニラは前後で旅行に出かけていたので皆が日本を発つ頃にはとっくに海外渡航中であったりして、友人の航空券手配はすれども現地で合流みたいな形式になっていました。

 ということで、これまた久しぶりの成田空港での人待ち、
 なんとなく駅の改札前に集合場所を設定していましたが、よくよく考えるとすぐ手前にあるスターバックスの方が効率が良いんじゃないかと同行者に突っ込まれたり、いや、まさしくその通りです。

 特に問題なく予定していた八十岡翔太、大塚高太郎、北山雅也、三原槙仁、佐藤嶺、萩原玄太の6人と合流し、発券カウンターでチェックインしているところで意外な人物から連絡が。
 別口で上海行きの便を取っていた角岡利幸が、携帯が壊れてアラーム鳴らず&山手線遅延というコンボの前に、敢えなく飛行機に乗り遅れてしまい、成田空港に到着して今は代わりとなる航空券を探しているというのです。


航空券について

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 これだけ長いこと利用しているにも関わらず、本当に航空券のシステムというのは不可解極まりないものです。

 例えば復路自動キャンセル。
 海外航空券では、行きの便を乗り損なってしまうと自動的に帰りもキャンセルさせられてしまいます。
 というわけで往復の航空券が新たに必要となるのですが、原則的に各航空会社は自社の便しか扱っておらず、いちいち成田空港のホームページや航空券サイトからどの航空会社がこれから先に上海行きの便があるか検索しなくてはいけません。

 お次は片道運賃の怪です。
 国内移動ならあり得ない話なのですが、ほとんどの海外行きの航空券では片道だけの航空券と往復の航空券に値段の差があまりないのです。
 今回の場合、差し迫った問題であるこれから以降の今日中の上海行きにプラスしてその帰りの便。
 つまり非常にお高い、行きの航空券の値段がそのまま反映されてしまうということになります。

 そして肝心のそのお値段です。
 ルール自体は何とか理解しているのですが、非現実的なことこの上ない代物なのです。
 というより、ただただ複雑怪奇。簡単に言ってしまえば、普段目にする航空券代金というのは実は早期予約による割引運賃。
 本当の航空券代金というのはそれらの3~4倍の値段で、そして空港で当日の航空券を購入しようとすると、その定価での料金となってしまうのです。

 そこまでは理解できるとして、今回の航空券探しでは、インターネットで航空券検索サイトにアクセスして同じ旅程を検索するとその半額程度、そして駄目元で電話してみたマイレージデスク、空港の航空会社カウンターで別部署なので直接電話で聞いてくださいと言われた先では正規料金の1/4くらい、普段目にするくらいの料金で取れてしまった・・・
 お得云々の前に、素人目にはシステムとして根本的な欠陥があるようにしか思えませんでした。

 ちなみにこの間のやりとりも、なんというか典型的なお役所仕事的なものです。
 大小の差はあれど、「ここまでは解るけど、ここからはうちの部署ではそれを扱っていないから、ここに電話をかけてくれ」というたらい回し。
 目の前にある端末は何なのかという突っ込みを抑えながら、東京支社と電話でやり取りすること1時間程度。19時45分発の便を成田空港で、空港の職員や端末とは全く別口の状態で取れてしまいました。
 あとは歩いて10歩のところにある発券カウンターで搭乗手続きをすれば終わり。

 とりあえずツアコンもどきを自認する私としては上手く帳尻が合わすことができてホッと一息。
 本音をいうとあまりの合理性の無さに、なんだか不思議な気分。としか言いようがないですね。
 まあ、何はともあれ終わり良ければそれでよしということで。


上海へ

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 そんなハプニングもありましたが、旅程自体は至って順調に進んでいます。
 とても1週間前まで滞在先はおろか、どの航空会社のどの便になるか未定だったとは思えない状態です。
 普段はついつい安い方へと行ってしまい、使う機会の少ない日系航空会社というのもまた素晴らしい。いつも使用しているアメリカ系航空会社とはサービスの質が天と地。月とすっぽん状態。
 特に満場一致だったのが機内食についてですね。
 アメリカ系航空会社が出す機内食はほとんど『マズい』の代名詞としても良いくらいなのですが、ここで出されたものに関しては食した全員が高評価。
 機上ではずっと寝ていて、手を付けなかった人が悔しがるというなかなか珍しい一幕も、

 そんな感想を言っている間に中国へ入国です。
 入り口で出迎えてくれている随行員にしたがって、バスで滞在先のホテルまで。

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 今回は私にしては珍しく旅行代理店が企画する航空券とホテルのみというツアーを利用したのですが、ホテルまでの足を自分で確保しないといけない手間が省かれるのはとても便利ですね。
 特に到着がこうやって深夜とも言える時間になってしまっているのであればなおさらです。

 ホテルまでの1時間弱、
「両替はホテルで少量ずつするのがお勧め」「赤色のタクシー、特にワインレッドのものは危険」「日本語で話しかけてくる人は危険、うっかりついていくな」
 なんていう、おおよそ1年ぶりとなる上海についてのレクチャーを受けていました。
 そういえば去年のグランプリ・上海では、日本語で話しかけてくる客引きに酷い目に合わされた日本人マジックプレイヤーがかなりの数いたらしいです。
 中には洒落にならないところまで行ってしまった人もいるとか。

 幸いなことに今回のホテルは会場からも観光地からも少し離れていて、そういう怪しげな客引きとは無縁です。
 前回は、会場の上海マートがある虹橋地区という日本人向けの再開発エリア、そこへ歩いていける距離のホテルにしたせいで、それはもう交差点ごとにそういう手合いがいたものでしたが、今回目の前にあるのは現地屋台。

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 特にホテルの前でやっている餃子屋台には心惹かれるものがありましたが、
『明日お腹を壊すというリスクを取るのは愚か者のすること』
 というヤソの冷静な一言によって踏みとどまりました。全くもってその通りです。

 もう夜も遅いし、ということでこの国では高級品を取り扱っている店である緑と白のコンビニ的なところでお買い物と、6台のベッドとたった1台のエクストラベッドを賭けた真剣勝負、近くのゲームセンターを冷やかしたくらいですね。

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 このところ睡眠時間が非常に不規則になっていて心配しましたが、少ない時間でも飛行機疲れはあったみたいで案外寝れるものです。
 気がつけば寝落ちしていました。


グランプリ・上海

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 どんなものであれ習慣というものには強固なものです。

 私の場合、異国の地で目が醒めるともうグランプリ、というのはなかなかに信じられないもの。普段なら大会参加登録は昼以降なのでもう少し寝るか、という流れになるところですが、今日は逆に当日登録が必要なので普段より早く起きなくては、さらに言うと会場までそれなりに距離があるので移動時間も念頭に置いて動かなければならないというのは普段の習慣とは真逆。

 そんな塩梅で何か忘れているなとは思いつつも、タクシーに乗り込むまでこの国は悲しいくらい英語が通じないということを忘れていました。
 いえ、英語どころの問題ではなくアルファベットが通じないのです。
 中国語が全く解らない日本人+英語のファクトシート vs. 完全無欠の中国人タクシードライバー。
 会話らしきものは永遠の平行線、延々と浪費される無為な時間。
 そしてさよならグランプリ0回戦となりかけましたが、中国語を少し喋れる佐藤嶺と無理やりローミングして中国語名を探しだしたヤソによりなんとか解決。
 1時間半と余裕を持って会場に向かったはずが、締め切り30分前にの会場到着。

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 ところがどっこい会場のほうがまだ開いていないというスラップスティックコメディばりの展開だったのですが、本番であるグランプリこそが恐怖の本番でした。

 思い出したくもないような負け方、そしてそれ以上に思い出したくもないような酷い勝ちの拾い方しかとれない最悪のゲームの連続・・・
 ということで記憶から抹消することにしました。うん、グランプリ・上海なんてものは無かった。
 今回ばかりはご了承下さい。本当に少し思い出しただけでも思わず器物損壊どころか最も手近にある家財を粗大ゴミに出さなければならない勢いなのです。
 その夜は負けた時恒例のヤケ食いが敢行されたということと、翌日からは腹痛に苛まされたという事実があるだけです。

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 そういえば翌日も負け犬達の挽歌は続き、皆がグランプリを戦っている中、日式拉麺なるものをすすっていた気がします。

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 個人的にはワースト5に入る、いや記録抹消刑に処せられて無かったことになったグランプリですが、マジック復帰直後の佐藤嶺がプロツアーへの参加権があるトップ4入賞、そして角岡利幸が9位入賞。本人にとっては複雑な位置だろうというのは心底理解していますが、それでも嬉しいことでした。
 これで私もそれなりに勝てたら...、おっと参加してたら良かったのですけどね。

 それでは今回はこれくらいにして、また次回ということにしたいと思います。

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