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なかしゅー世界一周2012・第17回:日本代表顛末記と『Gen Con』の風景

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2012.08.23

なかしゅー世界一周2012・第17回:日本代表顛末記と『Gen Con』の風景

By 中村 修平


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 6月下旬からの都合2ヶ月弱の空白。
 その反動で過密スケジュールとなっている9月から12月までの日程に既に青くなっているのですが、なにはともあれ中休みともいえる時期からいよいよ2013年シーズンの始まりです。

 と言ったは良いものの、厳密に言えば今回の旅の初めの目的地、インディアナポリスは休暇のエクストラターンと言えなくもありません。
 残念ながら今年のワールド・マジック・カップの権利は取れなかったのです。

2012ワールド・マジック・カップ

 それでも今週インディアナポリスを訪れたのは、ここから先のグランプリ・ボストン、そしてシアトルでのマジック・プレイヤー選手権への旅程を組むのに都合が良かったというのと、旅券を取る際にロハで寄り道させてもらえたこと、そして何よりもアメリカ最大と言われる非電源系ゲームコンペティション、『Gen Con(ジェンコン)』とやらを一度見てみたいという理由からでした。

 ということで翌々週の本番への「ついで」といった形で幕を開けるはずのアメリカ行きだったのですが、それが思いもかけないアクシデントに巻き込まれることとなったのです・・・


副題:またはわたしは如何にして心配しつつもタクシー用の2000ドルをあんちゃんに託すことにしたのか

波乱含みの旅立ち

 世にあることの大半と同じように、後から振り返ってみれば色々と危険な兆候は見て取れました。
 例えば入国に時間がかかるアメリカへの旅の割には少なめな乗り継ぎ時間。成田発の段階でシンガポールからの乗り継ぎ便を待つために機内で30分以上待たされていたり、そこからも飛行機の離陸待ちで時間を食ったり、到着時刻が向こうの昼間、つまり一番入国審査の列が長くなる時間帯であったり。

 その結果として、予定していた乗り継ぎ便に乗れないという事態になってしまいました。

 ここまでは日常茶飯事とは言わないまでも、私の感覚では年に1度、15回~20回くらいに1回くらいは有りうる事態です。

 その上でサービスというか配慮が壊滅的に悪い某アメリカ系航空会社。
 そこから予想されるより更にちょっと斜め上だった乗り継ぎ相談カウンターの長蛇の列というのも、確実に状況を悪化させた一因にはなったと思います。

空港の混雑

 この時点で全てを見通す視点を持っていれば、最善手は現状の旅券に見切りをつけてそこから新たに別会社の便を取り直すこと、だったかもしれません。

 ですが、それはあくまで後から見た場合での話。
 事故に遭ったときに、何故事故にあってしまったか、何故予防できなかったか、と問うのは正論ではありますが、現状をどう回復できるかに関しては全く意味がないのです。

 実際にこの時点で見通せるのは、同じ航空会社で3時間後にインディアナポリスへの便があるということ。
 もしフライトを途中キャンセルした場合は、成田で預け入れた荷物が最悪手に入らず、帰りの旅券すらも――往復の一連の旅券を取った場合、その途上のどこかで搭乗が途切れれば残りの区間が全てキャンセルされる、利用者としては不条理極まりないですが、保安上からは筋が通っているルール――により失われます。

 それらを天秤に掛けた上でどれを取るか。どれかを選択する際にはどれにもリスクが発生します。
 私ができる範囲というのは、言葉よりも行動で、決定ではなく選択肢を提示すること。
 そして選択するのは私ではなく日本チームの4人。渡辺、田中、中井、高橋なのです。

日本代表チーム協議中

 とりあえず日本チームには乗り継ぎカウンターの列に並んでもらって、その間に私は別口の手段、上級会員用のラウンジにある乗り継ぎカウンターへ。
 こちらの方が混雑が少ないだろうと判断して動いてみたのですが、結果の方はなんとも微妙なもの。

 スタンバイリスト、優先キャンセル待ちリストに入れることはできるが、今日中のフライトを確約はできない。
 気が変わって明日以降の便を希望するなら今夜のワシントンの宿を提供するというもの。
 しかしその翌日のフライトでは、明日朝の大会参加登録(レジスト)に確定で間に合わないのでチームとしては論外です。

 他に採り得る選択肢としては、この時点で取れるインディアナポリス行きの航空券。
 ですがこれは全滅。
 代替案としてインディアナポリス近郊の空港、シカゴやシンシナティ、デイトン、ルイヴィルといった空港も軒並み、スタンバイリストになら入れるという状況のため却下。

 では陸路なら・・・?

 ツイッターで窮状を報告していたので、アメリカ人のフォロワーから色々な案が返ってきています。
 例えば、この前のアメリカ行で使った長距離バス、グレイハウンドを使うのだとすれば・・・ですが、これはサイトから確認できたスケジュールから、不可能なのが解りました。
 同じように電車、アムトラックもアウト。
 インディアナポリス行きのジェンコンスペシャル列車。というものがあるらしいという完全な無駄情報を仕入れただけ。

 となると、初めは冗談まじりで返信されてきた「ベン・ルービン方式」が現実味を帯びてきました。

 2007年のプロツアー・ジュネーブ前日。
 乗り継ぎ先のドイツで豪雪によってジュネーブ行きの飛行機が欠航してしまったベン・ルービンは、空港からタクシーを乗り付け、一晩と600ユーロをかけてジュネーブまで向かってプロツアー会場に現れた、という前例があるのです。

 距離を調べてみると、直線距離で500マイル弱、実際に高速道路を使ったナビゲーションでは10時間程度と表示されています。
 スタンバイリストに登録されている次のフライトは午後11時前。
 理論上はインディアナポリス午前9時着、レジストの締め切りが午前9時半なので間に合います。

 4人に相談して決めてもらった結果、方針としてスタンバイリストに賭けてみて、それでも駄目ならタクシーということにして。後は時間まで待機することになりました。
 もし搭乗が駄目だった時、あるいは何人かだけが搭乗可能だった時はどうするかというのも決めてもらい、念の為にあんちゃん=高橋優太にタクシー用に予備の米ドルを渡しておいたのですが、伝えられていた通り、この日は飛行機の遅延が大量に入ったこともあって状況は悪く、3名のキャンセル枠の内、マイレージのレベルが高い私だけがスタンバイリストから拾われるという結果に。
 席を日本チームの誰かに譲りたいというリクエストも、
『出来ない』
 の一言で返されてしまいました。

 ということで考えを切り替えて、私が先に現地入りしてできることをするという方針で動くことにします。
 まず日本チームのホテルのチェックイン。今日の分はどのみち費用がかかった上で、このままだと連絡を入れない限り明日以降がキャンセルされてしまうので、私が代わりにチェックインすることにします。
 それと会場にいるウィザーズのスタッフを捕まえて事情を説明、あわよくば彼らの到着まで待ってもらえるよう説得。
 そして預け入れ荷物を回収できない彼らのために足りない分のデッキを用意することです。

デッキの準備

 インディアナポリス空港に到着したのが日付が変わって午前0時半頃、そこから預け入れ荷物を回収してホテルに向かうまでで1時間半ほど。
 さらに2人分のスタンダードデッキを作成して、足りないカードを貸して欲しいという旨のメールをアメリカ代表として会場に来ているはずのルイスに送って、仮眠に入ったのが4時を過ぎたあたり。
 ちょっと寝過ぎてしまって慌てて会場に向かったのが8時あたりだったと思います。

Gen Conバッジ

 実は大会について全く知らなくて、ジェンコンに入場するのにも参加バッジを買わなければならないということすら知らなかったのですが、たまたまホテルで会ったエクアドル代表チームとタクシーをシェアして、会場であるハイアットホテルまで行けたのと、そこから上手いことウィザーズスタッフに遭遇したこともあって予備のスタッフ用タグを貸してもらうことに成功。
 大会の責任者であるスコット・ララビーに事情を説明、ギリギリまでレジストを待った上で、それでも間に合わないようだったら代理レジストという形を取って、ジェンコン会場前で4人分のバッジを持って私が合流という話になったところで、

 ブライアン・デビッド=マーシャルが「日本勢がレジスト会場に現れた」というツイート。
 なんとかなったようです。

日本代表チーム

 が、ここからもう一仕事が残っています。
 とりあえず彼らが大会に出ている間に、預け入れた荷物がどうなっているかを確かめなくてはなりません。
 会場に遊びに来ていたレベル2ジャッジの進藤さんに手伝って、というよりお願いして、ハイアットのコンシェルジェに電話してもらい、4人の荷物がインディアナポリスの空港に現在あることを確認。
 どういう理屈かはわかりませんが、とにかくそういうことになっているようです。
 もしかすれば何か配慮してもらえたのかも、そうだとすれば帰りの旅券についても希望が持てるかもしれません。
 まあ、そのあたりは本人達にやってもらいましょう。
 1日目が終わった後に空港まで回収に行くように伝えて、これで私はお役御免となりました。


ジェンコンの風景

Gen Con会場

 ようやく本来の目的であるジェンコン見物に向かえます。
 ほとんど1時間おきに開催されているパブリックイベントに適当に登録しつつ、会場をぐるりと一周。

 ですがとにかく会場が広い。
 マジックのトーナメント会場もあるホールEが丸々ゲーム用のスペースです。

ホールE

 グランプリができるくらいのスペースをマジックが使っているのにも関わらず、それでもホールEの5分の1くらい。
 残りは全て他のゲーム、TCGであったりボードゲーム、それにミニチュアを使った何かみたいなものがブースごとに分かれています。

 この、ゲームができるスペースというのはまだ他にもあって、例えばドミニオンの版元のリオグランデ・ゲームズはホールではなく隣の小会議室を借りるという形を取って、そこで世界選手権もやっていたりします。

ドミニオン世界選手権

 マジックでも日本チャンピオンのタイトルを持っている三津家さんがドミニオン日本チャンピオンとして参戦しているので観戦に行ってみたり。

 そういえば電源系のゲームも少しだけ出展していて、これも少し広めの会議室がまるごとスペースとなっていたり、日本のゲームセンターにあるようなコクピット式のロボットで対戦するゲームに凄い人だかりができてましたね。

トゥルーダンジョン

 中にはホールを丸ごと使ってトゥルーダンジョンなるリアルRPG風のゲームを作ってしまったという恒例かつ、なんとも壮大なものも。
 解説してくれた進藤さん曰く、ダンジョン内のアイテムは『トークン』という現地通貨で、しかもそれに対応する例えば『剣トークン』を手にれないと駄目だとか。

トークン

 人だかりという点でより正確に記すならば、ほとんどどこでも人だかりと言った方が正しいかもしれません。
 コンベンションセンターのそこらじゅうに人だらけで、そしてどこに行っても視界のどこかには何らかのゲームをやっている姿が目に映るというのが正しいです。

どこにでもあるゲーム風景

 そして混雑している廊下を移動している時に、ふと隣の格好を見てみると実はコスプレじゃんという光景の多いこと多いこと。

どこにでもあるコスプレ風景

 わりかしそこらじゅうにいましたが、普通に歩いているので実は私が思っているよりもっともっと多いかも。よく見ればコスプレとか、逆に行き着くところまで行きすぎてこれはコスプレじゃない別物なんじゃないか的なものもいます。例えば軍服にガスマスクの集団とかですね。

どこにでもあるコスプレ風景2

 それにイニストラードのようなゴシックホラーっぽいのを着ているのは果たしてコスプレなのか、何かのゲームでそういう決まりなのか、もしかすればあれは普段着なのかもしれないかとはとっさには全然解りません。
 あ、甲冑とか和装なんかも実に反応に困ります。
 日本の方の事情について知識が無いので、実は日本でもこういうものかもしれませんが・・・

どこにでもあるコスプレ風景3

 話が日本になったので少々脱線すると、赤いイタリアっぽい親父とその緑の弟や、同じく緑の剣と楯を持っている小人といった京都の超優良企業のキャラクターを中心に、結構な数の日本からの外来種が見受けられました。
 日本原産は色が原色っぽいのと、私がどこかしらで見たことあるのが多いのでわかりやすいのです。
 そういえば土曜日にあんちゃんと近くのハンバーガーショップに行ったのですが、凄い美人さんが日本の某超有名RPGのコスプレのまんまテラスで食事していて、
『えーっと、あのキャラ名前なんだっけ?』
『たしか元気系で...』
『10だよね?』
 みたいな会話をすれど結局キャラクター名を思い出せず、みたいなことをしていましたね。
 金髪のおっさんが7の主人公の格好していたりも・・・

物販

 もう1つ、目玉ともいえるのが物販スペースです。
 普通に非電源系の版元から、小売らしきところ、はたまた謎の武器屋や服屋、ゲーム用の家具といったマニアックなものまで、件のトークンもこのスペースで販売されています。
 かつて行ったことがあるドイツのゲーム見本市、エッセンみたいなところです。

 プロツアー・ニューオリンズチャンピオンで、キブラーの勤め先でもあるジャスティン・ゲイリーのゲイリー・ゲームズがテレビのインタビューを受けているのを眺めながら、私に馴染み深いゾーン、ウルトラプロのようなサプライメーカー、アーティストのサイン会にカードディーラーへ。アメリカのグランプリ会場で見たことあるようなディーラーはほぼ全て出展しているので、店巡りをしているだけで1日は潰せそうです。

スリーブ

 とても気に入っていたのに10年近く前に絶版になってしまった、ウルトラプロ製のスリーブが転がっていたので取り置きしてもらうことに。
 物販スペースは午前10時から午後6時までらしいので、荷物になるものはぎりぎりまで持たない方針で。

サイドイベント

 そうこうするうちに、登録していた64人ドラフトの時間になったので再びマジックの会場へと戻って・・・
 遅刻してしまいました。が、まあしゃあない、ということで許してもらえました。
 さすがアメリカ、素晴らしい。

 ですが運営しているソフトのトラブルで、各テーブル上位1人、合計8人が次のドラフトに進めるというシステムなのに何故か11人の3-0が生まれる結果になり、すったもんだの挙句に何故かエクストララウンドを隣の卓の3-0プレイヤーとやらされる羽目に・・・
 これもアメリカか。

 物販スペースもそろそろ終了、取り置きしていた荷物も回収し日本勢を空港に送り出して、お疲れさまということで今回はカバレッジライターではなく遊びに来ていたスティーブン・サディン達とジェンコン・スペシャルビール『ディスティニー』で乾杯。

バー

 というか、ここでも横を見ればステーキを食べながらダース・モールがボードゲームに興じています。
 木曜日から日曜日まではダウンタウン全体がジェンコン祭りといった体で、どこもかしこもこんな感じで24時間何かしらのゲームをやっているらしいです。

バー

ダウンタウン

 そして我々はこれから初日落ちしたやつらと合流してカラオケ!
 は体力の限界を感じてパス。長い長い2日間でした。

ダウンタウン


そして次の旅へ

 今、これを書いているのは土曜日の夜です。

 あの後、日本チームは無事に荷物を回収できた上、旅券の方も問題なく復帰でき、それに加えてウィザーズからスポーツマンシップ賞ということでタクシー代に相当する額が支給されるとのことなので、本戦の結果は残念でしたが、他人事ですが不幸中の幸いはあったかなと思います。

キューブ

 私はというと、昼前に起きだしてもう一度ジェンコンチャンピオンシップの参加権を賭けて64人ドラフトに挑戦するも失敗、あとはマジック・オンラインのジェンコン限定復活キューブドラフトを延々とやっているという1日。賞品があることを知らなくてドラフトを終えてはドロップを繰り返していたのはご愛嬌。

 まあ何時ものマジック三昧といえば、そんな感じといったところですね。


 さて今回はこのあたりで、
 次は私にとっての本番、マジック・プレイヤー選手権についてとなると思います。

 それではまた世界のどこかでお会いしましょう。

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