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木曜マジック・バラエティ

2012.07.19

なかしゅー世界一周2012・第15回：帰国後の日常と旅の準備

By 中村 修平

　冬から夏へ、シーズンの終わりが一気に半年も変わった反動は大きくて、内部事情にはさっぱりな私からでもウィザーズ本社の組織化プレイ担当者がてんやわんやしてそうだなと思えたりするのも度々あります。
　何はともあれ、7～8月はグランプリの開催も少な目で、殺人的スケジュールだった春と比べて、月1～2回程度という全世界に出張する身にはやさしい開催数。
　つまりまとまった期間が空いている訳で、これ幸いと久しぶりの日本を満喫しています。

　例えば和歌山まで『マジック基本セット2013』のプレリリースを兼ねて遊びに行ったり、名古屋の某所にお邪魔してみたり。

　そういえば今週末はお誘いがかかったのでちょっと長野まで温泉旅行に出かけていました。

　3連休パワーというものを見誤って、主に交通機関で大変な目にあったりもしましたが、それより何故旅館の布団はあんなにも寝心地が良いのか。

　旅行中平均12時間睡眠という、なんとも勿体ないことを前回に続きやらかしてしまい。いよいよダメ人間度が次のレベルに到達してしまったのかと慄く次第です。

　と、かなりの勢いでだらけているのですが、こうしてる間にも次のプレミアイベントに向けてやることがあるのです。

　今回は、そんな日本滞在中に何をやっているかについての話をしていきたいと思います。

帰国後の日常編

　一応マジックが主でその他全てが従という生活をしてきた訳ですが、世の大部分の方々と同じように主・従どちらにも必要とされる「お金」について、残念ながら頓着せずにすむというほどにはもらえてはいません。
　ということで、自分でやりくりする必要があります。

　今年に入って気がつけば半分程度は米国で生活している状態になった結果、基本通貨単位が米ドルになってしまった自分がいて驚いたりもしているのですが、これは残念ながら日本に滞在？していると不都合なことこの上ないのです。

　例えば銀行口座の管理ですね。
　空前の円高のおかげで、もらう賞金はそのままドル建て口座に入金、預金という名の塩漬けという流れが確立されてしまっているのですが、あいにく、クレジットカードで決済されるのは日本円建ての別の口座。
　つまり気をつけないとたちまち督促状が送られてしまう、かといって数々の決済にはカードは不可欠。そして米ドル建て口座からのクレジットカードは年会費が高いのです。
　そうした要素からの結論としてこまめなチェック、時にはドルの一部を日本円へという作業を毎月繰り返すことになっていたりします。

　本人が日本にいなければ出来ないという細々な用事は他にも色々ありますが、銀行関連が特に気を使います。
　適当に応対していると、海外からの入送金がマネーロンダリングと疑われて酷い目にあったりもしますからね...
　もちろん、実体験からのトホホ話ですよ！

　また、少し放っておいただけで溜まりすぎていてしばしば絶望的になるメールの処理というのもあります。

　それと、旅から帰ってきてからのカードの整理というのも、こちらに入れてしまっても良いかもしれません。
　基本的に私が無精というのは間違いありませんが、毎セット４枚程度を確保しつつ、特定のカードだけ選んで持ち運びを繰り返していれば、これも先は見えているようなもの。
　少しでも気を許すとたちまちカードが行方不明になってしまうというのは、わりあい洒落ではすみません。
　「流石にデジタルデータなら問題ない」と高を括っていたマジック・オンラインで《タルモゴイフ》３枚を紛失してしまった時以来、強迫観念と化している気がしないでもないのですが・・・

　帰国後に１～２日かけて持ちだしたカードを再整理するというのは、もはやルーチンワークですね。

次の旅行編

　さて帰国後に誘発する恒例のスタックを片付けたところで、ようやく次のフェイズ、新たな旅行計画へと移ることができます。

　この順番でないと、いざ旅券の予約から発券へというタイミングでクレジットカードが使えないといった重大な不具合に遭遇したり、それ以上に面倒な事態になったりしてしまいますからね。

　たまにある質問、「出発のいつ頃前から旅行の計画を立てるか」についてなのですが、
　少なくとも１ヶ月前、余裕がある時は２ヶ月くらい前から計画を立てます。

　その理由については追々お伝えするとして、まずはスケジュールの確認です。
　７月中にグランプリが開催されるのは第３週と第４週、このうち第４週の上海に行くのは確定。

　旅行代理店曰く、韓国・台湾と並んで最も人気、かつ手軽な海外旅行先というのは伊達ではありません。実際沖縄へ行くのと時間的、距離的に見ても大して変わらないのです。

　夏休みという好条件ですし、私のような物好き以外にも結構な数の参加希望者がいそうです。
　ミクシィ上で私が旅行の取りまとめをしているコミュニティに参加者の募集をかけたところ、結構な数の希望者が集まりした。

　募集と同時進行で条件に合った旅程の検索をします。
　月曜日に募集をかけて、旅行代理店が営業していない土曜前までにまとめきる。
　この工程を全てを引っくるめて１週間でできれば上出来ですが、実際には２週間弱。場合によってはそれ以上かかってしまうことがあります。
　先ほどの１ヶ月前というのは、航空券が出発28日前を境にして料金が大きく変動するためで、そして余裕があれば２ヶ月というのはこの取りまとめ作業の期間を念頭に置いてということです。
　もちろん28日前には発券、つまり入金の段階までいかなければ飛行機のチケット取得は完遂しないわけですから、明確なリミットがあるわけです。
　そこに落としこむだけの話なのですが、自分一人ならばともかく、取りまとめる立場としては余裕をもって動きたいものなのです。

　今回はちょっと面白い物件を見つけました。
　旅行会社不明、宿泊ホテル不明、ガイド無しフリーで上海４日間というパックツアー。
　ちなみにお値段の方が、全て込みで私が調べられる限りで調べた往復の航空券より更に20%以上安いという商品。
　正直言って、大手旅行代理店が主催しているから大丈夫だろうと自分に言い聞かせてみても一抹以上の不安は拭えません。
　ホテルの所在地が出発直前になるまで解らないという点も不安を増大させますが、最悪、ホテルだけグランプリ会場近くで追加でとってもまだ安くついてしまうという点で決定。一丁あがり。
　この旅がどうなるのかは、次回の世界一周に取っておくとして・・・

　まだまだ解決すべき案件があります。
　同時進行で処理しなくてならないのは上海の前週、７月第３週のグランプリについてです。
　この週は世界３箇所で同時開催のグランプリがあるのですが、どこへ行くにしても一長一短。
　どこに行くにせよ、上海に参加する以上、日本に帰ってこなくてはならないのです。

　簡単に各グランプリの条件について箇条書きにしてみると、

グランプリ・ゲント（ベルギー／レガシー）
　ヨーロッパで長距離、フォーマット不慣れ

グランプリ・サンパウロ（ブラジル／M13リミテッド）
　フォーマット的には上海と同じで良、ただし超長距離、ついでにビザが必要

グランプリ・コロンバス（アメリカ／モダン）
　距離は３つの中では一番良し、モダンは来月の本番と一緒

　サンパウロはフォーマットがこれからしばらくやることになるM13リミテッド。私が得意なフォーマットなので大いに加点です。
　前回はビザが必要というのを知らなかった、厳密に言えば「日本人が渡航する分にはビザが必要ないが、アメリカから経由した場合は必要になる」ということを知らなかったため、直前でキャンセルせざるを得なかった場所という因縁もあって、かなり「行きたい」寄りの気持ち。

　ですが、安くても2200ドルという旅券代金に加えて、直行便が存在せずアメリカを必ず経由しなくてはならないため、移動時間が片道２日間以上かかってしまう、というのは翌週にグランプリということを考えると非常に厳しいものがあります。
　特に帰りの旅程については考えもので、月曜日にブラジルから帰るにしてもアメリカ到着が火曜日、そこから日本へは時差＋移動時間で木曜日となってしまいます。
　万が一、この旅程のどこかで乗り継ぎできない事態になってしまうと、それだけで上海０日目敗退という事態。これはちょっと現実的ではありません。

　もうひとつの候補、グランプリ・コロンバス。
　こちらは移動距離的には問題なく、大会形式もM13入りのモダン。
　８月末に行われるマジック・プレイヤー選手権（リンク先は英語）のフォーマットがM13ドラフト3回戦、キューブドラフト3回戦、モダン構築6回戦。
　大会全体の半分を占める上、決勝ラウンドはモダン構築ということで事前の練習として参加する価値は充分にあります。

　ですが、M13発売直後という限られた時期に2つの練習を同時進行させることは、最悪どちらも納得できない状態で参加せざるを得ない状態で共倒れという可能性もはらんでしまいます。
　直前のグランプリ・横浜ではそういう状態であっただけに尚更です。

　旅券の手配をしている間、こういった状況について考えてみましたが、考えれば考えるほど第３週のグランプリ行については行くメリットよりもデメリットの方が大きいように思えてきました。
　飛行機中の移動というのは時間的な損失ばかりか、体力をも確実に蝕んでしまいます。
　それは前期に嫌というほど味わいましたし、同じ轍をこんなに近い期間でわざわざ２度踏みに行く必要は感じられません。

　ということで、久しぶりにグランプリの不参加を決めました。

　さて、７月中の予定はこれで埋まりました。
　この勢いで８月の予定も決めてしまうことにします。
　というのも、８月の渡航予定はプレイヤー選手権を中心にしたもの。
　この大会は組織化プレイ担当曰くプロツアー扱いで、ウィザーズ社から旅券支給がついてくるので旅券の値段については心配があまりないのですが、代わりに旅券を取る上でタイムリミットが設定されているのです。

　そのタイムリミットが７月まで。
　それまでには旅程を決めなければいけないのですが、ここでまた少し問題が発生しました。
　ここしばらく、チャネル・ファイアーボールの直前合宿に参加しているのはこの記事で書いている通りなのですが（2012・第3回、2011・第25回と第26回）、今回のプレイヤー選手権も大会に参加する16人中、8人ものチャネルメンバーが名を連ねているのです。

　一緒にモダンの調整をするには率直に言ってしまって数が多すぎるのです。
　単純計算で50%の確率で同士討ちが発生する以上、個々のプレイヤーとしては仲間を倒すのに特化した方が良いという状況です。
　何回か話し合いを重ねた結果、モダンについては小グループに分裂して各々調整。ドラフトについては前週にグランプリ・ボストン、そして前々週のワールド・マジック・カップがあるので集まる機会があれば一緒にやろう、ということで落ち着きました。

　私はというと、ワールド・マジック・カップから参加するジュザと一緒にアメリカで調整しようという話になり、まあもののついでにアメリカ最大の非電源系ゲームコンペディション、ジェンコンとやらを見に行くのも悪くないなというところから、ついでに今回はチャネルという縛りもないので日本人も誘おうという流れになって、だいたいの旅程が完成。

　あとは申請する旅券をウィザーズ社の担当が認可してくれるかどうか、一定の予算内で組まなくてはいけないのに、その予算が幾らなのかは教えてくれないという困難なミッションが待ち構えているのですが・・・
　まあ、これまでも不毛な争いをしながらもそれなりにある程度は譲歩を引き出せたりもしたのでなんとかなるでしょう。

　と、こういう処理を片手間にやっている間に気がつけば１ヶ月が経過。
　グランプリ・上海までもう残り１週間となってしまいました。

　そしてM13が発売されてやっていることといえば、あとはいつもどおりの練習です。
　ドラフトの回数をこなすことは当然として、個々のカード評価やデッキとして見た場合の特性、アーキタイプ、シールド戦の練習。
　上海を迎えるまでに神話レアも含めて、全てのカードを使うか使われるくらいまでには、最低限しておきたいところですね。
　現状で６割方と言ったところ。ドラフトについてはこのペースで、シールド戦についてはもう少しやっておきたいので週末にリミテッド方式の大会があれば参加してみようと考えています。
　久しぶりに余裕を持って練習する時間を取ったのだから、納得した状態で上海に向かいたいものですし、そうしてみようと思います。

　それではまた次回、次は上海でお会いしましょう。