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渡辺雄也の「リミテッドのススメ」
第39回:どらふと色シンフォニー?『イニストラード』 リミテッドグランプリの結果を分析!
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渡辺雄也の「リミテッドのススメ」
2011.10.26
第39回:どらふと色シンフォニー~『イニストラード』 リミテッドグランプリの結果を分析!
みなさんこんにちは。渡辺です。
今週末にはグランプリ・広島が開催されますね。
参加を予定されている方はそろそろ使うデッキも決まり、デッキの最終調整に勤しんでいる頃かと思います。
先々週に行われたグランプリ・ブリスベンの結果で大きくメタゲームが動いたわけですが、今回の広島ではどのようなデッキが活躍するのか、今から楽しみですね。(リンク先は英語カバレージ)
詳しいことは明日の津村の連載で語られると思うので、明日の更新をお楽しみに!
という感じの津村へプレッシャーをかけるだけの前振りはこのくらいにして、そろそろ今週の内容に移りたいと思います。
実はこの10月は1週目のイニストラードの発売以降、毎週のように世界各地でグランプリが開催されていました。
- 1週目・イニストラード発売
- 2週目・グランプリ・ミラノ(リミテッド)
- 3週目・グランプリ・ブリスベン(スタンダード)
- 4週目・グランプリ・アムステルダム(レガシー)
- 4週目・グランプリ・サンティアゴ(リミテッド)
(リンク先はそれぞれ英語カバレージ)
といったかなりのイベントラッシュ。
イニストラードが発売されてから、世界各地は大賑わいですね。
そのイベントラッシュの中でフォーマットがリミテッドで行われたイベントは2つ。
グランプリ・ミラノとグランプリ・サンティアゴです。
まだ環境初期といえるこの時期に行われたリミテッドグランプリ。この結果を見過ごす手はないですね。
というわけで今回は、グランプリ・ミラノとグランプリ・サンティアゴの結果を見ていこうと思います。
まずはグランプリ・ミラノから。
グランプリ・ミラノ
7 《森》 8 《平地》 1 《山》 1 《ガヴォニーの居住区》 1 《ゆらめく岩屋》 -土地(18)- 2 《アヴァシンの巡礼者》 1 《教区の勇者》 1 《宿命の旅人》 1 《無私の聖戦士》 2 《小村の隊長》 1 《物騒な群衆》 1 《礼拝堂の霊》 1 《果樹園の霊魂》 1 《村の鐘鳴らし》 1 《霊廟の護衛》 1 《天使の監視者》 1 《憤怒を投げる者》 -クリーチャー(14)- |
1 《収穫の火》 2 《勇壮の時》 1 《夜鳥の手中》 1 《旅の準備》 1 《旅行者の護符》 1 《銀の象眼の短刀》 1 《アヴァシンの仮面》 -呪文(8)- |
グランプリ・ミラノを制したのは緑白タッチ赤の人間デッキ。
《天使の監視者》と《ガヴォニーの居住区》という2大強力レアに加え、14体のクリーチャーの内11体が人間クリーチャーという構成なので《教区の勇者》と《小村の隊長》を十分に活用できる構成になっています。
レアありシナジーありの強力デッキですが、タッチ赤で《収穫の火》を使っているのは、純正白緑2色ではまったく除去がないからでしょう。
《憤怒を投げる者》もカードとしては強く、また人間なのでこのデッキでのタッチは納得です。
2枚入っている《勇壮の時》は最近、僕の中で評価が上がってきているカード。
環境に軽いコンバットトリックが少ないので警戒されにくく、絆魂によるライフ回復でタイトなダメージレースを一気に有利にしてくれるのも高評価。
環境の基本トリックが3マナなので、2マナで打てるこのカードは相手の意表を突くことが多々ありますね。
全体的に非常にまとまっていてかつレアもある良デッキ。
優勝も納得です。
グランプリ・ミラノの決勝ドラフトでは非常に面白いデッキを組んでいるプレイヤーがいるので、そちらも紹介しておきます。
7 《島》 5 《沼》 3 《平地》 -土地(15)- 2 《チフス鼠》 1 《縫い師の見習い》 1 《甲冑のスカーブ》 1 《金切り声のコウモリ》 1 《その場しのぎのやっかいもの》 1 《腐敗した沼蛇》 1 《カラスの群れ》 1 《嵐霊》 1 《霊捕らえの装置》 -クリーチャー(10)- |
2 《感覚の剥奪》 1 《死の重み》 1 《夢のよじれ》 1 《信仰の縛め》 1 《叱責》 1 《閉所恐怖症》 3 《血まみれの書の呪い》 1 《幽霊の憑依》 1 《神聖を汚す者のうめき》 1 《血統の切断》 2 《旅行者の護符》 -呪文(15)- |
プロツアー・フィラデルフィアを制し、プロフィール写真がいつもドヤ顔なSamuele Estrattiがドラフトしたのは、なんとライブラリーアウト。
基本戦術は相手の攻勢を守りに守って、3枚の《血まみれの書の呪い》で相手のライブラリー切れを狙う戦法のようです。
カード選択も守りを意識したものが多いですね。
特に普段では使うことの無いような《幽霊の憑依》も、このデッキなら優良除去として働いてくれるでしょう。
自分が攻めるのはライフではなくライブラリーなので、相手に無敵のブロッカーが出ても大した問題ではないですからね。
土地を15枚まで削っていますが、そこは2枚の《旅行者の護符》でカバー。
《旅行者の護符》なら色マナも安定しますし、このデッキはゲームを長引かせるコンセプトなので余計な土地を引きたくないので限界まで土地を絞っての選択ですね。
惜しくも準決勝で負けてしまっていますが、デッキのコンセプト自体はかなり面白く、また必要なパーツも安くて集めやすいので、こういった戦術もあるということを覚えておきましょう。
続いて先週行われたグランプリ・サンティアゴの結果を見ていきましょう。
グランプリ・サンティアゴ
8 《島》 9 《沼》 -土地(17)- 2 《戦墓のグール》 1 《チフス鼠》 1 《歩く死骸》 1 《錯乱した助手》 1 《瞬唱の魔道士》 2 《グール起こし》 2 《マルコフの上流階級》 1 《金切り声のコウモリ》 1 《甲冑のスカーブ》 1 《縫い合わせのドレイク》 1 《その場しのぎのやっかいもの》 1 《月鷺》 1 《血統の守り手》 1 《血の贈与の悪魔》 -クリーチャー(17)- |
1 《グール呼びの詠唱》 1 《祭壇の刈り取り》 1 《雲散霧消》 1 《禁忌の錬金術》 1 《神聖を汚す者のうめき》 1 《霧の中の喪失》 -呪文(6)- |
グランプリ・サンティアゴを優勝したのは青黒のゾンビデッキ。
《縫い合わせのドレイク》《その場しのぎのやっかいもの》といった青の主力クリーチャーと、それらをちゃんと運用するための《錯乱した助手》《甲冑のスカーブ》《禁忌の錬金術》も用意されていて、
もしそれらを対処されてしまったら《グール呼びの詠唱》と2枚の《グール起こし》で回収という、分かりやすくかつ理想的な青黒ゾンビです。
レアも《血統の守り手》/《系統の王》と《血の贈与の悪魔》という爆弾レア2枚が用意されていて、クリーチャー陣はほぼ磐石。
スペル枠に除去がないのだけが心残りですが、それを差し引いてもクリーチャー陣が強いので、かなり強力なデッキと言って良いでしょう。
《縫い合わせのドレイク》や《その場しのぎのやっかいもの》はよく墓地にクリーチャーが落ちずプレイでできずに手札でもじもじすることもありますが、このデッキは2枚つづの《戦墓のグール》と《マルコフの上流階級》が入っているので序盤からプレッシャーをかけられる構成になっています。
特に《マルコフの上流階級》は放置してゲームできるクリーチャーではないので、大抵の場合は相手のクリーチャーを相打ちしていきます。
こういった序盤から相打ちしやすいクリーチャーを使うことで、墓地肥やしのカードを引かなかった時でも《縫い合わせのドレイク》《その場しのぎのやっかいもの》を上手く使える構成になっています。
色々なところのカードの選択を考えられているのは、流石優勝デッキと言ったところですね。
サンティアゴのTOP8からも、もう一つデッキを紹介します。
こちらもイニストラード環境の代表的なアーキタイプです。
9 《森》 8 《平地》 -土地(17)- 2 《アヴァシンの巡礼者》 1 《アヴァシン教の僧侶》 1 《暗茂みの狼》 1 《精鋭の審問官》 1 《幽体の乗り手》 3 《エストワルドの村人》 1 《村の鐘鳴らし》 1 《果樹園の霊魂》 2 《修道院のグリフィン》 1 《忌まわしきものの処刑者》 1 《スレイベンの歩哨》 1 《森林の捜索者》 -クリーチャー(16)- |
2 《信仰の縛め》 2 《旅の準備》 1 《蜘蛛の掌握》 2 《銀の象眼の短刀》 -呪文(7)- |
チャネルファイヤーボール(CFB)のエース・PVがドラフトしたのは、白緑の《旅の準備》デッキ。
先週も書きましたが、《旅の準備》は本当にコモンとは思えないほど強力なカード。
これがコモンにあるから白緑というアーキタイプが成立してしまうほどです。
PVのデッキは爆弾レアはありませんが、デッキとしてはかなりまとまっていて、2枚づつの《旅の準備》と《銀の象眼の短刀》でクリーチャーを強化していく分かりやすい白緑ビート。
除去も《信仰の縛め》が2枚取れていて、クリーチャーも豊富に取れているので中々良いデッキになっています。
残念ながらPVは初戦敗退という結果でしたが、白緑のアーキタイプのお手本としてはかなり参考になるので、ここで紹介しておきました。
個人的には緑白はこの環境で一番強く、また安定しているアーキタイプだと思っています。
緑と白のコモンは全体的に優秀で、青や黒のカードと違って単体で使いやすいのでカード間のシナジーを考えなくてもある程度は使えるという分かりやすさもあります。
コモンが貧弱な黒や赤とは違って、白と緑はコモンだけで強力なデッキを組むことができるのはドラフトにおいてかなりの強みです。
ただその分人気も高いので、狙う場合は卓の状況をしっかり把握して狙うように。
両面カードのおかげで上家や下家の色は比較的早めに分かるので、それらを見て判断しましょう。
今回はここまで。
先週の鍛冶さんの記事でプレイヤー・オブ・ザ・イヤー(POY)レースについて触れられていますが、今回のグランプリ・サンティアゴでアメリカのOwen TurtenwaldがTOP4という成績を残したことにより、だんご状態だった上位陣から一歩抜け出す形となりました。
現在1位のOwenが54点。
2位がLSVとBen Starkが48点同士で並んでいて、上位はCFBの独占状態になっています。
一応その次につけているのが僕で現在46点。
その次がヤソで44点といった感じです。
トップのOwenとの点差はかなり大きいですが、CFB(チャネルファイヤーボール)勢はグランプリ・広島には不参加ということらしいので、今回が点差を詰めるチャンス!
今回のグランプリ・広島はそういった意味でも非常に重要なイベントになりそうです。
是非とも良い成績を残して点差を縮めたいところですね。
では今回はこの辺で。
また来週お会いしましょう。
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