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渡辺雄也の「リミテッドのススメ」
第38回:Draft/Zero?『イニストラード』ドラフト点数表 赤・緑・その他編
読み物
渡辺雄也の「リミテッドのススメ」
2011.10.19
第38回:Draft/Zero~『イニストラード』ドラフト点数表 赤・緑・その他編
こんにちは。渡辺です。
今回も前回に引き続き、イニストラードの点数表を作っていこうと思います。
先週で黒までやったので、今回は残りのカード全てに点数を付けていきます。
前回の記事を読んでないという方はそちらを読んでからどうぞ。
点数の基準も前回と同じです。一応載せておきますね。
点数 | 基準 |
10 | 神カード。見たら取るべし。確定初手。 |
9 | 爆弾カード。これ1枚でゲームに勝てるようなカード。初手~2手目。 |
8 | かなり優秀なカード。流れてきてもおかしくないが、初手でも問題ないレベル。初手~3手目。 |
7 | 優良カード。是非デッキに入れたいレベル。2~4手目。 |
6 | 普通にデッキに入るくらいのカード。3~6手目。 |
5 | ぎりぎりデッキに入るぐらいのカード。5~8手目。 |
4 | できればデッキに入れたくないようなのカード。枚数が足りないときに仕方なく使うレベル。または特殊な条件でのみ使用するカード。7~9手目。 |
3 | サイドボード要員。基本はデッキに入らない。10~12手目。 |
2 | よほどのことがない限りデッキに入れることはないカード。12~14手目。 |
1 | 何をしてもデッキに入らないレベル。ほぼ14手目。 |
では早速赤の点数表から。
赤
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赤のトップは《小悪魔の遊び》。
リミテッドでただでさえ強いX火力がフラッシュバックで再利用できてしまうのは流石にやりすぎでしょう。
最悪3色目としてフラッシュバックは諦めて使ってもいいので、ほとんどの場合流れてくることはないですね。
《冒涜の行動》はこの環境のラスゴ枠。
環境的にクリーチャーが並ぶので低マナで打ちやすく、打った後にクリーチャーを展開できることもあるので、従来の全体除去よりも非常に使いやすくなってます。
それとマナ拘束がシングルシンボルなので、3色目として使えるのも評価できるポイントですね。
イニストラード環境はクリーチャーに比べて呪文が相対的に弱いので、このような1枚で盤面に大きなインパクトを与えるカードはかなり重宝します。
余程の事情がない限りはタッチしてでも使うようにしましょう。
《地獄の口の中》は6マナと重いですが、環境にあるほとんどのクリーチャーに対処できる貴重な除去。
制限付き除去の多いイニストラード環境では、どんなクリーチャーにも対処できるのはかなり偉いです。
変身クリーチャーが変身した後でも簡単に対処できるので、6マナという重さのデメリットを差し引いても十分使用に値するカードですね。
ごく稀に相手のレア土地に対処できたりして嬉しいことも。
ではコモンTOP5に移ります。
赤のトップコモンは《硫黄の流弾》。
3マナで3点という標準的な火力ですが、陰鬱すれば一気に5点火力に早代わり。
流石に3マナで5点は偉大です。これだけ他の赤のコモンと性能が違いすぎますね。
《裏切りの血》は今回のレイコマ枠。
この連載ではもうおなじみの「レイコマハスクコンボ」の片割れですね。
ただ今回のイニストラードにはコモンに「ハスク」能力を持ったクリーチャーが少ないので、相方探しがちょっと大変。
同じ色の《スカースダグの信者》や、マナはちょっとかかりますが《縫い師の見習い》あたりのカードが相方ですね。
今回の赤のコモンは全体的に弱めに設定されています。
3位の《収穫の火》も青と組み合わせれば使いやすいですが、それ以外の色では使いにくいことこの上ないですし、クリーチャー陣に関しても全体的にサイズが低いです。
特にタフネスが低いものが多く、相打ちしやすいので攻めきれないような場面が多々起こります。
今回の赤は黒と同じく、「弱い色」という評価ですね。
ただコモンが弱い分レアには強いカードが多いので、黒と同じくレアを引いたら始めるという感じですね。
もしレアを引けなかったときにどうしても赤をやる場合は、軽量クリーチャーを揃え、《裏切りの血》や《夜鳥の手中》などのカードを使って無理やり攻めていくようなデッキを組む戦略がよいかと。
今回の赤いカードは前のめりなものが多いので、とにかく攻める感じでデッキを組むと良いでしょう。
続いて緑。
緑
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緑のトップは《情け知らずのガラク》/《ヴェールの呪いのガラク》。
まぁ分かりやすい強力なプレインズウォーカーですね。
変身前は毎ターン2/2作成とクリーチャー除去。
これだけでも十分壊れた強さですが、変身後は1/1の接死作成・クリーチャーサーチ・ゲームエンドの《踏み荒らし》能力と至れり尽くせり。
弱点を挙げるとすれば、初期忠誠度が3と若干低めなので、パワー3以上の飛行に弱いこと。
コモンには《月鷺》、アンコモンまで含めればそこそこいるのでまったく対処できないというわけでもありませんが、それらのカードとも最悪相打ちはできるので、最悪でも及第点の仕事はします。
逆に地上で攻めてくるような相手にはただただ無双しますね。
リミテッドでのプレインズウォーカーが弱いわけがないので、見たら取るようにしましょう。
ちなみに実際にピックしたら上家から強烈なヘイトを食らう可能性もありますが、そこはご愛嬌ということで。
そういやどこかの今年殿堂入りする人が、練習のドラフトで同じパックからFoilの《情け知らずのガラク》と通常の《情け知らずのガラク》を引いて悶絶してたことがありました。
やはり殿堂入りクラスとなるとカードの引きも違いますね。まじはんぱねーっす。
《夜明けのレインジャー》/《黄昏の捕食者》は変身前・変身後共に強力な緑のシステムクリーチャー。
ただし変身後は能力の起動に赤マナを要求されるので、もし赤をやってないときにこいつを使う場合は能力起動のために《山》を2枚ほどデッキに忍ばせておくようにしましょう。
能力が使えないなら《エストワルドの村人》/《エストワルドの吠え群れ》以下になってしまいますからね。
続いてコモントップ5。
緑のコモントップは《旅の準備》。
今回の点数表でコモンから8点をつけた唯一のカードです。
とにかく盤面の影響が大きく、2・3ターン目にクリーチャーを出して4ターン目にこれを表裏で唱えるだけで勝ってしまうことも。
緑白で使うのが一番良いですが、緑だけ使っている場合でもとりあえずデッキに入れて、2~3枚の《平地》をフラッシュバック用に入れて使うのが良いでしょう。
最悪フラッシュバックできなくてもそれなりの仕事はするので、フラッシュバックは後半に打てればいいかくらいの感覚で。
最初リストを見たときに「このアンコモン強いなー」と思って見ていたのですが、実際にイニストラードドラフトをプレイしたらコモンの枠にあって本当にびっくりしました。
どう見てもアンコモンのスペックでしょう。
《捕食》は緑の今回の除去枠。
クリーチャーのサイズが基本的に大きい緑はこれで一方的に討ち取れる相手が多いですね。
環境にインスタントで介入してくるカードが少ないのと、1マナという軽さが魅力です。
今回緑をやるなら是非確保しておきたいカードです。
今回の緑は全体的にカードの質が高く、どの色と組み合わせてもある程度デッキになる優秀な色。
コモンの層の厚さだけなら他の4色よりも断然高いですね。
その分爆弾級のレアは少なめになっているので、そこら辺でバランスを取っていますね。
中盤以降に取れるコモンでも他の色の上位コモン相当に当たるので、流れが良いと感じたら是非やりたい色ですね。
次は多色を。
多色
点数 | カード |
10 | 《オリヴィア・ヴォルダーレン》 |
9 | 《死体生まれのグリムグリン》 |
8 | 《邪悪な双子》 |
6 | 《聖トラフトの霊》 |
多色のトップは《オリヴィア・ヴォルダーレン》。
本当は10点ではなく1000点くらい付けたかったのですが、評価が10段階までしかないので渋々の10点。
自分でも何を言ってるのか良く分かりませんが、それくらいこのカードがぶっ壊れているということです。
書いてあることが2マナにつき1点打てる砲台+繰り返し使える《精神の制御》。
お茶目なことに1点打つたびに自身はサイズアップしていくらしいです。
構築視点で見ればまぁ可愛いもんですが、リミテッド視点で見るとただのお化けですね。
環境にある除去でこれを簡単に対処できるのが《大物潰し》くらいしかないのも追い風。
《硫黄の流弾》や《収穫の火》ではサイズアップする前しか対処できませんからね。
要はただの神カード。
デッキを3色にしてでも使う価値はあるので、見たら取りましょう。
《死体生まれのグリムグリン》も《オリヴィア・ヴォルダーレン》には及びませんが、それでもかなりの強さ。
攻撃するたびに相手のクリーチャーを倒しつつサイズアップしていくのはかなりの制圧力です。
何度も運用するためにはアンタップ用のクリーチャーが必要ですが、そこは黒の利点を生かして《グール起こし》や《グール呼びの詠唱》などでクリーチャーを使いまわすようにすると良いでしょう。
《死体生まれのグリムグリン》自身もゾンビなので、対処されてしまってもこの2枚なら回収することができますからね。
《聖トラフトの霊》は3マナのクリーチャーで6点とダメージ効率は高いですが、自身の戦闘能力が低いので何かしらのバックアップ手段を用意して使うようにしましょう。
《戦慄の感覚》で相手のクリーチャーをタップしつつ殴ったり、《幽体の飛行》なんかを付けることができれば速やかにゲーム勝てますね。
では次はアーティファクトです。
アーティファクト
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アーティファクトのトップは《荘園のガーゴイル》。
守ってよし攻めてよしの万能クリーチャーです。
特に守るときは破壊されないのでトリックなどを気にせずに戦闘できるのがいいですね。
攻めるときは相手の立っているマナに注意。
相手が3マナ立たせている時は《叱責》や《蜘蛛の掌握》で返り討ちにあってしまう可能性があるので、そういったトリックカードに注意しましょう。相手が3マナ立っていない状態で殴るのが理想ですね。
《肉屋の包丁》はかの凶悪装備品《ロクソドンの戦槌》を彷彿とさせるカードですが、装備したときに絆魂を得るのが人間だけなのと、トランプルがつかなくなって本家よりは弱体化。ただそれでも十分強いのでこの点数です。
《肉屋の包丁》が取れたときはできるだけ人間を意識してピックするようにしましょう。
イニストラードは人間が多いので自然と集まることもありますが、意識してピックすればより多く人間が集まりますからね。
《悪魔の長帷子》は見た目は使いづらいですが、見た目よりもシナジーが多くあるカード。
自分から任意で陰鬱を達成できますし、《スレイベンの歩哨》/《スレイベンの民兵》に至っては変身条件を達成しつつ装備する動きも可能です。
生け贄用のクリーチャーとしては《宿命の旅人》や《上座の聖戦士》のような、ただでは死なないクリーチャーを用意したいですね。《裏切りの血》のサクり台としても使えます。
使いにくいカードではありますが、+4/+2と修正値はかなり大きいので使えた時のリターンはかなり大きいですね。
最後は土地ですね。
土地
点数 | カード |
9 | 《ガヴォニーの居住区》 |
9 | 《ケッシグの狼の地》 |
7 | 《ムーアランドの憑依地》 |
6 | 《ネファリアの溺墓》 |
6 | 《ステンシアの血の間》 |
6 | 《ゆらめく岩屋》 |
5 | 《断崖の避難所》 |
5 | 《内陸の湾港》 |
5 | 《孤立した礼拝堂》 |
5 | 《硫黄の滝》 |
5 | 《森林の墓地》 |
3 | 《幽霊街》 |
土地のトップは《ガヴォニーの居住区》と《ケッシグの狼の地》の2枚。
スタンダードでもよく使われているこの2枚ですが、その強さはリミテッドでも健在です。
《ガヴォニーの居住区》の全体強化も、《ケッシグの狼の地》の一転突破も、機能し始めたらすぐにゲームを終わらせられるほどの破壊力を持っています。
土地が盤面に与える能力としては破格と言っていいでしょう。
他の《ムーアランドの憑依地》《ネファリアの溺墓》《ステンシアの血の間》の3枚に関しては、2色とも色が合ってれば使うといった感じですが、この2種に関してはデッキを3色にして無理やりでも使う価値が十分あります。
もし3色で使う場合はデッキの色マナベースの都合なども考えて、18枚目の土地として入れるのが良いでしょう。
《ゆらめく岩屋》はフラッシュバック呪文のサポートとして重宝します。
イニストラードのフラッシュバック呪文はフラッシュバックのコストが元の色と違うものが多いので、《ゆらめく岩屋》はそういう呪文を無理なく使えるようにしてくれます。
フラッシュバックコストの為に自分のデッキの色とは違う色の土地を入れるのは色マナ事故の危険が増しますが、その色マナの負担が軽減されるのはかなりありがたいですね。
今回はここまで。
以上が僕のイニストラード点数表となります。
毎度口をすっぱくして言っていますが、点数表のというのはあくまでもカード毎の大まかな評価であって、点数表の通りにドラフトすれば良いというわけではありません。
それまでにピックしたカードの状況によってその場で必要なカードは変わってきますし、デッキのバランスやマナ域の都合で敢えて弱いカードを選択するときもあります。
そういった微妙なところの線引きは、実際に練習して覚えていくしかありません。
今月末はグランプリ・広島がありますが、それが終わると同時に、The Limitsの地区トーナメントに加えプロツアー「闇の隆盛」予選と、リミテッドシーズンに入ります。
グランプリ・広島に参加する方はスタンダードの調整で忙しいでしょうが、そうでない方はLimits地区トーナメントとプロツアー予選に向けてイニストラードリミテッドの練習をしておけば、グランプリ参加組より環境の理解度に差がつくのは明白。
今からでもやっておいて損はありません。練習で得た経験というのは絶対に裏切ることはありませんからね。
それと今週末にはイニストラードリミテッドの大型イベントでもあるグランプリ・サンティアゴが開催されます。
興味のある方は週末のカバレージをお見逃しなく。
では今回はこの辺で。また来週お会いしましょう。
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