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コラム

木曜マジック・バラエティ

浅原晃の「デッキタイムトラベル!」 Part2?赤緑

読み物

木曜マジック・バラエティ

2011.02.17

浅原晃の「デッキタイムトラベル!」 Part2-赤緑

By 浅原 晃

 皆さん、こんにちは。

 今回のデッキタイムトラベルは赤緑のデッキを取り上げよう。マジックのビートダウンの基本として語られることが多いクリーチャーと火力の組み合わせ、プレイヤーの原始的な欲求を満たしてきた赤と緑は歴史において何を作り出し、何を残してきたのか、そして、最近の活躍は?、それではさっそく、レッツタイムスパイラル!


1995年 黎明期

 黎明期の赤緑デッキで有名なのは「ヴァイスエイジ」だろう。

Henry Stern 「ヴァイスエイジ」
世界選手権95・ベスト4 / スタンダード[MO] [ARENA]
7 《》7 《
4 《カープルーザンの森
2 《ドワーフ都市の廃墟
4 《露天鉱床

-土地(24)-

2 《ラノワールのエルフ
3 《オークの木こり
2 《疾風のデルヴィッシュ
2 《オーグ
1 《シヴ山のドラゴン

-クリーチャー(10)-
3 《Zuran Orb
4 《黒の万力
4 《稲妻
1 《崩壊
3 《火葬
1 《チャネル
4 《吠えたける鉱山
3 《嵐の束縛
2 《ジョークルホープス
4 《火の玉

-呪文(26)-
2 《疾風のデルヴィッシュ
2 《ルアゴイフ
2 《崩壊
3 《紅蓮破
3 《紅蓮地獄
3 《Anarchy

-サイドボード(15)-

 「ヴァイスエイジ」は《黒の万力》と《吠えたける鉱山》を軸にしたデッキだ。このデッキはビートダウンというよりは、構造としては殆どクリーチャーを用いていないため、コンボデッキに近いかもしれない。ただ、《黒の万力》は非常に優秀な1マナクリーチャーであると考えることもできる。、継続的なダメージとはつまりはクリーチャーに与えられた利点そのものだ。速攻を持った《野生のナカティル》のように、《黒の万力》が対戦相手にダメージを与え続け、それが効力を失ったときには、最終的には火力でとどめを刺す。それはビートダウンそのものと言えるだろう。

 《黒の万力》が制限されると、ヴァイスエイジというデッキは姿を消すが、そのビートダウンの構造は赤緑に引き継がれている。


1996年 スパイダーマン

 《森を護る者》というカードがある。

 《森を護る者》は殿堂プレイヤー、オーレ・ラーデが作ったインビテーショナルカードだ。このクリーチャーはジャッジメントで収録されたものだが、その起源は古い。このカードに登場する彼の分身が大きな蜘蛛に乗っているのがその証拠だろう。何故なら蜘蛛がもっとも活躍した構築のプレミアイベントは後にも先にも、彼が優勝したプロツアー・コロンバスしかないからだ。

Olle Rade 「バグバインド」
プロツアー・コロンバス96 優勝 / アイスエイジ・ブロック構築[MO] [ARENA]
7 《
7 《
4 《カープルーザンの森

-土地(18)-

4 《Fyndhorn Elves
1 《ゴリラのシャーマン
2 《嵐のシャーマン
4 《Wooly Spider
4 《巨大トタテグモ
2 《Orcish Cannoneers
4 《命取りの昆虫

-クリーチャー(21)-
4 《ウルザのガラクタ
2 《Lodestone Bauble
2 《巨大化
4 《火葬
2 《Lava Burst
1 《紅蓮地獄
3 《略奪
2 《嵐の束縛
1 《ジョークルホープス

-呪文(21)-
1 《Zuran Orb
2 《紅蓮破
2 《紅蓮地獄
2 《Essence Filter
1 《Monsoon
1 《道化の帽子
2 《難問の秘儀具
1 《氷の干渉器
1 《Anarchy
1 《Primitive Justice
1 《ジョークルホープス

-サイドボード(15)-

 このデッキはアイスエイジブロック構築で作られた赤緑のビートダウンデッキだ。このデッキの名前「バグバインド」は大量に入った虫(Bug)と《嵐の束縛》(Storm Bind)の組み合わせから来ている。このプロツアーでは《Thawing Glaciers》などのアドバンテージを重視したデッキが注目されていたが、オーレ・ラーデはこの不恰好に見える赤緑ビートダウンを使い優勝という快挙を達成した。

 今で考えると本当に大丈夫なのか?と思えるサイズの《巨大トタテグモ》や《命取りの昆虫》といったクリーチャーが入っているのは、当時のメタゲームに《紅蓮地獄》や《剣を鍬に》といった強力な除去が存在していたことが大きな要因として挙げられるだろう。蜘蛛達のタフネス3は《紅蓮地獄》に耐えうるし、《命取りの昆虫》は剣を鍬に変えるなんてことはしない。だからと言って、この虫達が使えるかというのは半信半疑だと思うが、他にいいクリーチャーが居ないというのもある。ブロック構築、しかもアイスエイジブロックである。まあ、だからといって、《甲鱗のワーム》に出番はなかったことは一応書いておこう。

 「バグバインド」はそのカードの質はともかく、赤緑ビートダウンとしては模範的なデッキだ。火力としての《火葬》や《Lava Burst》に加えて、恒久的な火力である、《嵐の束縛》は赤緑の色を選択するのに十分なカードパワーを持っているといえるだろう。

 しかし、スタンダードシーンでは、その蜘蛛が栄光と権力を握ることは無かった。古く強い緑のクリーチャー象徴《アーナム・ジン》が居たために蜘蛛が入る隙間なんていうのはほんの少ししか無かったのだ。アラビアンナイトに登場した《アーナム・ジン》は当時としては破格の4マナ4/5、デメリットも致命的になる局面が少なかったために、高パワー、火力に耐えうるタフネスとして一線級の活躍を見せていた。

鶴田 慶之 「アーニーバーン」
世界選手権96 37位 / スタンダード[MO] [ARENA]
8 《
2 《
4 《カープルーザンの森
1 《ヘイヴンウッドの古戦場
4 《ミシュラの工廠
4 《露天鉱床

-土地(23)-

2 《極楽鳥
4 《Spectral Bears
3 《エルフの射手
2 《巨大トタテグモ
4 《アーナム・ジン
1 《ヤヴィマヤの蟻
1 《ルアゴイフ

-クリーチャー(17)-
4 《稲妻
2 《巨大化
1 《黒の万力
3 《火葬
2 《粉砕
1 《嵐の束縛
2 《ネビニラルの円盤
1 《ハリケーン
1 《火の玉

-呪文(20)-
3 《疾風のデルヴィッシュ
1 《ルアゴイフ
1 《Zuran Orb
2 《赤霊破
2 《粉砕
1 《火葬
1 《平穏
1 《Primitive Justice
1 《Anarchy
2 《地震

-サイドボード(15)-

 使用者に導師・鶴田 慶之、デザインに業師・中村 聡。当時の日本を牽引していた2人の名前がクレジットされているこのデッキは、《アーナム・ジン》を軸に火力を組み合わせた「アーニー・バーン」と呼ばれるデッキだ。クリーチャーとしては、《アーナム・ジン》とコストパフォーマンスに優れた《Spectral Bears》がメインのアタッカーとなっている。それに、定番の火力である《稲妻》、《火葬》、そして、制限カードの《黒の万力》が1枚入っている形だ。この段階で既に、赤緑ビートダウンというアーキタイプは確立されていたといえるだろう。正確な起源は分からないが赤緑ビートダウンのことはこの時代から、ステロイドと呼ばれるようになった。

 「ネクロの夏」と呼ばれるほどに《ネクロポーテンス》が全盛期だったことから、その弱点であるダメージを稼ぐデッキの最先鋒として機能するデッキだった。より早く相手を倒す、そういう目的なら、赤緑ビートダウンというのは最適なアーキタイプの一つだろう。


1997年 コントロールとビートダウン

 本質的にビートダウンとコントロールはどちらが優勢なのか?という問題は今でも論議が分かれるところだろう。この問題では、もちろん、その時代の強いカードがどちら側にあるかという事実が大きいが、この1996年10月に《露天鉱床》が制限、そして1997年1月1日に禁止されたことは、この時代の強さの天秤をコントロール側に傾かせるのに十分だった。

 コントロールデッキはマナを多く使うためにビートダウンに比べ、土地事故が深刻な問題になる。特に4マナ目の《神の怒り》が使えるかどうかは重要な分水嶺だろう。それを阻害できるものとしては《露天鉱床》は最高であり、さらに言えば、それによって押さえられていた最強デッキ《Kjeldoran Outpost》を使った「カウンターポスト」を封じているカードだったのだ。つまるところ、そこから解き放たれた青白コントロールは日本でも大流行し、多くのトッププレイヤーがコントロールデッキを使うことになった。

 しかし、そんな中でもステロイドを愛好し続ける人が居た。しかも、勝っていた。

 ピンと来たあなたは古くからのプレイヤーか、もしくはマジックの記事をよく読む勉強家だろう。そう、その人こそ、現在ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社に勤める真木 孝一郎だ。

真木 孝一郎 「Steroid ' 97 Winter」
97アジア選手権 5位 / スタンダード[MO] [ARENA]
7 《
7 《
2 《真鍮の都
2 《Mountain Valley
4 《ミシュラの工廠

-土地(22)-

3 《ラノワールのエルフ
4 《Spectral Bears
4 《エルフの射手
3 《ジョルレイルのケンタウルス
4 《アーナム・ジン
2 《ワイルドファイアの密使

-クリーチャー(20)-
2 《緋色のダイアモンド
2 《巨大化
4 《稲妻
2 《火葬
2 《石の雨
2 《略奪
2 《地割れ
2 《ケアヴェクの火吹き

-呪文(18)-
1 《バルデュヴィアの大軍
2 《命取りの昆虫
3 《赤霊破
2 《地に平穏
2 《ボガーダンの鎚
1 《Splintering Wind
1 《地震
1 《ハリケーン
1 《爆破

-サイドボード(15)-

 このデッキは通常のステロイドに比べ、土地破壊が多く取られているのが特徴だ。これは、序盤のダメージリソースを《神の怒り》から守ることだけでなく、強力な土地《Thawing Glaciers》と《Kjeldoran Outpost》を破壊する目的がある。また、土地破壊はときに相手の土地事故とかみ合うこともある、イージーな勝ち方も土地破壊を加えた際の魅力だろう。

 クリーチャー選択としては、当時の基本的なものが多いが、ついに蜘蛛が抜け、《ジョルレイルのケンタウルス》が採用されている、サイズこそ熊サイズだが、被覆と側面攻撃の2つの能力を持っており、蜘蛛よりも攻撃に優れたクリーチャーと言えるだろう。

 何より、この時代にステロイドを持ち込んだということ自体が赤緑の原始的な魅力を表しているのかもしれない。当の本人が、単純にカウンターが嫌いということを言っていたような気がしないでもないが、それは置いておこう。


1998~2000 冬の時代から『火』の時代

 2色デッキというのは色の足し算だ。お互いがいいところを持ち寄り足していく。

 例えばここで、赤と緑のクリーチャー、そして赤と緑の除去を少し比べてみるとしよう。

 お互いが得意な分野だけを足しあうことで、より強いデッキを作り上げる。緑と赤はよりビートダウンという視点でその弱点を補完し利点を強化してきた。それが、このマジックで色を増やす利点でもある。

 しかし、テンペストブロックで生まれた一つの事実は、赤緑を後押しはしなかった。何故なら、赤は単色でも十分に戦えるようになったからだ。これは第0回の赤単編と合わせて見て欲しいところだが、多色化するよりも、単色の方が《不毛の大地》などを採用しやすい分、赤単の方が安定した強さを持ったということになっていた。手札を素早く使い切り《呪われた巻物》で止めを刺す。その戦略に明確な弱さが無いならば、多色化するメリットは薄くなっていった。

 また、より多色化するならば、2色にこだわらないという時代でもあった。《知られざる楽園》や《宝石鉱山》など、優秀な5色地形が存在したために、多くのビートダウンデッキが色を増やすならば、全ての色からいいとこどりをした方が良いという方向性を持っていたのだ。5CBや5CGといったデッキが活躍したのは自然の摂理と言っていいかもしれない。色は増やせるならば増やした方がいろいろな役割を増やせるというのは間違いないからだ。

 それに、この時代は真っ当なステロイドと呼ばれるデッキには環境的にも逆風だった。

 エクソダスから加わった《ドルイドの誓い》や《適者生存》など、魅力的なエンチャントは圧倒的なボードコントロール力を持っていたからだ。カードパワーではなく、そもそもの戦略も機能しているとは言い難かった。

 1999年になると激動のウルザブロックはコンボデッキの嵐で幕を明け、禁止カードの制定により、その嵐もやむが、その後にビートダウンは単色を主流として以降する。黒単ヘイトレッド、白単シャドー、赤単スライ、そして、緑単色のストンピィ。それぞれが、色の長所を最大限生かしたデッキで、あり、例えば、緑に赤を足せば強くなるということは殆ど無かった。

 赤緑のデッキが本格的に一線級に復活したのは、2000年のことになる。

 このときの時代背景を少しおさらいしよう。この当時もっとも強かったデッキは《補充》デッキだ。それに対抗した生まれたデッキがいくつかあるが、今回の走りとなるデッキはトリニティ・グリーンと呼ばれるマナ拘束型の緑単色デッキだ。補充デッキは非常に受けの広いデッキではあるが、マナ拘束にだけは弱い。強いカードが4マナに集中しているために、そのマナに達しない状況を作られると何も出来ずに負けてしまう。

 その弱点を突いたのが《すき込み》や《からみつく鉄線》を使ったトリニティグリーンであった。

 トリニティグリーンからの変化はメタゲームというものを示すのによく使われるので知っている人も多いかもしれないが、当然、相手よりも早く動きマナを拘束しなくてはいけない関係上、トリニティグリーンはそのマナ加速がデッキの肝である。そのマナ加速はマナクリーチャーに頼っているために、そのマナ加速クリーチャーを殺されてしまうと途端に重いカードが使いづらくなってしまう。そこで、生まれたのがアングリー・ハーミットだ。

森 雅也 「アングリーハーミット」
アジア太平洋選手権00優勝 / スタンダード[MO] [ARENA]
6 《
2 《
4 《カープルーザンの森
2 《樹上の村
1 《真鍮の都
1 《スランの採石場
3 《ガイアの揺籃の地
4 《リシャーダの港

-土地(23)-

4 《ラノワールのエルフ
4 《極楽鳥
4 《ティタニアの僧侶
2 《スカイシュラウドの密猟者
4 《マスティコア
4 《錯乱した隠遁者

-クリーチャー(22)-
4 《弧状の稲妻
3 《略奪
4 《からみつく鉄線
4 《すき込み

-呪文(15)-
4 《ヤヴィマヤの古老
2 《調和ある収斂
4 《沸騰
3 《ファイレクシアの処理装置
2 《火炎弾

-サイドボード(15)-

 アングリー・ハーミットはトリニティグリーンに勝つために作られたメタデッキだ。《弧状の稲妻》などは劇的に効くカードで、マナクリーチャーを纏めて焼き払うことができた。さらに、土地と《マスティコア》対策の《略奪》。赤を入れたことで、サイドに《沸騰》を取れることなども、メタゲーム上の利点になっていた。

 しかし、面白いのは、さらにメタゲームによって進化したアングリー・ノン・ハーミットというデッキが生まれたことだろう。ちょっと、紹介が遅れたが、このハーミットとは《錯乱した隠遁者》のことになる。

 《錯乱した隠遁者》はウルザズレガシーのエコー持ちクリーチャーで、2/2トークンを4体ばらまく、驚異的なクロックを持っていた。
 トリニティグリーンから派生したデッキは、あくまで一時的なマナの優位を築くことしかできない、《からみつく鉄線》などがその特徴を示したいい例だろう。そのため、相手がマナ拘束を受けている間に倒すだけのダメージ源を用意する必要があった。それが《錯乱した隠遁者》だ。

 ただ、この隠遁者も《地震》などの火力に対しての脆弱さを持っており、もし全体火力が使われる前提ならば、《ブラストダーム》といったそもそも大きいクリーチャーの方が強いという発想に至る、そしてこれはメタゲーム的な正解の一つと言って良かった。

Janosch Kuhn 「アングリー・ノン・ハーミット」
世界選手権00 第7位 / スタンダード[MO] [ARENA]
10 《
4 《
4 《カープルーザンの森
4 《リシャーダの港
2 《黄塵地帯

-土地(24)-

4 《極楽鳥
4 《ラノワールのエルフ
2 《ティタニアの僧侶
4 《ブラストダーム
4 《なだれ乗り
2 《マスティコア

-クリーチャー(20)-
4 《弧状の稲妻
4 《石の雨
1 《忍び寄るカビ
1 《ファイレクシアの処理装置
4 《すき込み
2 《はじける子嚢

-呪文(16)-
2 《ウークタビー・オランウータン
1 《マスティコア
2 《荒残
4 《沸騰
2 《火炎弾
1 《忍び寄るカビ
1 《ファイレクシアの処理装置
1 《木っ端みじん

-サイドボード(15)-

 このときのデッキで使われている、《ブラストダーム》と《はじける子嚢》はまだメタゲームの産物である。それが、真価を発揮するのは、インベイジョンブロックの登場からで、それとともに一気にブレイクすることになる。これが、歴史的にもっとも有名な赤緑のデッキ「ファイヤーズ」の誕生である。

 ファイヤーズのファイヤーとはインベイジョンで加わった《ヤヴィマヤの火》のことを指す。《ヤヴィマヤの火》は赤緑のマルチのカードで自分のコントロールする全てのクリーチャーに速攻を持たせることができ、さらに「置き《巨大化》」の効果もあったので、2枚目以降もそこまで無駄にならず、デッキに4枚組み込みやすかった。最大の武器は消散を持っているクリーチャーとの相性の良さであり、それが暴力的なまでの効果を発揮していた。

 このとき、規格外のクリーチャーまたはクリーチャーを生み出すものとして認識されつつあった、《ブラストダーム》と《はじける子嚢》は《ヤヴィマヤの火》を得て、まさに鬼に金棒を得た状態になったと言えるだろう。インベイジョン発売直後のスタンダードで行われた2000年のプロツアー・シカゴでは、多くのプレイヤーが火を起こし、《ブラストダーム》を苗木トークンを、そしてドラゴンを速攻で突っ込ませていたのも自然な流れなのかもしれなかった。

Zvi Mowshowitz 「My Fires」
プロツアー・シカゴ2000 第7位 / スタンダード[MO] [ARENA]
10 《
5 《
4 《カープルーザンの森
4 《リシャーダの港
2 《黄塵地帯

-土地(25)-

4 《極楽鳥
4 《ラノワールのエルフ
4 《ブラストダーム
3 《翡翠のヒル
3 《双頭のドラゴン

-クリーチャー(18)-
4 《暴行+殴打
4 《キマイラ像
4 《ヤヴィマヤの火
4 《はじける子嚢
1 《地震

-呪文(17)-
4 《カヴーのカメレオン
2 《もつれ
3 《野火
2 《恭しき沈黙
3 《地震
1 《抹消

-サイドボード(15)-


 その中でも鮮烈に印象に残っているのが、奇才ズヴィが作り上げたデッキ、My Firesだ。ズヴィは理論派で知られ、コラムニストとして多くのマジックの記事を寄稿している。その中でもこのデッキについて書かれた記事は全7回にも及び、デッキの構造から、どのデッキに対してどのカードを使っていくのか、サイドボードの理論まで、デッキは理論そのものによって組まれるべきというのを世間について知らしめることになった。

 実際、マジックというのは理論が軽んじられる傾向にあるのかもしれない。経験が慣習となり、先入観などが邪魔をする。しかし、それを取り払うことが出来るのが理論である。

 ズヴィのコラムのほんの一端ではあるが、《リバー・ボア》は強いカードではあるが、このデッキに2マナのカードは必要はないという話がある。確かにこのデッキではそうだが、この当時、もっとも強い2マナ圏のクリーチャーであった《リバー・ボア》を例に出して、その先入観の間違いをデッキの理論で説いたズヴィを高僧のように感じた人も多かった。

 《双頭のドラゴン》が使われている点にも注目だろう。これは、筆者すら覚えていないことだが、大澤 拓也(プロツアー・プラハ06優勝)が言うには、当時ほぼ初対面だった大澤と筆者がトレードし、《双頭のドラゴン》をトレードして貰った筆者が、「これで、ズヴィになれる」と言って去っていったらしい。本当か?と思うが、何か言ってそうで怖い。というか多分言っているのだろう、まあ、それほどまでにこのデッキが衝撃的だったということにしておいて欲しい。

 デッキをいかに美しく、そして機能的に作るかというのを説いたデッキでもあった。


2001 ステロイドデッキの復活

 プロツアー・シカゴ以降、プレーンシフトから《火炎舌のカヴー》を手に入れ、スタンダードでさらにファイヤーズが活躍する中、インベイジョン・ブロック構築でも赤緑ビートダウンが活躍した。

Ryan Fuller
プロツアー・東京01 5位 / インベイジョン・ブロック構築[MO] [ARENA]
10 《
9 《
4 《シヴのオアシス
1 《ケルドの死滅都市

-土地(24)-

4 《荊景学院の使い魔
4 《疾風のマングース
4 《カヴーのタイタン
2 《ヤヴィマヤの蛮族
4 《怒り狂うカヴー
4 《荊景学院の戦闘魔道士
2 《火炎舌のカヴー
4 《スキジック

-クリーチャー(28)-
4 《ギトゥの火
4 《ウルザの激怒

-呪文(8)-
3 《ガイアの伝令
4 《雷景学院の戦闘魔道士
2 《火炎舌のカヴー
2 《翡翠のヒル
1 《迫力の一撃
3 《過ぎたる実り

-サイドボード(15)-

 マナ加速からのコンボ要素を秘めたのがファイヤーズとしたら、このデッキは古きステロイドを踏襲するデッキである。マナ加速は《荊景学院の使い魔》のみで、このデッキは単純に力で押していく。つまり、久しく忘れていた単体で優秀なクリーチャーと火力の組み合わせで相手を倒すことに全力を傾けたデッキだ。

 プロツアー・東京の優勝者は前述したズヴィだが(デッキは青白「ソリューション」)だが、予選ラウンドの主役はこのデッキを駆るライアン・フューラーだった。

 ライアン・フューラーはこのデッキで予選ラウンドを全勝で駆け抜けた。マジックの大会は知っての通りスイスラウンド形式であり、予選ラウンドは2回ないし3回までは負けてもトップ8に残ることができる。この全勝は殆ど意味の無い行為かもしれないが、本来は誰も出来ないため、そんな意味の無さを論じることすら意味が無かった。14-0という成績は後にLSV(ルイス・スコット=バルガス)が16-0で予選を駆け抜けるまで破られることなく、また、同一デッキのみで行われる単体フォーマットのプロツアーとしてはいまだ唯一の記録と言えるだろう。

 このデッキが全勝できるデッキだったのは、このデッキがどこを切っても強いカード、マナ加速などの行動に頼っていない安定したデッキだからだ。速攻持ちのクリーチャーは純粋に打撃力を上げていたし、トランプルを持った《スキジック》や《カヴーのタイタン》は黒いデッキには必ず入っていたといっていい《夜景学院の使い魔》の再生能力を乗り越えていった。

 火力の優秀さもこのデッキを支えていたものだろう。《ギトゥの火》と《ウルザの激怒》は殆どのデッキで4枚ずつ採用されていたカードで、これによって長期戦にも強い構造が備わっていた。力で押す形の赤緑ビートダウン、まさにステロイドと呼ぶに相応しい形のこのデッキは、次の環境での一つの基準として使われていくことになる。

 そして、オデッセイが発売されると、同時にマスクス・ブロックが落ち、ファイヤーズは姿を消す。もちろん、《ヤヴィマヤの火》は存在していたが、鬼に金棒の金棒だけでは何も出来ない。やはり強いのは鬼だったのだろう。


 オデッセイブロックではいくつかのシステムが採用されているが、その中でももっとも環境に影響を与えたのが共鳴者だ。共鳴者とは手札からカードを捨てて何らかの効果を発揮するもので、代表的なのが《サイカトグ》とそして《野生の雑種犬》になるだろう。

 《野生の雑種犬》は最強の熊(2マナ2/2)とも言われるクリーチャーで、あらゆる緑のデッキで使われた。さらに《獣群の呼び声》といった息切れしにくいクリーチャー供給エンジンも入り、世界は赤緑ステロイドとサイカトグが二分していくことになる。

 そして、いろいろなパターンの赤緑ステロイドが組まれていったが、その中でも石田 格作の「般若の面」はかなり印象的だ。

石田 格 「般若の面」
The Finals01 優勝 / スタンダード[MO] [ARENA]
6 《
3 《
4 《カープルーザンの森
2 《硫黄泉
2 《モスファイアの谷
2 《デアリガズのカルデラ
2 《ラノワールの荒原
1 《シャドーブラッドの尾根

-土地(22)-

4 《ラノワールのエルフ
4 《野生の雑種犬
4 《カヴーのタイタン
3 《疾風のマングース
3 《ヤヴィマヤの蛮族
4 《呪文散らしのケンタウルス
4 《火炎舌のカヴー

-クリーチャー(26)-
4 《炎の稲妻
4 《獣群の呼び声
4 《ウルザの激怒

-呪文(12)-
4 《強迫
4 《殺戮
4 《たい肥
2 《破壊的な流動
1 《

-サイドボード(15)-

 このデッキはサイカトグを目の敵にした構造になっている。特に《呪文散らしのケンタウルス》を採用しているのが特徴で、当時どの青いデッキにも入っている《排撃》に対する解答になっていた。《ヤヴィマヤの蛮族》や《疾風のマングース》で序盤でダメージを稼げるように作られており、最終的には《ウルザの激怒》で仕留めるのは定番だが、とにかく青いデッキに楽をさせない、捌かれないように作られているのが分かる。逆に言えば、この時期の青いデッキがどれだけ強かったのかということになるのだろう。


2002~2003 環境の変化

 2002年3月 トーメントでマッドネスというシステムが加わると、緑のデッキの中に青緑マッドネスというデッキが生まれる。この青緑マッドネスの利点を一言で表すなら、ブン回りという言葉かもしれない。

 例えば、高橋 優太の持論に「ブン回りがあるデッキが強い」というのがあるが、その理論だけを取るなら、この時代に一番強いのは青緑マッドネスだ。マッドネスを使ったデッキは、早いターンに強力なクリーチャーを高速展開することができ、そのサイズで戦場を圧倒していった。現にブロック構築では黒単か青緑のどちらかしかいないとさえ言われるような状況になっていたのだ。

 その中で赤緑ステロイドの組み合わせは強くはあるものの、さして強力なシナジーの無いデッキという位置にいた。

 しかし、オンスロートブロックが加わり、インベイジョンブロックが落ちるとまた状況が変わっていく。《嘘か真か》の脱落により青が大幅に弱体化し、サイカトグが一気にその勢力を弱めたからだ。逆にステロイドは《焦熱の火猫》を得て、さらに青が《排撃》を失ったことで《象の導き》や《幻影のケンタウロス》が相対的に強くなったことが後押しされていた。

熱田 直央
日本選手権03 6位 / スタンダード[MO] [ARENA]
6 《
5 《
4 《カープルーザンの森
4 《樹木茂る山麓
2 《モスファイアの谷
2 《蛮族のリング

-土地(23)-

1 《極楽鳥
3 《ラノワールのエルフ
3 《渋面の溶岩使い
3 《日を浴びるルートワラ
4 《野生の雑種犬
3 《焦熱の火猫
3 《幻影のケンタウロス
1 《刃の翼ロリックス

-クリーチャー(21)-
3 《炎の稲妻
3 《火山の鎚
4 《獣群の呼び声
3 《象の導き
3 《激発

-呪文(16)-
4 《ゴブリンの名手
4 《たい肥
3 《鋭い痛み
2 《脅しつけ
2 《突然の衝撃

-サイドボード(15)-

 当時の基本的な赤緑ステロイドのパーツを集めたデッキになっている。3枚カードが多いのはデッキの動きに幅を持たせるため。スロットを増やす魔法とは製作者の談だ。


2003~2005 ミラディンの破壊王

 オデッセイ・ブロックが退場しミラディン・ブロックが入ると、赤緑ステロイドは最速のデッキでは無くなる。そもそも、オンスロート・ブロックは部族、ミラディン・ブロックはアーティファクトと、色の組み合わせではなく、どちらかと言えばシステムが支配する環境になってきていた。赤はゴブリンがもっとも早く、オンスロートのデッキ構築に関わるシステムはサイクリング、そして、ストームであり、それを軸にデッキが組まれた

 これにさらにミラディンから親和が加わると最速の親和にどうやって対処していくかという環境に変化していく、ダークスティール発売後は電結親和が圧倒的な力を見せており、それによって表舞台に出れこれなかったデッキ(青黒コントロールなど)も多くあった。

 しかし、赤と緑が優れている点にアーティファクト破壊がある。電結親和が強ければ強いほどに、相対的にではあるが赤と緑の組み合わせもフューチャーされていく。ミラディン・ブロック構築では、アーティファクト破壊に極度に特化した「フレッシュ・メーカー」というデッキもいた。ただ、こうしたデッキはあくまで赤緑ステロイドの本質ではなく、ビートダウンよりのコントロールといったほうがいいかもしれない。親和より早くというのは無理なのでそれをまずを防ぐことが重要な環境だった。

 また、オンスロートの部族であるゴブリンが優秀であったことから、赤のクリーチャーに緑のアーティファクト破壊呪文という、本来とは逆のパターンのデッキも生まれた。

藤田 剛史
日本選手権04 優勝 / スタンダード[MO] [ARENA]
12 《
4 《
4 《樹木茂る山麓
3 《真鍮の都

-土地(23)-

4 《ゴブリンのそり乗り
3 《スカークの探鉱者
4 《火花鍛冶
4 《ゴブリンの戦長
4 《ゴブリンの名手
3 《ゴブリンのうすのろ
3 《つつき這い虫
4 《包囲攻撃の司令官

-クリーチャー(29)-
4 《静電気の稲妻
4 《酸化

-呪文(8)-
3 《ヴィリジアンのシャーマン
4 《頭蓋骨絞め
4 《帰化
4 《星の嵐

-サイドボード(15)-

 メインから《酸化》が4枚、サイドから《帰化》と《ヴィリジアンのシャーマン》が合わせて7枚加わった強烈な対アーティファクトシフトを引いている。この尖ったデッキ構成が許容されるのも、親和が異常なまでの強さを持っていたことの証明だろう。

 部族であるゴブリンはオンスロートブロックが落ちるまでこのままの形で残っていくが、赤緑という形は禁止カードにより親和デッキが消滅すると、《弧炎撒き》や《貪欲なるベイロス》などを中心としたビーストデッキという形に姿を変えていった。

 この後、神河ブロックには赤緑ラッシュというデッキがあるが大して盛り上がらなそうなので、ここでは割愛しよう。気になったひとは検索して調べてみよう。


2006年 グルール・ビート

 色の組み合わせは様々な言葉で形容される。例えば、黒青赤はクローシス、青黒白はドロマー、もしくはエスパーなど、それが、定着するかしないかも様々だが、そのセット特有の言葉で色の組み合わせが示されることは多色エキスパンションが生まれるたびにそれは季節風のように起こる。ラブニカ・ブロックは、ギルドに支配されており、ギルドは色の組み合わせで示されていたことから、この時代の赤緑のビートダウンはギルドの名前を取ってグルール・ビートと呼ばれる。

Mark Herberholz 「グルール・ビート」
プロツアー・ホノルル06優勝 / スタンダード[MO] [ARENA]
7 《
6 《
4 《カープルーザンの森
4 《踏み鳴らされる地
2 《怒りの穴蔵、スカルグ

-土地(23)-

4 《密林の猿人
4 《焼け焦げたルサルカ
3 《激情のゴブリン
4 《瘡蓋族のやっかい者
4 《世慣れたドライアド
4 《炎樹族のシャーマン
4 《巨大ヒヨケムシ

-クリーチャー(27)-
4 《黒焦げ
3 《血の手の炎
3 《腐れ蔦の外套

-呪文(10)-
2 《ブリキ通りの悪党
2 《喧騒の貧霊
4 《梅澤の十手
2 《帰化
4 《血染めの月
1 《血の手の炎

-サイドボード(15)-

 グルールはギルドパクトで加わったギルドだ。この赤緑のデッキはまさにステロイドなデッキと言いたいが、むしろ、さらに尖ったスライ的な動きといってもいいかもしれない。本来、赤緑のステロイドは打撃力のあるクリーチャーと火力という組み合わせが一般的だ。ただ、このデッキではパワーが1のクリーチャーも多く使われている。狂喜を持つ《瘡蓋族のやっかい者》の条件を達成したいというのが大きな理由の一つだろう。このデッキは最高打点の回りをすることで、一瞬で相手を倒すこともできた。

 個別のクリーチャーでは《巨大ヒヨケムシ》の強さが際立っている時代だった。ボードコントロールデッキも多くいた環境だけに、除去をかわせる能力と《神の怒り》の返しでダメージを稼ぐことができるというのは非常に重要だったからだ。

 このグルール・ビートの台頭によって、赤緑のビートダウンはメタゲームの一角にビートダウンとしては久々に食い込んでいった。


2007年 時のらせん

 赤緑にとって感慨深い、一つのカードが帰ってきたのが時のらせんだ。決して《アーナム・ジン》ではない、実は彼はすでにジャッジメントで戻ってきていたが、《幻影のケンタウロス》が居たせいで日陰者となり、そのまま去ってしまっていた。時のらせんで戻ってきたカードというのは《嵐の束縛》だ。今回のコラムで紹介した「バグバインド」に含まれていたカードだ。

 この《嵐の束縛》は主に時のらせんブロック構築で使われた。

斎藤 友晴
プロツアー・横浜07 4位 / 時のらせんブロック構築[MO] [ARENA]
15 《
4 《
2 《ペンデルヘイヴン
4 《広漠なる変幻地

-土地(25)-

4 《巻物の大魔術師
4 《血騎士
4 《モグの戦争司令官
4 《硫黄の精霊
4 《ティンバーメア

-クリーチャー(20)-
3 《暴行+殴打
4 《癇しゃく
4 《裂け目の稲妻
4 《嵐の束縛

-呪文(15)-
4 《ワイルドファイアの密使
4 《死亡+退場
3 《ユートピアの誓約
4 《怒鳴りつけ

-サイドボード(15)-

 赤のクリーチャー陣に緑をサポートとして加えたデッキになっている。余談ではあるが、プロツアー横浜でもっとも使われた基本地形は山、島、森の順番になっており。赤と緑がメタの中心の一つにいたと環境といえるだろう。

 そして、時のらせんブロック構築ではもう一つ注目すべき、別の形の赤緑がある。それがビッグマナだ。ビッグマナと呼ばれる赤緑デッキはコントロールに近い構成になっている。

大礒 正嗣
プロツアー・横浜07 7位 / 時のらせんブロック構築[MO] [ARENA]
11 《
6 《
4 《広漠なる変幻地
2 《ウルザの工廠

-土地(23)-

4 《根の壁
2 《なだれ乗り
4 《幽体の魔力
3 《ボガーダンのヘルカイト

-クリーチャー(13)-
2 《虹色のレンズ
4 《死亡+退場
4 《明日への探索
3 《獣群の呼び声
4 《調和
4 《ムウォンヴーリーの酸苔
3 《分解

-呪文(24)-
2 《なだれ乗り
2 《砕岩を食うもの
2 《大いなるガルガドン
4 《ユートピアの誓約
3 《硫黄破
2 《鋸刃の矢

-サイドボード(15)-

 このデッキはマナ加速を駆使して、高マナ域、《ボガーダンのヘルカイト》などのクリーチャーを叩きつける戦略を取る。このアプローチ自体はアングリーハーミットなどにも通じるものがあるが、、このデッキはアングリー・ハーミットと違いマナ加速をクリーチャーに頼ってはいないので、爆発力はなく、また、そこまでマナを押さえ込む力は無かった。ただ、時のらせんブロックの次元の混乱で《調和》というドローソースを得たことで、緑はマナ加速とカードアドバンテージを両立させられる色になっており、このデッキには非常に有効に働いているといえるだろう。

 このビッグマナという構想は弾切れを起こしやすい本来不安定なものだが、ドローソースがあれば安定感は段違いになる。調和》によって、このビッグマナ系のデッキはこれ以降、赤緑の一つの主流になっていく。


2008~2009 部族とアラーラ

 色そのものが他のシステムとつながっているということがある。

 ローウィン・ブロックというのは部族をテーマにしたサイクルだ。ローウィンの部族はそれぞれに複数の色と関わりを持っている。例えば、黒緑ならエルフ、青黒ならフェアリー、白赤なら巨人などなど、しかし、何故か赤緑を基準にした部族は無かった。ゆえに、ローウィンのシステムを利用した、赤緑のデッキはほとんどない。この時代の赤緑のデッキでもっとも有名なのは、時のらせんから引き継いだ赤緑ビッグマナのシステムだ。 

Marijn Lybaert
プロツアー・ハリウッド08 6位 / スタンダード[MO] [ARENA]
10 《冠雪の森
1 《冠雪の山
4 《樹上の村
4 《燃え柳の木立ち
2 《高地の森林
3 《ロノムの口

-土地(24)-

4 《根の壁
4 《台所の嫌がらせ屋
4 《カメレオンの巨像
3 《雲打ち
1 《不気味な戯れ児

-クリーチャー(16)-
4 《雪崩し
4 《北方行
2 《秋の際
4 《炎渦竜巻
4 《調和
2 《原初の命令

-呪文(20)-
4 《タルモゴイフ
4 《月の大魔術師
1 《雲打ち
1 《フェアリーの忌み者
2 《紅蓮地獄
3 《野生語りのガラク

-サイドボード(15)-

 ビッグマナ系のデッキはマナランプとも呼ばれ、さらにコールドスナップの氷雪土地を加えたものは、スノウ・ランプと呼ばれる。マナ加速をしつつ、《雪崩し》や《炎渦竜巻》などの優秀な対クリーチャー除去を使って盤面をクリアにし、より大きなクリーチャー《カメレオンの巨像》や《雲打ち》で対戦相手を倒していった。クリーチャー選択からも、フェアリーデッキの流行が読み取れる、よりコントロールに進化した赤緑のデッキはメタゲームの影響を受けて作られているからだろう。


2010~2011 最高のクリーチャーとヴァラクート

 最後に紹介するのは一つのクリーチャー、そして、一つのデッキだ。

 一つは僕が最高の赤緑のクリーチャーだと思っている《血編み髪のエルフ》だ。アラーラ再誕で生まれたこのエルフは続唱という能力が付いており、強力なテンポ、カードアドバンテージを持っている。速攻でダメージ能力が高く、ときには《荒廃稲妻》が、あるときには《聖遺の騎士》が付いてくる。アラーラの環境は3色環境だったために、赤緑2色のデッキというのは組まれにくかったが、赤緑を中心にジャンド、ナヤといった勢力が支配的だったのは間違いない。その理由のほとんどは、この《血編み髪のエルフ》にあるといっても過言ではない。何せ、バグバインドに入れれば、《巨大トタテグモ》が出てしまうのだ。

 そして、最後に紹介するのは《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》デッキだ。このデッキは赤緑のデッキとしては環境に対してもっとも支配的な存在となった赤緑のデッキだろう。

後藤 祐征
The Finals 2010 準優勝 / スタンダード[MO] [ARENA]
11 《
5 《
4 《溶鉄の尖峰、ヴァラクート
3 《新緑の地下墓地
2 《進化する未開地
2 《広漠なる変幻地

-土地(27)-

3 《ラノワールのエルフ
4 《原始のタイタン
4 《ゼンディカーの報復者

-クリーチャー(11)-
4 《探検
4 《カルニの心臓の探検
3 《耕作
3 《砕土
4 《召喚の罠
4 《稲妻

-呪文(22)-
4 《ジョラーガの樹語り
3 《転倒の磁石
2 《紅蓮地獄
2 《自然の要求
3 《槌のコス
1 《コジレックの職工

-サイドボード(15)-

 元々は《血編み髪のエルフ》や《探検の地図》を使ったどちらかといえばローグ的なコンボデッキだったが、《原始のタイタン》が基本セット2011で加わると簡単に1枚で勝てるようになり、一気に使用者が増加した。今、多くのトーナメントで、1番人気のデッキになっている。

 赤緑のデッキは常に存在してるデッキではあったが、それが一番の主流になることはほとんど無く、基本的なデッキと言われていた。しかし、少し前は環境で最高のカードが赤緑のクリーチャーであり、そして今の環境ではヴァラクートは支配的な数を誇っている。時代とともに赤緑という色の立ち位置が変わってきているのかしれない。


 赤緑というデッキはステロイドのように速度で殴ることも、ビッグマナのようにマナと大きなカードで勝負することもできる色だ。確かなことは、常に直線的で基本的にはまだるっこしいことはしないということだろう、それはここまでの歴史が物語っている。僕もコントロールフリークではあるのにも関わらず、赤緑のビートダウンデッキを使い続けていた時期もある。それは、それが単純に楽しかったからというのは間違いない。

 マジックの楽しさというのは様々なバリエーションがある。赤緑のデッキはそのうちの一つを満たしてくれると思う。たまには《マナ漏出》を置いて出かけてみてはどうだろうか。
 
 


おまけ 筆者のお気に入りのデッキ
浅原 晃 「ゴブリンパターン」
プロツアー・コロンバス04 / エクステンデッド[MO] [ARENA]
9 《
1 《
4 《カープルーザンの森
4 《樹木茂る山麓
2 《モスファイアの谷

-土地(20)-

4 《スカークの探鉱者
4 《モグの狂信者
4 《ゴブリンの群衆追い
4 《火花鍛冶
3 《宝石の手の焼却者
4 《ゴブリンの女看守
4 《ゴブリンの戦長
1 《ゴブリンの首謀者
1 《包囲攻撃の司令官
1 《弧炎撒き
1 《白金の天使
1 《怒りの天使アクローマ

-クリーチャー(32)-
4 《金属モックス
4 《再誕のパターン

-呪文(8)-
4 《火炎舌のカヴー
2 《ゴブリンのうすのろ
1 《ゴブリンの首謀者
1 《鏡割りのキキジキ
1 《映し身人形
1 《隔離するタイタン
4 《帰化
1 《

-サイドボード(15)-

 何かしらんけど外人に褒められたデッキ。ゴブリンの集団から突然現れる《怒りの天使アクローマ》たるや、もはや哲学としかいいようが無いんじゃないでしょうか。

 それでは、また次回に会いましょう。

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