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シングルカードストラテジー:《荒廃鋼の巨像》

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シングルカードストラテジー

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By 八十岡 翔太

大きい=強い

 マジックをやっている人が1度は通ると思うこの図式。

 自分も昔は《根切りワーム》や《サイの暴走》を使っていた事がありました。
 皆さんは大きいクリーチャーといって何を思い浮かべますか? 《甲鱗のワーム》でしょうか?それとも《ニコル・ボーラス》でしょうか? 大きいクリーチャーと言ってもたくさんいますので、それぞれ違うものを思い浮かべると思います。

 自分が真っ先に思い浮かべたのは《サルディアの巨像》です。

 《サルディアの巨像》はマジックで最初に登場した巨像になり、独特なイラストからいまだにファンも多いクリーチャーでもあります。このイラストはかなり威圧感があり、今でもすぐイメージする事ができます。
 残念ながら構築では活躍の場がほとんどありませんでしたが、それでも《チャネル》から出して《賦活》をつけたり、《動く死体》で釣って《麻痺》で起こしたりと、カジュアルではがんばって使われていた記憶があります。

茶単の時代

 そこから5年の時を経てウルザズ・サーガに次の巨像が現れました。それが「コロ助」の愛称でも知られる、《ファイレクシアの巨像》です。

 《ファイレクシアの巨像》は《サルディアの巨像》と比べて一回り小さいですが、コストが{7}と比較的安く、「3体以上にしかブロックされない」という実質ブロックされないような能力を持っています。
 代わりに、アンタップする為のコストがマナからライフ8点というかなりのデメリットに変わっていますが、このウルザ・ブロックといえば《修繕》や《通電式キー》などの《ファイレクシアの巨像》をサポートするカードがあり、大量のマナを出せるアーティファクトや土地があったため茶単というデッキが存在し、活躍する事になりました。

Dave Humpherys
プロツアー・ニューヨーク1999 Top4 / ウルザブロック構築[MO]
12 《
7 《
4 《トレイリアのアカデミー

-土地(23)-

3 《なだれ乗り
1 《火口の乱暴者
3 《ゴブリンの溶接工
1 《銀のゴーレム、カーン
1 《ワタリガラスの使い魔
1 《チクタク・ノーム
1 《ヴィーアシーノの異端者
2 《ファイレクシアの巨像
1 《ガラクタの壁

-クリーチャー(14)-
1 《大あわての捜索
4 《修繕
3 《弧状の稲妻
4 《ギックスのかぎ爪
4 《通電式キー
4 《厳かなモノリス
1 《ファイレクシアの処理装置
1 《シタヌールのフルート
1 《命綱

-呪文(23)-
1 《ゴブリンの溶接工
2 《ヴィーアシーノの異端者
1 《火口の乱暴者
1 《弧状の稲妻
1 《荒残
1 《蒸気の突風
2 《秘儀の研究室
1 《押収
1 《研磨石
1 《エネルギー・フィールド
1 《冬眠
1 《ファイレクシアの処理装置

-サイドボード(15)-
Cassy McCarrel
プロツアー・ニューヨーク1999 優勝 / ウルザブロック構築[MO]
13 《
6 《
4 《トレイリアのアカデミー
1 《離れ島
1 《薄煙の火口

-土地(25)-

2 《ファイレクシアの巨像
1 《火口の乱暴者

-クリーチャー(3)-
4 《修繕
1 《天才のひらめき
3 《弧状の稲妻
4 《燎原の火
4 《厳かなモノリス
1 《ミシュラのらせん
1 《ファイレクシアの処理装置
2 《ギックスの指輪
3 《束の間の開口
4 《通電式キー
3 《摩滅したパワーストーン
2 《押収

-呪文(32)-
3 《ウェザーシード・フェアリー
1 《シヴのヘルカイト
1 《変異種
4 《荒残
2 《溶融
2 《冬眠
2 《押収

-サイドボード(15)-

 1999年にあったプロツアー・ニューヨークでは、トップ8のうち5人が《修繕》デッキでした。《ファイレクシアの巨像》も大活躍だったに違いないでしょう。


歯と爪とダークスティールと

 それから5年後、今までの巨像の常識を覆すものが出てきました。

 それが《ダークスティールの巨像》です。
 今までの2体とは違い、デメリットなんて持っていませんでした。それどころか、ダークスティール製なので破壊されないというメリットがつきました。もちろんのこと、トランプルも健在です。
 これが出たときは自分も少し驚いた覚えがあります。{11}マナと今までと比べても更に重いとはいえ、破壊ではない除去があまりないスタンダードでは「出てしまったら勝ち」といっても過言じゃありませんでした。

 そして《ダークスティールの巨像》を得た事で強くなったデッキがありました。そう、《歯と爪》デッキです。

Craig Kremples
アメリカ選手権04 優勝 / スタンダード[MO]
15 《
1 《
4 《樹木茂る山麓

-土地(20)-

4 《極楽鳥
4 《ぶどう棚
4 《ワイアウッドの共生虫
4 《ウッド・エルフ
4 《ヴィリジアンのシャーマン
2 《ワイアウッドの伝令
1 《ダークスティールの巨像
3 《トリスケリオン
2 《映し身人形
1 《クローサの拳カマール

-クリーチャー(29)-
4 《頭蓋骨絞め
4 《花盛りの春
3 《歯と爪

-呪文(11)-
2 《隔離するタイタン
1 《トリスケリオン
2 《忘れられた古霊
4 《酸化
2 《帰化
4 《紅蓮地獄

-サイドボード(15)-

 これは「エルフ&ネイル」というダークスティールが出てから成立したデッキで、当時のアメリカ選手権で優勝しています。
 大量のエルフと《頭蓋骨絞め》でデッキを掘り進めて《歯と爪》でフィニッシュ、という流れがメインで、このころはまだ《頭蓋骨絞め》の強さが目立ち、《歯と爪》や《ダークスティールの巨像》などはおまけ程度でした。

 しかし、基本セットが第8版から第9版になり、ウルザランドが再録された事により単純に《歯と爪》を撃つデッキが出てきました。

諸藤拓馬『レイザートロン』 / デザイン:三原槙仁
日本選手権05 優勝 / スタンダード[MO]
4 《
1 《
4 《ウルザの魔力炉
4 《ウルザの鉱山
4 《ウルザの塔
4 《ヤヴィマヤの沿岸
1 《先祖の院、翁神社
1 《すべてを護るもの、母聖樹

-土地(23)-

4 《桜族の長老
2 《永遠の証人
1 《ヴィリジアンのシャーマン
1 《ダークスティールの巨像
1 《隔離するタイタン
1 《トリスケリオン
1 《鏡割りのキキジキ

-クリーチャー(11)-
4 《師範の占い独楽
3 《団結のタリスマン
4 《森の占術
4 《刈り取りと種まき
4 《歯と爪
3 《卑下
2 《忘却石
2 《精神隷属器

-呪文(26)-
2 《落葉の道三
1 《映し身人形
1 《真髄の針
3 《赤の防御円
2 《帰化
1 《テル=ジラードの正義
1 《防御の光網
2 《変容する境界
1 《精神隷属器
1 《平地

-サイドボード(15)-


 日本選手権で優勝した諸藤さんのデッキ『レイザートロン』です。
 最速で4ターン目に出てくる《ダークスティールの巨像》&《鏡割りのキキジキ》のペアには《神の怒り》すら通用せず、次のターンには対戦相手を殴り倒してくれます。

 ヴィンテージでも《修繕》から1ターン目に持ってきたりとスタンダードだけではなくいろんな環境をまたいで活躍した1枚でした。


一撃粉砕の新顔

 そして更に8年の時を経て、アーティファクト界に新たな巨像が加わる事になりました。

 それが《荒廃鋼の巨像》です。

 11/11・トランプル・「破壊されない」の部分は同じですが、{12}マナと《ダークスティールの巨像》より1マナ重い代わりに、感染を得ました。

 感染を得たということがどれくらい強いかというと、早い話が、

「1回殴ったら対戦相手が毒死してしまいます」

 という事です。
 今まで1回殴った(攻撃した)だけで対戦相手を倒せるクリーチャーなんて、ほとんど存在しませんでした。強いて挙げるなら《触れられざる者フェイジ》、《縫合グール》や《セラのアバター》ぐらいでしょうか。しかしフェイジは重いコストを踏み倒せませんし、グールは墓地にいろいろ落としてから出さなければならず、アバターに関してはライフが減っているだけで倒せませんでした。あの《引き裂かれし永劫、エムラクール》でさえ、殴った返しに負ける事もあるぐらいです。

 それだけ、一撃で対戦相手を倒せるというのは魅力的な事なのです。{11}マナが{12}マナになったデメリットはあってないようなもので、それに対して得たものはかなりのものだと思います。もし《ダークスティールの巨像》が相手を守っていたとしても、《荒廃鋼の巨像》なら感染の力をもって一撃で倒してくれます。

 これからはレガシーで《騙し討ち》デッキのお供や、ヴィンテージでの《修繕》からの持ってくるカードとしても使われる事になると思いますが、とりあえずスタンダードでデッキを1つ紹介しようと思います。

新たな巨像[MO]
4 《
4 《平地
4 《氷河の城砦
4 《天界の列柱
4 《金属海の沿岸
2 《地盤の際
4 《墨蛾の生息地

-土地(26)-

1 《荒廃鋼の巨像

-クリーチャー(1)-
4 《新たな造形
3 《糾弾
3 《未達への旅
3 《広がりゆく海
4 《マナ漏出
2 《否認
2 《主の呼び声
3 《審判の日
2 《ジェイス・ベレレン
3 《精神を刻む者、ジェイス
2 《エルズペス・ティレル
2 《ギデオン・ジュラ

-呪文(33)-
3 《呪文貫き
1 《糾弾
2 《瞬間凍結
1 《否認
1 《未達への旅
3 《存在の破棄
3 《精神壊しの罠
1 《審判の日

-サイドボード(15)-

 スタンダード版《変身》といったところでしょうか。基本的には青白の動きをしつつ、隙をみて《新たな造形》を《墨蛾の生息地》に打ち、《荒廃鋼の巨像》を出すデッキです。
 ひとたび《荒廃鋼の巨像》が出てしまえば、除去できるのは《未達への旅》《糾弾》と《精神を刻む者、ジェイス》ぐらいです。

 このデッキのいい所は、今一番強いと言われている《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》とスピード勝負もできるということです。
 《荒廃鋼の巨像》を先に着地させてしまえば、返しに《原始のタイタン》を出された所で何も怖くはありません。《精神を刻む者、ジェイス》でも《審判の日》でも決まりですし、むしろ何もなくてもこちらが有利だと思います。


 今まではいくら感染クリーチャーが存在するとはいえ、対戦相手を毒殺する機会は滅多にありませんでした。
 しかし、《荒廃鋼の巨像》が現れたことにより、これからは毒殺する事やされる事が増えるかもしれません。
 もしかしたらレガシー環境では「無限ライフしたのに毒殺された」なんて事が起きるかもしれませんね。

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