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Making Magic -マジック開発秘話-

継承されるタイプ その2

2025年6月9日
先週、クリーチャー・タイプをメカニズム的に参照するカード、つまりタイプ的カードの歴史の話を語り始めた。各年において、最も影響力があるデザインだったと感じるタイプ的カードを1枚ずつ選んでいる。2003年から再開しよう。
2003年
セット:『レギオン』、『スカージ』、『ミラディン』
私のチョイス:《墓生まれの詩神》(『レギオン』)
2003年にはタイプ的カードが数多く登場した。『レギオン』と『スカージ』が『マジック』史上初のタイプ的テーマのブロックを締めくくった。『ミラディン』にはタイプ的カードの枚数はそれほど多くなかったが、タイプ的デッキに大きな恩恵をもたらした2つの要素があった。
1つ目はクリーチャー・タイプに新しいシステムとして、種族と職業を導入したことだ。例えば《白騎士》のクリーチャー・タイプは昔は騎士のみであった。その後、このカードは人間・騎士になった。このシステムによりカードに書かれているクリーチャー・タイプの数が増えることになり、職業に基づいたタイプ的デザインがよりできるようになった。2つ目は、人間のクリーチャー・タイプを導入したことだ。我々はこのセットの制作時、カードに「人間」という文字を印刷すべきときが来たと認識していた。この決定は当時物議を醸したため、開発部は「人間」のタイプ的カードは作成しない方針に決定した。この決定は『イニストラード』で覆されることになる。これについてはいつか語る予定だ。人間は『マジック』においてとても一般的な存在であるため、これ以降、有力なクリーチャー・タイプとなった。
2003年のカードとして私が選んだのは《墓生まれの詩神》だ。選んだ理由は人気カードというだけではなく、我々がタイプ的カードの作成方法に関する基本的なルールを学び始めたことがわかる好例でもあるためだ。タイプ的カードを上手くデザインするコツの1つは、そのタイプ的カード自身をその特定のタイプを持つカードにすることだ。《墓生まれの詩神》は、他にクリーチャーがいなくてもカードを1枚引くことができる。使い勝手のよい機能にすることで、タイプ的カードが特定のテーマ以外のデッキでも活躍できるようになる。このデザインは、構築でのタイプ的カードの採用はデッキを「タイプ・デッキにするかしないか」の二元論から解放する1つの方法だ。
別の観点でも重要な進歩があった。タイプ的効果のテンプレートが大きく変わったことだ。リチャード・ガーフィールド/Richard Garfieldが『アルファ版』にタイプ的効果を入れたとき、この効果は戦場にいるクリーチャーすべてに影響を与えた。例えば《アトランティスの王》は自分のマーフォークだけでなく、相手のマーフォークにも+1/+1と島渡りを与えていた。開発部は、タイプ的効果は自身のクリーチャーにのみ適用したほうがよいことに気付いた。その方が直感的であり、またミラー・マッチでの奇妙な相互作用を減らすことができる。タイプ的カードが手札にあるならば、それをプレイする楽しみを抱えるべきであり、自身よりも対戦相手の利益になるかもしれないと心配する状況をなくそうと考えた。
2004年
セット:『ダークスティール』、『フィフス・ドーン』、『神河物語』、『Unhinged』
私のチョイス:《飢えたるもの、卑堕硫》(『神河物語』)
『オンスロート』でタイプ的テーマの人気が高まったため、開発部はタイプ的テーマの改良に着手していた。『神河物語』は、異なる独自のメカニズムの特徴を持つ様々なクリーチャー・タイプを軸にデザインされた。メカニズムの殆どがタイプ的であり、中には独自の名称がメカニズムに付いているものもある。
私が2004年のカードとして選んだ《飢えたるもの、卑堕硫》は、クリーチャー・タイプに関連しているメカニズムである「転生」を持っている。転生はスピリットのクリーチャーのみが持っており、スピリットに関するタイプ的効果である。転生を持つクリーチャーが死亡するたび、特定のマナ総量以下の他のスピリット1枚を手札に戻すことができる。また、このセットには「スピリットクラフト」の俗称で呼ばれている、名前がないメカニズムも存在している。このメカニズムは、スピリット呪文か秘儀呪文を唱えるたびに能力が誘発する。これらには、メカニズム的独自性をタイプ的テーマといかに結びつけることができるかについて、当時の開発部の認識の高まりが反映されている。
2005年
セット:『神河謀叛』、『神河救済』、『ラヴニカ:ギルドの都』
私のチョイス:《大蛇の守護神》(『神河謀叛』)
『神河物語』ブロックにおける残りのセットのカードも、クリーチャー・タイプとメカニズムを結びつけるテーマを引き継いでいる。例えば、忍者は忍術メカニズムとイコールで結ぶことができる。私が2005年から選んだカードは『神河謀叛』の《大蛇の守護神》だ。このカードは献身メカニズムを持つレア・クリーチャー・サイクルのうちの1枚だ。献身は何らかのクリーチャー・タイプに関連付く点が特徴的だが、その関連付くクリーチャー・タイプはカード毎に異なっている。過去のタイプ的メカニズムは、単一のクリーチャー・タイプとのみ機能する傾向があった。
《大蛇の守護神》は蛇の献身を持っており、蛇を生け贄に捧げることで通常より少ないマナの支払いで唱えることができる。守護神サイクルのクリーチャーの献身能力は、クリーチャー毎に異なるクリーチャー・タイプを参照している。このことから、メカニズムはタイプ的テーマと結びつくだけでなく、クリーチャー・タイプ自体がメカニズムのバリエーションになり得ることが示されている。
2006年
セット:『ギルドパクト』、『ディセンション』、『コールドスナップ』、『時のらせん』
私のチョイス:《宝革スリヴァー》(『時のらせん』)
次点:《群がりの庭》(『時のらせん』)
2006年を振り返ると、開発部は過去のタイプ的テーマから学んだ教訓を真摯に受け止めつつも、必ずしもそれを新たに印刷するクリーチャー・タイプへと適用していたわけではないことがわかる。あらゆる種類の特定のサブセット(飛行クリーチャー、+1/+1カウンターを持つクリーチャー、白のクリーチャー、氷雪クリーチャー、シャドーを持つクリーチャーなど)に能力を与えるカードが存在していた。これは、当時は『ラヴニカ:ギルドの都』ブロックの真っただ中であり、ギルド間の距離を示すためにクリーチャー・タイプが異なることを使用していたことも関係している。例えばヴィダルケンはアゾリウス、ミノタウルスはボロスに所属しているのが一般的だった。つまり、タイプ的な観点からはギルド間の繋がりが存在しなかった。
タイプ的が大々的に復活したのは、『時のらせん』におけるスリヴァーの復活と同時だった。『時のらせん』ブロックはノスタルジーをテーマにしており、『時のらせん』セットは過去を振り返るのがテーマだった。そのため、セット内のスリヴァーのテンプレートは過去と同様、対戦相手がコントロールするスリヴァーにも適用されるものを使用した。今振り返ると、開発部のこの決定は間違いだったと考えている。
この年のカードとして《宝革スリヴァー》を選んだのは、我々が「能力付与」と呼んでいる、タイプ的効果でより頻繁に取り入れ始めたテキストを持っているためだ。特定のクリーチャー・タイプへキーワード能力を与えるのではなく、このような1行または複数行のテキストを付与するタイプ的効果のことである。そうすることで起動コストを追加する、といったことも可能になる。《宝革スリヴァー》の場合、タップ・シンボルをコストとして使用している。
私が言及したいもう1枚のカードは同じく『時のらせん』の《群がりの庭》だ。このカードは現在「包括/Batching」と呼ばれている手法を採用した最初のカードのはずだ。包括とは、2つ以上のアイテムをまとめて1つにし、フレイバー調整を行うことだ。現在は包括には名前がつくようになっている。歴史的、無法者、改善などだ。クリーチャー・タイプは包括に適していることが、この振り返りでも証明されている。
2007年
セット:『次元の混乱』、『未来予知』、『ローウィン』
私のチョイス:《鏡の精体》(『ローウィン』)
2007年、『ローウィン』ブロックで再びタイプ的テーマへと大きな回帰を迎えることになった。『オンスロート』は初のタイプ的テーマへの大々的挑戦だったため、我々は少し控え目にしていたところがあった。『ローウィン』では、全力で振り切ったのだ。このセットには主要なクリーチャー・タイプが8種族(エレメンタル、エルフ、フェアリー、巨人、ゴブリン、キス筋、マーフォーク、ツリーフォーク)あり、ブロック内のクリーチャーの殆どはこれらのタイプのいずれかであった。後から振り返ると、開発部はタイプ的テーマに少し力を入れ過ぎていたかもしれない。ドラフトは、開発部が言うところの「線路の上」であり、一度クリーチャー・タイプを選ぶとデッキのテーマが固定されてしまった。我々が望んでいたような多様性が生まれていなかった。タイプ的テーマは構築フォーマットにも姿を現したが、タイプ的デッキはこのセットほど開封比が高くなくても構築できる。
『ローウィン』は長年に渡りタイプ的テーマについて学んできたことをすべて活用し、更にいくつかの新しいテーマも追加している。「覇権」は特定のクリーチャー・タイプを参照する新しいメカニズムであり、特定のタイプのクリーチャーをより大きく、より強力なクリーチャーに変えることができるものだ。最大の革新は、この年のカードとして選んだものにも含まれている。《鏡の精体》をデザインする中で、我々は「タイプの潤滑油」、つまり様々なタイプ的テーマが求めるカードを作るための何かが必要だと気付いた。最終的に、我々は「多相」というメカニズムを考案した。『レギオン』の《霧衣の究極体》をベースにしたこの能力は非常に人気を博し、タイプ的テーマに役立つカードであり、その後何度も使用されることとなった。
2008年
セット:『モーニングタイド』、『シャドウムーア』、『イーブンタイド』、『アラーラの断片』
私のチョイス:《刈り取りの王》(『シャドウムーア』)
『モーニングタイド』もまたタイプ的セットだったが、このセットは種族ではなく職業に焦点を当てていた。当時のアイデアは殆どのクリーチャーがクリーチャー・タイプを2つ持つことを活かせるカードを入れることで、より複雑なクリーチャー・タイプに関連する層を作り出すものだった。しかし、こういったカードは盤面を混乱させるような展開をもたらし、特にリミテッドでは何が起きているのかを把握するのが困難な状況を生み出していた。実際、ウィザーズの社員が社員向けプレリリースで苦戦しているのを目の当たりにし、我々は複雑さへのアプローチを見直すことになった。マット・プレイス/Matt Placeと私が当初「新世界秩序」と呼んでいたものだ(新世界秩序に関する私の記事はこちら)。
2008年のタイプ的カードのほぼすべては『モーニングタイド』のカードだが、この年のカードとして選んだのは『シャドウムーア』の《刈り取りの王》だ。『シャドウムーア』は『ローウィン』がより暗く不気味になったバージョンの世界であり、我々はこの不気味なテーマを活かす方法を模索していた。方法の一部として、カカシに関する小さいタイプ的テーマを取り入れることにした。ちなみに、シャドウムーア以前にはカカシのクリーチャー・タイプを持つカードは存在していなかった(遡及して古い2枚のカードがカカシを持つことにはなった)。我々は新しい世界を作っていたが、プレイヤーがデッキを組むきっかけとなる軸を与えたかったので、タイプ的テーマを盛り込むことにした。このことは、我々がタイプ的テーマはセットのテーマになるだけではなく、どんなセットでもメカニズムにおける意味合いのためや、フレイバーを追加するために使用できるメカニズムのツールであると理解し始めたことを示している。
《刈り取りの王》が面白いのは、このカードは一見するとただのカカシのロードで+1/+1を与えるだけのカードであることだ。これは、今までに何度も作ってきたカードと同じである。しかし、このカードを際立たせる別の要素を2つ追加した。1つ目は、『シャドウムーア』で導入されたツーブリッド・マナだ。これにより、マナの支払いにおいて特定の色マナ1つか不特定マナ2つかを選べるようになった。我々はツーブリッド呪文のサイクルを作り、そして1枚だけ5つのツーブリッド・マナ・シンボルを持つクリーチャーを作った。これにより、このカードは非常に派手なカードになった。次に、クリーチャーの選択肢が少ないとタイプ的デッキを上手く機能させることは難しいため、《刈り取りの王》には非常に強力な能力を持たせた。カカシ・クリーチャーが出るたびにパーマネントを1つ破壊する。我々が大胆なことをした結果、このカードに多くの注目を集めることができた。これは、我々がタイプ的テーマのためにカードを目立たせる上で、どれほど強力なカードを作れるかを学んでいることを示している。
2009年
セット:『コンフラックス』、『アラーラ再誕』、『基本セット2011』、『ゼンディカー』
私のチョイス:《海門の伝承師》(『ゼンディカー』)
《刈り取りの王》は、セット内の小さいメカニズム部分をタイプ的テーマに使用できることを示した。ゼンディカーによって、このゲームは更に進化することとなった。タイプ的テーマがセットの主要テーマの1つになったらどうなるのだろうか?
『ゼンディカー』はタイプ的セットではない。このセットの主要なメカニズム・テーマは土地であった。しかし、我々が『ゼンディカー』に求めていたクリエイティブなコンセプトは「冒険世界」であることだった。つまり、この世界は豊かな富や財宝が眠っている一方、その世界の住人に対して敵対的であることだ。我々は冒険のパーティの雰囲気を醸し出したいと考えた結果、これを実現する最善の方法はクリーチャー・タイプを使うことだと気付いた。カカシと同様、同盟者は全く新しいクリーチャー・タイプであり、セットのメカニズムにフレイバーに富んだ背景を与えるために考えられたものだ。
私が2008年のカードとして選んだのは《海門の伝承師》だが、実際には同盟者のタイプ的テーマ全体を選出しているのだ。『マジック』のデザインは単一のテーマに集中していた時代から、様々なテーマの組み合わせがそれぞれの設定を定義する時代へと変化した。メカニズム・テーマを絵の具に例えると、正にこれがわかる。初期の頃は「部屋全体」を単色で塗っていたが、時が経つにつれ、様々な色を組み合わせることでより立体的で奥深いメカニズムの組み合わせを様々な設定の元で生み出せることに気付いたのだ。同盟者のタイプ的テーマは最終的には大成功を収め、その後のタイプ的テーマに関する考え方に大きな影響を与えた。
私が注目するもう1枚のカードは『基本セット2010』の《吸血鬼の夜侯》だ。『基本セット2010』は革新的な基本セットであった。アーロン・フォーサイス/Aaron Forsytheは、基本セットは再録カードのみという制約が、より良い基本セットを作成する妨げになっていることに気付いた。基本セットが、その目的をより果たせるための新しいデザインを必要とするならば、それを実現できる能力を用意する必要があった。この必要性から、注目を集めるタイプ的カードを多数作成することができた。『基本セット2010』の焦点は共鳴にあり、タイプ的テーマはとても共鳴しやすいものだった。例えば、初心者はフレイバーに富んでいるという理由もあるが、理解しやすいという理由から、タイプ的テーマに惹かれる傾向にある。初心者はクリーチャー・タイプを1つ見たあと、同じタイプのクリーチャーをたくさんデッキに入れる。これは簡単にできる手順であり、『マジック』のような複雑なゲームを始めるときにとても重要なことである。
2010年
セット:『ワールドウェイク』、『エルドラージ覚醒』、『基本セット2011』、『ミラディンの傷跡』
私のチョイス:《ウギンの目》(『ワールドウェイク』)
2010年の私の選択は《ウギンの目》だ。『ゼンディカー』ブロックの制作時の当初の計画では、秋セットは大型セット、冬セットは小型セットで、どちらもゼンディカーを舞台にしていた。そして、次の春セットは異なる次元が舞台であり、異なるメカニズムが登場する大型セットとなる予定だった。クリエイティブ・チームは、1年間に2つの次元を作るだけの人員が足りないと当時言ってきた(今は対応可能だ)。彼らのチームは、ゼンディカーのメカニズムが完全に変わってしまうほどの大きな出来事が起きる物語を提案してきた。
世界構築チームがゼンディカーへ追加した面晶体に触発された結果、クリエイティブ・チームは面晶体に囚われている3体の古代の存在がゼンディカーに混沌を引き起こすアイデアを思い付いた。この3体は脱出し、ブロックのメカニズムに変化をもたらすのだ。『ワールドウェイク』を制作する中で、我々はそれが物語でのみ起きるのではなく、これから起こることを仄めかしておくというアイデアを気に入っていた。メカニズムでこれを実現したいと考えた。この問題の解決策となったのが、無色のエルドラージのコストを{2}減らすことだ。興味深いのは、我々はそれまで「エルドラージ」という言葉を使用してこなかったので、ユーザーはこれが何かわからなかったことだ。実際、《ウギンの目》の1つ目の能力はセットの発売時点では何もしない能力だったが、このカードは次のセットの予告として働いた。エルドラージというクリーチャー・タイプは、メカニズムとフレイバーのバランスが取れていたため、これが可能だったのだ。
もう1つ触れておきたいカードは、《ウーラの寺院の探索》だ。《群がりの庭》はクリーチャー・タイプをまとめて扱った最初のカードだったが、このカードは初めて「クラーケン、リバイアサン、タコ、海蛇」というグループ分けをし、成功したカードだ。このグループ分けは『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』の時点で9枚のカードに登場するほど人気である。
2011年
セット:『ミラディン包囲戦』、『新たなるファイレクシア』、『基本セット2012』、『イニストラード』
私のチョイス:《終わり無き死者の列》(『イニストラード』)
2011年として選んだカードは《終わり無き死者の列》だ。『イニストラード』は、『ゼンディカー』から学んだ教訓を更に発展させている。当時、ゴシックホラーというジャンルに着想を得たセットを作りたいと考えていた。セットに必要な要素は何か、ブレインストーミングを行ったところ、怪物が最優先事項に挙げられ、吸血鬼、狼男、ゾンビは必ず入れたいと考えた。他にも、怪物の犠牲者となる人間陣営や、怪物へと変身するクリーチャーも必要だった。挙げた4つはすべてクリーチャー・タイプなので、タイプ的要素が必要なのは明白だった。そして、このクリーチャー・タイプ4つそれぞれが友好色に当てはまることに気付いた。そこで、5つ目となる4種類目の怪物として幽霊(『マジック』ではスピリット)を発見したのだ。
このセットの課題は、『オンスロート』ブロックや『ローウィン』ブロックのようなタイプ的セットにせず、怪物テーマに意味を持たせることだった。我々は、軽いタイプ的セットというアイデアを探求してみた。これは2つの方法で行った。1つ目は、アーキタイプを色の組み合わせに基づいてテーマ化した。例えば、ゾンビは青と黒に集中させた。そうすることで、青黒デッキをドラフトすると、大量のゾンビが自然に入るようになる。2つ目に、タイプ的な要素を少しだけ入れた。コモンにはタイプ的カードをほんの僅かだけ投入し、それらはすべて要求する数が1だった。つまり、それらが働くにはそのタイプのクリーチャーが1体いればよい。レアリティが高くなると、より数が多いことを求めるようにした。《終わり無き死者の列》は、このタイプのカードの好例である。
『イニストラード』ブロックのタイプ的テーマは、『ローウィン』ドラフトのように型通りの体験ではなく、より選択的なものにすることができた。赤黒デッキをドラフトすると、吸血鬼デッキを作ることももちろん可能だが、吸血鬼を参照するカードをまったくデッキに入れないことも可能だった。このモデルは、我々のツールボックスで重要なツールとなった。
2012年
セット:『闇の隆盛』、『アヴァシンの帰還』、『基本セット2013』、『ラヴニカへの回帰』
私のチョイス:《魂の洞窟》(『アヴァシンの帰還』)
『闇の隆盛』は、『イニストラード』よりも少し強く怪物のタイプ的テーマを打ち出している。今となっては、これは間違いだったと考えている。『アヴァシンの帰還』では、天使のタイプ的テーマが中心となっていた。天使は最も人気のあるクリーチャー・タイプの1つであり、我々は天使にタイプ的テーマを与える機会を探していた。『基本セット2013』では、フレイバーに富んだ新しいロードが、次のようなカードが登場した。《群衆の親分、クレンコ》、《真珠三叉矛の達人》(《アトランティスの王》のリメイク)。
2012年の私の選択は《魂の洞窟》だ。『アヴァシンの帰還』は天使のタイプ的テーマを持っており、また怪物のタイプ的カードも何枚か追加しようとしていたので、デザイン・チームは中立的な、《旗印》のようなどちらにも使えるカードを作ることにした。《魂の洞窟》は非常に人気のあるカードとなり、カジュアル・フォーマットにおけるタイプ的テーマの人気を証明している。
これが私のタイプだ
今回は以上となる。『マジック』のタイプ的カードについて少しでも興味を持っていただけたら幸いだ。いつものように、今日の記事やタイプ的カード、テーマへの感想やフィードバックをメールやソーシャル・メディア(X、Tumblr、Instagram、Bluesky、TikTok)を通じて(英語で)送ってもらえると幸いだ。
来週はその3をお届けする。
あなたのタイプ的デッキが活躍することを祈っている。
(Tr. Ryuki Matsushita)
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