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Making Magic -マジック開発秘話-
デザイン演説2023
2023年7月31日
2003年、私が主席デザイナーに就任して以来(そう、今年は私の在職20周年なのだ)、私が始めたことの1つが、毎年、マジックの前年度のデザインについての記事を書くことである。このシリーズを、アメリカ合衆国大統領の年次演説になぞらえて、「デザイン演説」と名付けた。初めての記事は2005年、つまり数年先の仕事をしている私が主席デザイナーとして監督した初めてのセットが発売された年のことだった。
これまでの18本の記事は以下の通り。
- 2005
- 2006
- 2007
- 2008
- 2009
- 2010年
- 2011年
- 2012年
- 2013年
- 2014年
- 2015年
- 2016年
- 2017年
- 2018年
- 2019年
- 2020年
- 2021年
- 2022年
この記事の構造は次の通り。まず前年を振り返り、その年の良かったところと教訓について語る。その後、各ブースター製品を検証し、そのセットの良かったところと教訓について語っていく。今回も、カード個別のデザインよりも大局的なデザインを語っていくことになる。また、この記事を書いている時点で『指輪物語:中つ国の伝承』はまだ発売前なので、それについては来年のデザイン演説で扱うことになる。
いつもの通り、今回も同じ質問から初める。「昨年のマジックのデザインはどうだったか」だ。
非常にいい年だったと思う。プレイヤーが話題にするセットを作り、これまでしたことがないことをすることに成功した。各セットそれぞれに堅固な展望があり、多くの楽しいメカニズムがあったと思う。すべての選択が最適なものだったというわけではないが、全体として、マジックのセットにとって良い年だったと考えている。
マジックのデザイン全体
良かったところ
- セットそれぞれが一貫した物語を伝えながらも、それぞれの特徴があった
ブロック・モデルを離れてからの我々の課題の1つは、セットにメカニズム的特徴を持たせながら一貫した物語を描くことであった。今年のセットは、各セットにプレイ的にもクリエイティブ的にもそれぞれの雰囲気を持たせながら物語の中心(ファイレクシアの侵攻)をぶれさせないといういい仕事をしたと思う。実際、各セットでファイレクシアを異なったメカニズム的文脈で扱っているので、4つの本流のセットから4枚のファイレクシアのカードを見せたとき、どれがどのセットのカードなのかは見て充分わかるようになっている。かつては、我々は物語を単一のメカニズム的特徴で扱うことが多かった。この新しい手法はより繊細さをもたらし、プレイヤーが物語要素をデッキ構築やゲームプレイ上で表現する方法に柔軟性を与えている。
- 懐かしさをうまく扱った
今年の各セットでは、マジックの歴史上の様々な要素に触れることができた。『団結のドミナリア』はマジックの元々の次元を舞台とした様々なセットを振り返った。『兄弟戦争』はマジックの最も有名な物語をゲームプレイ上で表現し、30年近く前に存在していたキャラクターたちをついにカード化することができた。『ファイレクシア:完全なる統一』は、ファイレクシアの長い歴史に触れた。『機械兵団の進軍』では、マジックが舞台にしたことがあるほとんどの場所を再び訪れた。この30周年記念の年にマジックの過去を振り返れたのはいいことだった。
- セットのコンセプトについて大胆だった
長い間続いているゲームへの不満の1つが、ゲーム・デザイナーが現状に満足していて限界に挑んでいないというものである。今年はそれには当てはまらかった。『団結のドミナリア』は伝統的寄りのセットだったが、『兄弟戦争』『ファイレクシア:完全なる統一』『機械兵団の進軍』は大胆なデザインをしていた。今年の2大失敗といえる『Unfinity』と『機械兵団の進軍:決戦の後に』でさえ、それぞれ新しいものに取り組んでいたのだ。
教訓
- セットがクリエイティブ的に偏狭的だった
これはセットの懐かしみとの裏表である。今年は、テーマにおいて少しばかり偏狭的だったと思う。ドミナリアや兄弟戦争、ファイレクシアについて聞いたことがなかったり、あるいは多元宇宙の次元というものを知らなければ、今年は骨の折れる年だっただろう。ジャンルやよくある物語をもとにした単純なトップダウン・セットは作っていなかった。今年のどのセットにも、少しばかり「かつての …… 」という表現が含まれていて、マジックのように進化の早いゲームにおいてはそれは理想的なことではなかった。新規プレイヤーが大量の情報をあさることなく理解できるものを見つけられることは重要なのだ。
- セットが通常よりも賛否両論だった
私は、個別のカードやテーマやメカニズムが賛否両論なことは全く問題視していないが、セット全体がどの程度賛否両論なのかには注意する必要がある。セット、特に本流のセットは、すべてのマジック・プレイヤーに何かを提供する製品であるべきである。今年のセットの大胆さとそれらの展望がはっきりしていたことは評価しているが、我々はあまりにも多くのプレイヤーが「このセットは手を出さないでおこう」と思うような本流のセットを作らないようにしなければならない。
- セット間にもっとシナジーが必要だった
これはブロックがなくなってから継続しているテーマである。新セットが出たときにデッキを更新し続けられるように、連続したセットにはメカニズム的重なりが必要である。一部のメカニズム的テーマ(アーティファクト、ファイレクシアン、など)を今年の複数のセットを通して扱ったが、あまりに線形的で単一のセットに集中したテーマも扱っていた。各セットには扱わなければならない多くの異なった要素があるのでこの問題を解決するのは難しいが、各セットが独立してリミテッドでプレイされる世界におけるうまいやり方を見つける必要がある。
『団結のドミナリア』
良かったところ
- プレイヤーはこのセットの『インベイジョン』的雰囲気を楽しんだ
『ドミナリア』は『アルファ版』をもとにしていて、このセットは新たなファイレクシアの侵略を扱うので、『団結のドミナリア』のセットデザイン・チームはドミナリアを舞台にしたもう1つの人気のセット『インベイジョン』をモデルにしようとした。キッカー、版図、色を散らすというテーマ、このセットは様々な形でかつてのセットをメカニズム的に振り返っていた。プレイヤーの多くがこれを称賛した。
- 過去の参照は称賛された
ドミナリアは、特に最初の10年にわたって、ほとんどのマジックのセットの舞台だった。『団結のドミナリア』はドミナリアの過去のキャラクターや物品や出来事を多く参照することで、その懐かしさに触れていた。これには、『レジェンド』で登場した伝説のキャラクターを再デザインする「語り継がれる伝説」が含まれている。多くのプレイヤーはセット内のこれらの言及を肯定的に受け取った。
- このセットのリミテッドは楽しかった
このセットはテーマのためにリミテッドが少し遅くなり、それによって組み上げることができるようになった。これと、他の色を簡単に散らすことができることから、プレイヤーから高評価を受けることになるダイナミックなリミテッドのゲームに繋がった。最も評判になったリミテッドのテーマは、防衛テーマだった。
教訓
- 一部のプレイヤーにとって、このセットは少しばかり一般的に感じられた
『団結のドミナリア』について私が受けたよくある不満の1つが、他の本流のセットに比べて少しばかり味気なく感じられるというものだった。多くのプレイヤーは「安全」な、つまり、たしかにプレイ感もよくて使えるカードもあるけど、記憶に残らないセットだと言っていた。このセットには充分な革新がなかったのだ。
- このセットには多くのフレイバー関連の問題があった
このセットには多くの伝説のクリーチャーがいたが、それらにまつわる物語がないものが多いと感じたプレイヤーがいた。物語の鍵となる潜入工作員要素がセット内で描写されていないという不満を持つ者もいた。そして、プレイヤーはウェザーライト号の乗組員がもっと物語に関わってほしいと願っていたのだ。
- リミテッドにはいくつかの問題があった
他の色のマナを降らすことが簡単すぎると感じて、多くのプレイヤーが緑版図系(緑を基礎として他の色を色々と散らす)をプレイしていると主張したプレイヤーがいた。また、同じ局面が少しばかり多くなりすぎるという懸念もあった。
『Unfinity』
良かったところ
- 多くのプレイヤーがこのセットのフレイバーやユーモアを大いに気に入った
多くのプレイヤーは、世界構築、カード・コンセプト、アート、カード名、フレイバー・テキストまで、このセットのクリエイティブのファンだった。このセットにはまた、熱心なプレイヤーが楽しんで見つけられる、多くのイースター・エッグもあった。
- このセットのリミテッドに関して肯定的なコメントが多かった
外部強力やミニゲーム、奇妙な個別のデザインまで、このセットでは多くのプレイヤーが楽しめる方向で限界に挑んでいた。このセットの主なメカニズム2つであるステッカーやアトラクションは、独特のリミテッドの相互作用を産んだ。
- カードの半分以上がエターナルで使えることを称賛するプレイヤーがいた
これは非常に意見が分かれることだが、多くのプレイヤーは、このセット内のカードの一部がエターナル・フォーマットでプレイできるという事実に興奮しているように見えた。過去の「アン」セットの最大の負債の1つが、もっともプレイされているフォーマットで使えないことだった。「アン」セットのファンの多くは、これまで使えなかったフォーマット、特に統率者戦でカードをプレイできることに興奮したのだ。
教訓
- セット内にエターナルで使えるカードが入っていることを非常に嫌がるプレイヤーもいた
過半数のカードがエターナルで使用可能なことは、論争の焦点になった。多くのプレイヤーは、製品の本筋から外れていると感じた。気に入るかどうかに関わらず、プレイヤーは使用可能でないカードを銀枠にすることを好むという一般的同意があった。どんぐりは一見してわからず、何がエターナルで使用可能で何が違うのかを伝えるのが難しくなった。
- このセットは複雑さが多すぎた
主なメカニズムであるステッカーとアトラクションはどちらも、把握するのにかなりの集中を要する。加えて、このセットには多くの1枚だけのカードがあり、プレイヤーが通常意識しないことを意識させられることになる。これらすべてが、多くのプレイヤーにとって負担となりすぎるプレイ環境に繋がった。
- ステッカーには複数の実装上の問題があった
ステッカーは小さい。すぐになくなってしまう。糊はあまり強くないので、再利用しようとしてもすぐにつかなくなる。ステッカーを一回剥がしたら元のシートに戻せない。これらすべてが、プレイ上の障壁になった。このことは、多くのプレイヤーがほとんどのステッカー・カードがエターナルで使用可能だということに不満を言うことにも繋がった。
『兄弟戦争』
良かったところ
- 多くのプレイヤーはマジック最大の物語の1つを振り返るセットが作られたことを喜んだ
プレイヤーは、自分が知っている過去のキャラクターがカード化されたことを喜んだ。物語のカードを通した伝え方を楽しんだ。プレイが、彼らが知ることになる物語の雰囲気にあっていることを楽しんだ。また、デザインがアーティファクトを現在のデザイン技術を使いながら過去らしさを感じられるものにしたことを楽しんだ。この好例としては、ほとんどのアーティファクトが単色の起動コストを持っていても不特定マナ・コストになっていることが挙げられる。
- メカニズムは全体として好評だった
試作はクールな新メカニズムと受け取られた。アーティファクトの蘇生はフレイバーに富んでいた。合体カードは派手でクールだった。パワーストーンはついにメカニズム的特徴を手に入れた。全体として、プレイヤーはデザイン・チームが物語や次元にふさわしい一連のメカにズムを作ったと考えた。
- ボーナス・シートを増やした
ボーナス・シートはすべてがアーティファクトであることでそのセットらしさを反映するいい仕事をした。旧枠は、物語の時期を再現する助けになった。ファンからの最大の不満は、このシート上のカードがリミテッドのゲームプレイを向上させるために選ばれていたことだった。このシートの多くのカードは既存のアーキタイプを強化したり、セット内の本体のカードとのシナジーのある新しいドラフト・テーマを導入したりするものだった。
教訓
- 元の話を知らなければ、このセットに馴染むことは難しかった
兄弟戦争について何年も語ってきた長年のファンにとっては、このセットはずっと聞いていたものがカード化される心躍る機会だった。一方、その物語に詳しくなければ、この構造の原動力がその物語にあるので、このセットに馴染むことは難しかった。あまり熱心でない多くのプレイヤーは、よく分からなくてこのセットを理解するのが難しかったと訴えている。
- 巨大ロボをテーマにしたセットにしては、リミテッドは少し速かった
多くのプレイヤーは、このセットは『エルドラージ覚醒』のようなプレイヤーが巨大クリーチャーを揃えられるようにアグロを抑えた環境でドラフトされるだろうと考えた。その一部は可能だったが、強力なアグロのアーキタイプの存在が多くのプレイヤーの望みを打ち砕いた。
- トランスフォーマー・カードは場違いに感じられた
このセットは巨大ロボがテーマなので上張りとしてのトランスフォーマーはある意味で筋が通っていたが、多くのプレイヤーにとってこのセットの中核は懐かしさだった。それらのプレイヤーは、別IPのカードが雰囲気を無視していると感じた。
『ファイレクシア:完全なる統一』
良かったところ
- プレイヤーは全体として毒の再利用を楽しんだ
感染や堕落や増殖でなく毒性にしたことで、リミテッドと構築の両方の環境において毒の使い方に多様性が生じた。『ミラディンの傷跡』ブロックの毒は、すべてつぎ込むかまったく使わないかだった。『ファイレクシア:完全なる統一』での改良版では、毒の使い方にかなりの繊細さをもたらし、(感染ファンの中には感染が再登場しなかったことを悲しんだ者もいたが)全体としては好評だと受け止められた。
- 油カウンターの使用によって、称賛される独自の環境が生まれた
マジックのセットでは、大抵の場合、リミテッドで扱いやすいように主なカウンターは1種類にしている。ほとんどのせっとでは、+1/+1カウンターである。時折、−1/−1カウンターを使うセットを作ることもある。『ファイレクシア:完全なる統一』では新しく、油カウンターを試した。これによって、増殖がこれまで2回(『ミラディンの傷跡』ブロックと『灯争大戦』)と異なる働きをできる、新しい種類の「カウンター関連」環境を作ることができた。油は様々な機能を持つことができるので、中には把握しにくいと言うプレイヤーもいた。また、油でなく既存のカウンター(最も多く指摘されたのはチャージ・カウンターであった)を使うべきだったという指摘もあった。
- セットを通してファイレクシアンが充満していると感じられた
ファイレクシアンは、マジックの最古の敵である。(マジック史上2つ目のエキスパンションである『アンティキティー』で登場している。)多くのプレイヤーは、このセットが、ゲームプレイからメカニズム的テーマ、アートやカード全体の雰囲気までファイレクシアンらしさをまさに再現していることを楽しんだ。
教訓
- ファイレクシアンのフレイバーが不快だった
ファイレクシアンを愛しているプレイヤーもいるが、賛否が分かれるキャラクターである。つまり、一部のプレイヤーはここまで述べてきたすべてのもののせいでこのセットを嫌っていた。それらのプレイヤーにとって、このセットはあまりに絶望的で「キモい」もので、全体がそうでなければよかったと思っていた。
- このセットは(スタンダードの範疇で)あまりに孤立的だった
このセットのメカニズムは、特に毒のせいで、このセット内にあるものにかなり依拠していた。それらを基柱としてデッキを組もうとするなら、スタンダード内の他のセットのカードを大量に入れることは難しかった。多くのプレイヤーや毒カウンターを与えたり毒を参照したりするカードを増やしてほしいというファンは、この年の他のセット、特にファイレクシアンが主な敵である『機械兵団の進軍』にもファイレクシアのメカニズムを広げてほしいと主張した。
- リミテッドが速すぎた
もう1つ多かった不満は、リミテッド環境があまりにアグロ寄りだ、というものだった。特に毒カウンターなど、ゲームが速く終わりすぎるので掘り下げることができないとプレイヤーが感じる多くのテーマがあった。
『機械兵団の進軍』
良かったところ
- 非常に頑健で楽しめるメカニズムがあった
『機械兵団の進軍』では、多くのことがメカニズム的に進行していた。新しいカード・タイプがあり、両面カードの様々な使われ方があり、複数の組み合わせメカニズムがあった。バトルはクールな新機軸だと言われ続け、多くのプレイヤーが他のセットでも見たがった(ただし横向きなことで読みにくいという声も多く届けられている)。培養とファイレクシアンの変身カードは、ファイレクシアンらしさを表現するいい方法だと受け取られた。英雄譚になるファイレクシアンの法務官は特に好評だった。プレイヤーは賛助のゲームプレイを気に入り、召集の再登場を喜んだ。組み合わせた伝説のクリーチャーも大ヒットだった。全体として、一般的な評価はメカニズムの組み合わせは素晴らしいというものだった。
- このセットのリミテッド環境はとても楽しかった
私が受けた中で最も多かった反響には、楽しいリミテッド環境に関わるものがあった。非常に深みがあり、何度も繰り返してプレイできる。上述のすべてのメカニズムはお互いにいいシナジーを持っており、プレイヤーは様々なアーキタイプを楽しんだ(中でも「両面カード関連」が際立っていた)。『機械兵団の進軍』を歴史上最高のリミテッド環境の1つだと言うプレイヤーもいる。ボーナス・シートがリミテッドのゲームプレイを強化するためにうまく使われ、シート上の多くのカードが様々なドラフト・アーキタイプを強化するものであることへの不満の声も多かった。結局、伝説のクリーチャーのテーマは多くのプレイヤーに肯定的に受け取られた。
- 多くのプレイヤーはこのセットの広大な範囲を大いに気に入った
マジックでは、範囲よりも前の物語については語ってきておらず、多くのプレイヤーはその広さを楽しんでいた。彼らは様々な次元やそこにいるキャラクターやクリーチャーについてのあらゆる言及を見ることが好きだった。ほとんどのマジックのセットにはイースターエッグ(隠れたメッセージ)があるが、これほどの量ではなかった。大量に受けた反響の1つに、各カードの舞台になっている場所を識別する助けとなる透かしのような何かがあればよかったというものがあった。
教訓
- 1セットで扱うには物語が長大すぎた
プレイヤーは範囲が好きなものだが、1セットだけでは扱いきれないと感じたプレイヤーが多かった。よくある反響が、2セットだったらよかった(あるいはそれ以上)というものだった。入れられるカードの枚数で扱い切れる以上のことを詰め込んでしまったのだ。
- ファイレクシアンが簡単に負けすぎた
この不満は前のものに関連している。侵略とそれへの反応すべてをセット1つで扱わなければならないので、ファイレクシアンが攻撃してすぐに敗北したかのように感じられたのだ。ファイレクシアの脅威は10年以上かけて組み上げられてきているので、すぐに負けたことはファイレクシアンのファンたちにとって不満がたまるものだった。2セット使えれば、第1セットではファイレクシアンが成功して、第2セットで我らが英雄たちの驚くべき勝利を描いていたことだろう。
- リミテッドがあまりに複雑で、少しばかりボム寄りだった
プレイヤーは全体としてこのリミテッド・フォーマットを楽しんでいたようだが、よくある不満としては少しばかり詰め込みすぎ、勝利がセット本体にせよボーナス・シートにせよ1枚のボムを引くことによることが多すぎるというものだった。(この問題とは別に、それは一般的に高評価だった。)
『機械兵団の進軍:決戦の後に』
良かったところ
- プレイヤーはウィザーズ・オブ・ザ・コーストが実験していることに喜んだ
何年もの間、リミテッドを考えずにセットを作ってほしいというプレイヤーの声があった。また、通常はできないことをできるようにするため、我々が製品を新しい見方で考えているという事実を喜んだプレイヤーもいた。
- 多くの楽しい個別のデザインがあった
このセットについての肯定的な評価のほとんどは、カード個別の話になる。多くの楽しいデザインがあったのだ。特に一群のカードがそれに当てはまる。かつてプレインズウォーカー・カードになっていた伝説のクリーチャーだ。多くの統率者戦プレイヤーは、お気に入りのキャラクターを統率者として使えるようになったことを楽しんでいた。
教訓
- このセットは小さすぎた
50枚は1セットには少なすぎた。ボックスを開封したら被りが多すぎ、またこのセットは掘り下げる余地が少なすぎた。
- ほとんどのプレイヤーは、少ない枚数に同じだけ支払いたくなかった
おそらくこの不満が一番大きかった。コモンなしのブースター販売を試したが、これはうまく行かなかった。「通常通りの枚数がほしい」あるいは「安くしてほしい」の2種類しか反響はなかった。
- このセットは物語中心と言っていたが、物語上このセット内で起こったことはそう多くなかった
このセットの前提は、今回のファイレクシア戦争の戦後を描くというものだった。そう、多くのプレインズウォーカーはその灯を失い、ケンリス王とリンデン女王は殺されたが、それ以外のことはカードでは描かれていなかった。プレイヤーは注目のストーリー・カードやオンラインの小説を期待していたのだ。このセットでは、この戦争の戦後を描くという前提通りのものを提供すべきだった。
- 多くのプレイヤーは、プレインズウォーカーが灯を失ったことを不満に思った
プレインズウォーカーはマジックにおいて常に特別なキャラクターである。多くのプレイヤーは、なぜ我々がプレインズウォーカーの灯を取り除くことにしたのかを理解しなかった。マジックには多くの伝説のクリーチャーがいるのに、なぜもっとも特別なキャラクターのグループを、もっと普通の存在にしてしまったのか。また、完全なリストが存在しないということは、プレイヤーは自分のお気に入りのプレインズウォーカーの運命がどうなるのか不安を抱えて待たなければならないということである。
また新たな年が訪れる
さて、マジックの年度も終わりを迎えた。私の洞察が、今年のセットについての諸君の感覚を反映していれば何よりである。私は、批判的に振り返って何を正しく扱い何を誤って暑かったのかを理解することは、将来のマジックのセットを導く上で重要だと考えている。そして、ここまで述べてきたセットについて時間を取って感想を伝えてくれたすべての諸君に感謝したい。
いつもの通り、今日の記事やこの1年間のセットに関する私の考えについての感想を楽しみにしている。メール、各ソーシャルメディア(Twitter、Tumblr、Instagram、TikTok)で(英語で)聞かせてくれたまえ。
それでは次回まで、あなたがこの1年の発売の成果を楽しめますように。
(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)
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