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鍛冶友浩の「デジタル・マジック通信」

第14回:世界選手権のメタゲームと、CFBの《鍛えられた鋼》をリプレイ!

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鍛冶友浩の「デジタル・マジック通信」

2011.11.29

第14回:世界選手権のメタゲームと、CFBの《鍛えられた鋼》をリプレイ!


 こんにちは、鍛冶です!

 マジック最大のイベントである世界選手権からあっという間に一週間が経ってしまいました。
 日本のダブル優勝と、2005年の横浜を思い出させる結果となりましたが、「Legends of Magic: The Gathering <世界選手権2005横浜>」は観てくれました?

 さて、先週は動画の準備が間に合いませんでしたが、今週から二週に渡り、世界選手権のスタンダードがどういった環境だったのかを振り返ってみたいと思います!

 Top8の結果だけを見れば、アメリカを代表とするチーム「ChannelFireball (CFB)」が持ち込んだ《鍛えられた鋼》が4人入賞!と非常に目立ちますし、
 今年の世界チャンプに輝いた彌永の1マナ火力にこだわった赤緑《ケッシグの狼の地》もやっぱり気になるところですね。

 ところで、《鍛えられた鋼》というアーキタイプは、イニストラードの前にもありました。
 そう、今年の日本チャンプが既に完成されたリストを披露してくれていましたよね?

 そのデッキはリプレイ記事第25回:日本選手権のメタゲームと、優勝した石田 龍一郎の「白単《鍛えられた鋼》」をリプレイ!でも紹介しましたし、
 赤緑《ケッシグの狼の地》に関しても、第9回:連続特集! グランプリ・ブリスベンの「緑単《ケッシグの狼の地》」をリプレイ!で紹介したアーキタイプです。

 しかし、どちらのデッキもポテンシャルは高いはずなのにグランプリ・広島では活躍できず、Top8に一人も残りませんでした。1人しか残れませんでした。
(※編注:内容に誤りがありましたので訂正いたしました。編集の不備をお詫びいたします。)

 これにはどういった理由が考えられるでしょうか?

 それがずばり、メタゲームと言われるものから来ているのではないでしょうか。

 当時は《秘密を掘り下げる者》の評価が、かの《タルモゴイフ》並に急上昇した時期で、僕の構築劇場を書くキッカケとなったイリュージョン・デッキがトーナメント参加者の意識の中心にあったわけです。
(ちなみに、イニストラード直後はこんな形でしたね。惜しい! →第6回:デッキリスト、デッキリスト、デッキリスト!

 たとえどんな強力なデッキだったとしても、意識されてしまえば話は別。

 そしてこのことは逆にも当てはまり、意識の外にあるアーキタイプを相手にするのは非常に困難。
 だからこそメタゲームが進むと一周して戻ってくるし、そしてそれは歴史が証明してくれています。
 ただ、そう原点回帰できるプレイヤーは少なく、そこから環境にあわせて再構築できるプレイヤーはもっと少ないのが現実です。
 何故ならば、既にある常識を変えるのは難しく、さらに《感電破》を金属術させるということも再発見しなければならないのです。

 まさに「神は細部に宿る。/God is in the details. 」

Conley Woods
世界選手権2011 トップ4 / スタンダード[MO] [ARENA]
9 《平地
4 《墨蛾の生息地
4 《金属海の沿岸
2 《ムーアランドの憑依地

-土地(19)-

4 《メムナイト
4 《信号の邪魔者
4 《きらめく鷹
4 《大霊堂のスカージ
4 《刻まれた勇者
1 《月皇ミケウス

-クリーチャー(21)-
4 《急送
4 《オパールのモックス
4 《起源の呪文爆弾
4 《鍛えられた鋼
4 《きらめく鷹の偶像

-呪文(20)-
3 《呪文滑り
3 《刃砦の英雄
2 《四肢切断
4 《忠実な軍勢の祭殿
1 《忘却の輪
1 《機を見た援軍
1 《氷河の城砦

-サイドボード(15)-


 では、より直感的に伝わるように動画を見てみましょう!


Game 1 - vs. 青白イリュージョン(サイドボード後)


http://www.youtube.com/watch?v=Rf5E9gsEp70


0:00
 《審判の日》も間に合わなさそうな超軽量ハンドをキープ。
 《鍛えられた鋼》はないけれど、十分なダメージは叩きだせそうだ。

0:26
 対戦相手の《瞬唱の魔道士》を絡めた《はらわた撃ち》で、こちらのタフネス1のアタッカーは全滅。
 代償にライフを払ってくれているので、《きらめく鷹の偶像》でそこを突く!

0:53
 追加の《きらめく鷹の偶像》でアタックを試みるも、相手はさらにライフを払って《四肢切断》! ファイレクシア・マナだけに10点も!?

1:13
 カードの応酬が続き、こちらも《四肢切断》でクリーチャーを狙う!
 しかし、あいにく《マナ漏出》。
 じわじわ《瞬唱の魔道士》のアドバンテージが効いてくる。

1:27
 相手をライフ1まで追い詰めるも、《忘却の輪》を引かれ《きらめく鷹の偶像》を対処されてしまう。
 だが1点も通せない相手は《起源の呪文爆弾》のマイア・トークンとのにらみ合いをしなければならない状態に。

1:52
 お互いにリソースを使い果たし、1/1を相討ちさせて《メムナイト》。
 マナ域を下げて高速化した弊害、つまりはカードパワー不足。

2:00
 飛行クリーチャーの《きらめく鷹》をトップデックし、トドメの一撃!
 このゲームを見てもらえれば伝わると思うが、序盤のクロックをどうさばくかで、試合の流れは大きく変わる。


Game 2 - vs. 青白イリュージョン(サイドボード後)


http://www.youtube.com/watch?v=uOu2WDCpctg


0:00
 1ゲーム目とは真逆なちょっと重たいハンドだが、マリガンするほどでは全然ない。
 しっかりマナが伸びることがわかっているのも嬉しいところ。

0:35
 《秘密を掘り下げる者》が変身しないお陰か、戦場はにらみ合い。
 《幻影の像》でコピーしてきた相手の《大霊堂のスカージ》は、こちらに《鍛えられた鋼》がある分相討ちは避けよう。
 絆魂のお陰でライフを保てるのが嬉しいが、それは相手も同じか。

1:01
 まるで《ボール・ライトニング》な《聖トラフトの霊》の攻撃を喰らいつつも、ライフは依然14と安全圏。
 こういった相討ち連続なゲーム展開を予想してサイドボードインした《忠実な軍勢の祭殿》が火を噴くまで、もう時間の問題だ。

1:15
 だが、《縫い合わせのドレイク》の登場で若干雲行きが怪しくなってきた。
 3/4飛行と、このゲームでは大きいだけで価値がある。

1:38
 2/2飛行2体に対して果敢にも攻撃してくる3/4飛行。
 横に《呪文滑り》がいるにも関わらず、だ。
 こういった若干損な交換になるとわかっていても、対戦相手は《忠実な軍勢の祭殿》のプレイヤーを前に動かざるをえない。
 結局ライフこそ払ってしまったが、《蒸気の絡みつき》2枚を引き出すことに成功した。

1:55
 待ってました!
 ついに《鍛えられた鋼》をトップデック!


Game 3 - vs. 赤緑ケッシグ(メインデッキ)


http://www.youtube.com/watch?v=UptsynEdeeI


0:00
 マナカーブの綺麗な初手に満足。
 欲を言えば・・・《鍛えられた鋼》引きたい!

0:34
 《きらめく鷹の偶像》のために《オパールのモックス》を不用意に置かないのは常識ですね!
 2枚もあると、《金屑の嵐》でも安心。

1:06
 ここのアタックでは《きらめく鷹の偶像》をもう一体攻撃させていた方が良かったですね。
 使い捨て《オパールのモックス》を考えていませんでした。

1:41
 ビースト・トークンで《最後のトロール、スラーン》と相討ち!
 喊声で+1/+0修正が効いてますね。


 動画はいかがでしたか?
 カードプールは広がっていないのに、どうしてここまで環境が変化するんだ? というくらいゲームが高速に、カードも低マナ域になったことが、1ゲーム目で伝わったと思います。
 これも全てはファイレクシア・マナ呪文と《瞬唱の魔道士》の組み合わせ、《秘密を掘り下げる者》の存在から来ているのでしょう。

 そこへ、唯一スピード勝負で勝てる《鍛えられた鋼》を選択したCFBは、しっかりと最序盤のクリーチャー対策を取っていない、3ゲーム目の対戦相手のようなデッキを蹴散らして、Top8大量入賞を成し遂げたのかもしれません。


 次回はCFBの《鍛えられた鋼》に続き、彌永の《感電破》型《ケッシグの狼の地》を紹介します。

 火力というユーティリティ・カードで相手の速度を落とし、自分の土俵へと誘いこむアプローチはCFBの考え方の真逆の発想で、とっても面白いですね!
 それではまた来週!


☆今週のイベント・インフォメーション!

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マスクス・ブロックがMagic Onlineに登場!&プレリリースイベント開催!
MMQ

 メルカディアン・マスクス、ネメシス、プロフェシーがついに、12月5日に「メルカディアン・マスクス・ブロック ブースターパック」としてMagic Onlineへとやってきます。
 「メルカディアン・マスクス・ブロック ブースターパック」とは、15枚のランダム・カード(レア1枚、アンコモン3枚、コモン10枚、基本土地1枚)で構成されており、メルカディアン・マスクス・ブロックの3つのセットを通したすべてのカードからの封入となっています。
 また、6つのメルカディアン・マスクス・ブロック ブースターパックと6チケットをあわせたイベントパックも同時に用意されます。

 Magic Onlineストアで発売される前に、以下のイベントでメルカディアン・マスクス ブロックを楽しもう!


マスクス・ブロック プレリリース スイス式シールド

開催スケジュール ※日本時間
(※編注:「16人揃ったら開始」ではなく、一斉にスタートします。)

開催日 開始時刻
12月3日 AM4:00
12月3日 AM8:00
12月3日 PM0:00
12月3日 PM8:00
12月4日 AM1:00
12月4日 AM7:00
12月4日 AM11:00
12月5日 AM4:00

開催場所: 「Premier Events room」
参加費: 30チケット
プロダクト:メルカディアン・マスクス・ブロック ブースターパックが6つ支給されます。
参加人数: 最小33人、最大256人
イベント内容:デッキ構築とスイス式の6回戦です。勝ち負けにかかわらず、6回戦をプレイすることができます。
賞品:勝ち点に基づいて配布されます。各マッチの勝ち点を3点とし、負けは0点とします。

勝ち点 賞品
18 メルカディアン・マスクス・ブロック ブースターパック 15個
15 メルカディアン・マスクス・ブロック ブースターパック 8個
12 メルカディアン・マスクス・ブロック ブースターパック 4個
9 メルカディアン・マスクス・ブロック ブースターパック 2個

追加の賞品: 参加した各プレイヤーにはプレリリース版《超越者》が、また、9点(3勝)以上の成績を残したプレイヤーには、追加でプレリリース版foil《超越者》が配られます。


メルカディアン・マスクス ブロック スイス式ブースタードラフト

開催時間: 12月4日 AM3:00~12月5日 AM3:00 ※日本時間
開催場所: 「8-Player Draft room」
参加費: 20チケット
プロダクト:メルカディアン・マスクス ブロック ブースターパックが3つ支給されます。
参加人数: 8人
イベント内容:ドラフト、及びデッキ構築とスイス式の3回戦です。勝ち負けにかかわらず、3回戦をプレイすることができます。
賞品:勝ち点に基づいて配布されます。各マッチの勝ち点を3点とし、負けは0点とします。

勝ち点 賞品
9 メルカディアン・マスクス ブロック ブースターパック 4個
6 メルカディアン・マスクス ブロック ブースターパック 2個
3 メルカディアン・マスクス ブロック ブースターパック 1個

追加の賞品: 参加した各プレイヤーにはプレリリース版《超越者》が、また、9点(3勝)の成績を残したプレイヤーには、追加でプレリリース版foil《超越者》が配られます。


マジック・オンライン プロツアー予選:ホノルル

開始時間: 下記スケジュールをご参照ください。
開催場所: 「Premier Events room」
参加費: 30チケット
プロダクト: イニストラードのブースターパックが6つ、Top8にはドラフトに使用されるイニストラードのブースターパックも3つ、支給されます。
参加人数:33人~768人
イベント内容: イニストラード・シールドデッキ戦。各イベントではシールドデッキ構築と、参加者数に応じた回戦数のスイスラウンド、Top8ではシングルエリミネーション3回戦が行われます。
賞品: トーナメントの最終順位に基づいて配布されます。

最終順位 賞品 QP
優勝 プロツアー・ホノルルの参加権利
及びスーパードラフトの招待
イニストラード ブースターパック 36個
6
準優勝 イニストラード ブースターパック 36個 5
3,4位 イニストラード ブースターパック 27個 4
5-8位 イニストラード ブースターパック 18個 3
9-16位 イニストラード ブースターパック 9個 0
17-32位 イニストラード ブースターパック 6個 0
33-64位 イニストラード ブースターパック 3個 0

開催スケジュール

開催日 開始時刻
12月4日 AM4:00
12月10日 PM11:00
12月18日 AM4:00
12月23日 PM8:00
12月25日 AM4:00
12月26日 AM0:00


参加人数によるラウンド数
参加人数 ラウンド数
8 3
9-16 4
17-32 5
33-64 6
65-128 7
129-226 8
227-409 9
410人以上 10
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