READING

戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:チャンピオンシップ権利を勝ち取ったデミリッチ(ヒストリック)

岩SHOW


 マジックはクールに満ちている!カードやデッキについて語れば、それは自然とクールな内容になる。というわけで今週もクールに満ちた金曜日をお届けしよう、Cool Deckの時間だ。今回は……あるプレイヤーの投稿をピックアップ。

 

 オンドレイ・ストラスキー/Ondrej Strasky。彼はチェコのプレイヤーだ。彼の実績は……プロツアーのトップ8に2回入賞、グランプリやミシックチャンピオンシップといった過去のトーナメントでも優勝経験があり、かつてのプロリーグでは文字通り頂点に君臨したこともある、クールな戦歴を誇るプロプレイヤー。その昔、世界選手権の実況で会場に行った時、彼を含む当時の若手プレイヤー達にインタビューを行ったのだが……20代前半の若い彼らは仲良し感が前面に溢れていて、非常にかわいらしかったのを覚えている。特にオンドレイは常にニコニコしていて、それ以降個人的な推しプレイヤーだ。

 そんなオンドレイがアリーナ・チャンピオンシップの予選を突破したことを報告する投稿をしていた。このトーナメントはその名の通り、MTGアリーナを用いて開催され、アリーナ世界一を決める大会。予選を突破した限られたプレイヤーのみが参加可能で、日本のプレイヤーがこのトーナメントでも活躍してきている。賞金もプロツアーに引けを取るものでもなく、世界選手権の参加権利も獲得可能など、もっと注目されるべきクールな舞台、それがアリーナ・チャンピオンシップ。オンドレイは3年ぶりにこの夢舞台への参加権利を獲得した。彼がアリーナ最強決定戦にてクールなプレイを披露してくれることを願っている。

 というわけで今回はそんなアリーナ・チャンピオンシップへの参加権利を勝ち取ったデッキリストを紹介しよう。フォーマットは……ヒストリック!アリーナの大会らしい、この媒体ならではのフォーマットだ。今でこそアリーナで構築フォーマットのランク戦をプレイしようと思ったら、スタンダードやパイオニアをはじめ、5つも選択肢がある。しかしかつてはスタンダードと、このヒストリックのみだった。

 歴史的というフォーマット名が示す通り、スタンダードをローテーション落ちしてしまったカードをプレイするための環境として制定されたヒストリック。この環境には……『モダンホライゾン』シリーズのカードや、ヒストリックのために用意された特別な再録、またアリーナ内にのみ存在するデジタルならではの挙動を見せるカードなど、テーブルトップのマジックとはまた違った魅力が詰まっている。かつては筆者も毎日ヒストリックに明け暮れていたものだ……懐かしい。他のフォーマットも増えてきたこともあり、ヒストリックのデッキはご無沙汰。久しぶりに目にしたそのリストは、まさしくクールと形容するにふさわしい仕上がりだ。

オンドレイ・ストラスキー - 「イゼット・フェニックス」
アリーナ・チャンピオンシップ予選 権利獲得 / ヒストリック (2026年4月13日)[MO] [ARENA]
4 《虹色の眺望
4 《蒸気孔
4 《尖塔断の運河
1 《焦熱島嶼域
3 《
1 《
-土地(17)-

4 《弧光のフェニックス
4 《デミリッチ
-クリーチャー(8)-
4 《思案
4 《考慮
4 《思考掃き
4 《信仰無き物あさり
4 《魔力変
4 《宝船の巡航
3 《ひどい出来
3 《稲妻の連鎖
1 《稲妻の斧
2 《有毒の蘇生
2 《速槍の教え
-呪文(35)-
4 《否定の力
1 《無効
3 《溶融
2 《引き裂く流弾
1 《焼けぼっくりの強打
2 《高山の月
1 《厚かましい借り手
1 《量子の謎かけ屋
-サイドボード(15)-
X より引用)

 

 

 パイオニアでもお馴染みの《弧光のフェニックス》!このフェニックスは墓地に落ちてこそその真価を発揮する。同一ターンにインスタントかソーサリーを3回以上唱えてから戦闘を迎えると、このフェニックスは戦場に出てくる。マナ不要で、かつ速攻持ちなのでいきなり3点ダメージを与えにいけるというクールな性能を誇っているのだ。

 このフェニックスを使うデッキは先述の通りパイオニアでは定番のもので、圧倒的多数のプレイヤーにとって見慣れたクリーチャーだと思うが……それと共にデッキの主役の座を務めているのが《デミリッチ》!この禍々しいスケルトンは、能力の宝庫というくらいにびっしりとテキストが書かれている。まず、唱えたインスタントやソーサリー1回につき青マナが1つ軽減されるという能力。つまり4回唱えれば無料で《デミリッチ》を唱えて戦場に出せるのである。さらにこれは攻撃すると、墓地のインスタントやソーサリーをコピー。これを唱えるために連打した呪文を再び唱えて、しっかりと費用を回収出来る。そしてこれは、追加コストを支払えば墓地から唱えられる!というわけでフェニックスと通ずるエッセンスが多く、同じデッキに共存が可能だ。

 《考慮》や《思考掃き》といったカードは墓地にフェニックスとデミリッチを送り込み、これらが戦場に出るための条件も進める……というわけでインスタント&ソーサリーの連打からのコストを踏み倒した4マナクリーチャーの降臨により制圧する。これがこのデッキのコンセプトだ。そうそう、ヒストリックおけるデミリッチは、通常のカードのものと少し異なる。アリーナ内での修正を受けており、タフネスが4になっている!この1多いという微差が大きな差であることは、マジックプレイヤーなら身に染みて理解しているはず。攻撃がしやすく、除去で落ちにくくなったデミの頼もしさは異常!

 

 ヒストリックと言えば《信仰無き物あさり》がプレイ可能なフォーマットでもある。パイオニアではプレイ不可能なこのカードでフェニックスを捨てるのは、ヒストリックならではの楽しみだ。もちろんデミを捨てても良いし、いざとなればロングゲームでフラシュバックも生きてくる。個の手札入れ替え呪文を軸に、先ほども挙げた《考慮》などの墓地を増やせるドロー、また《稲妻の斧》などで手札を捨てて、フェニックスとデミの降臨を狙っていく。捨てた手札は《宝船の巡航》のコストにもなるだろう。

 また「いつの間に?」と思うようなカードがヒストリックで使用可能になっていることにも驚かされた。《思案》はレガシーでもおなじみの1マナソーサリー。3枚見て並べ替え、そのまま1枚引くかシャッフルして引くかを選べる、便利でありながらプレイヤーの腕が問われる1枚。それから《稲妻の連鎖》、これは1マナで3点ダメージを対象に与える、本家《稲妻》にも引けを取らないダメージ呪文だ。赤いデッキ相手にはコピーを打ち返される懸念はあるが、相手にマナが浮いていなければ恐れるものはない。除去兼トドメの一撃枠を担っているわけだが、これもいつの間にかアリーナに導入されていたんだなぁ。しばらくプレイしていないフォーマットがあると、その変化をこうして味わえる。これもまたクールな経験だ。ヒストリックご無沙汰勢は、一度カードプールを眺めてみて欲しい。

 《稲妻の連鎖》がプレイ可能になっていることを知ったので、折角なので筆者もバーンデッキを組んでヒストリックを久しぶりに遊んでみた。

岩SHOW - 「バーン」
ヒストリック (2026年4月16日)[MO] [ARENA]
2 《バグベアの居住地
1 《栄光の闘技場
12 《
-土地(15)-

4 《僧院の速槍
4 《損魂魔道士
4 《雇われ爪
4 《焦がし吐き
-クリーチャー(16)-
4 《稲妻の連鎖
4 《稲妻波
4 《火遊び
2 《噴出の稲妻
4 《静電気の放電
3 《静電破
2 《メフィットの熱狂
2 《舞台照らし
4 《熊野と渇苛斬の対峙
-呪文(29)-

 

 

 初期強度という概念を持ち、同名カードを唱えるほどダメージ効率が増す《静電気の放電》。恩恵という概念で手数をもたらす《静電破》や、余剰ダメージをクリーチャーのパワーに変換する《メフィットの熱狂》といった、アリーナならではのカード達。これらと《雇われ爪》《焦がし吐き》らダメージ効率に優れたトカゲ、そして果敢を持った面々らを合わせて、前のめり一直線なバーンデッキに。土地が15枚なのは、17枚以上では土地しか引かない発作が発症し、デッキが機能不全になる自身の体質と照らし合わせた結果だ。自分にはこれがしっくりくる。オカルトな話かもしれないが、自分の特質にあった調整はクールなものだと考えているので皆も独自チューンを恐れずに色々トライしてみて欲しい。

 まあバーンは……勝つのは厳しかったね。ヒストリックのデッキ、進化しすぎ!他のアーキタイプにバーンでは速度負けしてしまうので、赤いアグロは別のアプローチが良いだろうなと思ったのだった。そんなわけで今週もクールに感じた出来事やデッキを紹介させていただいた。皆の週末がクールなものでありますように。アリーナ・チャンピオンシップの予選は今後も開催予定なので、機会があれば参加してみようぜ。

 それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Let’s try for the championship!!

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索