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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ディミーア・コントロール:モード呪文の魅力(スタンダード)
選択肢は多いに越したことはない、何であれ。時に選択肢が多くて迷ってしまうこともあるが、自動的に一択というよりは自身で選択した運命の方が納得がいくというものだ。マジックにおいても、こうするしかない、よりもあれもこれもできるがどうしよう?というゲームの方が楽しいね。唱えるカード、戦闘、その他のアクション……様々な選択肢からベストに近いものを選ぶことが出来たら、勝利というものが近づいてくるのだろう。
カード自身にも選択肢が与えられているものがある。モードを持つカードというやつだ。テキストに「以下から1つを選ぶ」などと書かれているカードを見たことがあるだろう。呪文だったり能力だったり、選ぶモードに寄って全く異なる役目を果たしてくれるカードというものがある。
そういったモード呪文というものは、選択肢が与えられている分、同じことをする呪文に比べるとコストはやや重め。なのでベストなパフォーマンスが期待できるわけではないが、それでも手札にあるカードが臨機応変に対戦相手や状況に対応できるのは素晴らしい。《毒を選べ》は3種類のパーマネントに対処可能。狙ったものを確実に落とせるというデザインではないのだが、相手がどんなカードを出してきてもそれなりに対抗できるという点が素晴らしく、多くのデッキから支持を集めている。また複数のモードを同時に選択できるカードも。《三歩先》などはひとつひとつの効果はマナ効率が悪いが、複数を同時に選ぶことが出来れば一転してゲームを決定づける一手となる。モード呪文にはロマンがあるね。
『ブルームバロウ』でもいくつかのモード呪文が登場し、新たな選択肢で我々に嬉しい悩みをもたらしてくれている。個人的にグッと来た1枚は《呪文渦》。呪文の種類を問わず打ち消せる、確定打ち消しのモードを持つ。まあ正直、この効果で4マナは重い。重いんだけども、もう一つのモード。諜報2を行ってカードを2枚引く。こちらは過去の同様のドロー呪文と比べても見劣りしない性能だ。不要なカードを墓地に落として、可能な限り意味のあるドローを提供……手札が増えるこの動きがインスタントタイミングでできるのは、悪くない。
青いコントロールと言えば、相手のターンに打ち消し呪文を構えつつ何もなければターンエンドにドローを唱える、という動きが理想的なムーブ。この《呪文渦》はとりあえず構えておいて、基本的にはドローのモードで唱えることを狙いつつ、ヤバいのが飛んで来たら緊急で打ち消し。こういう使い方をするべき1枚だろう。打ち消し構えつつドロー、という動きを1枚で行えるというのはなかなか魅力的ではないか。
過去にもこのように打ち消しと手札を増やすモードを備えた呪文はあったが、《呪文渦》は過去のものと比べても魅力的に見える。そんなマニア向けのシブいインスタントを4枚採用したデッキを見つけたので、ここに紹介しよう。
2 《地底の大河》 2 《闇滑りの岸》 4 《不穏な浅瀬》 3 《地底街の下水道》 4 《解体爆破場》 2 《寓話の小道》 1 《噴水港》 4 《島》 4 《沼》 -土地(26)- 2 《ティシャーナの潮縛り》 -クリーチャー(2)- |
3 《切り崩し》 4 《喉首狙い》 1 《長い別れ》 2 《悪意ある覆い隠し》 4 《死人に口無し》 2 《否認》 2 《幻影の干渉》 4 《推理》 4 《三歩先》 4 《呪文渦》 1 《完成化した精神、ジェイス》 1 《時間の旅人、テフェリー》 -呪文(32)- |
1 《最深の裏切り、アクロゾズ》 2 《金属の徒党の種子鮫》 2 《情け知らずのヴレン》 2 《ティシャーナの潮縛り》 2 《否認》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《ぎらつく氾濫》 1 《悪意ある覆い隠し》 2 《魂標ランタン》 1 《完成化した精神、ジェイス》 -サイドボード(15)- |
ディミーア(青黒)カラーのコントロール……前スタンダード環境でも目にする機会があったデッキだ。このディミーアの特徴は、打ち消し・ドローという青の要素に黒のクリーチャー除去があわさった鉄壁のディフェンス。そんな除去の中でも《死人に口無し》は群を抜いて強力だ。すべてのクリーチャーを根こそぎ破壊!そしてこれを唱える時に証拠収集のコストを支払っていれば、対戦相手の墓地からカードを1枚追放。それと同じ名前のものを手札やライブラリーからもまとめて引っこ抜く!破壊したクリーチャーでも良いし、打ち消したりした他のカードでも構わない。これにより対戦相手の勝つために必要なカード、こちらを危機にさらすカードを失わせていく……最終的には戦力を削いで心を折る。対戦相手を投了へと誘うような勝ち方を理想とする、防御一辺倒なデッキである。
この口無しの証拠収集、墓地からマナ総量が6になるようにカードを追放することで支払う。簡単にできるものではないが、これを《呪文渦》の諜報で上手く後押しすることで、証拠収集込みの口無しを複数回唱えるという動きが以前よりもスムーズに狙えるようになったわけだ。
ドローにより供給される打ち消しと除去で捌く難攻不落のコントロール。サイドボーディング後のゲームではうってかわってクリーチャーなどを追加し、攻めを仕掛けるという戦い方ができるのもこのアーキタイプの魅力。様々な攻め手がサイドに用意されているが《情け知らずのヴレン》は要注目。このヴレンがうっかり生き延びたりすると、相手のクリーチャーを除去する度にネズミが増えていく。ヴレンが生成するネズミはネズミの数を参照してサイズアップしていくので……とんでもない盤面が作り上げられてしまうことに。
こんな事態を避けるためにも、コントロールデッキ相手だから・メインで1枚もクリーチャーを見ていないからといって、《喉首狙い》のような除去をサイドのカードと全入れ替えしてしまうことのないように気を付けたい。対コントロール側は除去を何枚残すか、コントロール側はそもそもクリーチャーを入れるのかどうか。このあたりの読み合いこそがマジックの醍醐味。最初は難しいだろうけども安心してください、何年やっても難しいですよ!
《呪文渦》のようなモードを持つ呪文は、コストが割高になっている分、非モード呪文にはない器用さ・臨機応変さが魅力。コントロールデッキにはぴったりのこのインスタント、ぜひ一度試してみて欲しいね。
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