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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
エメリア・コントロール:職人系リアニメイトの妙味(モダン)
いつの間にかもう1ヶ月を切っている。何がって?3回目となる「プレイヤーズコンベンション」だよ!
愛知、横浜ときて3回目の開催は千葉!幕張メッセ!以前までグランプリやマジックフェストなどマジックの大型イベントでは定番のロケーションだった。幕張にドでかいイベントが帰ってくるぞ!僕も当日は会場に行く予定、今回もオープンイベントのアツい試合を見届けるという最高に眼福な立場で有難い限りだ。賞金と次の招待制イベントの権利、そして何よりマジック国内トーナメントの歴史に優勝者として名を連ねる栄誉!これらをその手に掴むプレイヤーが誰になるのか?土日で競われるフォーマットは2つ、パイオニアとモダンだ。これからちょくちょくこの2つのフォーマットのデッキもあげていって、この記念すべき初夏のバトルへの熱気を高めていけたらなと。
そんなわけで今回はモダンのデッキを紹介しよう。モダンはとにかく……デッキが多い!スタンダードやパイオニアとはカードプールの広さが桁違いだから、その分デッキも多くなる。流行りのデッキこそ絞りこめはするが、大型トーナメントになるとプレイヤーの数だけデッキがあると言っても良いぐらいの千差万別なデッキを見ることができる。参加者デッキリストを眺めているだけでもエンターテイメントなフォーマットなのだ。
そんなわけで今回はモダンの個性的すぎるデッキをご紹介。アメリカはミネアポリスで開催された181名参加のトーナメント結果を眺めていて、個性あふれるデッキをみつけたので皆にも共有しちゃうぜ。
4 《溢れかえる岸辺》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《乾燥台地》 1 《スパーラの本部》 1 《神聖なる泉》 1 《寺院の庭》 1 《神無き祭殿》 1 《霧覆いの平地》 2 《空の遺跡、エメリア》 5 《平地》 -土地(24)- 4 《スレイベンの検査官》 1 《偽りの希望の神》 1 《砂の殉教者》 1 《機能不全ダニ》 4 《戦隊の鷹》 1 《軽蔑剣の狂戦士》 4 《イーオスのレインジャー長》 4 《孤独》 2 《機械の母、エリシュ・ノーン》 1 《太陽のタイタン》 -クリーチャー(23)- |
2 《虹色の終焉》 2 《冥途灯りの行進》 3 《至高の評決》 2 《永久の優雅》 4 《時を解す者、テフェリー》 -呪文(13)- |
3 《ドビンの拒否権》 3 《激しい叱責》 2 《神聖なる月光》 1 《ブレンタンの炉の世話人》 1 《巨人落とし》 1 《ヴェクの聖別者》 1 《太陽のタイタン》 1 《冥途灯りの行進》 1 《虹色の終焉》 1 《至高の評決》 -サイドボード(15)- |
リストを見ても何が何だか感があるが……限られてはいるがこのデッキをやり込んでいるマニアが存在する、その名も「エメリア・コントロール」。《空の遺跡、エメリア》をフィニッシャーとした低速デッキだ。平地タイプを持った土地が7枚以上と求められるものは多いが、その条件を満たせばマナなど不要で毎ターン自動的にクリーチャーがリアニメイト(墓地から戦場に戻すこと)される。得られるものがデカすぎて最高過ぎる土地で、この土地から得られる快感に浸ることが史上の慶びとなっているマニアたちが今日も世界のどこかでエメリアを戦場に出している。
エメリアの求めているものは単に平地とだけ書かれている。基本土地の《平地》というカード名を指しているわけではないので《スパーラの本部》のような複数の土地タイプを持つ多色土地でも構わない。なので、それらを《溢れかえる岸辺》などのフェッチと呼ばれる土地でライブラリーから探してくる実にモダンらしいマナ基盤を用意することで「エメリアでリアニメイトする」「白単色に近い構成でかつ他の色のカードも用いる」という矛盾していそうなテーマを両立したデッキが成立するのである。すごいぜモダン。《時を解す者、テフェリー》のようなパワーカードを組み込めるなら、使わない手はないって!
エメリアが機能しだすとすこぶる強固な盤面を作れるが、なんだかんだで平地7枚+エメリアで土地8枚並べるまでは時間がかかる。なので、もうちょい軽いヤツを……と探せば、モダンにはあるよ。お望みの逸品がさ。《永久の優雅》、モード選択型のエンチャントだ。毎ターンの終了時1点のライフを得るか、あるいは1マナ以下のクリーチャーをリアニメイトできる。そのためこのリストには使いまわして嬉しい1マナクリーチャーがいくつか採用されている。実質的にドローを呼び込む《スレイベンの検査官》を筆頭に……
《機能不全ダニ》は非クリーチャーのアーティファクト&エンチャント対策。《力線の束縛》に《鏡割りの寓話》、そしてモダンを代表する1枚《ウルザの物語》!これらの超強力エンチャントをはじめ、アーティファクトを組み合わせるコンボなども多数見られるモダンではこのダニを毎ターン使いまわせるのは盤面をコントロールする手段として非常に頼もしい。
また白の1マナ圏となるとライフを維持することに関して非常に長けているスタッフが。《偽りの希望の神》は生け贄に捧げれば戦闘ダメージを軽減して0にしてしまう。《死の影》や《巨像の鎚》といった軽いカードで高打点を弾き出すデッキがモダンでは定番であり、それらを完封できるこの神がもたらすのは偽りでもなく真実の希望。そして《砂の殉教者》!懐かしい、モダンの前身フォーマットや最初期にはその活躍を目にする機会が多かったなぁ。手札から公開した白いカード1枚につき3点回復。3枚見せれば9点と驚異的な回復量でアグレッシブなデッキを押し退ける。これが毎ターン繰り返されてるところを想像すると、アグロユーザーは背筋が凍ってしまうな。
殉教者のためには白いカードを手札に複数枚持つ必要がある。《戦隊の鷹》は最大で一気に9点分の回復を呼び込む。1/1とはいえ飛行持ちなので戦闘役も担える。そして1マナ圏のリアニメイトして嬉しいクリーチャーを探してくる手段として《イーオスのレインジャー長》も。これが強いぜ、状況に合わせてライフサポートかダニか選んで持ってこれるのだから。生け贄に捧げることで対戦相手が非クリーチャー呪文を唱えられなくなる能力は、エメリアで毎ターン繰り返せばもう完全なハメパターン。う~む、デッキを構成するカード1枚1枚が噛み合っていて美しいデッキだなぁ。
他にも各パーツについて紹介していきたいが、誌面の都合でここらで……何故このカードが入っているのか?眺めつつイメージを膨らますのも楽しい時間だ。この手の職人系デッキはモダンという広大なフォーマットでひっそりと咲く一輪の花。皆もこんな個性的なデッキを突き詰める達人ポジションを目指してみるのはどうだろう?
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