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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

デプス・コンボの変遷:3年の月日が流れ……(レガシー)

岩SHOW

 「エターナル・ウィークエンド・アジア2022」の発表に胸が躍った。

 過去のこのイベントでは実況として携わらせていただいたからだ。しかしまあ前回大会が3年前。どんな感じだったかすぐには思い出せず、記憶をひねり出す悪あがきはせずに、素直にイベントカバレージページへと飛んだ。

 お~そうだった。この時のレガシー選手権は「デプス」祭りだったな。

 デプスとは《暗黒の深部》およびそれを用いたコンボデッキの総称。この土地は10個の氷カウンターを取り除くことができれば、たった1回の攻撃で初期ライフを削り切る強大なトークンを提供してくれる。

 この難問をイージーに解決するのが《吸血鬼の呪詛術士》。また《演劇の舞台》でデプスのコピーになると、そもそもが氷カウンターを持っていないので即座に生け贄からマリット・レイジに降臨していただける。

 呪詛術士や手札破壊のための黒、そして土地をサーチする《輪作》《エルフの開墾者》などのために緑と組み合わせた黒緑2色のデプス・デッキが2019年のレガシー選手権では暴れ回った。

 速度重視のものやコンボ成立の精度を重視したもの、はたまた別コンボとのハイブリッドなど、カードチョイスでその性質は若干変わるものの、黒緑のデプスが最強であるというのは、トップ8に4名を輩出した結果が証明していた。

安藤 正人 - 「スロー・デプス」
エターナル・ウィークエンド・アジア2019 レガシー選手権 優勝 (2019年8月17~18日)[MO] [ARENA]
1 《
1 《
3 《Bayou
4 《新緑の地下墓地
1 《吹きさらしの荒野
1 《育成泥炭地
1 《ボジューカの沼
3 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ
1 《セジーリのステップ
3 《不毛の大地
4 《暗黒の深部
4 《演劇の舞台
-土地(27)-

4 《エルフの開墾者
4 《闇の腹心
4 《吸血鬼の呪詛術士
-クリーチャー(12)-
4 《モックス・ダイアモンド
4 《輪作
4 《思考囲い
3 《強迫
3 《突然の衰微
1 《暗殺者の戦利品
1 《森の知恵
1 《森の占術
-呪文(21)-
1 《カラカス
1 《森を護る者
2 《疫病を仕組むもの
3 《外科的摘出
2 《致命的な一押し
1 《真髄の針
1 《暗殺者の戦利品
1 《消耗の儀式
1 《毒の濁流
2 《活性の力
-サイドボード(15)-

 

 優勝はこちらの「スロー・デプス」。「ターボじゃないよ」という意味のスローで、どっしりじっくりと構えながら隙を見れば一気に畳みかけて終わらせる、余裕にあふれた横綱的なデッキであった。

 《エルフの開墾者》はコンボパーツ以外にも《不毛の大地》や《セジーリのステップ》《ボジューカの沼》といった土地をサーチして臨機応変に戦える柔軟さをデッキに付与しつつ、本人も3/4となって攻撃してライフを詰める役目を担う。

 《闇の腹心》とのコンビでアドバンテージを稼ぎながらちまちま殴るのがコンボ対策をしてきた相手へのアンサーにもなる。

 速度に全振りしているわけではないと言いつつも、《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》《暗黒の深部》《吸血鬼の呪詛術士》で2ターン目にコンボが成立するという瞬殺王ぶりを発揮することも。

 見ていて本当に強いデッキだなと、惚れ惚れとしたものである。優勝トロフィーである《Bayou》の原画もデッキにマッチしていたのが印象深い(ここまで書いていて思い出した)。

ewa19_legacy_champion_andou.jpg

 さて、時は流れて2022年現在。約3年の月日が経ち、今度のレガシー選手権では「黒緑デプス」は間隔が開いてしまったが連覇を狙う立場……と思いきや、デプス界に変化が起きていた。

Jordan Lidsky - 「デプス・コンボ」
The Legacy Pit Open II 25位 / レガシー (2022年10月1日)[MO] [ARENA]
1 《
1 《ドライアドの東屋
1 《平地
2 《Savannah
1 《Taiga
1 《Plateau
4 《吹きさらしの荒野
1 《樹木茂る山麓
2 《成長の揺り篭、ヤヴィマヤ
2 《トロウケアの敷石
2 《セジーリのステップ
1 《カラカス
1 《ボジューカの沼
3 《不毛の大地
2 《暗黒の深部
3 《演劇の舞台
1 《イス卿の迷路
-土地(29)-

4 《エルフの開墾者
1 《森を護る者
1 《辺境地の罠外し
4 《聖遺の騎士
1 《忍耐
1 《ラムナプの採掘者
-クリーチャー(12)-
3 《モックス・ダイアモンド
4 《輪作
4 《剣を鍬に
1 《虹色の終焉
1 《森の知恵
4 《緑の太陽の頂点
2 《時を超えた英雄、ミンスクとブー
-呪文(19)-
1 《Glacial Chasm
1 《市長の塔
1 《溜め込み屋のアウフ
2 《忍耐
1 《紅蓮破
2 《赤霊破
1 《流刑への道
2 《窒息
2 《活性の力
1 《虹色の終焉
1 《時を超えた英雄、ミンスクとブー
-サイドボード(15)-
Melee より)

 

 緑は変わらず固定だが、黒ではなく白と赤を相棒にした3色構成が2022年秋現在の主流! この2色による恩恵をまとめると……

 これらのカードをデッキに搭載できるのが強みである。

 特に《聖遺の騎士》は土地をサーチできるので、デプス・コンボ一式をこれ1枚から揃えられると同時に、自身もサイズが上昇してこれ単独でフィニッシャーになるのもすこぶる強い。能力の起動には森か平地のタイプを持った土地を生け贄に捧げなければならないが、それが《成長の揺り篭、ヤヴィマヤ》で楽々運用できるようになったのがここ3年の間に得た大きな変化である。

 また赤を足していることで《時を超えた英雄、ミンスクとブー》も採用できる。

 ブー・トークンをミンスクで強化して攻撃し、最後は投げつけることで一瞬でゲームに勝てるとレガシープレイヤーが嬉々として唱え、相手が唱えてこないことを祈り続けている2022年のレガシーを象徴する新たなフィニッシャーだ。

 これと聖遺があるのでコンボに依存せずにゲームに勝てるようになったし、逆に絶対決まるという状況になれば容赦なく土地サーチから瞬殺するという、黒とはまた違った方向で安定したデッキへと進化している。

 3年でレガシー環境が大きく変化したことをデプス・コンボのリストから読み取ることができた。現在の主流か、自身の好みで旧式を貫くか、あるいは全く新しいカラーリングを生み出すか……デプスに限らずにさまざまなデッキにもたらされた変化も含めて久しぶりのレガシー選手権を楽しんでもらえたら!

 会場にて皆が持ち込むデッキを拝ませていただくのを楽しみにしているよ。

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