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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

サバイバル・エルフの今昔(ヒストリック&過去のフォーマット)

岩SHOW

 これが公開される頃にはマジック30周年を記念したラスベガスのイベントも終わっている。さぞや楽しい時間になったことだろう。来年あたり日本でも30周年イベントやってくれないかな?

 とりあえずうっすらと期待しつつ……30年ってすげぇなぁと改めて。僕が小学校に入学したぐらいから毎日カードがデザインされ、印刷され、誰かがそれと出会い、デッキを組んでプレイしている。とんでもないことだよね。僕自身もマジックを始めたばかりの頃のカードがまだ手元に残っている。今と過去が繋がっているのだ。いやぁ、ただただ、ため息が出るよ。

 最近のデッキを見ていても、現在と過去が結びついているのを実感する時がある。

 再録や同型のカードの登場により往年の名デッキが蘇ったり、全くの別物だけれどもなんだか昔触ったデッキと似ているプレイ感を味わったり……ただ勝った負けた以外の感情を呼び起こしてくれる、マジックを長くプレイしているとそんな感動が待っている! 皆にも長く続けてほしいものだよ。

 そんな思いを込めて、今回紹介するのはこのデッキ。

Platinum-Mythic Rank Player - 「エルフ」
MTGアリーナ ランク戦 6連勝以上 / ヒストリック (2022年10月17日)[MO] [ARENA]
1 《
4 《寺院の庭
1 《枝重なる小道
4 《繁殖池
4 《植物の聖域
2 《ヤヴィマヤの沿岸
1 《夢根の滝
3 《樹皮路の小道
3 《神聖なる泉
1 《アーデンベイル城
1 《耐え抜くもの、母聖樹
-土地(25)-

4 《ヤスペラの歩哨
3 《エルフの神秘家
3 《ラノワールのエルフ
1 《アロサウルス飼い
1 《シボウタケの若芽
4 《獣相のシャーマン
4 《眷者の神童、キナン
1 《協約の魂、イマーラ
1 《ラノワールの壌土語り
1 《心悪しき隠遁者
2 《エルフの大ドルイド
1 《厚かましい借り手
1 《拘留代理人
1 《ガーディアン・オヴ・フェイス
1 《敏捷な妨害術師
1 《エリマキ神秘家
1 《探索する獣
1 《凶時の天使
1 《大修道士、エリシュ・ノーン
1 《孔蹄のビヒモス
1 《ヴォーデイリアの波魔道士
-クリーチャー(35)-

-呪文(0)-
1 《ハーパーの使者、ジャヘイラ
1 《修練中の侍祭、クレメント
1 《オグマの文書管理人
1 《ボアレスキアの通行料徴収人
1 《獅子の飾緒
1 《樹海の幻想家、しげ樹
1 《幽体の敵対者
1 《嘘の神、ヴァルキー
1 《噛掌の忍者
1 《厚かましい借り手
1 《集めるもの、ウモーリ
1 《メア湖の海蛇
1 《凶時の天使
-サイドボード(13)-

 

 土地とクリーチャーのみの構成が何とも好ましい、ヒストリックの緑を中心としたリストだ。

 ヒストリックは歴史的というその名の通り、MTGアリーナでスタンダード落ちしたカードが使用可能なだけでなく、もっと過去のセットから選ばれたカードも一部使用可能となっており、マジックの歴史が交錯する舞台となっている。MTGアリーナにしか存在しないカードをそれら古き時代の精鋭と組み合わせられるので、レガシーなどとはまた別の形でマジックの30年を体感できるこのフォーマットだ。

 さて、そんなヒストリックにおけるこのリストは、エルフを中心としたものである。最古の1枚《ラノワールのエルフ》から最新の《ラノワールの壌土語り》と、歴史を彩ったマナエルフたちが居並ぶ。

 《エルフの大ドルイド》がそれらの数だけマナを供給し、爆発的な展開を可能にしている。

 そこから《孔蹄のビヒモス》に繋げて一撃必殺というのはエルフの定番ムーブだ。

 今の時代なら《アロサウルス飼い》もスマートな勝利手段になる。

 このエルフによるマナ加速戦略を《眷者の神童、キナン》が強烈に後押しする。

 クリーチャー主体で殴って勝つデッキではあるが、コンボ的な要素もまとっているのがエルフデッキの特徴だ。

 そしてこのデッキが郷愁的な気持ちにさせてくれるのは、エルフをベースにしつつもさまざまな種類のクリーチャーを採用し、それらを《獣相のシャーマン》でサーチする機構を搭載しているからだ。

 フィニッシュのビヒモスや《エリマキ神秘家》《拘留代理人》《ガーディアン・オヴ・フェイス》と、さまざまな状況に対処可能なクリーチャーを搭載し、それらをシャーマンの能力で手に入れて問題解決していくのである。

 これもあってのほぼクリーチャーという構成になっているわけだ。

 どんな状況からでも《獣相のシャーマン》でなんとかできるかもしれない……これは過去の名デッキ「サバイバル・エルフ」を思い出させる。

Marc Bauerett - 「サバイバル・エルフ」
Mercadiade 2009 準優勝 / レガシー (2009年9月29日)[MO] [ARENA]
3 《
3 《Savannah
4 《Taiga
3 《吹きさらしの荒野
3 《樹木茂る山麓
2 《ガイアの揺籃の地
-土地(18)-

4 《ラノワールのエルフ
4 《フィンドホーンのエルフ
3 《クウィリーオン・レインジャー
1 《ワイアウッドの共生虫
4 《ティタニアの僧侶
3 《タルモゴイフ
3 《ワイアウッドの伝令
1 《エルフの大ドルイド
1 《永遠の証人
1 《調和スリヴァー
1 《鏡の精体
1 《ゴブリンの太守スクイー
1 《憤怒
1 《レンの地の群れ使い
2 《錯乱した隠遁者
1 《大祖始
-クリーチャー(32)-
4 《適者生存
1 《クローサの掌握
3 《自然の秩序
2 《梅澤の十手
-呪文(10)-
2 《難問の鎮め屋
1 《ガドック・ティーグ
1 《鉤爪の統率者
1 《土覆いのシャーマン
1 《ゴブリンの紅蓮術士
1 《浄火の大天使
2 《真髄の針
3 《窒息
2 《クローサの掌握
1 《自然の秩序
-サイドボード(15)-
mtgdecks より引用)

 

 レガシー初期に存在したデッキで、《獣相のシャーマン》のご先祖様である《適者生存》がデッキの中核だ。

 エルフを並べてマナを得るという設計思想は同じで、こちらには《ティタニアの僧侶》《クウィリーオン・レインジャー》《ワイアウッドの共生虫》がある分より早く大量のマナが得られる。

 《適者生存》でより有用なエルフを引き込み、《ゴブリンの太守スクイー》を持ってきて毎ターン手札の消費なくクリーチャーをサーチし、《憤怒》で速攻を付けてエルフ軍団大回転という激しいデッキだった。

 《調和スリヴァー》やサイドの《ガドック・ティーグ》《ゴブリンの紅蓮術士》《浄化の大天使》などなど、懐かしい顔ぶれがさまざまなシチュエーションに対応してくれる。

 今は使えなくなってしまったこのデッキを、先ほどのリストは想起させてくれた。エルフとサバイバルの組み合わせはいつだって最高だ。

 マジックの30年という歴史は、デッキとデッキを繋ぐ。願わくば、人と人の繋がりも得ていきたいものだ。

 この歴史あるカードゲームをプレイして、デッキの歴史を学びつつ、そこにはいろいろな人がいて、さまざまな思いがあったこと、そしてそこにいた皆がマジックを大好きなことを知ってもらえたら……デッキの紹介者としてとても喜ばしいことだね!

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