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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
Jumpstart後のマーフォーク(モダン、ヒストリック)
お、覚えきれないッ……『Jumpstart: Historic Horizons』の全収録カード(英語カードイメージギャラリー)を見た時の偽らざる感想だ。
初代『Jumpstart』でも500を超える収録カード数に仰天したものだが、今回は何と782種類のカードが収録されている! 桁違いの超巨大セットである。セットの全容を把握するのも通常のセットの4倍近くのが時間が必要ってなもんだ。
それだけボリューミーな追加がやってくるものだから、ヒストリック環境が激変することは避けられない。『Jumpstart』の時も、そりゃあもう多くのデッキが新たに誕生したものだ。あれから約1年、初代が作った常識を『Jumpstart: Historic Horizons』が塗り替える時がやってきた。
当コラムでもこれを機に隆盛するデッキを予測しようと思うのだが……どうせ取り上げるなら前作でフィーチャーされなかったものを、とは思うよね。『Jumpstart』系のセットはパックの中身がテーマで分けられており、2パック組み合わせてデッキにするという独自のリミテッドを楽しめるように作られている。そのテーマはエルフやゴブリンといったお馴染みの部族から考古学や環境保護、果てはファイレクシアや各プレインズウォーカーと多種に分かれる。
前作で取り上げられず、今作で登場するテーマを見てみると、マーフォークがあるじゃないか。むしろ、なぜ前作では取り上げられなかったのかと言わんばかりの青のメイン種族だが、もしかしたら今作でのリリースを見込んでのことだったのかもしれない。
今回のセットは『モダンホライゾン』および『モダンホライゾン2』からの再録カードが多く、特に『2』に収録されているマーフォーク達はモダンの同部族デッキを強化した。
ヒストリックで新しいマーフォークを考えるなら、もしかしたらモダンのリストを参考にしたら良いのかもしれない。てなわけでまずはそちらをチェックしてみよう。
7 《島》 4 《植物の聖域》 3 《冠水樹林帯》 3 《魂の洞窟》 3 《変わり谷》 -土地(20)- 4 《クメーナの語り部》 4 《激浪の形成師》 4 《アトランティスの王》 4 《真珠三叉矛の達人》 4 《マーフォークの霧縛り》 3 《マーフォークのペテン師》 3 《銀エラの達人》 4 《海と空のシヴィエルン》 -クリーチャー(30)- |
4 《霊気の薬瓶》 3 《否定の力》 3 《虚空の杯》 -呪文(10)- |
2 《霧の呼び手》 2 《潮流の先駆け》 2 《潮縛りの魔道士》 3 《大祖始の遺産》 2 《待機》 3 《呪われたトーテム像》 1 《虚空の杯》 -サイドボード(15)- |
モダンの「青緑マーフォーク」、メインカラーの青に《クメーナの語り部》と《マーフォークの霧縛り》を足した形だ。
モダンの土地事情であればこれらを足すことは容易く、特に《魂の洞窟》があれば何色になっても何も問題はないと言わんばかりだ。
『モダンホライゾン2』からの新規カード《海と空のシヴィエルン》はm他にマーフォークが並んでいると破壊不能、攻撃すれば1枚ドロー、さらにはマーフォークらに護法{1}と、マーフォーク・デッキでは不測ちがちな成分を1枚で補ってくれる。さすがはマーフォークにして神なだけのことはある。
シヴィエルンなどのマーフォークをずらりと並べて展開し、《アトランティスの王》《真珠三叉矛の達人》で強化すると同時に島渡りを与える。
《激浪の形成師》で対戦相手の盤面に島を準備して皆で渡って勝負ありィィという、同族を並べれば並べるほど強い典型的な部族デッキだ。
自分も1~2マナのカードを用いているのに《虚空の杯》を使用しているのは、《霊気の薬瓶》で唱えずに展開できるのに加えて、上述の《魂の洞窟》でそもそもマーフォークは打ち消されなくなるので一方的な不自由を強いることが可能となっているから。
向こうがスローダウンしている間に取り返しのつかないスタートの差をつけて殴り切るのが理想のゲームプランだ。
このモダンのマーフォークから、『Jumpstart: Historic Horizons』リリース後のヒストリックに存在しないカードを抜いてみれば、雛型というか骨格ができそうだ。ではメインデッキにそれを施してみよう。以下のカードが残ったぞ。
7 《島》 4 《植物の聖域》 -土地(11)- 4 《クメーナの語り部》 4 《真珠三叉矛の達人》 4 《マーフォークの霧縛り》 3 《マーフォークのペテン師》 3 《銀エラの達人》 4 《海と空のシヴィエルン》 -クリーチャー(22)- |
-呪文(0)- |
非クリーチャー呪文は見事なまでに全滅だが、クリーチャーはかなり多く残っている。シヴィエルンとともに《真珠三叉矛の達人》も参入したのが大きいね。
展開をかなり加速させてくれる《霊気の薬瓶》が無くなった分、真面目に展開する必要があるので土地の総数は元のリストより増やした方が良いだろう。
その土地の部分の問題を見事に解消してくれそうな、期待が持てる新カードは《海辺の斥候》!
これはなんとあの《Tropical Island》(《熱帯の島》という和訳が登場!)を創出して手札に加えるという能力を持っている。土地が1~2枚と少ない手札でもこの土地を作り出すマーフォークのおかげでかなりキープしやすくなったと言える。早いターンに出てきて後続展開を保証しつつ、マーフォークや土地が戦場に出ることでパワーが上昇して殴り役としても貢献するのが素晴らしい。
アンコモンなのでワイルドカードを使って手に入れやすいのもありがたく、早速4枚揃えて試してみたい1マナの新鋭だ。
《海辺の斥候》《真珠三叉矛の達人》《海と空のシヴィエルン》と綺麗に1~3マナの新戦力を得たヒストリックのマーフォーク。これらを取り入れたマーフォークのサンプルリストがこんな感じだ。
8 《島》 4 《繁殖池》 4 《植物の聖域》 4 《手付かずの領土》 -土地(20)- 4 《海辺の斥候》 4 《クメーナの語り部》 4 《真珠三叉矛の達人》 4 《マーフォークの霧縛り》 4 《マーフォークのペテン師》 4 《銀エラの達人》 4 《海と空のシヴィエルン》 2 《玻璃池のミミック》 2 《メロウの騎兵》 -クリーチャー(32)- |
4 《記憶の欠落》 4 《集合した中隊》 -呪文(8)- |
折角のヒストリックで緑が絡むデッキなので、《集合した中隊》から全体強化役を一気に展開して押し切るというパワープレイを導入。
《玻璃池のミミック》がコピーとなることでその枠を水増ししている形になる。攻められている時も破壊不能のシヴィエルンが飛び出てブロックして返り討ちというトリックプレイも。
そしてこの手の、1ターン稼げればそのまま勝てるデッキにとっては最強の打ち消し呪文とも言える《記憶の欠落》で《神の怒り》などを弾いて勝負を決める。
サイズで押せるのと《マーフォークのペテン師》の存在から、無理やり除去をねじ込まなくてもデッキとして成立しているのがマーフォークの良いところだ。
このリストはなるべく4枚ずつ採用の動きの安定したものをイメージして作ったが、ヒストリックには他にもまだまだマーフォークが揃っているのでそれらを1~2枚散らしてデッキの引き出しを増やすというアプローチも大いにやってもらえたらと思う。
新加入したカードの印象の強さからも、おそらくは数を増やすであろうマーフォーク。ゴブリンやエルフに負けじとどれだけ勢力を拡大するのか、今から楽しみな部族だ。
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