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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:新環境のアーティファクトデッキをクールに予想!(ヒストリック)

岩SHOW

 さあ今週もクールなデッキをご紹介……のその前に。少し前のCool Deck回を振り返っていただこう。スタンダードで《ウォーターディープの黒杖》を用いた意欲作を紹介した回だ。

 この伝説の杖はアーティファクトを4/4のクリーチャーへと変化させる。これは《ガラスの棺》《宝物庫》のような非クリーチャーはもちろん、すでにクリーチャーであるアーティファクトにも使用可能なので、《ジンジャーブルート》や《シルヴァー・レイヴン》といった回避能力持ちをパワー4にして効率よく攻撃をねじ込んだり、《石とぐろの海蛇》のように基本のパワーとタフネスが0/0で+1/+1カウンターが置かれるタイプのクリーチャーを超巨大に育て上げて重い一撃を叩き込んだりといったパワフルな活躍が期待できる。

 命を持たぬ機械を動かすというのは青が担当するクールな役割で、過去にもこのようなアーティファクトを大きめのクリーチャーに変化させるカードは多く作られている。これらを用いたデッキはアーティファクトが主役という時点である程度のハンデというか、対策されやすい弱点を持ってはいるのだが、アグロデッキにはクリーチャーのサイズで勝負・コントロールには除去が来ても次のアーティファクトをクリーチャー化させて再出撃と、その良さをしっかりと発揮できればまさしく無双できるクールさも併せ持っているのが実に魅力的だ。

 ヒストリックになればクリーチャー化させる選択肢もかなり増えて、デッキとしての完成度もより高まる。実際にランク戦をプレイしていてかなり強いデッキに当たり、その完成度の高さに惚れ込んで、僕も自分で「アゾリウス・アーティファクト」のヒストリック版のリストをものにしようと、いろいろと試してみた。その中で最も納得がいったのはこの形。

岩SHOW - 「アゾリウス・アーティファクト」
ヒストリック (2021年8月)[MO] [ARENA]
3 《平地
1 《
4 《神聖なる泉
3 《氷河の城砦
2 《連門の小道
1 《産業の塔
4 《宝物庫
4 《ちらつき蛾の生息地

-土地(22)-

2 《羽ばたき飛行機械
4 《ジンジャーブルート
4 《大霊堂のスカージ
2 《巧妙な鍛冶
3 《技量ある活性師
4 《石とぐろの海蛇

-クリーチャー(19)-
4 《ウォーターディープの黒杖
2 《墓掘りの檻
4 《きらきらするすべて
3 《ガラスの棺
2 《巨大な鋤
4 《鍛えられた鋼

-呪文(19)-
2 《ポータブル・ホール
1 《墓掘りの檻
1 《大祖始の遺産
3 《ドビンの拒否権
2 《霊気の疾風
1 《ガラスの棺
2 《神秘の論争
1 《肉体と精神の剣
2 《ウルザの後継、カーン

-サイドボード(15)-

 我ながら、なかなかクールな形にできたんじゃないかと思っている。スタンダードの面々に加えて《羽ばたき飛行機械》《大霊堂のスカージ》とコストが非常に軽い飛行持ちがいるのでこれを強化するという算段だ。

 《ウォーターディープの黒杖》に加えて《技量ある活性師》でもアーティファクトをクリーチャー化でき、こちらはなんと5/5というビッグサイズ。

 《ガラスの棺》や《墓掘りの檻》をクリーチャー化させるが、中でも最も爆発力が高いものが《巨大な鋤》。

 本来なら重めの搭乗コストを支払わなければクリーチャー化しないところを、強引に青いカードで動かして、これが攻撃した際にもたらすアドバンテージを享受しようというわけだ。3点回復と3マナ加速はまるで《自然の怒りのタイタン、ウーロ》かと錯覚させるもので、なかなかクセになるクールさがあった。

 その3マナは《鍛えられた鋼》に使って、横並び戦略も強化。特に《ちらつき蛾の生息地》との組み合わせはソーサリー除去で対処不可能で、コントロールにとっての悪夢そのもの。

 このままでも楽しいデッキだったが、ここにさらに『Jumpstart: Historic Horizons』が追加されることになる。そう、今回のクールなデッキは、ヒストリック新環境におけるアーティファクトデッキの考察と洒落込もうじゃないか。このセットには『モダンホライゾン2』のカードが再録されており、そこにはアーティファクト・クリーチャーやそれらを強化するカードが取り揃えられている。クールなセットの到来により、現状でも十分クールなデッキがさらにひとつ上のレベルに……たまらねぇなぁ。

 ヒストリックでは新顔になるカードの紹介も兼ねて、ちょいとデッキを考えてみたぞ!

岩SHOW - 「アゾリウス・アーティファクト」
ヒストリック (~『Jumpstart: Historic Horizons』)[MO] [ARENA]
1 《
1 《平地
4 《神聖なる泉
4 《連門の小道
2 《産業の塔
4 《宝物庫
4 《ちらつき蛾の生息地

-土地(20)-

2 《羽ばたき飛行機械
4 《エスパーの歩哨
4 《ジンジャーブルート
2 《電結のネズミ狩り
4 《鋼の監視者
4 《技量ある活性師
4 《思考の監視者
4 《石とぐろの海蛇

-クリーチャー(28)-
2 《ウォーターディープの黒杖
4 《イラクサ嚢胞
4 《鍛えられた鋼
2 《ウルザの後継、カーン

-呪文(12)-
3 《墓掘りの檻
3 《ポータブル・ホール
1 《大祖始の遺産
4 《ガラスの棺
2 《ドビンの拒否権
2 《神秘の論争

-サイドボード(15)-

 これまでのヒストリックのアーティファクト・クリーチャーで攻めるデッキに欠けていたもの、それはドローだ。

 攻めるカードの枠を圧迫せずにカードを引ける、そういうものがあればババッと展開した後に手札を補充し、対戦相手の抵抗により盤面を掃除されてしまっても再展開が狙える。

 そしてそんな夢をかなえるのが《思考の監視者》!

 アーティファクトが出ていれば出ているほどコストが軽くなる親和(アーティファクト)能力の持ち主で、そして戦場に出れば2枚ドロー。アーティファクトが5個並んでいれば2マナで2枚ドローと2/2飛行、と考えればかなり効率の良い1枚で、そしてそこまでコストを減らすことはこのデッキでは決して絵空事ではなく実現可能なものであると伝わるだろう。

 《宝物庫》の存在は相当に大きいね。

 これのためにマナ・コストが{0}や{1}のアーティファクトをザクザク全力で並べて、コストダウンした監視者でドローしてノンストップの展開を目指す。本体が2/2とあまり殴りに向いていないスペックなのは《ウォーターディープの黒杖》《技量ある活性師》でデカくしてやるので大丈夫という考え方だ。もちろん《鍛えられた鋼》や《鋼の監視者》で育ててやるのも良い。

 そして監視者と同じくドローに関する能力を持ち、かつ同様にデカくしてやる甲斐があるのが《エスパーの歩哨》。

 対戦相手の非クリーチャー呪文に追加コストを要求し、それが支払えなければ1枚ドロー。これが黒杖で4/4になっていたら《選択》を唱えるだけでも5マナ払えという無理難題を突き付ける、それが無理なら1枚いただくぜと。いかにクールなワルかがわかってもらえたかな。

 ドローはどんな時でもクール、これをクリーチャー枠を削らずに採用できること、それすなわち最高だ。ドローが得られるので4マナの《ウルザの後継、カーン》も無理なく運用できるかなと、欲も出てしまった。

 さらに、打点という要素では《イラクサ嚢胞》の参入は何よりも大きい。

 《きらきらするすべて》でも同様の効果は得られるが、いざこれをつけようと唱えたところにシュッと《致命的な一押し》などを撃たれるだけで気絶してしまうほど、クールとは縁遠い状況になってしまうという弱点がある。

 《イラクサ嚢胞》は装備品なのでそのような損失を発生させることはなく、しかも生体武器なのでこれ自身もクリーチャーとしてカウントできる。無茶苦茶強いクールなアーティファクトなので、早く手に入れてガッツリ搭載したいところだね。

 これを含め、直接サイズを修整するカードが増えたので《ウォーターディープの黒杖》の枚数は減らし、逆にグダグダになった際にイラクサを装備して殴れる《技量ある活性師》の枚数は4枚という形にまとめてみた。

 正直に言って、新セットリリース前に組んでいるので上記のリストがどれだけ動けるものかは……なんとなくのイメージしかない。クールじゃなくて申し訳ないッ(笑)。まあ、あくまでサンプルとして、皆がクールなアーティファクトデッキを組んでくれる参考になれればと……少しでも役に立ったなら幸いだ。

 今後も新カードの大量参入で賑わうヒストリックをガンガン取り上げていくので、皆もクールなデッキの開発よろしく! それじゃ今週はここまで。Stay cool! Let's jump & start!!

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