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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ディミーア再利用隔室:アーティファクト……って?(スタンダード)

岩SHOW
 

 僕はアーティファクトという言葉をマジックで知った。特にそれがなんなのかの説明はなかったが、ビジュアルで何を意味するのかは理解できた。武器や機械や石像などの人工的に作られたものをそう呼ぶのだということがね。

 人やその他の知的種族によってつくられた人工物……古よりアーティファクトを主役としたデッキは大人気。アーティファクトを並べて特有のシステムを作り上げ、ガシャガシャと機械の軍団を作り上げる……このゲーム体験からしか得られない心の栄養素がある。いまいち言葉の意味が分からなかったころも、理解できる今も、チャンスがあればアーティファクト・デッキを組もうとしている自分がいる……筆者だけではないはずだ。

 

 最新のアーティファクトの中でも目を引く存在は《再利用隔室》。これはアーティファクトを生け贄に捧げることで、マナ総量が一つ上のものへと作り変えてくれる夢のマシーン。設置して素材が用意出来たなら、あとはスイッチをポンでウィーンガシャンとお望みの機械が手に入る。これを組む上では言うまでもなくアーティファクトがたっぷりのデッキで、そしてマナ総量をある程度綺麗な階段状に整えたリストで組む必要がある。

 それから重要なのはマナだ。《再利用隔室》は起動するのに不特定マナ{2}を必要とする。手札から唱えて、戦場に出て起動となると計5マナ。それなりにマナが必要だ。一旦置いといて起動は次のターンという手もあるが、それでは何もせずに除去されてしまうかもしれない。というわけでなんらかのマナ加速も欲しいところだ。それらすべてを兼ね備えたデッキ、となると……あったぞ、サンプルに相応しいリストが!

Owl1013 - 「ディミーア再利用隔室」
Magic Online Standard Challenge 32 15位 / スタンダード (2025年3月1日)[MO] [ARENA]
4 《地底の大河
4 《闇滑りの岸
4 《グルームレイクの境界
1 《不穏な浅瀬
2 《欺瞞の神殿
4 《
4 《
-土地(23)-

4 《油浸の機械巨人
4 《記録の守護者
-クリーチャー(8)-
3 《不気味なガラクタ
3 《税血の刃
1 《喉首狙い
4 《この町は狭すぎる
4 《奇怪な宝石
2 《精神迷わせの秘本
4 《再利用隔室
4 《身代わり合成機
4 《嵐追いの才能
-呪文(29)-
2 《除霊用掃除機
1 《不気味なガラクタ
3 《逃げ場なし
2 《金線の酒杯
2 《脅迫戦術
1 《石の脳
2 《否認
2 《ティシャーナの潮縛り
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

回転

 

 《再利用隔室》と同じく青いアーティファクト《身代わり合成機》はこれと組み合わせろと言わんばかりの能力持ち。これや他のマナ総量3以上のアーティファクトが戦場に出ると構築物を生成する。これはアーティファクトの数を参照するため、かなりのサイズに成長する。2マナのアーティファクトを生け贄にして、この合成機を集めるのがこの青黒のアーティファクト・デッキの狙いだ。《税血の刃》や《精神迷わせの秘本》をコストにしてこの合成機へと辿り着く。

 そしてそのスターターになるべく採用されているのが《奇怪な宝石》。これは無色2マナを加えられ、このマナは能力の起動にのみ利用できる。これなら3ターン目に《再利用隔室》を出しながら能力起動が狙えるので隙がない!生け贄にするのはこの宝石にして《税血の刃》でクリーチャー除去をしても良いし、2ターン目に刃などを置けていればそれでも良い。兎に角速やかに合成機を並べてマシーン軍団を形成する!それがこのデッキにとっての最適解!

 

 このデッキが採用している最新のアーティファクトは他にも。《油浸の機械巨人》!ビジュアルがカッコイイ!のみならず。絆魂と護法{1}を持つため戦闘面でもイケてる上に、さらには手札の入れ替え能力も持ち合わせている。この能力の対象は対戦相手でも自分でも良い。相手にこれ持たれていたら嫌だなというカードが思い浮かぶ場面なら相手を対象に、自分の手札ちょっと弱いなって時には自分を対象にしてカードを引き込む……臨機応変さがこの機械巨人の強み。複数枚引いた《再利用隔室》を餌にして引っ張ってくると良い感じ。《記録の守護者》は親和(アーティファクト)でコストが軽減される。1マナで3/3飛行が得られるならマナ効率は抜群。このリストでは不採用だが、この守護者を素材にして6マナのアーティファクトを出すのを狙いに行くのも面白いね。

 

 このリストには現スタンダードの青の象徴的なパッケージも含まれている。《嵐追いの才能》《この町は狭すぎる》のセットだ。《この町は狭すぎる》はパーマネントを2つバウンスし、その対象の1つが自分のものであれば唱えるコストは大きく軽減される。《嵐追いの才能》は戦場に出た際にカワウソを生成するので、これを”この町”でバウンスして使いまわす。そして才能のレベル2では墓地のインスタントかソーサリーを手札に加えられる。この町を拾って才能を戻し、トークンを増やしつつレベル2でこの町を回収……ついでに対戦相手の主力パーマネントをバウンスという、このループが決まればもうたまったものではない。

 レベル2で回収できるカードはメインデッキに計5枚しかないし、アーティファクトと特に噛み合う要素はない(カワウソの果敢が誘発するくらい)が、それでもこのパッケージが揃えば長期戦で優位に立ち回れるので採用している。この事実だけでこの2枚のコンボがえげつないくらい強いという事実がよくわかるね。

 マジックでアーティファクトという言葉を知ったという人はかなりの数になるはず。日常会話では使わないフレーズかもしれないが……人工物だよね、みたいなことを伝える時にはマジックで得た知識をドヤ顔で披露してみてほしい。それはさておき《再利用隔室》デッキは可能性に溢れた夢のマシーン!さあ君も組んでみよう。

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