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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:スモッグ・デルバー(レガシー)

岩SHOW

 あぁ~日差しが気持ち良いッ! 少しウォーキングやサイクリングすると、汗をかくシーズンが始まったなと。そこにクールなソフトクリームでもねじ込んでやると、燃やしたカロリーが秒で補充されて良いんじゃないのか(良くない)。

 というわけで今週もクールなデッキを紹介して1週間を締めくくるこのコーナーがやってきた。今週はやっとこさ時代に追いついた! 『ストリクスヘイヴン:魔法学院』リリース後に見つけたクールなデッキの紹介だ!

 さて、新環境。何をもってクールなデッキと断ずるかは簡単なことではない。なんせ、新カードが使われているデッキはことごとくクールに見えるからなぁ。その中から選りすぐりのクールなデッキを紹介するという使命感を抱きながら、ネットを徘徊していると……MPL所属選手アンドレア・メングッチ/Andrea Mengucciがクールな魅力に満ちたリストを紹介していた。

 そのリストがなぜクールなのかというと……『ストリクスヘイヴン』のプレビュー開始時。このセットのメインメカニズムのひとつである「魔技」を持ったカードが公開されたのを覚えているかな? そう、《オニキス教授》だ。

 このプレインズウォーカーの持つ魔技は、対戦相手がライフ2点を失いこちらが2点回復するというもの。

 そもそも魔技という能力は、これまでにありそうでなかったクールな能力だ。インスタントかソーサリーを「唱える」と誘発する能力はいくらでもあったが、「コピー」しても誘発するというものはほとんどなかった。

 魔技はコピーでも誘発するということで、新たな価値観を生み出した。《オニキス教授》は呪文をコピーしまくれば対戦相手のライフを吸い尽くせるということで、公開されたその日のうちにあるカードに注目が集まった。《煙霧の連鎖》だ。

 2マナという軽さで対象のプレイヤーにカードを2枚捨てさせるという気軽に使える手札破壊だが、デメリットとしてこれの対象にされたプレイヤーは、これをコピーすることが選べる。相手に撃ったらほぼ撃ち返されて、お互いの手札がグズグズになる泥仕合となってしまう。

 使いどころが難しいカードだったのだが……魔技の登場で評価はガラリと変わる。《煙霧の連鎖》は自分自身を対象に唱えられる。解決時にコピーすることを選び、また自分を対象にして解決。またコピー、解決。これを好きなだけ繰り返せる。好きなだけ、それこそ無限に魔技誘発ゥ! つまり《オニキス教授》と《煙霧の連鎖》の2枚でゲームに勝てる!と盛り上がるネット界隈。

 《煙霧の連鎖》が古いカードなので、やるならレガシーか。しかしレガシーで6マナのプレインズウォーカーを出す前提が厳しいなという現実的な意見も。クールなんだけどなぁ、と思っていたところ、プレビューが本格始動してあるカードが公開された。《ウィザーブルームの初学者》!

 アンコモンなので威力は教授の半分だが、相手のライフを吸い取る魔技の持ち主だ。どうせ無限にコピーするんだから一発の威力なんて関係なく、2マナのクリーチャーという扱いやすさから断然こちらに軍配が上がる。

 これは新デッキ誕生待ったなしか……と思われたが、カード1枚で見た時に煙霧も初学者もパワー不足なのは否めず、また黒緑のクリーチャーを使ったコンボということもあってかあまり形としてまとまったリストは見られなかった。

 そこで、イタリアが生んだクールなプレイヤーことメングッチの登場である。あらゆるフォーマットで実験的な構築を楽しむエンジョイ精神の持ち主である彼は、この《煙霧の連鎖》×《ウィザーブルームの初学者》コンボを搭載したレガシーのデッキで、Magic Onlineのリーグ戦を全勝!

 というわけで、今回のデッキはこれだ!

Andrea Mengucci - 「スモッグ・デルバー」
レガシー (~『ストリクスヘイヴン:魔法学院』)[MO] [ARENA]
3 《Underground Sea
3 《Tropical Island
1 《Bayou
3 《汚染された三角州
3 《霧深い雨林
3 《新緑の地下墓地
3 《不毛の大地
-土地(19)-

4 《秘密を掘り下げる者
4 《ウィザーブルームの初学者
2 《瞬唱の魔道士
1 《タルモゴイフ
2 《自然の怒りのタイタン、ウーロ
-クリーチャー(13)-
4 《渦まく知識
4 《思案
1 《定業
2 《致命的な一押し
2 《思考囲い
2 《狼狽の嵐
4 《目くらまし
2 《突然の衰微
2 《煙霧の連鎖
1 《否定の力
4 《意志の力
-呪文(28)-
1 《ボジューカの沼
1 《カラカス
2 《溜め込み屋のアウフ
2 《疫病を仕組むもの
1 《トレストの使者、レオヴォルド
2 《外科的摘出
1 《花の絨毯
1 《輪作
1 《夏の帳
1 《森の知恵
1 《否定の力
1 《水没
-サイドボード(15)-

 

このクールなデッキは?

 イタリアより届いた「スモッグ・デルバー」だ! スモッグとは《煙霧の連鎖》、デルバーとは《秘密を掘り下げる者》のこと。

 1マナクリーチャーにして3/2飛行に変身して、最速2ターン目からバシバシと殴っていくレガシーを代表する青いクリーチャーだ。

 これを変身させるために《渦まく知識》《思案》《定業》でライブラリーを操作し、変身後は対戦相手の除去やクリーチャー展開を打ち消し・手札破壊・除去で封じてデルバーで殴り切る。レガシーではすっかりお馴染み、伝統的なアーキタイプで、青に赤・緑・黒から1~2色足した構成が一般的。《タルモゴイフ》といったサブアタッカーを手に入れるためというのが主な理由だ。

 で、このスゥルタイ・カラーのデルバーはその足した黒と緑で煙霧コンボを仕込んであるという仕様。殴って勝てるデッキに瞬殺コンボも潜んでいる、これぞレガシーの奥深さ! クール!

どこがどうクールなのか?

クールポイント:コンボ抜きでもやれんのか

 本人の言葉だが「実はあんまりコンボは決めてない」とのこと。それでも5-0というスコアを残せたのはデルバーと《意志の力》《目くらまし》といったマナ不要の打ち消し呪文の強さの証明。

 まあ、コンボを決めなかったからと言ってそれらのカードが足を引っ張ったということはなさそうだ。そうであればいくらデルバーの基本ムーブが強くてもリーグ全勝ということは成し得ないだろう。

 《ウィザーブルームの初学者》は戦場に出ればそれなりにプレッシャーをかけられるだろう。2マナ2/2と最低限のスペックで、かつ煙霧コンボを決めなくても、《渦まく知識》などを連打しているだけで対戦相手のライフをビシビシと吸い取って、そのサイズからは想像できないほどのライフを奪ってしまうこともあるだろう。

 最もアツいのは、打ち消しなどの呪文の応酬の末に《狼狽の嵐》を唱えた場合。

 《狼狽の嵐》はストーム能力を持つので、そのターンに唱えられた呪文の数だけコピーが生まれる。そのコピーの数だけ初学者は能力を誘発させる! そのターンの呪文3つでコピー3つ、本体と併せて4回分誘発と考えると、1マナ4点で《稲妻》を超える火力と考えることが可能だ。こいつはクールだねぇ。

 これ、自分が唱えた呪文に《目くらまし》なんかを唱えて、それに対して《狼狽の嵐》、みたいに強引にストームを作りに行って残り数点のライフを削り切るという荒業もできちゃうね。初学者が2体以上並べば、もはや祭り。クールなフェスの開催だ。

さらなるクールのために

 デルバーと煙霧コンボのハイブリッドというアイディアは面白い。この考え方を応用すれば、アグレッシブサイドボーディングという手法もある。コンボデッキがメイン戦を押し切った後、サイド後には対戦相手の対策カードを気にせずクリーチャーを展開して殴り勝つという戦略だ。これと逆にコンボで勝つというサイドボーディングも面白い。

 2マナと軽いカード2枚でのコンボなのを活かして、このようなサイドボードでのスイッチや他のデッキとのハイブリッドという工夫により、煙霧コンボはレガシーでの立ち位置を獲得していくのかもしれない。「スモッグ・○○」というデッキがどれだけ出てくるか、クールデッキ愛好家は要注目だ。

クールなまとめ

 リリース前の前評判では騒がれていたのに、リリース後には結局全く見なかったなぁというコンボは結構多い。《煙霧の連鎖》と魔技によるコンボは果たして、どうなるか。たたき台はここにある。後はクールなデッキビルダー、デッキチューナーたちに託そう!

 それでは今回はここまで。Stay cool!! Let's smog!!

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