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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
マグマはどこから湧き上がる? その答えは墓地にあり(ヒストリック)
「ミスティカルアーカイブ」のインパクトは大きい。歴代の強力な呪文を手に入れる手段として、新しい枠とイラストを持ったコレクションとして、そしてヒストリックの新戦力として。
パイオニアやモダンでも使えないカードたちが突如として参入したヒストリック。新デッキが雨上がりのタケノコのように生えてくるのは当然のこと。《渦まく知識》《信仰無き物あさり》と強力な呪文を使った実例は前回にもある通り。
ただ……ミスティカルアーカイブももちろん凄い、でもそれだけがヒストリックにおける『ストリクスヘイヴン:魔法学院』のインパクトってわけじゃあない! 本セットのカードだって、このフォーマットで早くも活躍している。
MTGアリーナでのリリース週に開催された賞金トーナメントにおいて、『ストリクスヘイヴン』の新カードと、ヒストリックならではのあるカードを組み合わせたコンボを武器としたデッキが躍進した。そのコンボとは……
時を越えた神話レアの出会い!
《マグマ・オパス》はプリズマリ大学のテーマである、マナ総量がとても大きい呪文の中でも親玉に位置する。8マナというどっしりとしたインスタント。こんなコストのカードは、よっぽどマナ加速を採用したりコストを踏み倒す術がない限りはデッキに複数枚採用するのは難しい。手札にかさばると、唱えられずにゲームが終わってしまいかねないからね。
ただ、この呪文には抜け道があって、「唱えられないのなら自身がマナ加速になれば良いじゃない」と言わんばかりに、手札から捨てることで宝物・トークンを生成することが可能だ。つまり、能動的に墓地に落とせるということ。
墓地に落ちたインスタントということで、それを唱えるのであれば《奔流の機械巨人》! 墓地にあるインスタントをマナを支払わずに唱えてもよいという、たとえそれがちっぽけなインスタントでもゲームの流れを変えるパワーを持った脅威のフィニッシャーだ。
それが4点のダメージをばら撒き、相手のパーマネントを2つタップし、4/4のトークンを生成し、カードを2枚引く《マグマ・オパス》だったなら――ゲーム終了ッ!! 対戦相手は「そんなもん勝てるかァァッッ!」と叫んでしまうに違いない。
8マナの呪文をより現実的な6マナにコスト軽減させる。なんだったら機械巨人のコストに宝物を充てれば良いので、毎ターン土地を置いていけば5ターン目に決められる。
このキラーコンボ、この2枚さえ採用して青マナさえ用意できれば(素打ちのために赤マナもあれば安心)理論上どんなデッキにも忍ばせることが可能なのが面白い。どう料理するか、こちらのセンスが試されるね。
上述のトーナメントにて上位入賞したデッキの1つがコチラ!
2 《森》 2 《島》 4 《繁殖池》 3 《内陸の湾港》 1 《植物の聖域》 1 《踏み鳴らされる地》 4 《蒸気孔》 4 《硫黄の滝》 4 《ケトリアのトライオーム》 1 《ヴァントレス城》 2 《寓話の小道》 -土地(28)- 4 《厚かましい借り手》 4 《夜群れの伏兵》 2 《エリマキ神秘家》 4 《奔流の機械巨人》 -クリーチャー(14)- |
4 《成長のらせん》 3 《削剥》 3 《検閲》 1 《プリズマリの命令》 3 《巻き直し》 1 《崇高な天啓》 3 《マグマ・オパス》 -呪文(18)- |
2 《長老ガーガロス》 4 《霊気の疾風》 3 《神秘の論争》 2 《炎の一掃》 2 《溶岩震》 2 《覆いを割く者、ナーセット》 -サイドボード(15)- |
打ち消し&ドローと、自身のターンに呪文を唱えないことを強みにする《夜群れの伏兵》を組み合わせた青と緑の2色デッキ「シミック・フラッシュ」。
これに赤を足してマグマ機械巨人を仕込んだものがこの「ティムール・フラッシュ」だ。対戦相手のアクションに対して構えて、対応するかスルーするかを悩みコツコツと積み重ねて勝利する類のデッキではあるフラッシュ系。これに勝利までの道を大きくショートカットする《マグマ・オパス》が加わることで、前よりももっと強引に勝ちに行くことが可能になり、デッキの引き出しが増えた形だ。
打ち消しなどのインスタントや瞬速持ちクリーチャーを構えているところで、余った2マナをさっと宝物生成のコストに充てて、勝利への仕込みを行える。デッキの動きに不協和音をもたらさず、むしろしっかりと調和している。見事なデッキビルディングだ。
このデッキの良いところは《マグマ・オパス》のタップする効果を上手く使えるところだ。
機械巨人を相手のターンに唱え、すなわちオパスを相手のターンにぶっ放す。アップキープであればオパスのタップを使って相手の土地を2枚タップし、相手がそのターンのメイン・フェイズ以降に使えるマナを制限する。
あるいは攻撃クリーチャーを指定するより前に唱えて、4点ダメージで除去しきれないクリーチャーを2体タップして攻撃を防ぐ。
これらの使い方でも十分強いが、《夜群れの伏兵》とこれの生成する狼・トークンが並ぶこのデッキは、このパーマネント2つタップという効果をアグレッシブに用いることも可能だ。つまりはブロックに回るクリーチャーを排除し、攻撃をねじ込むということ。カードのもたらす結果にいくつもの道筋がある、これがデッキの引き出しだ。
見た目は豪快でちょっと荒唐無稽にも見えるマグマ機械巨人だが、その真価を引き出すには場面に合わせてベストな活用法を決定できる判断力が必要だ。新たな武器を手に入れたヒストリックの青いデッキ、これから多くのデッキをマグマに沈めることになるか? 乞うご期待!
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