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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

Next Level Omnath(レガシー)

岩SHOW

 かつて「Next Level Blue」というデッキが一世を風靡した。

 Next Level、つまり次元が違う強さのデッキ。《ヴィダルケンの枷》でクリーチャーを奪い、《師範の占い独楽》と《相殺》のコンボで相手から自由を奪う、その名に恥じぬ強いデッキだった。

 ネクストレヴェルという響きがまずもうカッコイイ、これがズルい。以降、マジック界隈で何かの強さを引き上げることに成功したデッキは「Next Level ○○」という名乗るというのがちょっとしたブームになった時期もあった。

 こういうデッキ名は今となっては見なくはなったが、ふとした時に使われてるのを見るとなんだかテンションが上がるもんだ。

 先日、その「Next Level」を名乗るデッキをSNS上で発見。なんでもMagic Onlineのリーグで全勝したリストにそう一言添えてあったのだが、リストから漂う強者のデッキ感はまさしく異次元より来たりしものだ。そのデッキは――

Marco Vassallo - 「Next Level Omnath」
レガシー (2021年4月13日)[MO] [ARENA]
1 《
1 《冠雪の森
1 《
1 《冠雪の島
1 《冠雪の平地
1 《Tropical Island
1 《Savannah
1 《Tundra
1 《Volcanic Island
1 《ケトリアのトライオーム
4 《霧深い雨林
4 《溢れかえる岸辺
1 《カラカス
2 《死者の原野
4 《不毛の大地

-土地(25)-

4 《自然の怒りのタイタン、ウーロ
2 《創造の座、オムナス
1 《円渦海峡の暴君、アシー
1 《原始のタイタン

-クリーチャー(8)-
4 《渦まく知識
4 《踏査
4 《思案
2 《剣を鍬に
4 《成長のらせん
3 《壌土からの生命
4 《意志の力
2 《仕組まれた爆薬

-呪文(27)-
1 《ボジューカの沼
1 《The Tabernacle at Pendrell Vale
2 《輪作
2 《紅蓮破
2 《剣を鍬に
2 《否定の力
2 《コジレックの帰還
3 《活性の力

-サイドボード(15)-
Marco Vassallo氏のTwitter より引用)

 

 Next Level……Omnath(オムナス)としておこうか。黒以外の4色デッキで《創造の座、オムナス》を採用している。

 土地を戦場に出すと能力が誘発するオムナス、特に2つ目の土地を置いた際の4マナ生み出す能力が強烈で、使うならこれを狙ってデッキを組みたい。

 幸いレガシーには1枚で2回の上陸を発生させるフェッチランド、このデッキで言うと《霧深い雨林》《溢れかえる岸辺》があるのでこの条件を満たすのもイージーだ。

 もちろんそれだけに留まらず、1ターンに置ける土地の枚数を増やすという手段も用いる。お馴染みの《成長のらせん》に、レガシーならではの《踏査》も採用しているのがなんともカッコイイ。

 また同じく土地を出す手段であり、かつ1枚でゲームに勝てるフィニッシャーも兼ねる《自然の怒りのタイタン、ウーロ》もガッツリ4枚搭載。

 こうして土地を戦場に出しまくり、オムナスで回復・マナ加速・ダメージと上陸を誘発させまくろうという、土地を主体としたコンボだ。

 土地を戦場に出すことを勝利に繋げるのはオムナスだけではない。《死者の原野》、土地といったらこいつも忘れちゃいけない。

 7種類目以降の土地が戦場に出るたびにゾンビを呼び出すこの土地もまた、対処が難しく恒常的に攻め手を生み出す、遅いデッキにとっては手が付けられない脅威だ。

 《不毛の大地》で壊すというアンサーはあるが、このデッキはその辺も織り込み済み。生け贄に捧げたフェッチランドを回収するための《壌土からの生命》が、原野自身もゾンビのごとく拾っては再設置を繰り返してくるので諦めた方が良い。

 というか、なんだったら《不毛の大地》はこのデッキの武器でもある。《踏査》と《壌土からの生命》でこの土地破壊を1ターンに2枚投げつけてくるなんてこともザラだ。自分は土地を並べたい、相手には土地を並べさせない。我儘を押し通すことこそが”強さ”とはよく言ったものだ。そうやってバキバキに土地を叩き割りながらゾンビがゾロゾロ。この世の地獄である。

 ウーロとオムナス以外に採用されているのは《原始のタイタン》。

 レガシーでも活躍実績があり、土地サーチといえばこの巨人をおいて他にない。単にオムナスや原野を誘発させるだけでなく、サイドボード後は《ボジューカの沼》《The Tabernacle at Pendrell Vale》といった特定の相手にブッ刺さる対策カードをサーチして決着へと導く。《輪作》と併せて上手に使おう。

 そしてもう1体のクリーチャーチョイスには正直驚いた。《円渦海峡の暴君、アシー》!

 『統率者レジェンズ』構築済みの看板となっている海蛇がレガシーに殴り込みだ。《踏査》同様の能力を持ち、土地を戦場に出せばカードが引ける。このドローを《壌土からの生命》の発掘に置換して、土地を拾ってまた出して……とまさしく鬼神のような働きを見せる。遊び心と強さが同居した、まさにネクストレヴェルのチョイスだ。

 こんな見た目も強さも兼ね備えたデッキを見ると、まさしく芸術作品を拝んだ時に近い感覚が沸き起こってくる。デッキは人を感動させることができると信じている。

 君もNext Levelに到達したデッキをいつの日か生み出して、僕のような世界中のデッキオタクを震え上がらせてくれると信じているよ。

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