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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
今週のCool Deck:初代ドラゴン・ストンピィ(レガシー)
今週のぉぉぉぉックールデックッ!ということで、まずは毎度お約束のお詫びから。
本日はいよいよ新セット『ストリクスヘイヴン:魔法学院』の発売日! おうちでパックを剥きながらこれを読んでるよ、というクールな金曜日を過ごしている方もいらっしゃるだろう。
そこにストリクスヘイヴンを使った最新のデッキリストをお届け!ってできたら良いんだけれども、例によってスケジュールの関係でこれを書いているのはまだリリース前。申し訳ないッ! 最新のクールデッキはまだお預けだッ!
そんなわけで既存のデッキを紹介するわけだが……こうなったらいっそのこと、むちゃ古いデッキを紹介するっていうのもクールじゃないか?という結論に至った。とりあえずクールなデッキを求めていて見つけた、レガシーのデッキを見てもらおう。
8 《山》 4 《古えの墳墓》 4 《裏切り者の都》 -土地(16)- 4 《猿人の指導霊》 3 《月の大魔術師》 4 《ゴブリンの熟練扇動者》 4 《軍勢の戦親分》 2 《エインジーの荒廃者》 4 《炎渦の部隊》 4 《ピア・ナラーとキラン・ナラー》 -クリーチャー(25)- |
4 《金属モックス》 4 《血染めの月》 3 《三なる宝球》 4 《髑髏砕きの一撃》 4 《虚空の杯》 -呪文(19)- |
3 《フェアリーの忌み者》 3 《砕骨の巨人》 3 《硫黄の精霊》 1 《ハンウィアー守備隊》 1 《月の大魔術師》 1 《三なる宝球》 3 《焦熱の合流点》 -サイドボード(15)- |
ご覧の通りの赤単色。最大の特徴は《古えの墳墓》《裏切り者の都》とデメリット付きの2マナ土地をフルに採用している点。
これらと、さらに《猿人の指導霊》《金属モックス》を合わせることで、1ターン目から赤を含む3マナを捻出可能だ。
そこから《血染めの月》or《月の大魔術師》を繰り出し、対戦相手の基本でない土地を封じてしまう。あるいは《虚空の杯》X=1か《三なる宝球》で軽い呪文をシャットアウト。
ゲーム開幕から奇襲を仕掛けることで足の止まった相手を、サンドバッグを殴るかのように3マナ以上の優秀なクリーチャーらで攻撃して早期決着を狙う。出たとこ勝負のクールな戦術だ。レガシーに古来より伝わる「ドラゴン・ストンピィ」である。
最新のリストはこのように《ゴブリンの熟練扇動者》《軍勢の戦親分》《ピア・ナラーとキラン・ナラー》とトークンを生成するクリーチャーを多数採用。
これらで生成したトークンを《炎渦の部隊》で他のクリーチャーに変換し、さらに打点を伸ばそうという狙いだ。
こういうカードが活躍するっていうのもレガシーの懐の深さというか、純粋にクールだよね。
で、だ。もうお気づきの人、違和感を覚えた人もいるかもしれない。そうだ。このデッキは「ドラゴン・ストンピィ」と分類されるのに……ドラゴンが0枚! どういうことだと。
炎渦ストンピィとでも呼ぶべき形になっているが、これには理由がある。かつて、誕生したばかりのこのデッキは主砲としてドラゴンを採用していた。しかし時代を経て、どんどんとクリーチャーが進化してきたことで、ドラゴンを採用しない形が主流となってきた。中には《難題の予見者》《現実を砕くもの》らをメインとした「赤単エルドラージ」へと姿を変えたものもある。これはこれでクールなデッキだ。
で、最新のノードラゴンの「ドラゴン・ストンピィ」。形骸化ってやつだね。親和能力を持つカードが0枚でも「親和」と呼ばれていたのと同様に、ドラゴンが使われなくなって久しいが、いまだにその名で呼ばれることがしばしば。「赤単プリズン」という名称も広まってはきたけどもね。
ノードラゴンのリストを見ていて、今の若い世代にきちんとその礎を築いた、ドラゴン在りし頃のリストを知ってもらうのも大事じゃないか、クールじゃないか?と思い至った、というわけなのよ。
長い前フリでかつデッキをすでに1つ紹介してしまったが、今日は元祖「ドラゴン・ストンピィ」を紹介しよう! 古のクールさを知れ!
10 《山》 4 《古えの墳墓》 4 《裏切り者の都》 -土地(18)- 4 《猿人の指導霊》 4 《月の大魔術師》 4 《ラクドスの地獄ドラゴン》 4 《弧炎撒き》 4 《ギャサンの略奪者》 -クリーチャー(20)- |
4 《金属モックス》 3 《血染めの月》 3 《三なる宝球》 4 《煮えたぎる歌》 4 《虚空の杯》 4 《梅澤の十手》 -呪文(22)- |
4 《トーモッドの墓所》 3 《火薬樽》 2 《紅蓮地獄》 1 《血染めの月》 1 《三なる宝球》 4 《紅蓮操作》 -サイドボード(15)- |
このクールなデッキは?
たまんねぇ~。これぞ初代にして純然たる「ドラゴン・ストンピィ」。
ストンピィというのは巨大な動物が何かを踏みつける時などの擬音語から誕生したデッキ名であり、マナ総量に対して優れたサイズを持つクリーチャーを最序盤から展開し、一気に押し切ることを狙ったアグロデッキのこと。現スタンダードでも「緑単ストンピィ」などが存在するね。
このストンピィ、レガシーでは上述の2マナ土地から《虚空の杯》を設置し、相手の行動を抑えて環境を定義する除去である《剣を鍬に》《稲妻》などからクリーチャーを守りながら攻めるデッキに対して用いられる。若干意味合いは違うのだが、前のめりなアグロデッキで短期決戦を狙うという点は同じだ。
肝心のドラゴンは、ご覧の通り……《ラクドスの地獄ドラゴン》ッッ!!
く、クールすぎて取り乱しちまうぜ。4マナ3/3、ドラゴンにしては小ぶりでデフォで飛行を持っていない点も特徴的だ。ただ手札が空っぽになれば二段攻撃を得る、その狂暴性は4マナドラゴン界でも随一だ。マナさえ支払えば飛行も得るしパワーも上がる、このドラゴンを《虚空の杯》などで守り、《血染めの月》などで足止めした相手に殴りかかる! 獰猛なドラゴンを体現したデッキ名に恥じない逸品である。
どこがどうクールなのか?
クールポイントその1:シブすぎる、時代が生んだクリーチャーチョイス
土地や非クリーチャー呪文には大きな違いはない。それだけ完成されたチョイスということだね。ただクリーチャーの顔ぶれは大きく異なる。《猿人の指導霊》《月の大魔術師》という基本パーツは変わらないが、攻撃を担う面々は地獄ドラゴンなど今日では見かけないカードだ。
《弧炎撒き》は5マナと重めだが、当時の最強クリーチャー《タルモゴイフ》の平均的なサイズと並ぶ4/5。
ライブラリー10枚をコストに2点ダメージを飛ばす能力を持っており、軽量クリーチャーの除去や残り数点に減ったライフを削り取ることに用いる。『ミラディン』時代に活躍したクールな名クリーチャーだ。
《ギャサンの略奪者》も同じく5マナとヘビー級。
3/3から手札が空っぽになれば5/5とサイズアップ。何よりも3マナで裏向きで唱えられるのが良い。表向きにするコストは手札1枚を捨てることなので、能動的に手札を減らして自身や地獄ドラゴンのための準備ができるというわけだ。こいつもクールなクリーチャーだったなぁ。
先にも述べた通り、3~4マナでより優秀で使いやすいクリーチャーが現れたのでこれらのカードは姿を消すことになった。マナが軽くて手札減らずに打点高いならそれに越したことはないわな。でも、初代のメンツには彼らにしかないクールさがあるのだ。
クールポイントその2:マナの使い道
《弧炎撒き》を使うのもあって、マナ加速は2マナ土地+《金属モックス》《猿人の指導霊》に加えて5マナにジャンプアップできる《煮えたぎる歌》も用いられている。
手札を消費して使い捨てのマナ加速は、今日ではアドバンテージを重視する観点から極力採用したくないもの。しかしこの時代であれば地獄ドラゴン&ギャサンの暴勇コンビが手札の消費をポジティブなものにしてくれるため、問題なく使用されていた。カードの評価は時代によって変わるもんだね。地獄ドラゴンの能力にマナを注ぎ込んでパワーを上げたりもできるので、完全に無駄なドローになってしまうリスクも抑えられる。
マナの使い道という点では《梅澤の十手》もその1つ。
唱えて装備して計4マナ。クリーチャーを強化し除去や回復も担うスーパー装備品、この頃はまさしく最強カードの一角だったなぁ。
戦闘ダメージを与えるたびにカウンターが置かれるので、つまりは地獄ドラゴンの二段攻撃と相性抜群。一撃目でカウンターを得て、それを消費して+2/+2修整を2回して二撃目、という具合に大ダメージを叩き出せる。無駄にしても良いカードを無駄なく使う。これが「ドラゴン・ストンピィ」のクールな流儀だ。
クールなまとめ
ドラゴンたるゆえんは失われてしまったかもしれないが、「ドラゴン・ストンピィ」はいまだにクールなデッキとして生き続けている。
それになんだったら、初代のリストも使えなくなったカードは無いので、思い切ってこのリストで大会に出てみるとかも大いにアリだろう。地元のショップとか、あるいはオンライン・トーナメントで、元祖「ドラゴン・ストンピィ」でどこまでやれるか。当時を知るレガシー愛好家同士だと懐かしトークで盛り上がれそうだし、意外に「《弧炎撒き》つえ~」「ギャサン止まんねぇ~」みたいなゲーム展開で勝てるかもしれないね。
それじゃあ今回はここまで。Stay cool! Let’s go stomping!
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