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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

破壊と創造の円環:パーフォロスでデッキを組もう(ブロール)

岩SHOW

 かつて「破壊なくして創造はなし」という理念を掲げた人がいて、かっこいいフレーズだなと思ったものである。後にインドでは破壊と創造の両方を司る神が信仰されていることを知り、なるほど深いもんだなと。既成のものを破壊してこそ新しいものが誕生する、何か新しいことを始めようとしている人が時に過激に見えるのはそういうことなんだなと、学生の時分に納得したものである。

 マジックの歴史も破壊と創造の繰り返しだ。さまざまなデッキや戦術が誕生し、その常識が打ち破られる発明が新たな時代を創る。

 そしてテーロスにはそんな「破壊と創造の円環」を司る神がいる。パーフォロスだ。個性的な神々が揃うテーロスの中でも、見た目・キャラクター・そしてカードとしても存在感を放っている赤の神だ。《鍛冶の神、パーフォロス》は、赤単はもちろんのこと、クリーチャーを複数戦場に出すデッキにとって勝利につながるコンボパーツになったため高い人気を得たものである。

 一方、彼の最新の姿をカード化した《青銅血のパーフォロス》は……

 《騙し討ち》系統の「クリーチャーを使い捨てで投げつける」コスト踏み倒しという、なかなかにインパクトのある能力を持っていることで『テーロス還魂記』リリース前には話題になったのだが、どうしてもクセが強いためスタンダードで活躍できているとは言えない状況だ。

 ただ、使っていてとても楽しいカードであることは確かで、理想的なゲーム展開に持ち込めた時の破壊力ときたら、それこそ創造の扉を開かんばかり。なので僕も日々、パーフォロスを主役にしたデッキを研究しているところだ。何かアイディアがあればこっそり教えていただきたい。何やらドでかいクリーチャーが多数登場しそうな『イコリア:巨獣の棲処』のリリース後には化けると信じているぞ。

 スタンダードでの活躍が難しくとも、伝説のクリーチャーであることを活かして、あのフォーマットでならば暴れ回れることだろう。そう、統率者系フォーマットだ。統率者に指定することで、必ず《青銅血のパーフォロス》を唱えられるというのは大きい。スタンダードでは彼の能力で出すデカブツばかり手札に来て本人が引けないってことが多々あるからね(笑)。憂いなく赤とアーティファクトの大型クリーチャーを投げつけられるパーフォロスデッキは、ぜひ皆に体感してほしいところ。

 今日は構築のハードルも抑え目な、スタンダード環境の統率者戦であるブロールのサンプルデッキを紹介しよう!

岩SHOW - 「統率者:青銅血のパーフォロス」
ブロール (2020年2月)[MO] [ARENA]
1 《青銅血のパーフォロス
-統率者(1)-

21 《
1 《エンバレス城
1 《総動員地区
1 《爆発域
1 《廃墟の地
-土地(25)-

1 《焼身のシャーマン
1 《鍛冶で鍛えられしアナックス
1 《砕骨の巨人
1 《不遜な歓楽者
1 《短剣使い
1 《エンバレスの空焼き
1 《戦慄衆の勇者、ネヘブ
1 《日和見ドラゴン
1 《地盤の巨人
1 《朱地洞の族長、トーブラン
1 《炎の騎兵
1 《歓楽の英雄
1 《猪の祟神、イルハグ
1 《アゴナスの雄牛
1 《多欲なドラゴン
1 《不死のフェニックス
1 《スカルガンのヘルカイト
1 《炎の大口、ドラクセス
1 《隕石ゴーレム
1 《ヴェリュス山の恐怖
-クリーチャー(20)-
1 《紋章旗
1 《鍛冶の神のお告げ
1 《パーフォロスの介入
1 《焦熱の竜火
1 《嵐の怒り
1 《アクロス戦争
1 《鏡の行進
1 《切り離す一撃
1 《エンバレスの宝剣
1 《炎の職工、チャンドラ
1 《新米紅蓮術師、チャンドラ
1 《主無き者、サルカン
1 《目覚めた猛火、チャンドラ
1 《人知を超えるもの、ウギン
-呪文(4)-

 パーフォロスの能力で戦場に出したい大物を中心に、多人数戦向けのカードもかき集めてなんとか60枚にまとめてみた。

 このデッキの二大巨塔は《炎の大口、ドラクセス》《ヴェリュス山の恐怖》。

 ドラクセスは攻撃するだけで合計17点ものダメージを生み出す驚異のダメージ源であり、ヴェリュス山はすべてのクリーチャーに二段攻撃を与えることで強引に切り崩す。これらに速攻を与えて突っ込ませるのはこの上ない快感だ。

 あとは、本来{7}とコストの重い《隕石ゴーレム》もパーフォロスによってたったの3マナで出せるのが嬉しい。

 で、伝説であるドラクセスはおいといて、ヴェリュス山とゴーレムはパーフォロス以外にも夢が見られる1枚と組み合わせることでとんでもない逆転劇を紡ぎ出す可能性がある。《鏡の行進》だ。

 これを設置して、これらのクリーチャーを出せば……コイン投げの結果次第だが、複数体の速攻・飛行・二段攻撃持ちを繰り出したり、大量のパーマネントを破壊できたり……とにかく、良い夢が見られることは間違いない。ブロールは夢を詰め込んでナンボだ、豪快なコンボを狙っていこう。

 これらの大物以外にもパーフォロスと《鏡の行進》と相性が良さげなものを集めている。パーフォロスの代わりのクリーチャー発射台役は《猪の祟神、イルハグ》も務める。赤の神ががっちりタッグを結成だ。

 イルハグはパーフォロスと違って、戦場に出したクリーチャーがターン終了時に手札に戻ってくるのもポイント。《不遜な歓楽者》や《歓楽の英雄》などを使いまわすと地味ながらアドバンテージが取れるので、シブいテクニックを仕込みたいプレイヤーには推しておこう。

 多人数戦で力を発揮するカードとして《短剣使い》や《エンバレスの空焼き》を採用している。1対1の戦いでは見せない力を発揮してくれることだろう。

 《アクロス戦争》や《炎の騎兵》、《地盤の巨人》に《目覚めた猛火、チャンドラ》の能力も各対戦相手に対して作用するものということをお忘れなく。それゆえに多人数戦では全員を敵に回してしまいかねないので、これらのカードの扱いには気を付けたいところだ。

 《青銅血のパーフォロス》はこのカードでしか味わえないものを提供してくれる、高いポテンシャルを持った1枚だ。誰も使っていないからという固定概念を破壊し、新たなデッキを創造してみよう。神の恩恵にあずかるのは容易ではないかもしれないが、きっと報われる瞬間が訪れるはずだ!

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