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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

宝剣を振るえ!(スタンダード)

岩SHOW

 デッキを選ぶ際に重要視したいのは、そのデッキの「武器」は何かを確認すること。環境にひしめく強者のデッキを打ち崩すには、何か秀でている武器と呼べるものが不可欠だ。

 武器というのはそのデッキならではの戦略や、他のデッキでは使えないパワーカードなどを指す。そしてそれは、文字通り「武器」そのものであることも……

行弘 賢 - 「マルドゥ・騎士」
2019ミシックチャンピオンシップⅤ(MTGアリーナ) 8位 / スタンダード (2019年10月18~20日)[MO] [ARENA]
5 《
3 《
4 《血の墓所
4 《聖なる鋳造所
4 《神無き祭殿
4 《試合場

-土地(24)-

4 《熱烈な勇者
4 《漆黒軍の騎士
4 《リムロックの騎士
4 《黒槍の模範
4 《鼓舞する古参
4 《評判高い挑戦者
4 《朽ちゆくレギサウルス

-クリーチャー(28)-
4 《鋼爪の槍
4 《エンバレスの宝剣

-呪文(8)-
4 《軍団の最期
4 《害悪な掌握
4 《アングラスの暴力
3 《栄光の好機

-サイドボード(15)-

 

 2019ミシックチャンピオンシップⅤ(MTGアリーナ) で行弘賢が選択したデッキは「マルドゥ・騎士」。

 このデッキの武器は速度だ。『エルドレインの王権』リリース後のスタンダードでは《死者の原野》や《王冠泥棒、オーコ》で盤面を固めることを得意とするデッキが流行した。それらのデッキに勝つには、中途半端な構築ではとてもじゃないがかなわない。ヤツらの防壁を突破するには速度に特化するしかない。

 それを体現するのが《朽ちゆくレギサウルス》と《エンバレスの宝剣》の組み合わせだ。

 3ターン目レギサウルス、4ターン目に攻撃して宝剣装備で16点。対戦相手に後手4ターン目、先手5ターン目を迎えさせないこの無慈悲なまでのコンビネーションを軸に、赤と黒の騎士を大量採用。そこにさらに白も加えて《鼓舞する古参》を強化して1ターンでも早くゲームを終わらせるという構えを取っている。

 この3色の騎士デッキというものは『エルドレインの王権』のテーマの1つでもあり、デッキを組めと言わんばかりのカードが多数あったため、トライしたプレイヤーも少なからず。ただ、なかなか「このリストが強い!」といった話を聞くことはなかった。

 新たに登場した騎士の中でも、特に前評判の高かったカードは《残忍な騎士》だ。万能な除去であり絆魂持ちでもある、騎士関係のカードで強化してやればパワーが2という点もカバーできる……そういう考えでこれを採用していたリストが多かったことだろう。おそらく、その構築が騎士デッキの武器であるスピードをダウンさせていたのだろう。中途半端に除去を入れるくらいなら打点を重視し、ブン回った時に相手に何もさせずに圧殺する、相手の回りが悪い時にきっちりと仕留め切る、完全なスピード特化に舵を切った方が良かったということだ。シナジーもあって柔軟な《残忍な騎士》より、真っすぐ一直線な《朽ちゆくレギサウルス》が正解だったのだ。

 要所できっちりとビートダウンしきった行弘とレギサウルス率いる騎士団は、トップ8まで勝ち上がった。《鼓舞する古参》により軽量クリーチャーを並べて打点を上げる横軸の攻め、そして《エンバレスの宝剣》《鋼爪の槍》ら装備品で強化して一点突破を狙う縦軸の攻め、この2つがデッキ内で矛盾することなく共存している点も強みだ。《評判高い挑戦者》は騎士でも装備品でも手札に加えることが可能で、この2つのプランの橋渡し的な役目を担っている。

 あと大事なのは土地構成。このカラーリングだと《凱旋の神殿》《静寂の神殿》が使えるため、3色のサポートのために採用したくなってしまうが……何度も言うように武器は速度だ。タップ状態で戦場に出る土地というのはスムーズな展開を妨げるものである。占術が活きるゲーム終盤のことなど考えず、《試合場》などアンタップインの土地のみで強引にブン回す、回らなかったらそれまで。潔さは騎士道ならぬ武士道精神を感じさせる。

 メインに除去が0枚な分、サイドボードにはびっしりと詰め込まれているのもこのリストの特徴。ミシックチャンピオンシップという、ランク戦やリーグとは異なった舞台というのもこの形を後押ししていることだろう。守ろうとするデッキには完全に速度に振り切って勝負し、同じクリーチャーでの殴り合いを所望するデッキにはキチンと除去で対応と。

 そして《栄光の好機》というチョイスも光る。

 あと1ターンあれば間に合うのに……そういった状況を打破するため、全体除去を用いてくる相手に対して最後の一押しとして用いるのだ。


 

 今回のミシックチャンピオンシップではもう1人、《エンバレスの宝剣》による二撃必殺を武器に選択したプレイヤーが決勝ラウンドに進出し、優勝まで駆け抜けた。ハビエル・ドミンゲス/Javier Dominguezの「グルール・アグロ」だ!

Javier Dominguez - 「グルール・アグロ」
2019ミシックチャンピオンシップⅤ(MTGアリーナ) 優勝 / スタンダード (2019年10月18~20日)[MO] [ARENA]
10 《
9 《
4 《踏み鳴らされる地

-土地(23)-

4 《生皮収集家
4 《ザル=ターのゴブリン
3 《楽園のドルイド
2 《クロールの銛撃ち
4 《砕骨の巨人
4 《グルールの呪文砕き
4 《探索する獣
3 《スカルガンのヘルカイト

-クリーチャー(28)-
4 《むかしむかし
3 《争闘+壮大
2 《エンバレスの宝剣

-呪文(9)-
3 《恋煩いの野獣
2 《打ち壊すブロントドン
1 《変容するケラトプス
2 《ショック
2 《レッドキャップの乱闘
2 《夏の帳
3 《ドムリの待ち伏せ

-サイドボード(15)-

 

 以前にも紹介した通り、このデッキの強さは速攻と回避能力を両備えしたクリーチャーにある。

 《探索する獣》のパワー2以下にブロックされない能力、《スカルガンのヘルカイト》の飛行で、対戦相手のライフを確実にゴソッと削り落とす。これらが宝剣を担げばゲームエンドだ。

 効率よく展開し、1ターンでも早い決着を目指そう。単純な速度では先のマルドゥが上回っているが、こちらは速攻と回避能力でゲームが長引いてしまった時にもトップデッキで解決できる可能性があるのが強みだ。

 ドミンゲスが持ち込んだこのリストもまた、ミシックチャンピオンシップを意識してメインから《クロールの銛撃ち》を搭載しているのが特徴だ。

 その銛で狙うのは《金のガチョウ》。これで「シミック・食物」の最高の展開である1ターン目ガチョウからの2ターン目《王冠泥棒、オーコ》に待ったをかけるのだ。《生皮収集者》から続けて出して、打点を確保しつつ妨害をかましてやりたいところだ。

 どちらのデッキもクリーチャーで2~3回殴ってブロック確定後に宝剣を投げつけて最大ダメージを弾き出して勝つ、爽快感に溢れたデッキだ。

 《死者の原野》の禁止によりスタンダードは大きく変化することになるが、マルドゥのブン回りの破壊力は変わらないし、グルールの回避能力もゾンビ・トークンだけを狙ったものでもない。宝剣という武器を携えたアグロデッキは今後も爽快感溢れる二段攻撃をまだまだ味あわせてくれることだろう。

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