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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

バント・ランプ(スタンダード)

岩SHOW

 丹念に手間暇かけて作られた料理は美味しいが、もちろんコストは安くない。これはマジックでも同じで、盤面を一気に覆すようなカードは存在はするが、用いるのが難しい重い重~いマナ・コストが設定されているので気安く用いることはできない。

 今のスタンダードで言えば《集団強制》はこの象徴と言える。

 相手のクリーチャーやプレインズウォーカーを好きなだけ奪ってしまうとんでもない呪文だが、コスト自体も{U}{U}{U}{U}を用意したうえでさらに対象1つにつき2マナというヘビーなもので、どんなデッキでも扱えるという代物ではない。プレインズウォーカーやクリーチャーを3体も奪ってしまえば攻守は完全に逆転、これは計10マナを払う価値が十分にあるものだ。

 そんなわけで現スタンダードにはこの《集団強制》でむちゃくちゃしてやろう!というコンセプトの「シミック・ランプ」なるデッキが存在することは以前に紹介した通り。ランプやビッグマナなど呼び方は好きにしたらいい。《集団強制》の英名からマニピュレーションと呼ぶこともあるようだ。この青緑2色のデッキは、ここ最近のスタンダードでは見かけない構成というのもあって人気を得て、各種トーナメントでも注意すべきデッキの1つにのし上がった。

 ただ、弱点はある。大技に頼るデッキの宿命なのだが、大量にマナを注いでも《ドビンの拒否権》1枚で沈黙させられること多々。この弱点をカバーするアプローチ……ありますとも。ただし、それは青緑の2色では難しい。勇気を出して色を足してみるのだ!

Daniel Hall - 「バント・ランプ」
グランプリ・カンザスシティ2019 5位 / スタンダード (2019年6月1~2日)[MO]
5 《
1 《
4 《繁殖池
4 《内陸の湾港
4 《寺院の庭
4 《神聖なる泉
4 《氷河の城砦

-土地(26)-

4 《ラノワールのエルフ
4 《培養ドルイド
4 《楽園のドルイド
2 《エリマキ神秘家
2 《豊潤の声、シャライ
1 《黎明をもたらす者ライラ
1 《狼の友、トルシミール
4 《ハイドロイド混成体

-クリーチャー(22)-
2 《幻惑の旋律
2 《集団強制
4 《時を解す者、テフェリー
4 《世界を揺るがす者、ニッサ

-呪文(12)-
2 《茨の副官
2 《拘留代理人
2 《エリマキ神秘家
2 《切り裂き顎の猛竜
2 《狼の友、トルシミール
1 《黎明をもたらす者ライラ
2 《否認
1 《川の叱責
1 《集団強制

-サイドボード(15)-
ChannelFireball より引用)

 《時を解す者、テフェリー》を出しておけば、こちらのターンに相手が何か干渉してくることはない。心置きなく重い呪文を唱えて気持ちよくなろう。

 というわけで白を足した「バント・ランプ」である。こうやって気軽に色を足せるのは今のスタンダードの良いところでがあるが、これにももちろん対価が発生する。白マナを得るために《寺院の庭》《神聖なる泉》を採用したことで、これらの土地をアンタップ状態で出す際にはライフを2点失ってしまう。

 ゆっくりプレインズウォーカーを並べるというデッキにはこれぐらいのダメージは気にならないが、赤を主としたガンガン攻めるデッキ相手には自ら《ショック》を受けてあげてゴールまでを縮める行為である。かといってライフ優先でタップ状態で戦場に出しても、それはそれで展開が遅れて結局ダメージを受けてしまう。この問題を解決するには……せっかく足した白いカードの中から答えを見つけ出そう。

 《豊潤の声、シャライ》はタフネスも4と高めで、「赤単アグロ」のようなデッキだとメインデッキでは除去しづらい。

 かと言ってこれを無視して火力をプレイヤー本体に投げる、ということもできないので、相手はクリーチャーと火力を併せるなり火力2枚撃ち込むなりで対処するしかない。少しでも足止めできれば十分だ。そうでないデッキ相手にも、マナを生み出すエルフたちを除去から、そしてプレイヤーを《思考消去》などから護って大技に繋いでくれる頼りになる天使である。

 赤単に強いといえば《黎明をもたらす者ライラ》も外せない。

 彼女が殴りだせば大抵の赤いデッキは匙を投げる。《炎の職工、チャンドラ》でどうにかしようとしたところを奪ってやれば完璧だ。

 ライフを回復する、火力カード1枚では対処できないというのは対アグロデッキにおける重要なファクターだ。その条件を満たす新しいカードとして《狼の友、トルシミール》も採用されている。

 3点回復しつつ、3/3のヴォジャが相手のクリーチャーと格闘して攻め手を減らしてくれる。カード1枚でクリーチャーが2体得られて相手がクリーチャー1体失う、というパフォーマンス面でかなりのパワーカードで、このエルフと狼のコンビは今後も赤いデッキに対しての有効手段として使われることになるんじゃないかな。

 これら白いカードで相手の妨害を防ぎ、ライフを護って、そして《世界を揺るがす者、ニッサ》から大技へ……攻守のスイッチが切り替わった瞬間、対戦相手はカードパワーに圧倒されることになるだろう。青緑で組んでみたけど自分には合わなかった……という人は、もう一度この白を足した形で試してみても良いかもしれないね!

 《栄光の終焉》でフィニッシュに持っていく形もあり、白を絡めた緑の大量マナ運用デッキは今後さらに数を増やすかもしれないね。

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