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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

スタイフルノート(レガシー)

岩SHOW

 「どうでもいい話」が好きだ。中身は何もなくて、しょーもないなって感想しか出ないような冗談なんか大好きだ。マジックにも昔からそういう、どうでもいいネタがいろいろとある。《平和な心》が昔のフォントだと「平和なべ」に見えるとかは有名なところか。このしょーもなさが良いんですわ。

 で、そんなネタ、それもガセネタをひとつ。《ファイレクシアン・ドレッドノート》という古いカードがある。

 これは12/12と当時では最大級の規格外スペックの持ち主で、イラストもそのサイズを納得させる巨大な機械獣が描かれている。……のだが、実はこのイラストの大部分を占めている怪物はドレッドノートではなく、右下をよく見ると小さく描かれている人物、これこそがドレッドノートの本体だという本当に心底どうでもいいくだらないネタだ。それが本当だったらおっさんどんだけ強いねんって話であるが、実はこの人物は旧世代のプレインズウォーカーの中でも最強クラスの力を誇っていたテイザーであるとのことで、実際おっさんが12/12あってもおかしくないくらいのバケモノというのは事実であったりするのだ。本当にどうでもいい知識を得たことでしょう、お疲れ様。

 このカードを初めて見た人は、そのデザインにびっくりしたんじゃないかな。12/12トランプルと規格外なスペックにしてマナ・コストはたったの{1}! でも戦場に出た際に、パワーが12になるように生け贄を要求するという……結局意味ないがなとツッコミたくなるデメリットもまさしく超ド級。

 ただ、このデメリットは無視することができるものだったりする。かつてはレガシーでそのコンボを軸としたデッキが天下を取っていたものだが、今ではすっかり見なくなった……と思ったら「久しぶり!」ってな感じでMagic Onlineのリーグ全勝リストで顔を見せてくれた。

 なんだかホッとさせてくれる、今日はそんな味のあるデッキを紹介しよう!

JPA93 - 「スタイフルノート」
Magic Online Competitive Legacy Constructed League 5勝0敗 / レガシー (2019年4月12日)[MO] [ARENA]
1 《
1 《
4 《Underground Sea
4 《汚染された三角州
1 《溢れかえる岸辺
1 《霧深い雨林
1 《湿地の干潟
1 《血染めのぬかるみ
4 《不毛の大地
-土地(18)-

4 《秘密を掘り下げる者
4 《ファイレクシアン・ドレッドノート
4 《闇の腹心
-クリーチャー(12)-
4 《もみ消し
2 《呪文貫き
4 《渦まく知識
4 《思案
4 《致命的な一押し
2 《思考囲い
2 《悪魔の布告
4 《目くらまし
4 《意志の力
-呪文(30)-
3 《外科的摘出
1 《狼狽の嵐
1 《水流破
1 《思考囲い
3 《トーラックへの賛歌
2 《湿地での被災
1 《冬の宝珠
2 《仕組まれた爆薬
1 《最後の望み、リリアナ
-サイドボード(15)-
 

 ドレッドノートのデメリットは《もみ消し》で打ち消して、なかったことにする。

 こうして2マナとカード2枚でパワー12の打点を得て、速やかに殴り勝つデッキが、コンボ2枚のカード名から「スタイフルノート」と呼ばれるものだ。その売りはシンプルさ。複雑な要素はなく、分かりやすいことこの上ない。パワー12で2回殴ればゲームに勝てる、ただそれだけを真っすぐに狙う。デッキ構成もほとんどのカードが4枚積みでシンプルそのものだ。

 ドレッドノートか《もみ消し》を引けないと攻められないってんじゃ、ゲームが長引きすぎて2マナで12/12を出すうま味もへったくれもない。なので《秘密を掘り下げる者》《闇の腹心》と他にも軽量のクリーチャーを採用している。

 これらのクリーチャーかドレッドノートを《意志の力》《目くらまし》《呪文貫き》で護って、短期決戦を狙う。

 これら打ち消しの後者2枚、特に《目くらまし》は対戦相手が土地をちゃんと出せていれば効きにくい。《剣を鍬に》《致命的な一押し》とそもそも軽い呪文も打ち消しづらい。なので併用するのが《不毛の大地》。

 これで土地を破壊して、マナ基盤を最序盤から伸ばさせない。さらにコンボパーツでもある《もみ消し》がこれを後押しする。《汚染された三角州》などの、生け贄に捧げてライブラリーから土地を探す起動型能力を持つ土地サイクル、通称「フェッチランド」がレガシーのありとあらゆるデッキに採用されている。欲しい色マナにアクセスできて便利なのだが、この能力を《もみ消し》されてしまうと大惨事。たったの1マナで土地を破壊されてしまうということだ。土地1枚でキープして1ターン目に起動して……というところをスパッと打ち消されて、それでジ・エンドなんてこともあるだろう。

 とにかく《目くらまし》を強く使うというのが影のコンセプトで、このデッキを成立させているカードと言っても過言ではない。

 代替コストで島を戻すというアクションも、土地を並べて長期戦をやろうってわけじゃないこのデッキには痛くもなんともないのだ。0マナで相手の対抗策をズバッと打ち消し、勝負を決めろ!

 レガシーはドローやサーチが多いため、デッキ内に同じような役目のカードを1~2枚散らして採用している構築を多く見る。相手によってはより大きな効果を発揮してゲームが優位に進めることができるのだが、そうでなくこのデッキのように真面目に4枚ずつ採用しているデッキも美しくて良いなと思わされるね。多くの対戦で同じような動きができるという安心感もある。派手さを支える真面目さの大切さを教えてくれるリストだね。

 一撃で12点、叩き込みたくなったらこのデッキだ!

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