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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

エルフ:After Deathrite(レガシー)

岩SHOW

 昨年、パワーダウンを余儀なくされたデッキがあった。レガシーの「エルフ」である。

 2018年夏、《死儀礼のシャーマン》はレガシーでは3枚目となるクリーチャーの禁止カードになった(アンティに関するカードとか抜きでね)。長きに渡って、黒を採用しているデッキのマナ基盤を安定させ。これ自身でも勝負を決めてきた攻防自在な1マナクリーチャーだ。

 タイプはエルフ、黒緑の混成カードで、エルフデッキの各種カードとの相性も良く、登場以前のデッキから2段階くらいデッキパワーを高めさせ、レガシーを語る上で外せないデッキの1つとなっていた。環境の多様性のため、残念ながら去っていくことになり……エルフデッキは彼が参入する前の状態に戻ることを余儀なくされた。

 それでも、エルフデッキが終わってしまったというわけではない。失ったものもあれば、同じ年に得たカードだってあるのだ。2019年頭のMagic Onlineのトーナメントでは6勝1敗で予選を抜け、最終的には優勝している。

 まだまだやれるデッキだということを、新年の始まりとともに世に示した、最新型のリストを見てみよう!

abombdiggity - 「エルフ」
Magic Online Legacy Challenge #11761212 優勝 / レガシー (2019年1月6日)[MO] [ARENA]
3 《
2 《ドライアドの東屋
2 《Bayou
1 《Savannah
4 《吹きさらしの荒野
4 《樹木茂る山麓
4 《ガイアの揺籃の地
-土地(20)-

4 《遺産のドルイド
4 《イラクサの歩哨
4 《クウィリーオン・レインジャー
4 《ワイアウッドの共生虫
2 《樺の知識のレインジャー
2 《ラノワールのエルフ
4 《エルフの幻想家
1 《漁る軟泥
1 《再利用の賢者
2 《孔蹄のビヒモス
-クリーチャー(28)-
4 《垣間見る自然
1 《暗殺者の戦利品
3 《自然の秩序
4 《緑の太陽の頂点
-呪文(12)-
1 《ガドック・ティーグ
1 《トレストの随員
3 《陰謀団式療法
2 《突然の衰微
1 《暗殺者の戦利品
1 《翼切り
2 《窒息
4 《虚空の力線
-サイドボード(15)-
 

 エルフデッキはいくつかのエンジンが組み合わさって動く、巨大な工場のようなデッキである。

 まず、先立つものはマナ。《ラノワールのエルフ》に見られるようにエルフが最も得意とするのはマナの生産だ。これを主に担うのは《遺産のドルイド》。

 エルフ3体をタップすると緑マナが3つも供給される。この能力にはタップシンボルがなく、戦場に出たばかりで「召喚酔い」が解けていないエルフもタップに使える点が強力だ。

 また、タップするエルフに《イラクサの歩哨》が含まれているとお得!

 緑の呪文を唱えれば、このエルフはアンタップする。マナを出して、得たマナで次のエルフたちを唱えて、アンタップしたイラクサと一緒にタップしてマナを得て……と継続してマナを生み出していけるぞ。

 《遺産のドルイド》のみでは少ないので、生み出すマナは少なくとも緑以外の色マナも生み出せる《樺の知識のレインジャー》や、《ラノワールのエルフ》といったマナ・エルフも採用されている。これらを《クウィリーオン・レインジャー》でアンタップしつつコストで戻した《》を再セットして……という形でコツコツと、しかし確実にマナを得るプランも取れる。

 マナを得てエルフを唱えて戦場を拡大していく、しかしそれだけでは手札が尽きてしまってあっという間にストップしてしまう。そこでマナのみならず手札を供給するエンジンが仕事をする。《垣間見る自然》を唱えてからエルフたちを唱えて、上記のマナエンジンと組み合わせてライブラリーを掘り進んでいこう。

 この呪文の効果は重複するので、2枚目・3枚目と繋がっていく。ライブラリーのすべてのエルフを出し切る、なんてのもブン回れば可能なのだ。

 ドローエンジンもこのカードのみに頼ると不測の事態に対処できないので、もう1つのプランとして《エルフの幻想家》ループという手も用意してある。

 《ワイアウッドの共生虫》でマナ・エルフをアンタップしつつ、この幻想家を手札に戻し、そして出しなおしてドロー、さらに引いてきた共生虫を出してエルフを起こして幻想家戻して……と。カチャカチャと動いて爆発的な展開へと繋げるのだ。この共生虫エンジンは《再利用の賢者》を出し入れするという形でも用いることができるし、相手のクリーチャーをブロックしたり除去を撃たれたエルフを手札に避難させるということもできる。このあたりは《クウィリーオン・レインジャー》と《ドライアドの東屋》の関係にそっくりだね。

 マナとドローのエンジンを回転させ、最終的には《緑の太陽の頂点》か《自然の秩序》、あるいは手から素出しの《孔蹄のビヒモス》を繰り出し、自身とエルフをとんでもないサイズにパワーアップさせて対戦相手にぶち込む、という豪快な勝ち方を狙う。

 ビヒモスを探すカードはコンボを成立させるパーツを探すのに使える点でも優秀だ。マジックの歴史でも上位に入る気持ちの良い勝ち方で、対戦相手の妨害が弱ければゲームの最序盤でも決まってしまう。まあ、クリーチャーに頼るコンボなのでイージー!無敵!というわけではないのだが、デッキを構成しているカードが軒並み軽く、序盤からガンガン仕掛けられる点がエルフデッキの強み。《ガイアの揺籃の地》という並ぶもののない最強レベルの土地が使える点も魅力だね。

 このリストでは新戦力として《暗殺者の戦利品》をメインとサイドに採用している。

 メインから入っているのは《虚空の杯》1枚で終わってしまわないよう、保険としてか。何でも割れるという安心感があるね。

 サイドには他にも《トレストの随員》や《翼切り》が採用されているのが面白い。

 トレストはクリーチャーで殴ってこないデッキ相手にアドバンテージエンジンとして大いにプレッシャーをかけ、《翼切り》は《暗黒の深部》コンボへの対処されにくい解答となる。

 エルフのような伝統的なデッキでも、まだまだ細かい工夫が施せるんだなということを再確認させられた。《死儀礼のシャーマン》が去ってエルフをしばらく触ってなかった……というレガシープレイヤーは、今一度このデッキを手に取ってみてはどうだろうか。ガチャガチャやってる時の楽しさは、エルフならではのもの。オンリーワンの体験をしに、大会へ行こう!

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