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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
『ラヴニカのギルド』限定構築をやってみよう!
人は不便から学び、足りないものを補おうと努力することによって新しいものを得る……それっぽいことを言ってみた。実際問題、特に娯楽のなかった初期の方が自分でいろいろ工夫して遊んでいたなぁなんて……マジックにもそれは当てはまりそうだ。
始めたばかりのころ、手持ちのごく限られたカードから珠玉の60枚デッキを考えるのはたまらなく楽しかった。そういう「限られた」状況を楽しめる人にはリミテッドが向いているとよく言われるが、個人的にはもう1つ推したいものがある。「限定構築」だ!
いや~、すっかり聞かなくなったなぁこの言葉も。かつてはマジックの構築戦フォーマットにはなくてはならないものであった。その名の通り、スタンダードよりもさらに狭めた限定されたカードプールを用いた構築戦である。以前までマジックは2~3のセットからなる「ブロック」という概念があった。このブロック内のカードだけを用いたブロック構築は、スタンダードほどではないにせよ構築フォーマットとしては一般的なものであり、プロツアー予選やグランプリ・トライアル、グランプリ本戦にプロツアーと、競技マジックのシーンを彩っていた。スタンダードではより使いやすいカードが優先されて日の目を見ることがなかったカードが、イキイキと輝く姿を見ることができたのである。
スタンダードでは対策カードが多すぎて成立しなかった楽しいデッキなんかもあり、またカードが集めやすいということでデッキを組むハードルが低かった。そして何より、限られたカードプールからこれだ!というデッキを目指して構築をするのは楽しかったのである。そこでしか味わえない喜びがあったね。
この限定構築が、先日MTG Arenaで復活した。Arenaでは週末に特殊なフォーマットのイベントが開催されており、そこで『ラヴニカのギルド』限定構築戦が行われたのだ。必要なセットは1種類のみで、すなわち多種多様なカードを集めなくてもデッキが組める。コモンやアンコモンも脚光を浴びるということで、これは初心者にも遊びやすいかな?と。
実際にプレイしてみると、スタンダードではさまざまな理由で活躍できなかったカードも活躍するし、ゲームの内容もスタンダードに見劣りしないやり甲斐のあるものだった。これはぜひとも、仲間内なんかで限定構築戦をしてほしい!と思い……誰かの心に響いたらいいな!
というわけで今日は僕が実際に組んでプレイした、『ラヴニカのギルド』のカードのみで作ったデッキを紹介しよう!
8 《沼》 8 《森》 4 《草むした墓》 4 《ゴルガリのギルド門》 -土地(24)- 4 《光胞子のシャーマン》 3 《真夜中の死神》 3 《疫病造り師》 4 《ゴルガリの拾売人》 4 《破滅を囁くもの》 2 《地底王国のリッチ》 -クリーチャー(20)- |
2 《死の重み》 2 《暗殺者の戦利品》 4 《発見 // 発散》 3 《採取 // 最終》 2 《名声の代価》 3 《ゴルガリの女王、ヴラスカ》 -呪文(16)- |
とりあえずは好きな色ということもあって、ゴルガリを適当に組んでみた。
このフォーマットを遊ぶ上で、リミテッドで得た知識というものはとても大きい。リミテッドにおけるゴルガリは、宿根能力を持ったカードが中心になるが……しかし、それらのカードを活かすには黒と緑の2色ではややカードが足りず、ディミーア(青黒)の諜報カードの助けを得る必要がある……というのが一般的な認識かな。
限定構築でもこの考えは変わらない。ただ宿根能力持ちを適当に入れたのでは、能動的に墓地にクリーチャーを落とせずにデッキが機能し辛いだろう。なので、同じゴルガリでも宿根カードにはこだわらない方向でやってみた。
このデッキでは《地底王国のリッチ》を使う、という方向でスタンダードのゴルガリと差別化を図ってみた。
良いデザインのカードではあるのだが、5マナにしてはややサイズが小さく、また自慢の破壊不能による除去耐性も《ヴラスカの侮辱》《封じ込め》など追放除去が蔓延るスタンダードでは活きてこない。
ところが限定構築であれば、このカードへの対処方法は限られるだろうし、サイズ負けすることもそうそうないだろう……というわけで採用してみた。これは正解で、実際にライフに余裕がある状況で戦場に降り立ったリッチは、一直線に勝利へと導いてくれたのである。
デッキとしては、コントロールデッキになる。クリーチャーが多めではあるが、これらの多くは相手のクリーチャーと相討ちしたり除去と交換しながら使うことが前提となっている。かつ、《ゴルガリの拾売人》《真夜中の死神》らでカード1枚分のアドバンテージを得ていく。
そうやって適当にカードのトレードを繰り返し、手札の差をつけてゲーム後半で巻き返して勝とうというわけだ。クリーチャーと除去呪文で盤面に相手のクリーチャーを生き延びさせない。そうやって耐えていれば、《採取 // 最終》によるアドバンテージで決定的な差をつけたり、リッチや《破滅を囁くもの》が無双してくれたりする。ゲーム終盤のこれらのカードの決定力ときたら、限定構築であれば並ぶものは数少ない。
また、ゴルガリはプレインズウォーカーが使えるカラーリングという点でも秀でている。
《採取 // 最終》で流して《ゴルガリの女王、ヴラスカ》が生き延びるという状況になれば、そこから逆転される可能性はグッと抑えることができる。スタンダードではやや地味な能力という印象を受けるプレインズウォーカーだが、ドローに回復、パーマネント除去と堅実な仕事をこなしてくれる名カードであることを再認識した。さくっと使い捨てても、《ゴルガリの拾売人》で回収できる点が嬉しい。ゆえに拾売人は4枚にしてある。
この名クリーチャーとの相性の良さも考慮して《発見 // 発散》を4枚採用したのも功を奏した。
このカードで事故をなるべく回避するため、重めのカードは遠慮なく墓地に落として土地や除去を引きに行く、という動きはとても感触が良かった。探検クリーチャーが去った後のゴルガリでは用いることになるか? こういう他のフォーマットにも活きてくる経験が出来るのも、限定構築の良いところだ。
サイドボードは用いない形式のイベントだったのでメインデッキだけだが、実際に遊ぶのであれば用意した方が面白いかもね。どんなカード・デッキに対策するために何のカードを用意するか? そこを考えるのもスタンダードとは異なって、味わい深い。
なかなかイベントは開催されないかもしれないが、冬休みに仲間と集まってコタツでマジックする際に、ちょっとやってみるかと遊んでくれたら嬉しいね。ハードル低めな未体験のマジック、やってみてくれって!
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