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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

青緑変身(モダン)

岩SHOW

 ここしばらくはスタンダードのデッキばかり紹介している。『ドミナリア』参入により新たなデッキが産声をあげまくっているから自ずとそうなるわけだが、じゃあ他のフォーマットではどうなのか?『ドミナリア』のカード使ってるデッキあるの?と気になっている方もいるかもしれない。

 モダンにおいては……発売前に紹介したように《ウルザの後継、カーン》を「親和」デッキに採用して、実際に結果を残しているリストがいくつかある。《アンティキティー戦争》もアドバンテージを得ながらアーティファクトたちが突然5/5になって殴りかかってくるのでなかなか強いようだ。他には?

 ……ちょうどね、とんでもないリストを見つけたところだったんだよ。まずはリストからご覧いただこうか、これはやんちゃが過ぎるやつだぜ!

Asteelman123 - 「青緑変身」
Magic Online Competitive Modern Constructed League 5勝0敗 / スタンダード (2018年5月3日)[MO] [ARENA]
6 《
1 《
3 《繁殖池
4 《霧深い雨林
4 《カルニの庭
2 《樹上の村
4 《変わり谷
2 《ちらつき蛾の生息地
-土地(26)-

2 《引き裂かれし永劫、エムラクール
-クリーチャー(2)-
4 《楽園の拡散
4 《探検
4 《苗木の移牧
4 《明日への探索
3 《変幻の杖
2 《獣群の呼び声
4 《変身
4 《ゼンディカーの代弁者、ニッサ
1 《情け知らずのガラク
1 《野生語りのガラク
1 《生命の力、ニッサ
-呪文(32)-
1 《スラーグ牙
1 《テラストドン
1 《古鱗のワーム
2 《大祖始の遺産
1 《自然の要求
2 《否認
1 《サイクロンの裂け目
2 《四肢切断
1 《忍び寄る腐食
2 《虚空の杯
1 《精霊龍、ウギン
-サイドボード(15)-
 

 「え、何これ?」というのが自然な反応かもしれない。これは《変身》デッキの最新版だ。

 《変身》はクリーチャー1体を破壊して、ライブラリーをめくって最初に出てきたクリーチャーを代わりに戦場に出す、その名の通りクリーチャーを変身させてしまうソーサリー。対戦相手のクリーチャーに使って疑似除去として用いることもできるが、やはり自分のデッキにとんでもないものを仕込んで大変身させてやりたい1枚。

 デッキに採用するクリーチャーを大型のもののみにして、トークンを生成するカードなどで《変身》のタネを得るという構築でファンデッキを作るプレイヤーは昔から数知れず、特にマジック界でも最強生命体と言っていい《引き裂かれし永劫、エムラクール》登場後には決まればちゃんと勝てるロマン砲として、一部のぶっとびデッキ愛好家に親しまれるコンボとなった。

 トークンを得る手段、あるいはクリーチャー化するクリーチャーでないカードをどの色から探してくるかによってデッキの色は変わってくるが、このリストが青の相方に選んだのは緑だ。

 緑でトークンと言えば新カード《苗木の移牧》!

 まさかこのカードをモダンで、しかも苗木&ファンガス以外のデッキで見ることになるとは夢にも思わなかったが、嬉しいことにこれ現実。2マナでトークンを2体出せるため、《変身》とその予備カードである《変幻の杖》のタネ候補を1枚で2つ獲得できる。2ターン目に唱えておいて後から餌にしても良いし、相手がガンガン攻めてくるようならばブロックに回してしまっても良いだろう。

 そしてこのカードは、グダった時になかなか強い。《変身》コンボは大振りであるため、対戦相手もそう簡単には決めさせてくれない。相手から妨害を受けてコンボは決められず、しかし相手もこちらのとどめを刺すに至らないという状況下であれば、キッカーしてトークンを4体生成し、物量で攻めるという作戦が取れる。ばら撒いたトークンは《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》で強化、キッカー用のマナは《野生語りのガラク》の能力で得よう。

 これらのプレインズウォーカーはそれぞれにトークンを生成することもでき、変身コンボパーツとしても機能するぞ。

 《野生語りのガラク》は《楽園の拡散》との相性も素晴らしい。これに《探検》《明日への探索》などで序盤から使えるマナを増やし、割とマナがかかる変身コンボを序盤に決められるように動いて……決められずとも、これらで得たマナが先に述べたように《苗木の移牧》のキッカーコストになったり《獣群の呼び声》のフラッシュバック・コストになったり(まさか2018年にこのカードの雄姿を見るとは!)、あるいは最終手段・エムラクールを真面目に唱えることの助けとなるだろう。というか、唱えてみたいね。

 マナを伸ばす・トークンとプレインズウォーカーでプレッシャーをかける・隙があればコンボを決める、選択肢はそこそこに豊富だが、そこまで難しいデッキでもないはずだ。変身し損ねると負けというわけではなく、トークンなりプレインズウォーカーなりは残るので、強気にプレイして相手を追い詰めていこう。

 サイドボードの《テラストドン》《古鱗のワーム》なんかもたまらないね!

 両者とも派手でありつつも堅実に役目を果たす、緑の大物界でも仕事人的なナイスカードだ。《変身》があるからこそ組めるサイドボードで、こういうのを見るとむちゃくちゃ真似したくなってしまう。

 モダンという広大なカードプールで生き延び続ける洗練されたデッキたちを揺るがすほどの新デッキを組むことは難しいことだが、新セットのコモンがファンデッキの新たな形を切り開く……ぐらいの夢を見てもバチは当たらない。モダンプレイヤーは今一度、『ドミナリア』のリストを見返してみよう。あれ、このカードって地味に……という発見があったら、レッツ構築!

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