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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:堂々優勝、The Spy(レガシー)

岩SHOW
 

 先日のこと、レガシーにて《地底街の密告人》が禁止カードに指定された。見慣れない人には「なんでこんなクリーチャーが?」と感じられることだろう。3マナ2/3と、デカくて戦闘に強いわけでもない。能力は起動型能力が1つ、クリーチャーを生け贄に捧げることで対象のプレイヤーのライブラリーからカードを墓地に置くというもの。土地が公開されるまでカードを公開し続け、土地が見えたらそれまで公開したカードを全部墓地へ……ということで、ライブラリーアウトデッキで使うにしてもムラがある。

 そんな密告人が禁止になった理由は、この能力がコントローラー自身を対象にできるからだ。まずあらかじめ、デッキ内に土地を1枚も採用せずに構築する。そしてこの密告人を戦場に出して能力を起動!対象自分!そうすると土地が公開されることは当然起こらないので、結果として……ライブラリーがどさっとすべて墓地に置かれることに。そのままでは次のターンのドローを迎えると敗北だが、ライブラリーにカードがないこと&墓地に莫大な量のカードがあることを活かすカード達を駆使して、そのターンの内に勝利する……そんなクールなコンボデッキがレガシーに存在する。

 密告人と同様の処理を行える《欄干のスパイ》とセットで、コンボ始動のカードが合計8枚体制というのがそのデッキの強みだった。キーカードの名前から「The Spy」や「Oops,All spells(おっと、全部呪文カードだ)」といったアーキタイプ名に分類されるこのコンボを弱体化する、というのが今回の《地底街の密告人》禁止の狙いであるというわけだ。

 さて、今週もクールなカードやデッキを紹介するCool Deckのコーナー。取り上げるのはそんな環境の変化を迎えたレガシー、日本国内で最初の大型イベントがマジック・スポットライト:シークレッツにて行われた。レガシー選手権で優勝したデッキは……

Inoue Nachi - 「The Spy」
レガシー選手権 優勝 / レガシー (2026年5月30日)[MO] [ARENA]

4 《猿人の指導霊
4 《エルフの指導霊
4 《ボガートの獲物さらい
3 《フレイアリーズの信奉者
4 《欄干のスパイ
4 《ポクスウォーカー
1 《タッサの神託者
-クリーチャー(24)-
4 《不敬者破り
4 《アガディームの覚醒
2 《金属モックス
4 《水蓮の花びら
4 《暗黒の儀式
1 《ジャック・オー・ランタン
4 《思考囲い
1 《強迫
2 《陰謀団式療法
1 《戦慄の復活
2 《再活性
4 《陽気な哀歌
1 《記憶の旅
2 《ゴブリンの放火砲
-呪文(36)-
4 《ダウスィーの虚空歩き
3 《バロウゴイフ
2 《ザンティッドの大群
4 《活性の力
1 《基盤砕き
1 《削弱
-サイドボード(15)-
BIG WEB より引用)

 

 

 いやスパイやないかい!ライブラリーアウトを引き起こす2枚の翼、片方が落ちてもスパイはまだ舞えたということだ。恐るべし「The Spy」、そしてプレイヤーの執念、愛……クールすぎるぜ!実に興味深く面白く、そしてある意味レガシーらしい結果になったと言えるのではないか。

 レガシーには《水蓮の花びら》《暗黒の儀式》《エルフの指導霊》などマナを加える手段は豊富で、そして《ボガートの獲物さらい》のように第一面は呪文であるためスパイの能力には引っかからないが、第二面が土地であるというモードを選ぶ両面カードもあるため、土地が0枚という構成でありながらスパイを唱えるための4マナを捻出することが可能だ。このリストも土地0でありながら実質15枚入っているという形になるね。

 そうしてマナ加速を経て最序盤にスパイを叩きつけ、自身のライブラリーを空にしたら《タッサの神託者》で勝つ!このクリーチャーは戦場に出た時に能力が誘発、青への信心よりも残りライブラリーの枚数が少なければ、その時点でゲームに勝利となる。ライブラリーが空であれば問答無用の勝ちと相成る。これをスパイで墓地に叩き込み《戦慄の復活》をフラッシュバックしたり、《再活性》を唱えるなどして戦場へ→WIN‼というのがスパイデッキの狙う勝利へのクールな最短経路だ。

 

 《戦慄の復活》は墓地から唱えられるリアニメイト呪文であり、マナではなくクリーチャーを3体生け贄に捧げるというクールすぎるフラッシュバックコストを要求する。これの支払いの前準備がこのデッキの肝とも言える部分だ。この口火を切るのが《陰謀団式療法》。これもまた墓地からクリーチャーを生け贄に唱えられるフラッシュバック呪文で、こちらが要求するのは1体。戦場に出て仕事を済ませたスパイをこれで生け贄に捧げて唱え、指定したカードを対戦相手の手札から捨てさせる……わけだが、唱えた時点で墓地からゾロゾロとはい出てくるクールなやつらがいる。《ポクスウォーカー》!このゾンビ達は手札以外から呪文を唱えると、墓地から戦場に自動的に戻る能力を持つ。そのためスパイ後、療法を唱えれば墓地の全ポクスウォーカーが集結!これで3体分の生け贄は確保というわけだ。

 

 密告人が減ったスロットは何かで埋めねばならない。これがスパイデッキにおける至上命題だったわけで、世界中の愛好家が様々なカードでその枠を補おうとトライしている。こちらのリストでは《陽気な哀歌》が見られる。墓地からクリーチャーを戦場に戻すモードを用いて、手札破壊されたり打ち消されたスパイを再利用できる1枚……また、もう1つのモードはカードを探して墓地に堕とすことが可能で、どちらのモードをも選べばスパイを埋めて即釣り上げるというムーブがこれ1枚で決まる。計5マナ必要だが、ゲームに勝てるのであればそのコストは喜んで支払いたいクールなものだ。《暗黒の儀式》などを連打してサーチ&リアニメイトでスパイを叩きつける!

 また、以前のスパイデッキでサイドボード後のサブの勝利手段として用意されることの多かった《ゴブリンの放火砲》もメインデッキに見られる。土地が公開されるまでライブラリーを捲り、その合計枚数分ダメージ……20点くらいは軽く吹き飛ぶという算段だ。こちらも唱えて起動とトータルで7マナ必要だが、通れば勝ちならぶっぱなせ!というオールインの価値ある1枚。豪快コンボ好きのためのクールな要素が「The Spy」には詰まっている。

 弱体化からの優勝はクールすぎるだろ……これもまたマジックの生み出すドラマでありロマンだ。禁止カードはないに越したことはないが、時としてこういった記憶に残るストーリーを生み出すのがクールだね。もちろんスパイを他のデッキが今後マークすることでまた情勢は変わっていく。レガシーの今後の動向も要チェックということで、今週はここまで。Stay cool!Beware of the spy‼

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