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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:エルドラージ・ストンピィ(レガシー)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:エルドラージ・ストンピィ(レガシー)

by 岩SHOW

 皆はどのくらい練習してからトーナメントに臨んでいるのだろうか。1週間?それとも1か月?常住坐臥トレーニング? いろんなスタイルがあるかと思う。僕はグランプリに参加する際、ハッキリ言って練習はほとんどしていない――最近は。昔はそこそこメタゲームの研究やったり友達とデッキの調整とか念入りにやったりしたもんで、それがまた面白いかけがえのない時間ではあったのだが、社会人になってからは時間をそうも簡単に作れなくなってしまった。これは残念なことではあるがしょうがない。

 また、仕事でデッキを回しているからこそ、どれか1つのデッキをガツンと練習するというのも難しくなってしまっている。......まあこれは性格の問題なのかな。カレー屋さんが夜、仕事を終えて帰宅してさあ自分のためにカレーを作るか、というのは結構難しいことのように思っているのだけども、実際のところどうなのだろう。とにかく、自分が強くなるため・勝つために集中してやるマジックよりは、皆にマジックの良さを伝える方向でのゲームプレイが、僕のマジックプレイ動機の大半を占めるのは事実だ。

 なので、グランプリ・ラスベガス2017参戦の際にもエンジョイできればそれで良いという思いが強かった。練習する時間もそれほどなかったので、簡単なデッキを使うことに決めた。テクニカルなデッキ、細かなダメージレースを考えるデッキは付け焼刃で扱うのは難しいからね! そんなわけで、わかりやすいコイツを持ち込んだ!

Brandon Johnson - 「エルドラージ・ストンピィ」
StarCityGames.com Team Constructed Open Louisville 8位 / レガシー (2017年5月20日)[MO] [ARENA]
4 《古えの墳墓
3 《裏切り者の都
4 《エルドラージの寺院
3 《ウギンの目
4 《魂の洞窟
3 《不毛の大地
2 《ミシュラの工廠
1 《カラカス
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ

-土地(25)-

4 《エルドラージのミミック
1 《歩行バリスタ
4 《作り変えるもの
4 《難題の予見者
4 《現実を砕くもの
2 《終末を招くもの
4 《果てしなきもの

-クリーチャー(23)-
2 《梅澤の十手
2 《歪める嘆き
2 《四肢切断
2 《全ては塵
4 《虚空の杯

-呪文(12)-
2 《ファイレクシアの破棄者
1 《歩行バリスタ
4 《アメジストのとげ
2 《漸増爆弾
1 《世界のるつぼ
4 《虚空の力線
1 《殴打頭蓋

-サイドボード(15)-
StarCityGames.com より引用)

 「エルドラージ・ストンピィ」だ! やはり《難題の予見者》と《現実を砕くもの》は最高なんでね。この危険なクリーチャーを2ターン目3ターン目に転がすのに勝る激しさは、レガシーというフォーマットでもそうそうあるものではない。踏みつぶせ!という久遠の闇からの声に従い、強そうなエルドラージデッキの最新型をコピーして持ち込むことに。

 使用方法は実に簡単だ。4種14枚ある2マナ土地を用いて、エルドラージをいち早く展開する、殴り切る、以上だ。殴り切れなかったら負ける、という勝敗の分かり易さも好ましい。このデッキの爆発力を支えるのは2マナ土地の中でも特に《ウギンの目》によるところが大きい。

 この土地はマナを生み出すわけではないため、2マナ土地とは厳密には呼べないのだが......エルドラージのコストを{2}減らすため、そう呼んでも差し支えはない。1ターン目に複数の《エルドラージのミミック》、2ターン目に《難題の予見者》という開幕からクライマックスなムーブを決めるにはこの存在はなくてはならない。《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》と並べば3マナ土地となり、長期戦にもつれ込めば起動型能力でエルドラージを配給してくれる。これが使えるのがモダンとレガシーのエルドラージの決定的な差と言えよう。モダンのそれに物足りなさを覚えたのであれば、レガシーへいらっしゃい。

 《虚空の杯》で基本的には1マナの呪文を、相手によっては0マナまたは2マナの呪文を抑え込みながら、効率よくエルドラージを展開して対戦相手のライフを削り切る。

 基本的には速度勝負を挑み勝利したいデッキではあるが、《作り変えるもの》などでアドバンテージを得ながら長期戦にもつれこんでも《全ては塵》で盤面を掃除して《終末を招くもの》でゲームを掌握することもできる。割と器用なデッキであると言える。

 いろいろなデッキを踏みつぶす高いパワーを持ったデッキだが、弱点や問題点もある。まず、このデッキは《師範の占い独楽》を失ったことでその姿を消した「奇跡コントロール」に強いビートダウンデッキとしての地位を誇っていたのだが、その環境最大勢力だった奇跡は別物となりその数も激減、ほとんど姿を見かけないマニアデッキとなった。

 そして、カードを引き込む手段が乏しいので、引きムラに左右されてしまうという点だ。トーナメントが長丁場になればなるほどどうしようもない引きのゲームが出てきてしまう......すべてブン回りというわけにはいかないものだ。9回戦を戦ってそれを実感した。文字通り何もできずに負けたゲームは決して少なくない。不戦勝0は辛いよ! 0Byeの身であれば、こういうデッキよりはドロー手段を持ったものの方が安定して勝ち星を重ねられるかもしれない。良い勉強になった。

 以前ほど絶対的なデッキではなくなったということを実感したが、プレイしていて「無茶苦茶するやんこのデッキ」という感動的なムーブも飛び出したりもして、相変わらず面白いデッキであることには違いない。そしてこのデッキを回したことで、ちょっと変なデッキのアイディアが浮かんでしまった。とりあえず回してみて、面白かったらいつか皆に紹介できればなぁと計画中。それじゃあ、また来週!

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