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岩SHOWの「デイリー・デッキ」

2017.05.17

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:モダンアーキタイプ特集 第3回「エルドラージ」

by 岩SHOW

 何、もう弱音を吐いている者がいるのか? まだまだモダン・ブートキャンプは始まったばかり、ここまでの訓練なんて序の口に過ぎないぞ。今日は2種類のデッキをまとめて叩き込んでやるから、しっかり気合いを入れて臨むように! グランプリ本戦という長丁場を生き延びるために、モダン・ブートキャンプの始まりだ!

 今日君たちが相対するデッキは、感情もたぬ殺戮マシーンだ。いや、もしかしたらヤツらにも感情があるのかもしれん。それがあっても今の我々に知るすべがないと言うべきか。久遠の闇から生まれ、ゼンディカーに多大なる被害をもたらした、見るもおぞましい怪物ども! ただ味方につければ、これほど頼もしいヤツらもそうそういない。避けては通れぬエルドラージとの遭遇、しっかりと目に焼き付けておけ!

 エルドラージがモダンにて存在感を示したのは、プロツアー『ゲートウォッチの誓い』の時......忘れもしない、私がデイリー・デッキを開始した頃。初回で取り上げた「青赤エルドラージ」の衝撃を忘れることはないだろう。エルドラージは無色、青白、赤緑とそのバリエーションを増やしまくったものだ。このままではモダン環境=エルドラージとなってしまう! この事態を打開するため《ウギンの目》は禁止カードに。エルドラージも従来の形ではデッキを存続させることが困難になった。マナブーストが弱まってしまった、ならば別のもので代用してしまおう!という思想をベースに作られたのが、エルドラージの第2ステージ「バント・エルドラージ」だ!

solaec0501 - 「バント・エルドラージ」
Magic Online Competitive Modern Constructed League 5勝0敗 / モダン (2017年4月22日)
2 《森》
1 《平地》
1 《寺院の庭》
1 《繁殖池》
1 《神聖なる泉》
4 《吹きさらしの荒野》
3 《低木林地》
3 《ヤヴィマヤの沿岸》
4 《エルドラージの寺院》
3 《魂の洞窟》

-土地(23)-

4 《貴族の教主》
1 《極楽鳥》
4 《変位エルドラージ》
4 《空中生成エルドラージ》
2 《永遠の証人》
4 《難題の予見者》
4 《現実を砕くもの》
3 《希望を溺れさせるもの》

-クリーチャー(26)-
4 《古きものの活性》
4 《流刑への道》
3 《仕組まれた爆薬》

-呪文(11)-
2 《墓掘りの檻》
2 《自然のままに》
1 《頑固な否認》
2 《安らかなる眠り》
2 《石のような静寂》
2 《統一された意思》
2 《崇拝》
1 《ギデオン・ジュラ》
1 《太陽の勇者、エルズペス》

-サイドボード(15)-
MTGO Standings Competitive Modern Constructed League より)

 緑を取り入れることで《貴族の教主》《極楽鳥》らマナクリーチャーによる1ターン目からの加速、《古きものの活性》を採用しこれでも《エルドラージの寺院》が探せる。この2つの利点によりエルドラージのポテンシャルを最大限に引き出せるバント(白青緑)カラーのデッキだ。

 このデッキはとにかくどっしりと安定感がある。(このリストには入っていないが)2ターン目《作り変えるもの》、3ターン目《難題の予見者》、4ターン目《現実を砕くもの》という黄金ムーブを比較的簡単に行うことができる。これら3種はとにかく対処に困る、質の悪いヤツらだ。早いターンからこの鬱陶しいエルドラージを相手に押し付けていき、対処を迫り続ける。捌ききれなかったら相手は倒れる、要するに体力勝負だ。そういうフィールドに持っていければ、比較的強いカードをトップデッキしやすいこのデッキは有利になることだろう。ゆえに「フェアデッキに対して無類の強さを発揮する」とよく言われている。

 プレイングは簡単な方だ。マナを最大効率で使ってクリーチャーを展開し、攻撃していく。特別な使い方をするカードは特にない。《古きものの活性》がとにかく最強の呪文で、最序盤はこれでマナベースを作る、以降はエルドラージを補充すると、1マナとは思えない仕事っぷりを見せる。《永遠の証人》で拾っておかわり、《変位エルドラージ》を見つけてこれで証人をグルングルンさせて延々ライブラリーを掘って、《希望を溺れさせるもの》を見つければ......すなわち勝利だ。どうだ、最高だろう?

 《低木林地》《ヤヴィマヤの沿岸》などは3色のマナ基盤を支えるとともに無色も供給する、3色土地として機能する。これに《魂の洞窟》もあるときたもんだ、マナベースは完璧だな!

このデッキに有効なサイドボード
  • 《血染めの月》
  • 《大爆発の魔道士》
  • 《罠の橋》
  • 《滅び》《神々の憤怒》など全体除去

 基本でない土地を多数用いるため、そこを狙い撃ちされると少々辛い。サイド後はフェッチランドから基本土地を持ってくる優先度を高めてケアするように! 油断していると赤単エルドラージになってしまって笑うに笑えん。

 《罠の橋》のような攻撃を防ぐカードを置かれるだけでも厳しい闘いになるので、エンチャントおよびアーティファクト対策はサイド後の基本装備である。油断してハマってあっさり投了なんてするんじゃあないぞ! 戦場じゃ起こってしまったからじゃもう取り返しがつかない! 敗北に即座に繋がるため、相手のデッキがどんな色であろうともケアして立ち回るように。

 ただ、そういったカード以外でこのデッキにムチャクチャ効く!というカードが特にないというのも利点だ。《塵への崩壊》を《エルドラージの寺院》に撃ち込まれても、まあ他でどうとでもなる。「トロン」のように全プラン崩壊となるわけじゃない。これはこのデッキの強みだな。

 エルドラージ側もサイドボード後はただ黙っているわけじゃない。最終兵器として《太陽の勇者、エルズペス》を持っている。これが戦場に出りゃ、大抵のフェアデッキは地上を完全に制圧された後に空飛ぶエルドラージどもに踏みにじられて終了だ!

 トップ勝負になった時に強いデッキの代表だな。爆発的な初速を誇る、とかいうわけではないが、ブレが少なく一定の動きができる、長丁場向けのデッキだ。堅実な性格の持ち主は今すぐ手に取って、さあスクワット50回!

 ......フム、残った者はもっともっと激しさを持ち合わせたデッキがお望みらしいなァ? じゃあ、ついてこい。おあつらえ向きの最新兵器を見せてやろう。

nyarlathothep - 「エルドラージ・トロン」
Magic Online Competitive Modern Constructed League 5勝0敗 / モダン (2017年4月19日)
2 《荒地》
4 《ウルザの塔》
4 《ウルザの鉱山》
4 《ウルザの魔力炉》
4 《エルドラージの寺院》
3 《幽霊街》
1 《ウギンの聖域》
1 《海門の残骸》
1 《宝石の洞窟》

-土地(24)-

1 《呪文滑り》
4 《作り変えるもの》
4 《難題の予見者》
4 《現実を砕くもの》
3 《終末を招くもの》
3 《歩行バリスタ》
1 《大いなる歪み、コジレック》
1 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》

-クリーチャー(21)-
4 《探検の地図》
2 《次元の歪曲》
3 《四肢切断》
1 《殴打頭蓋》
2 《全ては塵》
2 《虚空の杯》
1 《解放された者、カーン》

-呪文(15)-
2 《真髄の針》
2 《大祖始の遺産》
1 《外科的摘出》
2 《漸増爆弾》
2 《歪める嘆き》
1 《貪欲な罠》
1 《護法の宝珠》
1 《全ては塵》
1 《バジリスクの首輪》
1 《解放された者、カーン》
1 《精霊龍、ウギン》

-サイドボード(15)-
MTGO Standings Competitive Modern Constructed League より)

 「エルドラージ・トロン」だ。色は不要、エルドラージは無色に限ると言わんばかりの頑固一徹な構成だな。トロンと名にあるように、このデッキは一般的なトロンデッキが有するウルザの土地3種類を採用。これが揃ったら土地3枚で7マナ、フィーバータイム突入だ! これらと《エルドラージの寺院》を採用して、都合よくどれか引ければ早いターンでエルドラージを出そうってこった。

 このデッキはモダンの大多数のデッキとベクトルが少々異なる。軽いカードは《探検の地図》《次元の歪曲》くらいしか使用していないので、《虚空の杯》を能動的に使っていくのだ。

 軽ければ軽いほど正義とされるモダン環境、デッキ内のカードがほとんど1・2マナというデッキも少なくない。そういうデッキをガッチリ妨害しながら、例のエルドラージ3種の神器で圧倒するってわけだ。

 あと、このデッキならではの主力が《終末を招くもの》だ。コイツは戦場に出て次の自分のターンを迎えさえすれば、お前さんを自動的に勝利に導いてくれることだろう!それぐらい、壊れた性能を持っている。2体並べて無慈悲なまでに盤面をぐっちゃぐちゃにするが良い!

 さらにマナが伸びたら? ウラモグでもコジレックでも遠慮せず戦線に投下していけ、殲滅戦だ!......と、このリストでは採用してはいるが、まあここまでせずとも《終末を招くもの》で十分に勝てる。手札によく来て事故るなら、別のカードと交換することを勧める。4枚目の《歩行バリスタ》とかだな(実際これは欲しい)。

 このデッキはエルドラージ全盛期及びその直後にチラホラと見ることもあったが......流行りだしたのは2017年を迎えてからだ。《歩行バリスタ》というマナの使い道であり、盤面に簡単に触れることができるクリーチャーを得たことで、このデッキは飛躍した。見ろ、あの速射砲! チンケなクリーチャーの生存を許しちゃくれないぞ。今や環境でも屈指のパワーデッキとして、高い地位・使用率を誇っている。まあ、納得だな。ゲームが長引けば長引くほど有利になっていくタイプのデッキで、こっちもトップ勝負になった時は敗ける気がさらさらない。パワーカードで打ちのめしてやれ!

 このデッキに有効打となるサイドボードも「バント・エルドラージ」と大体同じだ。土地を攻めるのと、《虚空の杯》で封じられにくい全体除去でクリーチャーに対処すれば良い。バント以上にこちらのデッキは土地をいじめる戦略に対して脆い側面があり、特に《血染めの月》を置かれるとクリーチャーの半数以上が出せなくなってしまう。

 それでも24枚前後とやや多めの土地を採用しているので、土地が5~6枚並ぶことを活かして《殴打頭蓋》や《ワームとぐろエンジン》を採用したり、《精神石》と《探検の地図》からの《荒地》で無色マナを捻出したり、《全ては塵》で流し去ったり......策はある。そもそもそんなんで息も絶え絶えになるようじゃ、モダンを生き抜くことなんてできやしないからな!

 どうだ、気に入ったか? よぉぉし、それじゃそれぞれのエルドラージ班に分かれて、メタ上のデッキとフリープレイ2時間! 昼食が終わったらサイド後2時間だ! ぐずぐずしてると神戸が目の前だぞぉ~!?

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