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岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Mudpost:トラディショナル・スタイル(レガシー)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Mudpost:トラディショナル・スタイル(レガシー)

by 岩SHOW

 1999年。世界選手権が日本にやってきた、記念すべき年である。日本人のこのトーナメントへの注目度ったらそりゃもうハンパじゃないものだった。僕も行きつけのショップにて、広告媒体を目にしたものである(大阪在住の中学生には会場へ行く術も発想もなかった)。

 そこで優勝したのが、かの「ジャーマン・ジャガーノート」カイ・ブッディ/Kai Buddeその人である。彼の優勝もチラシに雑誌にビデオにと、とにかくいろいろな形で日本のマジックプレイヤーは目にする機会が多かった。この世界選手権が、日本のマジックプレイヤー増加のひとつのきっかけだったのではないだろうか、とも思う。この時スタンダード・ラウンドでブッディがブン回したデッキは「アーティファクト・レッド」。

 続く2000年。この年の世界選手権で優勝したのはかのジョン・フィンケル/Jon Finkelだ。フィンケルは個人戦および団体戦で優勝という圧倒的王者っぷりを見せつけた。またね、ブルーのシャツにネクタイでビシッと決めた姿がかっこよかったんだこれが。この時フィンケル閣下がスタンダード・ラウンドで用い、決勝にて同型対決を行ったデッキが「スーサイド・ブラウン」。

 この両名に共通しているのは、アーティファクトを主体としたデッキを用いたという点。1999年および2000年のスタンダードでは、『ウルザズ・サーガ』『ウルザズ・レガシー』『ウルザズ・デスティニー』を用いることができた。これら3つのセットには、強力なアーティファクトおよびアーティファクトとシナジーを形成するカードが多数収録されており、これらをフル活用したデッキが勝ったというのは、今振り返るとごく自然な話である。

 その流れは、マナ加速アーティファクトから早いターンに対戦相手にとっての脅威を叩き付け、地獄を見せる。そのマナエンジンを担ったのが《厳かなモノリス》《スランの発電機》そして《通電式キー》だ。

 《厳かなモノリス》はアンタップ制約付きとはいえ爆発的にマナを伸ばす。2マナが3マナになる、ということで《暗黒の儀式》的な瞬間的なマナ加速として用いても良いし、置いてから次のターンにあふれんばかりのマナを使ってもよし。《スランの発電機》は{4}と重めのコストだが、何のデメリットもない安心感のもとで3マナ生み出せるのが(モノリスと比べると)地味ながらに強かった。これらのマナアーティファクトを《通電式キー》でアンタップして、もう1回使うと......もうマナは唸るほどある状況に。

 今日はこの古き良き(極悪ではあったが)マナエンジンを搭載した現代のデッキを紹介しよう。懐かしい気持ちになれることマチガイナシ。マジックはそれこそ20年ほど前の古いカードを最新のカードと組み合わせて遊べるのがつくづく素晴らしい! 往年のマナエンジンから、君なら何を展開する?

Nicholus Llanos - 「Mudpost:トラディショナル・スタイル」
GPT Brisbane 2017 @ Kick Engines (Philippines) 優勝 / レガシー (2017年2月5日)[MO] [ARENA]
4 《古えの墳墓
4 《雲上の座
4 《微光地
4 《エルドラージの寺院
4 《ウギンの目
3 《裏切り者の都
2 《ヴェズーヴァ
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ

-土地(26)-

4 《難題の予見者
4 《ワームとぐろエンジン
4 《絶え間ない飢餓、ウラモグ
1 《引き裂かれし永劫、エムラクール

-クリーチャー(13)-
3 《通電式キー
4 《厳かなモノリス
4 《スランの発電機
3 《歪める嘆き
3 《全ては塵
4 《虚空の杯

-呪文(21)-
4 《次元の歪曲
3 《三なる宝球
4 《Helm of Obedience
4 《虚空の力線

-サイドボード(15)-
mtgtop8.com より引用)

 まあ、大量の無色マナの使い道と言ったら、エルドラージになるのは自然な流れ。エムラクール&ウラモグは当然の嗜みとして、《難題の予見者》も外せない。というわけでこれらのエルドラージをモノリス発電機&キーから高速で戦場に出す!というのがこのデッキのコンセプトであり、それは「MUD」の設計思想と大きく変わらない。

 このデッキは、もう1つのデッキの要素も色濃く持っている。それはPost系のデッキだ。「12post」「Titan Post」など、Postこと《雲上の座》による強烈なマナブーストを用いてデカブツに繋げるデッキである。

 本日のデッキの土地構成はこのPost系デッキの無色マナを大量に生み出すエンジンとなる神座タイプを持つ土地《雲上の座》《微光地》と、それをコピーしてカウントを水増しする《ヴェズーヴァ》をマナ基盤の中心としている。ゆえに「Mudpost」とでも呼ぼうかというところ。個人的には古き良きマナエンジンを積んでいることに着目してトラディショナルスタイル、という特別扱いをしてやりたい。

 デッキとしては単純極まりない。神座土地を展開しつつ、《厳かなモノリス》《スランの発電機》《通電式キー》も設置していってマナを伸ばし、《虚空の杯》を用いて対戦相手のアクションを縛る。パーマネントを展開されても《全ては塵》で流し去ろう。あんまり無理して引きつけず、パーマネント2枚と交換できれば上等くらいの考えで使っていくのが吉。《古えの墳墓》からダメージを受けているだろうし、無理をすると命取りになりかねない。無論、ライフに余裕があるのであれば、最大効率を狙っていこう。このデッキでも数少ない《真の名の宿敵》対策でもあるので、その辺りも念頭に置きながら。

 マナが伸びればフィニッシャータイムだ。6マナから《ワームとぐろエンジン》、これは1枚でダメージレースを逆転できる頼もしいヤツ。10マナで《絶え間ない飢餓、ウラモグ》、これまた1枚で大逆転!15マナで《引き裂かれし永劫、エムラクール》、1枚で勝利ッッ!ここまで綺麗に繋げたいものだ。かつてモダンの「トロン」が行っていた《ウギンの目》から無色クリーチャーサーチという動きを、このデッキも積極的に行っていくことになるだろう。重いって? ブッディとフィンケルを勝利に導いた信頼と実績のマナエンジンを信じろ!

 サイドボードはものすごくシンプル。追加の除去《次元の歪曲》、コンボ対策《三なる宝球》。そして墓地対策の《虚空の力線》と、力線となるなら勝ち手段変更ということで《Helm of Obedience》。対戦相手の墓地にクリーチャーカードが置かれるまでライブラリーを削り続ける、という能力を《虚空の力線》下で起動すると、対戦相手のライブラリーをすべて追放してしまうことができる。このコンボに切り替えて、意識の外から倒しに行くのもまた気持ちよかろう。

 こういう昔のカードを使えるデッキは良いもんだ。クリーチャーは現代の方が強く、呪文は過去の方が強い、というマジックの定説を体現した可能ような無色単デッキ。無論、赤や青を足してブッディやフィンケルの使用したデッキを現代に蘇らせるというアプローチもアリだ......《修繕》はレガシーじゃ使えないけどね!

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