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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:赤緑トロン(モダン)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:赤緑トロン(モダン)

by 岩SHOW

 何の突拍子もなく、フレイバーテキストクイズを。以下のテキストが書かれた3枚のカード名を答えよ。

  • 「大アーティファクト時代には、鉱山は都市と同じぐらいありふれたものとなった。」
  • 「アーティファクトの製造には、莫大な資源が必要とされた。」
  • 「資源集めについてのトカシアの教えを、ウルザはいつも上手に生かした。」


 答えは上から《ウルザの鉱山》《ウルザの魔力炉》そして《ウルザの塔》(いずれも『第5版』のもの)。文章中にヒントがあるので、正解だった方も多いかな(というかこのコラムのタイトルでバレている)。

 トカシアというのは、かつてドミナリアに暮らしていた人間の女性。彼女は考古学者であり工匠で、古代に栄えていたスラン文明および古代のアーティファクトについて調査・研究を行っていた。ウルザとミシュラは幼少期にこのトカシアに預けられ、彼女によって育てられ、また工匠としての技術を教わったのだ。

 この兄弟が《コイロスの洞窟》にてパワーストーンを発見、魔力に満ちた石はそれぞれ1つずつが兄弟の手に。二人はこの石の力に目がくらみ、お互いの石を奪い合う争いを起こす。この時に石の魔力によってトカシアは引き裂かれ、死亡する。ウルザ・ミシュラの争いはテリシア大陸の国家をも巻き込むものとなり「兄弟戦争」と呼ばれた。これに勝利したウルザは、プレインズウォーカーとして覚醒し......

 長くなりそうなのでこの辺で。絶大なる力を持った旧世代プレインズウォーカーの代表格・ウルザは、ミシュラとの・そしてファイレクシアとの戦いに備えて資源を集め、アーティファクトを製造した。これらの3種類の土地は、そんなウルザが築き上げた施設をカード化したものである。

 これら「ウルザの」という特殊なタイプを持った土地、普段は無色マナ1つ生み出すだけの物足りない土地だが、3種類揃えればマナの生産量が跳ね上がる!土地3枚で7マナ生み出せるようになり、その爆発的なマナで何かしらの悪さをしようというのが「ウルザトロン」と呼ばれるデッキだ。

 以前、これのPauperで使用されているものを紹介したが、今日はもっと皆に馴染深いフォーマットであるモダンのそれを紹介しよう!

Jose Carlos López Muñoz
Open Dual Games Alicante 5位 / モダン (2016年8月21日)[MO] [ARENA]
2 《
4 《燃え柳の木立ち
4 《ウルザの鉱山
4 《ウルザの魔力炉
4 《ウルザの塔
1 《幽霊街
1 《ウギンの聖域

-土地(20)-

1 《呪文滑り
3 《ワームとぐろエンジン
1 《世界を壊すもの
1 《絶え間ない飢餓、ウラモグ
1 《約束された終末、エムラクール

-クリーチャー(7)-
4 《古きものの活性
4 《彩色の宝球
4 《彩色の星
4 《探検の地図
2 《大祖始の遺産
4 《森の占術
3 《炎渦竜巻
3 《忘却石
4 《解放された者、カーン
1 《精霊龍、ウギン

-呪文(33)-
2 《スラーグ牙
3 《自然の要求
1 《真髄の針
1 《大祖始の遺産
3 《歪める嘆き
2 《突然のショック
1 《壌土からの生命
2 《殺戮遊戯

-サイドボード(15)-
mtgpulse.com より引用)

 いち早くウルザの土地を3種類揃えて、無色の大型呪文を唱えてそのカードパワーで対戦相手を圧殺するデッキである。完全に無色のデッキとなると弱点も多いので、何かしらの色を足すのが構築の主流となっている。このトロンの場合は緑をメインに、ほんのり赤を足した作りになっている。なぜ緑なのかというと、土地を探してくる呪文に長けているからだ。

 《森の占術》はライブラリーから土地カードをなんでも探して来て手札に加えるという万能サーチ。状況によってはウルザの土地ではなく、《燃え柳の木立ち》《ウギンの聖域》や《幽霊街》を持ってくることも。

 《古きものの活性》は探せる範囲がライブラリーの上から5枚と限られるものの、無色のカードなら何でも1枚手札に加えることができる。最序盤は土地を探すのに用いて、それらの基盤が整えばリセットなりフィニッシャーなりを探すことができる、1マナとは思えない器用な1枚である。

 これら緑のサーチ呪文とともに《探検の地図》を用いてウルザの土地を揃えていくのがゲーム序盤の目標。ウルザの土地しかなくて無色しか生み出せない状況下でもこれら緑の呪文を唱えるために《彩色の宝球》《彩色の星》を用いている。

 手札の枚数を減らすことなく、欲しい色マナを手に入れることのできるこれらマナフィルターはトロンの基本装備である。マナを生み出してからドローしたら欲しかったものが見つかった、なんてことも。

 盤面のリセットを担うのはメインでは唯一の赤の呪文である《炎渦竜巻》と、すべてを吹き飛ばすアーティファクト《忘却石》。3種類の土地が揃うまではこれらのカードで対戦相手のクリーチャーやその他のパーマネントを掃除。

 《精霊龍、ウギン》も有色のパーマネントを根こそぎ追放することができるのでリセット呪文と呼ぶこともできる。そのまま[+2]能力を連打して、一気にゲームを終わらせてしまうのが理想的。

 ウギン以外にフィニッシャーを担当するのは《解放された者、カーン》に《絶え間ない飢餓、ウラモグ》《世界を壊すもの》と、これらもパーマネントに触れることができるものが多く、戦場に脅威を投下すると同時に対戦相手の勝ち筋を潰すということが同時に可能となる。先手3ターン目に更地に着地したカーンで土地を追放......とかできればもう負けることはないだろう。

 《ワームとぐろエンジン》は盤面に触れることはできないが、絆魂によりライフを取り戻して対戦相手の攻撃を実質無効化してしまう。除去耐性もあって、3ターン目に叩き付けるにはこの上ないクリーチャーだ。

 そしてエムラクール......かつて《ウギンの目》が使えた頃のトロン系デッキは1枚挿しの《引き裂かれし永劫、エムラクール》をサーチしてきて追加ターンで勝ち!なんてことをやっていたが、それ無き今は新型の《約束された終末、エムラクール》を用いる形に。スタンダードで対戦相手にミスプレイを連発させているエムラクールの力はモダンでも恐ろしいもの。対戦相手が各種コンボデッキだったら......コンボを決めるのを手伝ってあげよう。ただし、死ぬのは相手自身。

 なんとなく3ターン目に3種類の土地を揃えてしまってデカブツ連打で勝ち、という動きができてマジック初心者にもオススメのデッキだ。やっぱり、カードパワーに甘えるのって最高ッッ。

 ただし、弱点も多いデッキである。《血染めの月》で《》に囲まれたり、《大爆発の魔道士》《溶鉄の雨》《塵への崩壊》で土地が揃わないように割られたり......サイドボードにはこれらに対抗するための《自然の要求》《歪める嘆き》《壌土からの生命》が搭載されている。爽快感あふれるメイン戦の後は、こういったサイドカードをしっかり用いて胃が痛くなるような2ゲーム目3ゲーム目を楽しんでいただきたい。好き嫌いはあるデッキだとは思うが、食わず嫌いももったいないぞ!

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