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市川ユウキの「プロツアー参戦記」
ミシックチャンピオンシップ・クリーブランド2019 前編
こんにちは! チーム『武蔵』の市川です。
今回はミシックチャンピオンシップ(MC)に向けての調整記/大会レポートを綴っていこうと思います。
ん? そうです、今回からプロツアーの名称がミシックチャンピオンシップと改まったため、この記事も市川ユウキの「プロツアー参戦記」から改めまして、市川ユウキの「ミシックチャンピオンシップ参戦記」となります。内容などは変わりませんが、何卒よろしくお願いいたします。
と、いうことで2月22日(金)~24日(日)に行われましたミシックチャンピオンシップ・クリーブランド2019に向けての調整記をお送りします。
0.近況
前回のプロツアー『ラヴニカのギルド』では9勝7敗で加点1点と芳しくない結果になってしまいました。
3 《Underground Sea》 3 《Volcanic Island》 2 《溢れかえる岸辺》 2 《汚染された三角州》 2 《沸騰する小湖》 2 《霧深い雨林》 4 《不毛の大地》 -土地(18)- 4 《秘密を掘り下げる者》 2 《若き紅蓮術士》 2 《真の名の宿敵》 4 《グルマグのアンコウ》 -クリーチャー(12)- |
4 《稲妻》 4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《思考掃き》 2 《呪文貫き》 1 《呪文嵌め》 2 《思考囲い》 4 《目くらまし》 1 《削剥》 4 《意志の力》 -呪文(30)- |
1 《イゼットの静電術師》 2 《外科的摘出》 2 《紅蓮破》 1 《水流破》 1 《真髄の針》 2 《苦花》 2 《悪魔の布告》 1 《削剥》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《最後の望み、リリアナ》 1 《島》 -サイドボード(15)- |
その後に行われたグランプリ・静岡2018では、レガシー部門の10回戦目で4敗を喫したため、スタンダード部門に参加するべくドロップ。
5 《沼》 1 《島》 4 《湿った墓》 4 《水没した地下墓地》 4 《竜髑髏の山頂》 4 《蒸気孔》 4 《硫黄の滝》 -土地(26)- 3 《破滅の龍、ニコル・ボーラス》 3 《破滅を囁くもの》 -クリーチャー(6)- |
4 《渇望の時》 3 《思考消去》 2 《一瞬》 2 《喪心》 1 《否認》 1 《アズカンタの探索》 2 《悪意ある妨害》 1 《標の稲妻》 1 《虚報活動》 1 《黄金の死》 2 《薬術師の眼識》 2 《煤の儀式》 2 《ヴラスカの侮辱》 2 《最古再誕》 2 《中略》 -呪文(28)- |
3 《正気泥棒》 3 《強迫》 2 《軽蔑的な一撃》 1 《喪心》 1 《アズカンタの探索》 2 《黄金の死》 1 《標の稲妻》 1 《薬術師の眼識》 1 《ヴラスカの侮辱》 -サイドボード(15)- |
したのですが、スタンダード部門では八十岡さん謹製の「グリクシス・コントロール」を前日にサイドボーディングガイドまで含めた手厚いフォローを八十岡さん本人に施されながら、奇跡のbye明け0-3を決めて初日落ちにつき、日本初のダブルグランプリは加点0点と逆ロケットスタートを決める始末でした。
プロツアー、グランプリと芳しくない結果が続く一方でしたが、モダンフォーマットで行われたプロツアー地域予選では「バント・スピリット」を駆り見事今回のMCクリーブランドの権利を獲得!
1 《森》 1 《平地》 1 《島》 1 《寺院の庭》 1 《繁殖池》 1 《神聖なる泉》 2 《吹きさらしの荒野》 2 《霧深い雨林》 3 《溢れかえる岸辺》 3 《地平線の梢》 3 《植物の聖域》 1 《魂の洞窟》 1 《ムーアランドの憑依地》 -土地(21)- 4 《霊廟の放浪者》 4 《貴族の教主》 4 《至高の幻影》 3 《幻影の像》 2 《無私の霊魂》 1 《悔恨する僧侶》 4 《ドラグスコルの隊長》 4 《呪文捕らえ》 2 《反射魔道士》 1 《聖トラフトの霊》 -クリーチャー(29)- |
3 《霊気の薬瓶》 3 《流刑への道》 4 《集合した中隊》 -呪文(10)- |
2 《スレイベンの守護者、サリア》 2 《秋の騎士》 1 《聖トラフトの霊》 3 《安らかなる眠り》 3 《石のような静寂》 2 《減衰球》 2 《統一された意思》 -サイドボード(15)- |
プロツアー、グランプリではスタンダード&レガシー、プロツアー地域予選ではモダンとトライアスロンさながらのフォーマット行脚となり、特にモダンは練習時間を確保できていなかったのですが、はてさて結果が出てくれて何よりでした。
地域予選のタイミングでは、現在モダンフォーマットにおいてトップメタである「イゼット・フェニックス」がまだ発展途上で、リアルのトーナメントシーンではMagic Onlineほど隆盛していなかったのが、「イゼット・フェニックス」を苦手とする「バント・スピリット」をプレイしている自分としてはラッキーだったと言えます。
MCクリーブランドをシルバーレベルの「シーズン中に好きなMCに(実費で)出られる権利」を行使することなく出られることは、シーズンを通してMCに出ることが当面の目標である自分としては僥倖な結果と言えます。
チームシリーズとしてのシーズン内だと、今回のクリーブランド以降でテーブルトップのMCはあと2回。1回は前述した通りシルバーレベルの権利を行使して出られますから、なんとしてでもいずれかのMCの権利を獲得したいところ。
MC欠場で、チーム『武蔵』のみんなには迷惑はかけられない! 11勝5敗以上で次回のミシックチャンピオンシップ・ロンドン2019の権利が得られますから、相も変わらず鼻息荒くMCへの調整を開始したのでした。
と、調整の本編に行く前に若干脱線。
プロツアー『ラヴニカのギルド』から今回のMCクリーブランドまでの間に、ワールド・マジック・カップ2018、The Finals2018と2回ほど公式配信で、解説を務めさせていただきました。
解説はワールド・マジック・カップ2015以来、なんと3年ぶりとなる久々の大役でしたが、非常に楽しくやらせていただきました。
両放送とも、アーカイブが残っていますので、興味のある方は是非ご覧になっていただければと思います。
競技プレイヤーと解説はなかなかに両立が難しいモノではありますが、これからも定期的に行っていければと考えています。
ワールド・マジック・カップ2018
- ワールド・マジック・カップ2018 1日目(ニコニコ生放送)
- ワールド・マジック・カップ2018 2日目(ニコニコ生放送)
- ワールド・マジック・カップ2018 3日目(ニコニコ生放送)
The Finals 2018
- The Finals 2018(Twitch)
1.調整環境
今回は前回のメンバー11人(プロツアー『ラヴニカのギルド』前編 参照)に加えて、川崎慧太さんを調整チームに迎えることに。
川崎さんの売りはミッドレンジデッキへの知見の深さにあります。
フォーマットを問わずミッドレンジデッキをプレイしている印象で、特にモダンの、ジャンドを含むBGデッキではグランプリトップ8が2回、私と同じタイミングのプロツアー地域予選で権利獲得と実績を積み上げています。
14 《山》 1 《沼》 4 《泥濘の峡谷》 4 《竜髑髏の山頂》 1 《霊気拠点》 -土地(24)- 4 《ボーマットの急使》 3 《損魂魔道士》 4 《屑鉄場のたかり屋》 3 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》 4 《ゴブリンの鎖回し》 3 《ピア・ナラー》 4 《再燃するフェニックス》 1 《栄光をもたらすもの》 -クリーチャー(26)- |
4 《削剥》 3 《無許可の分解》 1 《木端 // 微塵》 2 《反逆の先導者、チャンドラ》 -呪文(10)- |
1 《ピア・ナラー》 4 《強迫》 3 《チャンドラの敗北》 2 《マグマのしぶき》 2 《栄光の刻》 3 《ウルザの後継、カーン》 -サイドボード(15)- |
また、グランプリ・シンガポール2018で佐藤レイさんが入賞された「赤黒アグロ」(と呼称されていますがまぁミッドレンジデッキでしょう)は彼のチューンしたデッキでした。
《ゴブリンの鎖回し》に弱い《ピア・ナラー》をメインサイド合わせて4枚、ミラーマッチでキーカードと言われていた《熱烈の神ハゾレト》が0枚と、一見セオリーに反する構築に見えますが、その辺りは数多の試行回数を重ねたことによって行き着く、ミッドレンジマスターの境地だったのでしょう。(参考記事:佐藤レイのグランプリ・シンガポール2018レポート)
このようにミッドレンジデッキのブラッシュアップ能力に長けており、調整チーム武蔵でもその手腕が期待されます。(またリミテッドグランプリ準優勝2回とリミテッドマスターとしても知られています。)
2.環境初期
スゥルタイ・ミッドレンジ
まずは環境初期、真っ先に結果を出したのは前環境の覇者である「ゴルガリ・ミッドレンジ」のアップデート版、「スゥルタイ・ミッドレンジ」でした。
4 《森》 2 《沼》 1 《島》 4 《草むした墓》 4 《森林の墓地》 4 《繁殖池》 2 《湿った墓》 1 《水没した地下墓地》 2 《愚蒙の記念像》 -土地(24)- 4 《ラノワールのエルフ》 4 《マーフォークの枝渡り》 4 《野茂み歩き》 1 《探求者の従者》 4 《翡翠光のレインジャー》 3 《ハイドロイド混成体》 2 《真夜中の死神》 2 《貪欲なチュパカブラ》 2 《殺戮の暴君》 -クリーチャー(26)- |
2 《喪心》 2 《ヴラスカの侮辱》 3 《採取 // 最終》 3 《ビビアン・リード》 -呪文(10)- |
1 《若葉のドライアド》 4 《強迫》 2 《否認》 1 《軽蔑的な一撃》 3 《肉儀場の叫び》 1 《押し潰す梢》 1 《ヴラスカの侮辱》 2 《最古再誕》 -サイドボード(15)- |
全カード発表時はそこまで注目されていなかった《ハイドロイド混成体》ですが、ずばり『ラヴニカの献身』で一番強いカードです。
リソースを得て、ライフを増やし、フィニッシャーたる《ハイドロイド混成体》は、非常に「ゴルガリ・ミッドレンジ」にフィットしているカードです。
ターンが空きそうであれば適当にX=2で1枚ドローでプレイしても良いですし、終盤には《採取 // 最終》や《愚蒙の記念像》などで回収するオプションも取れます。
《ビビアン・リード》の[+1]能力で探しに行けるフィニッシャーですので、「ゴルガリ・ミッドレンジ」を構成しているカード群が最も《ハイドロイド混成体》を上手く使っていると言えます。
エスパー・コントロール
1 《平地》 1 《島》 2 《沼》 4 《神聖なる泉》 4 《氷河の城砦》 3 《神無き祭殿》 4 《孤立した礼拝堂》 4 《湿った墓》 4 《水没した地下墓地》 -土地(27)- 1 《変遷の龍、クロミウム》 -クリーチャー(1)- |
3 《喪心》 2 《アズカンタの探索》 1 《渇望の時》 1 《否認》 4 《吸収》 2 《屈辱》 4 《ヴラスカの侮辱》 3 《ケイヤの怒り》 1 《薬術師の眼識》 3 《予知覚》 4 《中略》 4 《ドミナリアの英雄、テフェリー》 -呪文(32)- |
2 《黎明をもたらす者ライラ》 3 《渇望の時》 3 《思考消去》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《否認》 3 《正気泥棒》 1 《肉儀場の叫び》 1 《ケイヤの怒り》 -サイドボード(15)- |
前環境ではギルドランドが《湿った墓》の1種類しかなく、マナベースが脆弱で実現できなかった「エスパー・コントロール」ですが、《神聖なる泉》と《神無き祭殿》が加入したことによりその憂いを断つことになりました。
また、『ラヴニカの献身』で得た《吸収》と《ケイヤの怒り》も非常に強力なカードで、3ターン目に{W}{U}{U}、4ターン目に{W}{W}{B}{B}を要求する傲慢マナベースだけ目を瞑れば環境随一のデッキパワーを誇ります。
前環境までは青系のコントロールデッキと言えば青白赤のジェスカイカラーがオーソドックスでしたが、マナベースという課題をクリアした「エスパー・コントロール」と比べて優れている部分が見つからず、コントロールデッキとしてのTier1を奪われた格好に。
《轟音のクラリオン》と《ケイヤの怒り》では全体除去としての信頼性が違いますし、黒を採用しているエスパーはサイドボードに《強迫》や《正気泥棒》などの優れたカードを取ることができますからね。
その他《徴税人》、《不敗の陣形》、そして《神聖なる泉》加入によりサイドボードに《否認》などのカウンター呪文を取れるようになった「白単タッチ青」。
1マナ2枚ドローと呼び声高い《舞台照らし》と、1マナ3点らしい《批判家刺殺》を加えた「赤単」。
マナフラッドの受け入れ先がなかった青単を救う救世主《プテラマンダー》、単色デッキでは《本質の散乱》の上位互換である《本質の把捉》を擁する「青単」など、単色デッキは1~2スロット、枚数で言うと6枚前後のアップデートがなされている様子。
3.RPTQ
今回はMCの2週間前にミシックチャンピオンシップ地域予選。前週にグランプリ・メンフィス2019と、ふたつともフォーマットはスタンダードで、MC前に経験値を得られるチャンスが2回もありました。
まずはミシックチャンピオンシップ・ロンドン2019地域予選です。
この週のMagic Onlineでは《ハイドロイド混成体》全盛といった様子で、スゥルタイが最も多かったのですが、バントカラーなど、さまざまな形でミッドレンジデッキが《ハイドロイド混成体》を採用しているメタゲーム。
《ハイドロイド混成体》を使わないなんてあり得ない!と言われている気がしましたので、私ももちろん使うことに。そして《ハイドロイド混成体》デッキ同士で最も強い形を。
4 《森》 1 《沼》 4 《草むした墓》 4 《森林の墓地》 4 《繁殖池》 3 《湿った墓》 3 《水没した地下墓地》 1 《愚蒙の記念像》 -土地(24)- 4 《ラノワールのエルフ》 4 《培養ドルイド》 4 《ハイドロイド混成体》 4 《翡翠光のレインジャー》 2 《真夜中の死神》 2 《人質取り》 2 《貪欲なチュパカブラ》 1 《生体性軟泥》 -クリーチャー(23)- |
4 《喪心》 3 《ヴラスカの侮辱》 3 《採取 // 最終》 3 《ビビアン・リード》 -呪文(13)- |
2 《疫病造り師》 4 《強迫》 4 《渇望の時》 3 《否認》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《最古再誕》 -サイドボード(15)- |
《ハイドロイド混成体》ミラーマッチで強いデッキ、それは《野茂み歩き》を排した構成の「スゥルタイ・ミッドレンジ」。
このデッキはMagic Onlineのリーグで5-0していた津村健志さんのリストを参考にしました。
4 《森》 2 《沼》 4 《草むした墓》 4 《森林の墓地》 4 《繁殖池》 2 《湿った墓》 2 《水没した地下墓地》 2 《愚蒙の記念像》 -土地(24)- 4 《ラノワールのエルフ》 4 《培養ドルイド》 4 《ハイドロイド混成体》 4 《翡翠光のレインジャー》 2 《真夜中の死神》 2 《人質取り》 2 《貪欲なチュパカブラ》 -クリーチャー(22)- |
4 《喪心》 3 《ヴラスカの侮辱》 2 《採取 // 最終》 2 《ウルザの後継、カーン》 3 《ビビアン・リード》 -呪文(14)- |
2 《疫病造り師》 4 《強迫》 2 《否認》 1 《アルゲールの断血》 1 《軽蔑的な一撃》 3 《肉儀場の叫び》 2 《最古再誕》 -サイドボード(15)- |
《野茂み歩き》はミラーマッチでは《喪心》などの腐りがちな単除去の的ですし、概ねトップデッキ勝負となる展開で引いてしまうと嘔吐するレベルで弱く、2ゲーム目以降では真っ先にサイドアウトするカードです。
そのスロットを《培養ドルイド》に譲ることによってメインデッキからミラーマッチを圧倒的優位に進めることができます。
《培養ドルイド》は《ラノワールのエルフ》と合わせて《ビビアン・リード》を先んじてプレイしたり、順応してから《ハイドロイド混成体》を高い値でプレイしたり、《人質取り》からテンポよく奪ったクリーチャーをプレイしたりと、ミラーマッチでは絶大なパワーを誇ります。
- 第1回戦 赤単 ×○×
- 第2回戦 赤単 ×○○
- 第3回戦 スゥルタイ ○×○
- 第4回戦 赤単 ×○×
と、ミラーマッチに寄せた構築にすると他のデッキに当たるのが世の常。
「赤単」に当たりまくり、そして負けまくりの2勝2敗でドロップ。
前日の調整中にチームメイトと《危険因子》を入れたバーン型の「赤単」が一番キツいマッチアップだからそれと何回マッチアップするかだね、なんて話していたら3回も当たってしまいました。
今週は赤単が勝ち組だったのかなと、トーナメント終了後に出た結果を見ると権利獲得者8人のデッキはなんと8種、つまり全員デッキが違うまさに乱世。
スゥルタイが環境の王者と考え、その考えに準じたデッキ構築をしていましたが、実際は突出したデッキがなく非常に平坦な環境だったのかと認識を改める結果になりました。
4.MOCSマンスリー
プロツアー地域予選の日の夜、MOCSマンスリーがスタンダードで行われました。
MOCSマンスリーは多数のプロプレイヤーも参加する実践的なトーナメントです。
プロツアー『ドミナリア』では赤黒アグロの、プロツアー『ラヴニカのギルド』では白単アグロの隆盛を決定付けた、MCのメタゲームを占う大会でもあります。
1 《島》 4 《繁殖池》 4 《内陸の湾港》 4 《神聖なる泉》 3 《氷河の城砦》 3 《寺院の庭》 4 《陽花弁の木立ち》 1 《オラーズカの拱門》 -土地(24)- -クリーチャー(0)- |
4 《選択》 4 《成長のらせん》 4 《活力回復》 4 《根の罠》 3 《アズカンタの探索》 4 《荒野の再生》 3 《薬術師の眼識》 4 《運命のきずな》 4 《解任 // 開展》 2 《ドミナリアの英雄、テフェリー》 -呪文(36)- |
3 《秋の騎士》 2 《黎明をもたらす者ライラ》 4 《ハイドロイド混成体》 4 《否認》 2 《押し潰す梢》 -サイドボード(15)- |
そのMOCSマンスリーに出るべく手に取ったデッキは「バント・ネクサス」。
理由としてはプロツアー地域予選でプレイしたスゥルタイの感触がすこぶる悪く使いたくなかったこと。
また、チーム内で《運命のきずな》デッキを試しているプレイヤーがおらず、有力デッキの見落としにならないようにしたかったことなどが挙げられます。
このリストは前週のMOMCQを優勝していたリストで、《選択》や《活力回復》などのキャントリップ呪文が多く見た目がシュッとしていて好印象だったことも起因します。
- 第1回戦 青単 ○×○
- 第2回戦 イゼットドレイク ○××
- 第3回戦 シミック・ネクサス ×○×
- 第4回戦 エスパー・コントロール ××
1-3ドロップとメコメコで、デッキの底も見えたなという感想に。
まずはマナベース。
2ターン目に{U}{G}{W}を要求されるこの構成だと非常に色マナがタイトです。
青16、緑15、白14。
青16はそれがベースとなる色マナの総数としては最低値といったところで、それ以外の緑15、白14は初手にあったりなかったりが頻発する値といって良いでしょう。
つまり緑マナがないけど《成長のらせん》がある、白マナがないけど《活力回復》がある、そもそも青マナがなくてキープできない、などのカラートラブルが頻発するということです。
また、勝ち手段になりつつキャントリップで、デッキのイノベーションに見えた《解任 // 開展》は実に微妙。
相手がクリーチャーベースのデッキであれば受けるダメージを軽減しつつデッキを掘り進めることが可能になりますが、「エスパー・コントロール」などには不要牌となってしまい、《根の罠》含めてメインデッキに8枚の不要牌はコンボデッキとしては看過できない枚数です。対「エスパー・コントロール」はサイドボード後勝率を落とすマッチアップでありながら、それらをドローしてしまうとメインデッキも落としてしまう有様。
マナベースが弱い、《解任 // 開展》が弱い。
ざっくりとこんな感想を持ったのですが、とにかくこのアーキタイプに可能性を感じていたわけではなかったですし、これらを改善させる引き出しを持ち合わせていなかったので一旦(というか一生)「バント・ネクサス」のことは忘れることに。
5.《運命のきずな》
MOCSマンスリー後は実に様々なデッキをプレイしました。
「エスパー・ミッドレンジ」「白単アグロ」「スゥルタイ・ミッドレンジ」「イゼット・ドレイク」など。
ですが、どのデッキも勝率が伸びず。また、とあるデッキとよくマッチングしていることに気付きます。
6 《森》 4 《島》 4 《繁殖池》 4 《内陸の湾港》 2 《シミックのギルド門》 4 《天才の記念像》 1 《オラーズカの拱門》 -土地(25)- 4 《エリマキ神秘家》 3 《ハイドロイド混成体》 -クリーチャー(7)- |
4 《成長のらせん》 4 《根の罠》 3 《一瞬》 3 《アズカンタの探索》 4 《薬術師の眼識》 4 《荒野の再生》 2 《予知覚》 4 《運命のきずな》 -呪文(28)- |
2 《殺戮の暴君》 3 《ペラッカのワーム》 1 《原初の潮流、ネザール》 4 《否認》 3 《鋭射手の斉射》 1 《不滅の太陽》 1 《集団強制》 -サイドボード(15)- |
「シミック・ネクサス」です。
MTGアリーナで2本先取をプレイしていると結構な確率でマッチングし、そして結構な確率で負けました。
《エリマキ神秘家》だったり《天才の記念像》が入っていたり、一見ふざけた構成で負ける度にその理不尽さにイライラしていましたが、対戦していてイライラするデッキは良いデッキである可能性があるため、自分でプレイしてみることに。
プレイしてみると勝率も高く、「バント・ネクサス」で疑問に感じていたマナベース、《解任 // 開展》の弱さを解消しているデッキだなと感じました。
《天才の記念像》は目から鱗で、《荒野の再生》は設置できているけれど《アズカンタの探索》がプレイできておらず、また《薬術師の眼識》などのドローも尽きている時に力になってくれる土地で、練習中も幾度となくこのカードに助けられました。
これをプレイするには色マナがしっかり揃っていないといけませんから、2色だからこそ採用できるカードと言えるでしょう。
この辺りから、ちょうど同じタイミングで《運命のきずな》デッキに興味を持った原根さんと意見を交わしながら調整していくことになりました。
まずは《エリマキ神秘家》の解雇。
いくら2色といえど4ターン目に{U}{U}{G}{G}を要求されることはタイトで、プレイできないことも多々ありました。
《荒野の再生》をプレイするタイミングでプレイできない打ち消しは、返しの《ビビアン・リード》などから《荒野の再生》を守る役割を果たせないですし、単純にほぼクリーチャーレスのデッキで《エリマキ神秘家》をプレイしても腐っている除去が飛んできて、ボディに価値がない、つまりプレイにバリューがないという結論に。
その後カウンター枠を《否認》などで試していましたがしっくり来ず、最終的に《悪意ある妨害》に落ち着きました。
《悪意ある妨害》は《否認》と比べると3マナと重たいですが、クリーチャーにプレイして対戦相手のクロックを減速させて《根の罠》のプレイターンを遅くすることができます。
また、諜報能力は《荒野の再生》に依存している「シミック・ネクサス」にとって重宝(冗談ではありません)されますし、《アズカンタの探索》を早く変身させることも可能です。
また、コンボデッキよろしく軽いドローソースは必要ということで《選択》を採用。
採用してみると、今までなんで入っていなかったかわからないくらい良い働きをしてくれます。
《成長のらせん》から置いた青マナ源からプレイできたり、特定のカードを探してるときは《薬術師の眼識》よりマナ効率良く探せるなど、デッキの安定性に貢献。
6.グランプリ・メンフィス2019
グランプリ・メンフィス2019は以下のリストで参加。
6 《森》 4 《島》 4 《繁殖池》 4 《内陸の湾港》 2 《シミックのギルド門》 4 《天才の記念像》 -土地(24)- 2 《ハイドロイド混成体》 -クリーチャー(2)- |
4 《選択》 4 《成長のらせん》 4 《根の罠》 3 《一瞬》 3 《アズカンタの探索》 3 《悪意ある妨害》 4 《薬術師の眼識》 4 《荒野の再生》 1 《予知覚》 4 《運命のきずな》 -呪文(34)- |
4 《培養ドルイド》 4 《アゾカンの射手》 2 《ハイドロイド混成体》 2 《否認》 2 《鋭射手の斉射》 1 《押し潰す梢》 -サイドボード(15)- |
元々はこのスロットは《悪意ある妨害》の4枚目でしたが、それだとコンボが途中で止まることが多々起きたため、直前で《予知覚》を入れることに。
サイドボードでは《培養ドルイド》を採用。
メインは《ハイドロイド混成体》以外クリーチャーを見せませんから、相手も除去を抜いていることが多く、高確率で戦場に定着します。
3/5というサイズは対「スゥルタイ・ミッドレンジ」で信頼できるサイズで、探検で育った《翡翠光のレインジャー》でも4/3ですので、相手の地上の攻勢をシャットアウトするには十分です。
その他、あまり見ないカードとしては《アゾカンの射手》を採用。
元々《クロールの銛撃ち》で試していたのですが、「シミック・ネクサス」は宿根しないため「イゼット・ドレイク」にサイドインできませんから、対「青単テンポ」専用のカードとなってしまいます。
そこで白羽の矢が立ったのが《アゾカンの射手》です。対「青単テンポ」では《クロールの銛撃ち》と同等の働きを見せつつ、対「白単アグロ」、対「赤単アグロ」ではブロッカーとして役割を持てます。
《アゾカンの射手》を含むサイドカードはハッキリ言って適当です。
メインデッキをガチャガチャと弄っていたらグランプリまでに間に合わずサイドボードは思いつきで組みました。
正直、この段階では「シミック・ネクサス」というデッキに対して疑問を持っていました。
練習段階での勝率が高いと言っても63%前後と、前回のプロツアー『ラヴニカのギルド』でチームデッキとなったセレズニアの70%台には遠く及ばない数値ですし、体感ベースとなる感触も正直良くわからないものでした。
そのため、一応このグランプリでは使ってみるも全然勝てず、逆にグランプリで勝ったチームメイトのデッキに乗らせてもらおうとぼんやりと考えながらグランプリに臨みました。
- 第1回戦 不戦勝
- 第2回戦 不戦勝
- 第3回戦 ナヤ・アグロ ○×○
- 第4回戦 赤単タッチ黒 ×○×
- 第5回戦 スゥルタイ・ミッドレンジ ○○
- 第6回戦 エスパー・コントロール ○○
- 第7回戦 スゥルタイ・ミッドレンジ ××
- 第8回戦 エスパー・ミッドレンジ ○×○
- 第9回戦 青単 勝ち
- 第10回戦 イゼットドレイク ○○
- 第11回戦 白単タッチ青アグロ ××
- 第12回戦 イゼットドレイク ○○
- 第13回戦 スゥルタイ・ミッドレンジ ○×○
- 第14回戦 エスパー・コントロール ×○○
- 第15回戦 エスパー・コントロール ○×○
本戦の結果は想定外の12勝3敗でプロポイント3点獲得と、トップ8こそ逃したものの望外の良い結果に。
Here is your #MTGMemphis Top 8!@jsp_magic
— ChannelFireball (@ChannelFireball) February 17, 2019
Eli Loveman@JodyMFKeith @RubinZoo
Nehuen Jara Godoy@migrat
Shota Takao@Corey_Burkhart
Congratulations everyone! pic.twitter.com/Tb8ay3lJTR
一方、メインデッキは60枚同じ、サイドボードだけ違う(なぜならお互い適当に組んでいるため)原根さんは初日全勝からそのまま土付かずのまさかの13勝0敗2分(ID)でトップ8に。(その後速やかに一没)
使用者2人とも高い勝率を弾き出し、2人のテンションはマックス! それまではチーム内ではゴミを捏ねる人を見るかのような軽蔑した眼差しを受け続けていた「シミック・ネクサス」ですが、チーム内でも評価が急上昇。チームデッキ筆頭の雰囲気を醸し出しました。
メインデッキの感触はとても良く、最後に適当に入れた《予知覚》も1枚であれば良いところに駆けつけてくれてコンボ達成の助けとなっていました。
問題はサイドボードですが、原根さんがサイドボードに入れていた《僧帽地帯のドルイド》、《生体性軟泥》の感触が良かったらしく、懸念であったサイドボードも練り込めそうです。
2日間通してプレイしてみて確信しましたが、「シミック・ネクサス」は簡潔に言うと2色以上のすべてのデッキに有利です。「スゥルタイ・ミッドレンジ」「イゼット・ドレイク」「エスパー・コントロール」など、2色以上のデッキはライフを積極的に詰めて来ませんから、《根の罠》のプレイターンを遅くでき、《薬術師の眼識》などで手札を揃えてからのコンボ始動が望めます。
ただ、単色のアグロデッキ。具体的には「白単アグロ」と「赤単アグロ」、「青単テンポ」には苦戦を強いられます。前者2つはクロックが早く、相手の動きが良ければ4ターン目から《根の罠》のプレイを強いられます。
「青単テンポ」は前者2つほどではありませんが、やはりクロックパーミッションという体をなしているデッキ、対コンボでは各種打ち消し呪文で有利にゲームを進めてきます。
ただ、これらのマッチアップ相性をサイドボードで改善できれば環境最強デッキの可能性すら感じさせる「シミック・ネクサス」。
幸い今回はグランプリ・メンフィスからの前乗りで直前の移動時間を短縮できていますし、MCまで丸3日も「シミック・ネクサス」のサイドボード構築に費やせます。
しかも検討した結果、対ミッドレンジ以降、「スゥルタイ・ミッドレンジ」や「エスパー・コントロール」に対してサイドカードをほとんど取らなくても良いことがわかり、サイドカードのスロットが潤沢に余っています。
そのため、その枠に対アグロ専用のカードをふんだんに採用することができます。
サイドが空いている、課題が明確。
この状態で、改善できないわけがないでしょう。我らは選りすぐりの調整チーム武蔵。しかもアグロに強いカードをサイドに取れば良いだけですから。もらったぞ!! ミシックチャンピオンシップ!!
と、ここで前編は終了!
後編はMCで実際に使用したデッキなどを交えながら、レポートをお届けします!
お楽しみに!
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